前回の投稿から5日空いたんで、最長空白期間更新しちゃいましたね………。
リアルワールドで色々あって、ストライクワールドに回す力が無かったお。許して…ユルシテ…。
ーーーーーー12月 29日 〈獣神祭1日目〉
時刻ーーーPM20:01
場所ーーー〈アルテール中心街〉
「おーーい!ニューーウ!!こっちだよーー!!」
人と人の隙間から自分を呼ぶ声がして、ニュウは声の聞こえた方へ振り向いた。
見ると、アミダが人混みの隙間から手を振っている。大通りから、少しそれた所だ。
「ーーーおお、そんな所に。」
そう呟いて、アミダの元へ歩くニュウ。直ぐ後ろにネオが続く。
2人が近付くと、彼女は少し驚いた様だった。
「おお?!…ネオちゃん!来たんだ〜!?」
「うん。来た。」
「コレはコレは…。嬉しいな、まさかネオちゃんが来るなんて。えへへ。まぁ取り敢えず、2人ともコッチに来なよ〜。」
おそらく、ネオが来るなんて思いもしていなかったであろうアミダは、ニコニコとしながら2人を手招きした。
それに続いて祭の中を歩いて行く2人。…四方八方を祭の灯りが囲み、通りはとても賑やかだ。
「……覚悟はしてたけど…すごい人だね。」
「ですね。…夜からが祭りは本番らしいですし、人はどんどん増えてきますよ。」
「そうみたいだね……。」
そう呟いて、隣を歩くネオ。…時々、通りに面している祭の出店の数々を見ては、そこに居る人の多さに驚いている。
そんな彼女を見ながら、ふとニュウは話しかけた。
「ーーーーーーよく、お祭りに来る気になりましたね。…正直言って、ダメ元だったんですが…。ーーー気でも変わったんですか?」
「…うん…そんなところ、かな。」
少々歯切れの悪い返事だったが、ニュウはあまり気に留めなかった。
やがてアミダの進む方から、ドンドンと賑やかな太鼓の音が響いてき始める。…どうやら、進む先が広場になっていて、そこで誰かが太鼓を叩いている様だ。笛の音もセットになって聞こえて来る。
「おお〜。こりゃまた…凄いな。」
ーーーーーー辿り着いたのは、中心街の更に中心。1番ど真ん中の広場だった。…かなり大規模な公園の様になっている円形の広場は、沢山の人で溢れかえっている。
広場の北端には、大きな宮殿を思わせる意匠の建物が建っていて、広場の人々を見守る様に灯りに照らされ浮かび上がっていた。
「……はぇー、でっかい宮殿…。」
それを見上げて呟くニュウ。横でネオが説明に入る。
「…コリントス宮殿だよ。アステールの王、ポセイドンの居城。……青くて綺麗だよね。」
「ーーーですね。…でも、昔こんな宮殿無かった気がするんですが。」
「……1年前、アステールが連邦から解放された時に建築された建物だからね。そういえば、貴方は昔アステールに住んでたんだっけ??」
「一瞬ですけどね。」
そうやって、明かりの中に浮かぶ青い宮殿を眺めていると、アミダが遠くから呼んできた。
「おーーい!こっちこっち!そっちじゃ無いよ〜?!」
「分かってますー!」
そう返して、アミダの元へ急ぐ2人。広場の端、アミダの居る所に辿り着くと、他のメンバー達が出迎えてくれた。
最初にハレルヤが口を開く。
「……やあ。思いの外、早かったねニュウ。」
「ええ。支部で、アルセーヌさんに会いまして。…その時に、気付け薬?みたいなの貰って。ーーーそれがだいぶと効いたので、早々と戻って来ました。」
ハレルヤの片眉がピクリと動いた。
「お。アルセーヌに会ったんだ?ーーーへぇ、ニュウは初対面だと思うけど…どうだった?」
「出会って5秒でバトルしました。」
「えぇ…(困惑)どういう事???」
かなり困惑した顔を浮かべるハレルヤ。ニュウが事の顛末を話している間に、何処かに行っていたアミダが両手に何か持って帰って来た。
「おーいネオちゃーん、ニュウ君も〜。おでん食べる〜??今買ってきたんだけど〜。」
「何故おでんと言うチョイス…?」
「…冬だからじゃない?」
「なるほど確かに。」
首を傾げながらも、差し出されたおでんの入った容器を受け取る2人。容器越しに伝わってくるおでんの暖かさが、冬の夜の凍える様な寒さを和らげる。
「うぅ…。こんなにさっむいのに、祭の人たちは元気ですね…。」
震えるニュウの呟きに、アミダが笑った。
「それはニュウ君が動いてないからだよ〜。広場のバカ騒ぎしてる人達を見てみなよ。…上裸の人だって居るよ?」
「見るだけで寒いんで止めときます。」
隣で同じようにおでんを食べていたフェムトが、ニュウに賛同する様に頷いた。
「ほ、本当にその通りだよ…。見てるだけで、凍えそうだ…。」
「むー、コレだからインドア派は〜。サクアちゃんを見なよー、あんなに駆けずり回ってるよ?」
アミダの指差す先には、広場で騒ぎ立てる人々に混じって動き回る、緑のケモ耳が見え隠れしていた。キラリが小さく呟く。
「…大丈夫かな…?転けないか心配なんだけど…。」
「大丈夫、大丈夫。サクアちゃんは身体能力抜群だから!」
そう言うアミダ達の話を聞きつつ、おでんを頬張りながらサクアを目で追っていたニュウだが、ふと呟いた。
「…そういえば、前会った時は思いっきりスルーしてたけど、なんでサクアさんにはケモ耳とケモ尻尾が付いてるんです…?」
その呟きを拾ったネオが、彼と同じようにおでんを食べながら答えた。
「…彼女は獣の遺伝子を身体に組み込まれているの。……連邦の実験の一環でね。」
「…………。」
ネオは話し続ける。
「ーーー獣は人間とは違って、〈星のセラム〉の瘴気に侵されなかった。連邦は人の体に獣の要素を入れたら、どうなるか知りたかったみたい。…その結果が彼女、『獣人サクア』なんだよ。」
「……流石連邦、闇が深い。」
自嘲気味にニュウは呟く。ネオは強めに頷いた。
ーーーーーーーーー2人の前で、祭囃子は更に盛り上がって行く。
ふと、2人(とフェムト)がおでんを食べ終わった時を見計らったかの様に、アミダがニヤッと笑いながら、フェムトとニュウの肩に手を回してきた。
「…え?な、何??」
「…ん?なんですかアミダさん??」
驚いた様な声を上げるフェムトとニュウ。…そんな2人に、彼女はニコニコしながら声を掛ける。顔が近い。
「ーーーーほら2人とも?しっかり体動かさなきゃ、あったかくなれ無いよ??…せっかくのお祭りなんだし、踊らない??皆んなも、ね???」
「え。」
「あーー……えっと…。」
「さーーて、レッツゴーだよ皆んな?!お祭りだあぁぁぁ!!!…ヤッホー!!」
恐らくお祭りの所為で、何時もよりハイテンションになっているであろう、アミダ。…弾ける笑顔が眩しいが、勢いの良さが何時もの比ではない。
ニュウは何となく助けを求める様に、他のメンバーを見やったが、ハレルヤもキラリも意外と乗り気な様だ。……いま、ハレルヤが『諦めな。』みたいな表情でコッチを見てきた気がする。
(…ちょ、ネオさん!)
ネオさんはどうするんだ?と思い、彼女の方を見てみれば、すでに彼女は微笑みながら、さりげなく自分達から距離を取ろうとしている所だった。…彼女と目が合う。
(ハイテンションアミダの相手は、多分大変だろうけど頑張ってね。)…安全圏からそう言われた気がして、なんだかズルいと思えてきた。
「ちょっと?!ネオさんも来るんですよ!!」
ニュウは手を伸ばして、ネオの手を握る。
「わ…?!」
突然の事で眼を白黒させたネオに、ニュウは手を握ったまま口を開いた。
「1人だけ逃げるなんて、ヒキョーって奴ですよネオさん?ーーー逃しませんからね?!」
「アミダの勢いの良さが、貴方に
困惑した様な表情を浮かべるネオ。しかし、彼女は思いの外、ニュウの手に抗わずアミダ達の元へ引き寄せられて行く。
握っていた彼女の手は、暖かいを通り越して最早熱かった。
◇◆◇
広場の中心で行われる初日最後のお祭り騒ぎ。そんな騒ぎを、コリントスの宮殿ーーーその最上階のバルコニーから、見下ろす影が5つあった。
アステールの王『ポセイドン』と副官の少女『トライデント』…そして、オーステルンのトップ3人組(ゼウス、ヘラ、ケラウノス)である。
「ーーーーーーこうやって上から見るのも楽しいね!お爺ちゃん??人がアリンコ見たーい!」
バルコニーから身を乗り出してケラケラ笑っているのは、副官の『トライデント』だ。…どう見ても子供だが、立派なこの街のNo.2である。
「おいおい、人がアリンコってなんだよ?ーーーー口悪りぃな?このメスガキ。」
ケラウノスがボソッと呟いた声に、トライデントがむくれる。
「お兄ちゃんこそ、オクチワルワルじゃーーん?!自分の事棚に上げて、お兄ちゃん酷くなーーい?!」
「……なぁ、ゼウスの叔父貴。コイツ…
「ーーー堪えろケラウノス。トライデントの思う壺だぞ。…あと、確かにお前もヒトの事言えん。」
3本のギザッ歯を見せてニヤニヤ笑うトライデントを、ケラウノスが睨み付けている横で、ポセイドンとゼウスは話を始めた。
「なぁ、ゼウス。本当にお前は……世界を相手にする気か?」
普段巫山戯ている彼らしく無い、真剣なポセイドンの言葉にゼウスは深く頷く。…その顔は祭の灯りに下から照らされて、バルコニーの闇に浮かび上がっていた。
そんな彼の引き結ばれた口を見て、ポセイドンは言葉を続ける。
「…オーステルンはどうする?いくらアレが強力な力を持つと言っても、上には万を超える人間が暮らしてるんだ。…兵器しか積んでなかった頃のクロノス時代とは、訳が違うんだぞ?どうやって戦う??」
「分かっているさ。……流石にオーステルンで直接戦いなどしない。上に住う人達にとって見れば、オーステルンは自分達の家。…危険には、なるべく晒したく無いしな。ーーーだが………」
祭囃子が夜空に響く。満点の星空が見下ろす中、祭の熱狂は益々盛り上がって行く様だ。
その熱狂の中心にある大広場を見下ろしながら、ゼウスは続ける。
「…だが、誰かがやらねば。…俺は嘗て〈ティタノマキア事変〉を引き起こし、新人類達が進む道を創ろうとした。ーーーだが、その道は、その声は、連邦によって断たれた…。それから俺も、長い間躊躇っていたんだ。……オーステルンは新人類の集まる街となった。彼らの居場所となった。ーーーそれは良い事だ。…でも、未だ居場所の無い奴らが大勢居る。再び俺は立ち上がらなきゃならん。何故なら……コレは俺が始めた戦いなのだからな。」
ポセイドンは宮殿から見える街並みを見つめながら、小さく呟いた。
「…大きな戦いが起こるぞゼウス。ーーーーーー前の様に…いや、前よりも大きな戦いが起こる。嘗ては、新人類の数はまだ少なかった。…今は違う。昔よりも、新人類は増えている。お前ん所の、イースターの連中の様な『世代』が世界各地に居るんだ。……そして、大体の奴らが連邦に支配されている。」
ポセイドンが顔を動かして、西の方角ーーーーーー夜の闇にギラギラと浮かび上がる〈オーステルン〉の方を見た。
「…今オーステルンが動けば、そんな連邦に反抗心を持ちつつも、声を上げる機会を奪われていた若い世代たちが、一斉に動き出す。……それに呼応して、一つ前の世代…即ち、適応新人類達も加わるだろう。そうなれば、戦火は避けられない。世界は再び混沌の時代となる…。オーステルンだって、必ず巻き込まれるぞ。」
ゼウスは頷いた。彼の顔は半分夜の影に隠れて、表情が読み取れない。
「ーーー分かっている………。正直言って俺もまだ悩んでいるし、何か良い考えがある訳でも無い。ーーーだが、俺は必ずやらなければならないんだ。」
真剣なゼウスの口調に、ポセイドンは顎をさすった。
「……ふぅむ。なるほどなぁ。ま、俺個人としては、お前を全面的に応援するぜ??アステールの解放は、アンタ等とイースターのお陰なんだからな。力が欲しい時は何でも言ってくれよ!?」
そう言って肩を叩いてくるポセイドン。ゼウスは小さく微笑んだ。…ダンディな笑みが浮かぶ。
「ああ…ありがとな。でも、アステールの事を第一に考えてくれ。万が一の事で、この街を失いたくは無い。」
「ハハッ。…お前もオーステルンを粗末に扱うなよ??命を乗せてんだ……変な真似して、無意味に人死なんて出すんじゃ無いぞ…絶対にな。」
「もちろん。」
ポセイドンの眼差しを受け止めて、ゼウスは頷いた。…そして2人はまた話し出す。
ーーーーーー必ず訪れる、未来の話を。
◇◆◇
[ 12月 30日 AM7:13 ]
ーーー〈獣神祭2日目〉ーーー
……握られて、触れ合う掌から熱が伝わってくる。……思ったより、柔らかくて心地いい暖かさがーーーーーー
ーーーーーーグラリ……
突然、視界が揺らいだ。お祭りの灯りが消えていく。……周りが、暗闇に包まれていく………。
気がつくと、自分は真っ暗になった空間の前に1人立っていた。
何が起きた?ココは何処?…と思う間も無く、自分の前に『彼』が現れた。何故かその姿を見ただけでホッとしてくる。
足元には柔らかな地面の感触。見渡せば、光の欠片があちこちに散りばめられている。……真っ暗だと思っていた場所は、どうやら夜空の中の様だ。
(霧の森だ。……いつも私が星を見る…あの場所。)
さぁっ…と流れ星が夜空を幾つも横切った。
(あ、流れ星…!)
……そういえば、『彼』が前に流れ星を見たいって、言ってた気がする。
私は空を流れる星を指差しながら、隣にいる筈の彼に話しかけた。
『…ほら、見て。流れ星だよ?…貴方が見たいって言ってた…………。』
…そう話しかけながら彼の方を見た時、そこに彼は居なかった。ーーーーーー代わりに、思い出したくも無い無機質な白い廊下が、其処には有った。
『…ッ!!』
…廊下の奥から、声が聞こえてくる。小さい頃、何百何千と聞いた彼等の声が。
ーーー彼女は凄まじいぞーーー全ての数値が、基準を大きくーーー即ち、理論上どんな負荷にも耐えれるという事ーーー新人類の完成形かーーーワシはあの実験が………
ーーーやぁ、おはようNO.5989。今日はね…ーーーセラムを…消す???ーーーまだ不安定だが、彼女が成熟すれば………
ーーー神だよ。神ーーーヒトの域を超えてーーー連邦の最高傑作にーーーーーー
『いやッ………』
……聞きたく無い。そう思って、耳を閉ざした。ーーーその時、頭の中に微かな歌が響いて…………
「………はっ!」
ネオは小さく息を呑む様にして、ベットから身を起こした。
朝日の差し込む来客用寝室の中に、自分の少々荒くなった呼吸音が響く。
「…小さい頃の…夢。……最近見てなかったのに…。」
そう呟いて、ネオはパタリとベットに倒れ込んだ。…仰向けになったまま、ため息を1つ吐いた。
「………ちょっと疲れたのかな…?」
片手を天井に翳し、手のひらをジッと見詰めながらネオは呟く。
ーーー昨日は結局、中心街から帰って来れたのが日付が変わってからだった。…それで疲れたのかもしれない。だから、あんな夢を見たのだろう。
「結局……彼の事、何も分からなかった。…自分の気持ちも…何も。『好き』の意味さえ……。」
独り言の様にネオは呟いて手をストンと降ろすと、ベットの上で暫く寝そべったまま思いを巡らせていた。
(………分からない。好きって何?ーーー昨日、彼と一緒に獣神祭に行って、何か分かるかと思っていたのに…。好きってなんなの?昨日は楽しかった。…思ってたより、ずっと。ーーーでも、それが好きって事?…一緒にいて楽しいってのが、好きって事?…なんか違う。他の皆んなと一緒に居ても楽しかった。……もっと、『コレが好きって事なんだ』って分かる様なハッキリとした答えが、手に入ると思ってたけど……。)
…考えても良い答えは出ず、もやもやとした気分だけが募る。
ーーーチュン、チュン……。
近くから鳥の囀りが聞こえて来た。軽快な囀りを聞いていると、何だかモヤモヤしているのが馬鹿らしくなって来て、ネオは今度こそ起き上がった。
「……良いや。獣神祭は年明けまである。直ぐに答えを出す必要なんて無い。……そうだよね。」
そう自分に問い掛ける様に呟いたネオは、取り敢えずいつもの服に着替えようと、部屋のクローゼットに向かうのだった。
話進んでんのかコレ?
今後の予定としては次回、次次回で30日の話を終わらせて、次々次回で31日の話に入るのが理想。早ければ尚良い。
私は恋愛経験無いんで、今のネオのアレコレはマジでわかんない。……でもリバースに繋がる話だから!ちゃんと答えは用意してあるから!…これに関してはノープランじゃ無いからね!マジでだよ!