色々あって、今後更新頻度が下がる可能性がある……かも。
ゴメンネ。
◇◆◇
12月 30日 AM 10:40
「おおーーーい!!パンドラ〜?!居るーーーー?!」
ノアの声が雑踏に響く。……答えは返って来ない。
「…居ないなぁ。思ったより遠くに行っちゃったのか…?」
「そうかもしれないわね…。足の速い事。」
隣の女性ーーーオペコの返事に、ノアは頬を少し掻いた。
「弱ったな…。パレードがそろそろ始まるってのに。」
生配信のコメント達も、パンドラについて何やら騒いでいる様だ。
ーーー迷子の子供探してる気分だわ ーーー実際そう。 ーーーマジで人多い! ーーーそこらの街とは違うな。 ーーー画面越しに人酔いして来た…… ーーー実際子供だからなぁ……。 ーーーオペコとノアの子供がパンちゃん概念は有り。 ーーーいきなり如何した。 ーーー悪りぃ、パンちゃんは俺の子なんだわ ーーーおっと、パンちゃんは皆の子だゾ。
ーーーそれはそれで、闇深く無い??
…騒いでいる内容をチラッと見たオペコが、ノアが手に持つカメラの前に指を突き出して口を開く。
「はいはい、アンタ達??そんな所でパンドラの醜い親権争いしてないで、一緒に探してくださいね??…その為にカメラを全天機能にしたんだから。」
全天機能とは、ノアの持つカメラに付いている、周辺の景色を同時に映す機能である。ーーー彼の持つカメラが丸っこいドローンみたいな形をしているのは、この機能によって周囲360°を映し出す為なのだ。…コレにより、前を見ながら後ろの映像も撮れる…と言う寸法である。
コレに映し出されている映像をノアと共有しながら、視聴者達も画面の範囲内で、パンドラを探しているのだがーーーーーー
ーーーうっす ーーーでもほぼ何も見えねー… ーーー人しかいない。 ーーー何の成果も!!上げられません!! ーーーこれ見てると、まだ世界は人類で溢れてんな〜、ってなる。 ーーーでもそろそろ世界総人口が、10億を切るらしいゾ。 ーーーまじか、もう終わりだなこの世界 ーーーその通りで笑えない ーーーパンドラちゃーん!どこー?? ーーー居たら直ぐ分かるよね。だいぶと目立つもん。 ーーー出生率がエグいぐらい低いからね。 ーーー終末時計も振り切れたしな……
流れるコメントが示す通り、パンドラは中々見つからなかった。ーーーそして如何やら探し回っている内に、中心街の方にやって来たらしい。
「…此処は中心街か。ーーーうーん、こんな所まで行くモノなのかなぁ???」
呟くノア。
その時、オペコが人混みの中に揺れ動く長いリボンを、見つけた様だ。
……誰かと話をしている様にも見える。
「あ。居たわよノア!ーーーーーーおーーい!パンドラーーー!!」
オペコは、少し遠くの方で跳ねるリボン目掛け、声を上げる。その声が届いたのか、リボンがふわりと動いたーーーーーー
◇◆◇
「ーーーーーーおーーい!パンドラーーー!!」
射的屋の前に居るニュウ達の耳に、誰かが誰かを呼ぶ声が聞こえて来た。……目の前の景品まみれの少女が、ピクリと動く。ーーーまるでウサギの耳の様に、頭に付いた大きなリボンがピクンと跳ねた。
「あ、ノア〜!ーーーこっちドラ〜〜!!こっちこっちぃ〜!」
その場でぴょんぴょん飛び跳ねて、両手を振る少女。
「…ノア?」「えぇ!ーーーノア!?」
…ネオとアミダが『ノア』と言う単語に、何やら反応を示した様だ。
ニュウが声のした方を見ると、通りの方から2人組がこちらに向かって来ているのが見えた。
1人は男性で、金色の髪と青色がメインの服装に身を包み、手には一台のカメラを持っている。
隣にいるのは薄紫の髪の女性。ーーーコチラを見て、ため息を吐くかの様に、肩を撫で下ろした様だ。
「ん…?誰…?」ーーーニュウの呟きに、アミダが肩を軽く叩きながら、ちょっと興奮した様に口を開いた。
「ちょ、ニュウ君は知らないの?!ーーーノアだよ、ノア!すっごい有名な動画投稿者なんだよ?!」
首を傾げるニュウ。
「はぇ〜……動画サイトとか見ないから、あんまり分かんないです…。」
「そうなの??…ま、私もたまに目にする程度だけどさ。ーーーでも、新人類で知らない人はほぼ居ない…みたいな人なのに〜!」
ーーーそんな事を言われて、ペシペシと肩を叩かれる。……兎も角、なにやら有名な人っぽい。
そんな
「待ってたドラ〜〜。…配信の挨拶はもう終わったの??」
純粋かつ無邪気な笑顔で放たれたその言葉を聞いて、ノアがガクッと姿勢を崩した。
「……いや、もうとっくに終わって君を探してたんだよパンドラ。…迷子になったかと思ったよ。ーーーいや、なってたんだけどさ。」
「ドラ??」
首を傾げるパンドラ。
配信のコメント欄も、安堵のコメで埋まる。
ーーー可愛い ーーーかわいい ーーー草 ーーー絶対、自分をみんなが探してたって自覚無いでしょ() ーーー見つかってよかった…… ーーー人攫いとかも居るしな。 ーーー何も分かってなさそう() ーーー荷物の量えぐ無い?なんか爆買いした??
ーーーま、大事に成らんで良かった。 ーーーてか、隣の人達なんか見た事あるぞ。 ーーーほんまや。 ーーー??
そのコメントをチラリと見たオペコが、パンドラの隣のニュウ達に目を向けて、少し驚いた様に口を開けた。
「ん?ーーーあれ?!……まさか、貴方達って…〈イースター〉!?」
アミダが、『お。』と言った感じに片眉を上げて答える。
「その通りでーす!ーーー其方はノアさんですよね?!」
グイッと来たアミダに、ノアがちょっと驚きながら頷く。
「わ?ーーーう、うん。そうだよ。君は…イースターの…アミダさん…かな??」
アミダはニッと笑って頷いた。
「おお!その通り、その通りです!!有名人に名前を知って貰ってるなんて、感激!!」
…なんか嬉しそうだ。(何時もの事かもしれないが。)
そんなアミダを見て、ノアは小さく笑う。
「ふふふ…。名前なら知ってるよ…何せ、〈イースター〉の名は広く知れ渡っているからね。」
コメント欄も、イースターの話題を出して来た様だ。
ーーーやっぱりイースターだったーーー!! ーーーおー、イースターじゃん! ーーー最強の反社さんオッスオッス。 ーーーアステールを解放した団体だよね?? ーーーそそ。
ーーーそんなコメント内の会話などいざ知らず、ノアとアミダ達は話を続けていく。…と言っても、今出会ったばかりの仲だ。話すこと自体はあまり無い。
「…あ、もしかして今、配信してます??」
そんなアミダの問いに、頷くノア。
「うん。パレードの様子を撮ろうと思って。ーーーあ、折角なら何かどうぞ?……言いたい事とか有ればだけど。」
そんな声と共に差し出された、丸っこいカメラに向かってアミダは笑い掛けながら、口を開いた。
「如何も〜〜!!〈イースター〉のアミダでーーす!特に言う事ないけど、おっはよ〜!皆んな見ってる〜〜??」
そう言って、カメラの前で手を振る彼女。
ーーー見てる〜 ーーーおはよーー ーーー笑い顔可愛い ーーーこんな人だったんだアミダって。 ーーー只のキャラ崩壊だゾ ーーーてか、言う事ないんかい?! ーーー若くない?? ーーーJKや…幻の生物じやなかったんや…!! ーーーこんな可愛い子が、最強の反社とか世も末だな。 ーーーノリいいな……
そこそこの盛り上がりをコメント欄が見せた所で、オペコがパンドラの肩をガシッと掴んだ。
「どらら…??」
はて?ーーと言った感じの顔で、自分の顔を見上げるパンドラに、オペコはやんわりと話し出す。
「ーーーさてと…パンドラ??ーーーこの周りにある荷物の量は、何なのかしら???」
パンドラの顔が明るくなった。
「これドラか〜??ーーー射的の景品ドラ!!…コレ、全部私が取ったドラ!!」
オペコが『嘘でしょ…。』みたいな目で、パンドラの周りに積まれた品々を見る。
ーーー全部?!?! ーーーすげぇwwwww ーーー射的屋潰れる()ーーー射的屋開ける() ーーーそう言えば、パンちゃんは射撃得意だったわ ーーー運の無い射的屋さんよ……。 ーーー如何やったんだ……??
「ーーーはぁ。こんなに沢山持ち運べないでしょ??…如何しよっか。」
溜息混じりに呟いたオペコに、射的屋の店主(まだ顔がちょっと青い)が話しかけた。
「も、もし良かったら、あっしの店で預かっておきましょうか??…この量の景品を、一度に取られたことなんて無いんで特別やけども。」
ノアが申し訳なさそうに頭を下げた。
「……では、お願い出来ますか??ーーーウチのパンドラが、ごめんなさい。迷惑じゃなきゃ良いんだけど……。」
店主が首を振る。
「いやいや、ええで。ーーーーーーてか、初めてやわ。景品取って謝られたの。」
そう呆れた様に呟いた店主は、パンドラの周りの景品を片付け始めたのだった。
「ーーーさてと。パンドラもどうにか見つけれたし、そろそろ広場に向かった方が良いかもしれないね。……行こう2人とも。」
そうノアが時間を見ながらパンドラとオペコに話しかける。頷く2人。
「OKどら〜!ーーーじゃあね〜、〈イースター〉の皆んな〜〜!!」
「ん、良いわよ。行きましょうか。ーーーでは、失礼しますね。」
3人組は、ニュウ達に軽く頭を下げると、中心街の広場ーーーパレードの行われる場所へ、駆けて行った。
「…あ、行っちゃった。」
アミダが彼らの去って行った方を見て、小さく呟いた。
「ーーーてか、俺達もそろそろ行ったほうがいいのでは?」
ニュウの声に、頷く3人。……ん?3人?ーーー自分入れて5人の筈じゃ……。
「あれ?アルセーヌさん…居ない??」
「居るわよ。…隠れただけ。」
ニュウがふと、アルセーヌの不在に気付いて呟いた時、彼の横の景色が揺らいで、アルセーヌが姿を現した。…昨日の夜、屋根の上で見せた透明化を使っていたらしい。
「わ!びっくりしたぁ……。ーーー居たんですか?…てか、何で透明に??」
ニュウの問いに、アルセーヌは小さく肩を竦めた。
「ーーー私がイースターの一員である事は、世界には知られたく無いのよね……知られたら面倒だもの。」
「面倒…とは??」
「ただでさえ、怪盗である私を捕まえようとする輩が多いのに、連邦軍まで加わったら大変じゃない。夜も眠れなくなっちゃう。」
「なるほど。…それは確かに。」
「ーーーあくまでも、私は『密かな』一員だからね。…秘密に出来る内は、秘密にしときたいのよ。ーーーこんな人ごみの中に堂々と居る時点で、あんまり意味ないかもしれないけれど。……まぁ、この町で私がイースターだとバレても、問題は無いから良いんだけどね。連邦居ないし。」
そう言って、アルセーヌは広場に向かって歩き出す。ニュウ達もその後に続いて、広場目指し歩き出した。…周りを見てみれば、同じ様に沢山の人が広場に向かって歩き始めている。
ーーーコレは広場の密度が、えらい事になりそうだ…と、ニュウは思いながら人の流れに沿って歩いて行った…………
◇◆◇
ーーーーーーと、言う事でやって来たのは、〈アステール〉の中心地コリントス宮殿前の大広場。パレードの始まる場所だ。
「おーい!お前ら!!こっちだぞーー?!」
バサラの呼ぶ声に導かれる様に、人と人の間を抜けてニュウ達は何とか広場の最前列に辿り着いた。
「…ギリギリになってすいません。人の波に呑まれて。」
「ーーーおう。いいぞ良いぞ。…迷子にならなかったみたいで、良かったぜ。人の数が半端じゃねぇからな。」
あっけらかんと笑うバサラ。
「むぅ………。姫は大丈夫だろうか…。」
「…そんなに緊張しなくても良いですよ。アルスラーン??ーーーと言うか、何で貴女が緊張してるの???」
「…いや、それはそうなんだが…。心配でな……。」
「ハクビは自然体でしたよ。…だから、そんな落ち着かないライオンみたいに、ぐるぐる回るのはやめて下さい。…ね??」
隣でそう話しているのは、アルスラーンとアビス。アルスラーンはあまり落ち着けないご様子だ。
「今から始まるパレードって、どんな物何ですかね??」
ニュウは隣に立っているネオに話を振った。首を傾げる彼女。
「……分からない。去年の獣神祭は知らないし…。」
「あ、確かにそっか。ネオさんは知らないんでしたね。」
バサラが反対から口を挟む。
「去年とかには、こんなの無かったな。…今年から新たに始めたんだとよ。ーーーハクビに聞いたけど、街全体をぐるっと回って行くらしいぞ。……って言っても、アステールは広いからな。全てを回るわけじゃねぇが。」
「なるほど。……どっちにしろ、長い道のりですね。」
「そうだな。ーーーさ、11時だ。……始まるぞ。」
ーーーそんなバサラの声が合図であったかの様に、コリントス宮殿側から音楽が爆音で掛かってきた。
突然の大音量に、ニュウの隣のネオがビクッとする。ニュウ達も、同じ様に降り注いだ音圧に、一瞬飛ばされそうな気さえした。
「ッッ!?音デッーーー」
「よお!!!お前らぁぁぁ!!!ーーーノってるかぁぁぁぁぁッッッ!!!」
どーーーーーーーんッッッ(なんか凄いド派手なSE)
「「「うおおおおおおおおおおおおおおッッッッッッ!!!」」」
ニュウの驚きの声をかき消すように、中心街の広場全域に響き渡る様な、男の声が聞こえて来た。
ーーーそれと、その声に応える広場中の人々の大歓声も。
見ると、コリントス宮殿の上…バルコニーの様になっている所に、1人の壮年の男性がマイク片手に立って、叫んでいる。
「…誰だ??」
「ポセイドンだな。…アステールのトップだ。ーーー話した事は一回しかねぇが、面白いおっさんだぞ。」
ニュウの疑問に、そうバサラが答えた。
「ああ…。ーーーあの人がポセイドン……。」
コリントス宮殿の説明の時に、ネオがその名を出していた事を思い出しつつ、ニュウはバルコニーから叫ぶポセイドンの話に、耳を傾ける。
「ーーーOK、OK!!ノってる様で何よりだ!」
バルコニーの柵に片足を乗せて、ポセイドンは叫ぶ様に話を続ける。その声は、広場のあちこちにセットされているスピーカーから、響き渡っていた。
「ーーーーーー今年も、もう終わりだなお前ら!!この年は色々あった。『新人類優生思想事件』から始まり、〈イースター〉によるアステールの解放、最近だと〈上位種〉が現れたのも記憶に新しい!!…正直言って、今年は密度が濃かったぞ。」
ポセイドンがそう言って笑う。群衆の中にも、頷いている人達は多かった。
「ーーーま、つー事でな?!今年からこの街は、新人類の街となった訳だ!!…コレは連邦に対する新人類の勝利…初の勝利と言えるだろう!!今回の獣神祭は、それを祝い!記念する日でもある!ーーーーーーだからよ!今回だけは細かい事など気にするな!!…ノリが縦だろうが、横だろうが、関係ねぇ!!ーーーーブチ上がれアステェェェェルッッッ!!!」
どどーーーーーーーーんッッッッッッ!!(派手さに拍車が掛かったSE)
『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!』』』
ーーー凄まじい盛り上がりを見せる広場。誇張抜きで、周りの空気がビリビリしているのを、ニュウは肌で感じた。
そして、ポセイドンの演説(?)の後に、遂にパレードが始まったーーーーーー………
アステールの中では盛り上がってますけど、小説の1話として見るなら、スッゲェ盛り上がりに欠けた話になってしまった。
…実はこの話、長くなり過ぎて途中でぶった斬ったんですよ。ーーーだから、区切りが変。
…続きはなるべく早く上げたい…アゲタイネ……。