モンスターストライク 〜星ノ呼ビ聲〜   作:犬社長

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ごめんなさい。(初手謝罪)


 今回の話なんですけど。ーーーネオの話じゃなくて、街の異変に巻き込まれた人々の話になっちゃいました。

 ネオの話は次回に持ち越しです。…本当はこの話で全部やろうと思ったんだけども……やはりと言うか、長くなり過ぎたので分けます。

ゴメンネ。


61話 〈混乱〜Chaos〜〉

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

時刻ーーーAM5:50

 

 

 

 

 

『ウォォォォォンッッ!!!』

 

ーーー咆哮と共に、蛇型ノーマンが突進して来る。

 

…避けようとしたバサラだったが、不意に足元が青く光って足の動きが鈍る。

 

「ーーー減速ッ?!」

 

 

ズドンッッ!!!

 

 

 バサラの体が、ノーマンの突進を受けて吹っ飛んだ。

 

 道端のお店ーーー大きな家電量販店だろうか?ーーーの中に、ガラスを破りながら突っ込むバサラ。

 

ガシャアン!!ーーーと大きな音が響く。

 

「ってぇ……そうだったな…四ツ星級は、アビリティ使うんだったなぁ…。」

 

 ガラスの破片を払い落としながら、起き上がるバサラ。

 

 一方のノーマンは、その身体の大きさが災いして、店の中に入ってこれないらしい。

 

 

ーーーが、ならば外から壊してしまおう、と言わんばかりにノーマンが顔(ーーーに当たる部分。)を、店の中に突っ込んでレーザー光線を放って来た。

 

「うおっっ?!」

 

 放たれたレーザーを回避しつつ、横に走るバサラ。ーーー広々とした家電量販店の中に置いてある、冷蔵庫やら洗濯機やらが、レーザービームに巻き込まれて爆発していく。……こんなご時世では貴重品なのに、勿体ない。

 

「ぐっ……。」

 

 バサラを追うように横薙ぎに払われるレーザー。バサラは何とか逃げ切って、ノーマンに飛ばされて入って来た場所とは別の所から、ガラスを割って外にーーー大通りへ逃げ出す。

 

 すぐにバサラが逃げた事を感知したノーマンが、蛇腹状の身体をくねらせながら、大通りを走るバサラに追いついて来た。

 

『ギュオオオオオンッ!!』

 

 大通りの街路樹を薙ぎ倒しながら、ノーマンが迫る。ーーーバサラは少し広い所…通りのスクランブル交差点へと、迫るノーマンを誘導していった。

 

「此処ぐらい広くないと…まともに戦えねぇ!!」

 

 交差点のど真ん中で、ノーマンと対峙する。…時間が時間だからか、車は1台も無い。

 

「…こいよ!」

 

ーーー向き合ったバサラが、そう啖呵を切った時だった。

 

 

 

『グ、グオォォォンッ?!?!』

「あ?」

 

 

 突然、ノーマンが苦しみ始めた。ーーー身体に走る赤い模様が、パッパッと激しく点滅を繰り返す。…そして、時折青い色に変わるのだ。

 

 

ーーーまるで、何かとリンクしているような………。

 

 

「……何だ…急に…。」

 

 

バサラが手を止めた時ーーー、

 

 

『ギュオオオオオンッッッ!!!!』

 

 

 頭の中の何かを振り切る様に吠えたノーマンが、彼に飛び掛かって来た。…もう、身体の模様は赤色に戻っている。

 

「うおっ!?ーーーなんだったんだよ、さっきの一瞬はよぉっ?!」

 

ギリギリで回避したバサラ。…刀を構えつつ、静かに呟く。

 

「…この街で、目に見えない()()が起きてんな…。ーーー全てが一つに繋がっていってるみたいだ…。」

 

 空を覆う光る根を見上げ、次にノーマンの方へ目を移し、彼は語りかけるように、青く変化した片目を瞬かせながら口を開いた。

 

「…俺たちは繋がり始めて来た……。ノーマン(お前ら)も、何かと繋がり始めてるのか…?」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

「た、助けてくれぇーーーー!!!」

 

叫ぶ声がする。

 

…走っているのは、裸足の男。ーーーその後ろには、彼を追いかけてレーザーを乱射するノーマン。

 

すでに周りは火の海で、男の足も限界だった。

 

「ひっ!!」

 

 遂に男は倒れ込んでしまう。ーーーノーマン(典型的な球体型だ。)が、その体に光を纏わせながら男に近付いて………

 

 

バキッッッ!!!

 

 

ーーー炎を突っ切って飛んで来たモノに、殴り飛ばされた。

 

「え、今度は何??」

 

ーーー男の前で、ノーマンを殴り飛ばしたソレは、溶ける様に消える。……分身弾だ。

 

「…大丈夫か?ーーー立って走れるか??」

「…あ、貴方はッ…!」

 

ーーー男の隣に、真紅の髪が現れた。…片手に大剣を持ち、分身弾で殴り飛ばされたノーマンを睨み付けている。

 

「ア、アルスラーンさんッ!?」

 

ーーー現れたのは、アルスラーンだった。…アステールに住む者なら、殆どは知っている人物である。

 

 更に彼女の後ろから、続々とアビスやハレルヤと言った、〈イースター〉の面々が姿を現した。

 

「…先ずは1人、助けられたね。」

ハレルヤが微かに緊張感を滲ませた声で呟く。

「ーーーでも、ノーマンの群れをどうにかしないと、被害が拡大する一方だよ!」

アミダがそう返す。アルスラーンが頷いた。

「あぁ。……我々で出来る限りの努力をしよう。街中に散らばったノーマンの群れを倒し、市民を守るんだ!!」

 

「「「了解!!!」」」

 

 

その場の全員が、一斉に動き始めた。

 

 アルスラーンは1人その場に残ると、ノーマンと対峙したまま後ろの男に話しかける。

 

「早く逃げたほうがいい。…相手は四ツ星だ。」

「は、はい…あ、ありがとうございますッ!」

 

 脱兎の如く、駆け出していく男。彼を見送ってから、アルスラーンは手に持つ大剣ーーースレイブエッジを掲げ、ノーマンと戦いを始めるのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

街の至る所で戦火が上がる。

 

 

ーーー逃げ惑う住民達。…中には戦おうとする者も居たが、殆どは戦いにならずに蹴散らされていた。

 

 この混乱を鎮めるべく、アステールが有する防衛軍ーーー所謂、自衛隊ーーーが、ノーマン相手に街のあちこちで戦いを繰り広げている。

 

 

ーーー銃声や、爆発音が街の至る所で発生していた。

 

 

「ーーー新年早々、トんだ出来事が起きちまったなぁ?叔父貴!」

 

…炎に包まれた街を見渡して、ケラウノスが口を開く。ソレを聞いたゼウスは深く頷いた。

 

「全くだ。ーーー厄年かも知れん。」

「…なら、厄は打ち祓わねばならんな。」

 

 隣に立つヌアザがそう言った。ーーーそして、彼は片手を天に掲げる。

 

「…幸いな事に、その力は我等に与えられている。ーーー行くぞ、クラウソラス!我に力を与えたまえ!」

「りょーかい。……死なない程度に頑張ってね、おっさん。…ま、ボクが死なせはしないけど。」

 

 ヌアザの隣に立つクラウソラスが、虹色に輝く自らのセラムキューブを展開し、二振りの剣を生成する。

 

 一本を自分が、もう一本をヌアザに渡したクラウソラスは、空を舞うノーマンを見上げて静かな笑みを浮かべた。

 

「ーーーボクはフィンディアスに眠りし王の剣、クラウソラス。如何なる者も逃しはしない、光輝の(つるぎ)。……さて、壊獣狩りと行こうか!!」

 

 七色に光る剣を掲げて、そう空に叫んだクラウソラス。ーーー横で聞いていた、ケラウノスがボソリと呟いた。

 

「……なぁ、決め台詞(それ)ってオレ等も言ったほうが良いか?」

肩を竦めたクラウソラス。

「ーーー好きにしなよ。」

ケラウノスは小さく笑った。

「ーーーんじゃまぁ…やるか。ーーーーーー叔父貴!!俺の力ぁ受け取りなっ!!」

 

ーーー彼が広げた掌に、薄緑に輝くセラムキューブが生まれる。

 

 やがてソレは、一本の雷の様な形に変化してゼウスの右手に収まった。

 

 ソレを握りしめるゼウス。ーーーバリッ!!と、辺りに青白い火花が散る。

 

「ーーー助かるぜ。ケラウノス……俺の頼れる雷霆。」

 

 手にある雷霆の感触を確かめながら、不敵な笑みを浮かべるゼウスに、ケラウノスは同じ笑みで返した。

 

「ーーーはっ!……俺の力を叔父貴が振るうんだ。死ぬんじゃねぇぞ。」

「お互いにな。」

 

…ニヤリと笑い合って、ケラウノスは全身に自らの『セラムの力』……即ち、雷の力を纏わせて口を開く。

 

「天地を砕き、カオスすら焼き払うゼウスの雷霆ーーーケラウノス此処にあり……ってな!ーーーちゃっちゃと終わらせちまおうぜ?!」

 

 クラウソラスに倣って、ケラウノスが決め台詞を結構ノリノリで吐く中、彼らの横にいるルーが、ブリューナクに手を差し出した。

 

「ーーーよっしゃ!……俺も続くぜ!!来い、ブリューナクッ!!」

 

ブリューナクが答える様に手を彼に翳す。

 

「了解!!ーーー全てを貴方にあげるよルー君!!」

 

ーーージャキィーーーンッッ!!…と、ブリューナクの手から飛び出した光の槍が、ルーの右手に収まった。

 

 彼女のセラムキューブが変化して生み出された長槍を振り回し、ルーは己の名を叫ぶ。

 

「…『長腕のルー』見ッ参ッ!!ーーー我が名にかけて、誰も逃さないぜッ!!」

 

ーーーブリューナクは彼の隣で、そっと控えめに構えた。…彼女の周りに光と共に、5本の煌めく槍の穂先が具現化すると、彼女とルーを包み込む様に回転し始める。

 

「…私はルーくんの槍、ブリューナク。……ルーくんの為にあり、ルーくんの為に振るわれ、ルーくんの為に輝く神槍。ーーー私の全ては、彼の為に。」

 

前を見据えて、ハッキリと言い放つブリューナク。

 

 

「………重っ。」

近くで聞いていたケラウノスが、小さく呟いた。

 

 

 

ーーーゼウス、ヌアザ、ルー。……彼ら3人は、実は新人類では無い。セラムに耐性など持たない、ただの旧人類だ。

 しかし、彼らの隣に立つ新人類にして()()()()ーーーケラウノス、クラウソラス、ブリューナクが、新人類としての力を3人に貸し与える事で、彼らは戦う事が出来る様になる。

 

「ーーーーーー良し!全員、準備出来たな?!」

「ああ。」

「おうっ!!」

 

 ゼウスの声に、全員が頷く。ーーーそして、混沌とした街に駆け出そうとした時だった。

 

「ーーーーーーちょっと待ったぁ!!俺も行くぜぇーッ!!」

 

 コリントス宮殿から、ポセイドンが猛ダッシュでやって来た。…自らのセラムの力で創り出した、三又の槍を片手でブンブンと振り回している。…やる気満々の様だ。

 

「ーーーやるべき事はやれたし、私も戦っちゃうよーー?!」

 

 隣には、寝巻きから着替えたトライデントが立っている。彼女の手には翠と蒼の双剣が握られていた。…此方も、やる気に満ちた顔付きで仁王立ちしている。

 

「おお。ポセイドン!ーーー防衛軍の方は大丈夫か?」

「あぁ、心配どうもだぜ、ゼウス。…防衛軍は取り敢えず、動かせる分だけ動かした。ーーー何故かハッキングされてる防衛システムだが、ウチの技術部がシステム復旧に動いてる。…だが、あまり期待しない方が良いかもな。」

「ーーーむ!そんなに強力なハッキングなのか?」

 

…ヌアザが話に入った。

 

「ーーーらしいな。……誰だか知らんが、やべえ真似をしてくれたもんだ。」

 

ポセイドンが答える。

 

ーーーそう。そもそも、ノーマンによって町中が混乱に陥った原因は、ノーマンが現れた時に真っ先に反応する筈の防衛システムが、謎のハッキングによって機能停止してしまったからである。

 

ーーー果たして、ハッキングの主は誰なのだろうか?………いや、今はそんな事を考えている場合では無い。先ずは目の前のやるべき事に、集中しなければ。

 

 

「とにかくぅー。システムが動かないなら、私たちが戦るしか無いって事!ーーー今マジやばい状況だけど、私達なら如何とでも出来ちゃう…そうだよね?!」

 

トライデントの声に、頷くケラウノス達。

 

「勿論さ!ボク、クラウソラスに敵は無し、だからね。」

「ああ。…ノーマン如き、俺の雷で一瞬でしばき倒してやる。」

「ーーーうん。大丈夫だよ。ルーくんと一緒なら、私達は最強。」

 

ーーー自分達の副官の頼もしげな声に、ゼウス達は苦笑いを交わす。

 

「…頼もしいこった。」

「ふっふっふ……。ああ、誇らしいよ。」

「ーーー良し…行くか。」

 

 それぞれの得物を構えた8人の前に、空から大量のノーマンが降って来る。

 

 

『フオオオオオオンッッ!!!』

『キュォォォォォォォオンッッッ!!』

『ウオオオオオオオオンッ!!!』

 

 

 咆哮を轟かせながら、此方に迫り来るノーマンの群れ。ーーーひしひしと感じる、圧倒的な殺意と破壊の意志。しかし、ゼウス達は怯まなかった。

 

 

 

ゼウスが雷霆を、

 

ヌアザが七色の剣を、

 

ルーがその神槍を、

 

ポセイドンが激流を纏った槍を掲げーーーーーーーー

 

 

 

「どけ。」

 

「ーーー消えろ。」

 

「邪魔だぁッ!!」

 

「星に還りな!壊獣共!」

 

 

ーーー壊獣の群れを、一網打尽に蹴散らしたーーーーーーー

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

「うおりゃあぁぁあぁぁあぁあぁぁ!!!」

 

 

 

 アミダの大きな掛け声と共に、光り輝く刃が振るわれて円盤型のノーマンの身体を真っ二つに斬り裂く。

 

 カーーーーンッ…と、爆発と共に爽快感のある撃破音が鳴り響いた。

 

『フォォオォォォォォォォォオンッ!!』

 

 倒しても倒しても、空に這う光る根から次々と生まれてくるノーマン達。

 

「…むー!何なのさ、あの根っこ!!…アレ自体がノーマンのスポナーみたいになってるっての?!」

 

 手に握りしめたインフィニティブレードを振りながら、空に向かって叫ぶアミダ。

 

 視線の先には、街の空を覆う光る根が映っている。

 

 

 キュインッッッ!!ーーーー空気を切る音がして、彼女の後ろから襲いかかって来たノーマンが、緑の矢に撃ち貫かれ爆散した。……いつの間にか、別のノーマンに背後を取られていたらしい。

 

 

「おっと。」

「気をつけてアミダちゃん!ーーー今は空を見上げてる暇ないよ?!」

 

 アミダの背後に迫っていたノーマンを、弓で撃ち抜いたキラリがそう叫んだ。

 

「…ありがと、助かった!」

 

 アミダはそう返して視線を前に戻す。ーーー舞い踊る炎の中、アミダとキラリはお互いの背中を守る様に、ノーマンと戦い続けるのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

一方、ハレルヤは、繁華街の市民を助けるべく走っていた。

 

 辺りには、散乱した建物の瓦礫。ーーーさまざまな商店が、所狭しと建ち並ぶ繁華街は、ノーマンの破壊の影響をよく受ける。

 

「ーーー前から来るわよ!」

 

 ハレルヤの隣、瓦礫の上を駆けていたアルセーヌが、そう叫んだ。

 

「…ッ!分かった!!」

 

 前方の瓦礫の山を吹き飛ばしながら飛び出して来た、エイみたいな形のノーマン。

 

 ハレルヤはその巨体目掛けて、両手を突き出し叫ぶ。

 

「穿てッ!!」

 

ーーーー手に装着されたガントレット(セラムキューブを変化させたモノだ。)から放たれた2本の青い光の奔流が、ノーマンの身体を貫いて爆発四散させた。

 

 カーーーーーーーンッ、と甲高い撃破音が空に響く。

 

「先ず一体ッ!!」

 

 そう叫んで、ノーマンが吹き飛ばした瓦礫の山の向こうへ足を踏み出すハレルヤ。後ろにアルセーヌも続く。

 

 

ーーーー繁華街は、酷い有様だった。

 

 

 倒壊した家屋。ーーーそのあちこちから火が出て、白む夜空に幾筋もの煙を靡かせている。

 

 空を覆うのは、光り輝く木の根の様な物。ーーーその向こうに樹のような〈星の花〉が、驚く程大きく見える。

 

 

…………正に、天変地異。

 

 

ーーーーそんな景色を背景に、無数のノーマンが空を飛んでいた。

 

「…何だよコレ…。本当に、何が起きてるんだよ……訳が分からないよ…。」

 

 街の至る所から木霊する戦闘音とノーマンの咆哮、そして人々の悲鳴に、ハレルヤは呆然となって呟いた。

 

 

 

ーーーコレは……コレは一体なんなんだ???

 

 

 

 

 

「危ないわよハレルヤッ!」

 

「ーーーえ?」

 

 

…ふと、耳に飛び込んだアルセーヌの声。ーーーー見上げると、一際大きなノーマンがハレルヤに向かって空から迫り来ていた。……まるで、体の真ん中に大きな目玉を付けたヒトデの様な姿をしている。

 

「ーーーッッ!(デカイ!?五ツ星級はあるんじゃないかッ?!)」

 

 

『キュォォォォォォォオンッッッ!!!!』

 

 

 ハレルヤの真上に陣取ったヒトデ型ノーマンーーー間違いなく五ツ星級の個体だーーーが、その体の中心にある瞳に、眩ゆい光を宿した。

 

 

次の瞬間ーーーー

 

 

 

ドキューーーーーーンッッッ!!!

 

 

 

 四ツ星級などと比較にならない程の特大レーザーが、五ツ星ノーマンから放たれ地面に大穴を穿つ。

 

「うわっ!?」

 

 地面を転がるハレルヤ。さらに、地面の爆発によって吹き飛ばされた周りの瓦礫が、ハレルヤに降りかかって来てーーーー

 

「ーーーーヒドゥン・イン・ザ・ダーク。」

 

ハレルヤの体が、紫の揺らめく光に包まれた。

 

「……コレは…?」

 

 驚くと同時に、降り注いだ瓦礫とレーザーの爆炎が、ハレルヤの体をすり抜けて行く。…まるで、ハレルヤなど居ないかのように…。

 

「ーーーーアルセーヌの力か!?」

「ええ。……便利でしょ?」

 

 セラムキューブを展開し、ハレルヤの隣に立つアルセーヌ。差し出された手をとって、ハレルヤは起き上がった。

 

「…攻撃のすり抜けとはね。…確かに便利な力だよ。」

「ま、常には展開出来ないから、そのつもりで居て欲しいわね。」

「ああ。…でも、頼もしいな。」

 

 言葉をサラッと交わし、空に浮かぶ五ツ星と相対する2人。そして、戦いが始まるーーーーーーーー。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

ーーーー戦っているのは、〈イースターや〉アステールの防衛軍だけでは無い。

 

 

 

「ノアッ!!…コッチに三体向かって来たわよッ!9時の方向!」

「分かった!オペコは先に行って!!…パンドラ頼む!」

「任せて、私が何とかするドラ〜〜!」

 

 

ーーーー爆発音。…そして、連鎖して鳴り響く撃破音。

 

 

……アステールの郊外寄りの地区、『ノクス通り』にて戦いが起きているようだ。

 

 戦っているのは、ノア達3人組。ーーー彼等は、ノクス通りの住人達の避難誘導をしつつ、迫り来るノーマンと対峙していた。

 

 

「うりゃあーーーーーー!!!」

 

 

ーーードドドドドドドドドド!!!

 

 

 掛け声と共に、パンドラが自らの〈セラムキューブ〉から、紫に光る弾丸をマシンガンか何かの様に乱射している。

 

 放たれた属性弾は、上空から迫り来るノーマンの群れを、次々と撃ち抜いては撃墜させていく。

 

「ーーーそっち行った!!」

「分かってる、ありがと!!」

 

 彼女が撃ち漏らしたものは、ノアとオペコが対処する。

 

「…それ以上…街の人達には近づけさせない!!」

 

 セラムキューブ変化体である羽衣の様な物を纏って空を駆けるノアが、両手にプラズマを宿してノーマンにインファイトを挑む。

 

『グオオンッ!!』

 

 球体型ノーマンが、体の後部に付いている触手をノアに伸ばすが、ノアはそれを回避、更に2本3本と続けて伸びて来た触手をすり抜ける様に避けつつ、最後に迫って来た4本目の触手を掌底で弾き飛ばし、プラズマを纏った右手で殴る。

 

『キュォォォォオン?!』

 

殴られたノーマンが吹っ飛んで大地に叩きつけられた。

 

 

ーーーそして、一拍置いてから爆発。…派手な爆炎と共に、ノーマンの体が星のセラムの残滓となって宙に舞う。

 

 

『『『ーーーーフォォオォォォォォォォォオン!!』』』

 

「…!!後ろか!」

 

 1体撃破したノアの背後から迫る新手のノーマン達。

 

 ノアは振り向きつつ、両手を前方に勢いよく振って五指を広げた。

 

 すると、広げた手から淡い青色をしたプラズマが線状に放出されて、背後のノーマン達に触れる。

 

 

ーーーーバリバリバリィッッッッッッ!!!!

 

 

 激しくショートする様な音と共に、ノーマン達がノアの手から伸びたプラズマの線に貫かれて黒焦げになった。

 

…ぶんっ、とノアが更に手を振ると、彼の五指から伸びるプラズマの線が、ぐわんと揺れて他のノーマン達を鞭の様に打ち据える。

 

『ギィッ?!』

『グオオンッ!?』

 

 プラズマが命中し、ダメージを受けて怯むノーマン達。ーーーープラズマを操るのはノアだけでは無い。

 

「こっちは私が!!」

 

ーーーーノアの相棒である、オペコもまたプラズマを使うのだ。

 

 ノアとは違い、彼女の手から放たれるプラズマの色は紫。

 

 彼女は、それを新体操のリボンの様に縦横無尽に振り回してノーマンを倒して行く。

 

 そんな彼等を殿にして、街の住民達は逃げていた。しかし、今は何処に逃げてもノーマンとの戦いの真っ只中。…アステール全体がそうなのだ。一体何処に逃げれば良いのだろうか??

 

「星の森へ!」

 

ーーー誰かが叫んだ。

 

「森に身を隠すんだ!!早くしろ!」

 

ーーー星の森、そこは2ヶ月前まで禁足地となっていた場所だ。理由は、『星のセラムの濃度が特に濃い』為なのだが、約2ヶ月前にケテルの1件があった時に森の3分の1が吹き飛び、だいぶと開けた場所になった。

 

 空気よりも重い性質を持つ星のセラムは、森が吹き飛んだ後に空いたケテルの地下世界(2章2節参照)の穴の中に溜まり、前ほど森全体のセラム濃度は低くなった。

 

ーーーー相変わらず星の森は禁足地のままだが、前よりかは出入りし易くなったと言える。

 

「森へ急げ!」

「街の方に逃げたって意味が無いぞ!」

 

 そう口々に叫んでは、森の方へ逃げていく市民達。ノア達もその流れに加わりつつ、迫るノーマン達と戦いを繰り広げていた。

 

 

「ーーーーん?…え??」

 

 

 ふと、ここでノアが何かに気付いた。…彼の視線の先、瓦礫と瓦礫の狭間に人が蹲っている。

 

ーーー怪我人かも知れない。…そう考えたノアは、蹲る人影に近付いた。ノーマンの群れは、一旦退いた様に思える。今のうちにせめて安全な場所に案内しようと思ったのだが………

 

 

「おぉ…ネオ様…ネオ様……なんという事だ…なんという事だぁ………。」

 

 

 聞こえて来たのは、そんな呟き。ノアは首を傾げつつも、蹲る人影ーーー男だーーーに手を差し出した。

 

「…??ーーーあの…大丈夫ですか??」

「…大丈夫な訳があるものか…!ーーーお主は感じんのか??ネオ様の御心を…!」

「……え??」

 

 突然の問いに、更に首を傾げたノア。男は青色に変色した片目ーーーズバリと言い切ってしまえば、ネオと同じ目ーーーから、止め処なく涙を流しながら震える様に呟いた。

 

 

「…コレはネオ様の心なのだ……我等とネオ様は、この空の下で繋がったのだ……そう…壊獣でさえも…!」

 

「????」

 

 彼は、霧の森の方をじっと見つめていた。ノアも釣られて霧の森の方を見る。

 

 よく見てみれば、空を覆う光の根は空全体を覆いつつも、緩やかに纏まって霧の森の方へ伸びている様にも見えた。

 

「ーーーーそれって…どう言う…。」

 

ノアを遮る様に、男は口を開いた。

 

「…ネオ様の御心は、いま闇の嵐の中に居られる…光のない、暗闇の中で叫んで居られる…!ーーーこの先にあるのは、破滅か?それとも、再生か??……我々は待つ事しか出来ぬ……。なんと…なんと酷い…!」

 

 そう言って、1人咽び泣く男。ノアはただ霧の森の方を見詰めていた。

 

 

 

 

 空を覆う光の根が収束する地ーーーーそこで今、一体何が起きていると言うのだろうか????

 

 

 

 







 この泣いてる男の人は、2章に登場したネオ信者の重課金オッサンです。

 あと友情コンボのプラズマは、もはや別物レベルの独自設定入ってます。

…鞭みたいに使ったり、手に纏わり付かせて殴ったり出来ます。あと、作中未披露ですが、色んな物にくっ付けたりも出来ます。

ーーーにしても、アステールで何が起きているのやら…。詳しい説明は、大分と後になるかもなぁ。……面倒なんで()


 次回はネオ視点の話です。ーーー結構初めの頃から温めてた展開だから、しっかりじっくり書かせてもらいますね。

…暫し待たれよ(*・ω・)ノ

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