〔モンストキュービックスターズ〕……やってますか?やってないでしょうね…。やってなくても良いんだけど、宣伝しときますネ。
\今ならネオ貰えます。/
…え?ガチャ引かないと手に入らないから、貰えるのは嘘じゃないかって??
ガチャ引いたら出るんだから、実質貰えるんだよ()
勿論私は貰いましたとも。…書いたら出る、はガチ。
74話〈開戦前Ⅰ〜より強きを求めて〜〉
◇◆◇
ーーーーーーー墨を流したように黒い夜空が見える。
…吹き付ける風。
そして甲板から私を見つめる、あの瞳。
……かつて何度も目にした、偽りとは言え確かに母親だった者の瞳だ。
コレは3日前の記憶ーーーータルタロスを襲撃した時の、カノンの記憶である。
「ーーーーあら……今のはマズそうね…。」
フェルシアはタルタロスの甲板で独りごちる。
……ついさっき、アビスがメインエンジンルームを爆破した事による衝撃が、タルタロス全体を揺らしたばかりだ。
フェルシアは、エンジンルームが爆破されたなんて知らなかったが、直感でタルタロスに訪れた危機を察知して見せたのだ。
ーーーーそして、甲板に警備兵の1人(ーーーフェルシアがカノンと戦いに行ったのを目撃した警備兵だ。)が慌ただしく出て来て、フェルシアに向かって叫ぶ。
「フェルシア様ッ!!…タルタロスの主機にトラブルが発生しました!!ーーーー間も無くこの船は墜落します!避難を!!」
彼の甲板の奥からの呼びかけに対して、フェルシアはかなり不機嫌そうに顔を歪めるのだった。
「……折角の所だったのに…水を差されたわね……。」
フェルシアが空に浮かぶハレルヤと、彼に抱えられたカノンに目を向ける。
「ーーーーしょうがないわ。……続きのお話はお預けね、カノン。」
ーーーーそう言って、踵を返すフェルシア。
「……お母様ーーーー
カノンは動こうとしたが、フェルシアの攻撃で負った傷が激しく痛んだ所為で動けなかった。
彼女を抱えているハレルヤが、そっと耳打ちする。
「…傷が酷い。動かない方がいいよ。」
「…でも、でも…私はッ……!」
カノンは尚も動こうとする。
……正直言って、悔しかった。ーーーー自分の力が、何一つ彼女に届かなかった。…全て無駄だった。
ソレを認め難くて、カノンはフェルシアを睨む。
その視線を感じたのか、フェルシアはタルタロスの中に消える際に、此方を振り向いた。そして、微かに微笑む。
「……そんなに怖い目をしないで頂戴、カノン。ーーーー今の貴女じゃ、幾らやっても私には届かないわ。……だって、貴女が持っている物は全て私が授けた物ですもの。貴女が自力で獲得した物は、何一つとして無い。ーーーー私の教えを守ってくれるのは嬉しいけど…基本に忠実なだけで、オリジナリティに欠けているわね。もっと応用を利かせなさい。コレはお母さんからのアドバイスよ??」
「……!!!」
彼女の言葉に固まったカノン。…呆然となったカノンの前で、フェルシアはタルタロスの中に去って行くのだったーーーーーーーー
◇◆◇
[1月6日 移動要塞都市オーステルン]
ーーーーーーオリンポスタワーから出て、移動用モノレールに揺られながら帰路に着く。
自分の隣には仲間たち。
顔を上げれば、車窓からオーステルンの乱雑な街並みと青空が映る。
「…………。」
空を見上げながら、カノンは3日前の事を思い出していた。…
……頭の中に『彼女』の声が木霊した。
『ーーーー貴女が自力で獲得した物は、何一つとして無い。』……と。
ソレを否定したかった。
……でも、ソレは事実だった。
何故ならカノンは最初から造られた存在。……自分の存在そのものが、他者から与えられた物。
ネオを真似たモノ…天使を真似たモノ。
模倣と模造で形作られた
ーーーー彼女を乗せたモノレールがスピードを落とす。そして、軽快なメロディーが流れ始めた。……そろそろ駅に着くのだ。
『ご乗車ありがとうございました。間も無くーーーーに到着いたします。お降りの際はーーーーーーー』
淡々とした車内放送の後、モノレールはゆっくりと駅のホームに滑り込む。
「ん、降りるぞ。」
「は〜い。」
そう言ってバサラたちが立ち上がった。ソレの後に続く様にカノンも立ち上がって、彼らの1番後ろを歩いて行く。
空は美しく晴れていたが、カノンは何時もと違う空気を感じ取っていた。
何というか…ピリピリしている。ーーーーきっと、グローリーの宣戦布告のニュースの所為だろう。…もう街の皆んなは、戦争の訪れを知った筈だ。
ーーーーゼウス艦長の言っていた通り、既に新人類の街〈アステール〉や、ココと同じ超弩級移動要塞都市である〈フィンディアス〉と〈トーリー〉へ避難しようとしている人達も居た。
オーステルンの自警団が、避難する為に動く人達を誘導している。
ビルの隙間から、空に舞って行く『輸送機』を何度かカノンは見た。……これから避難先へ向かうのだろう。
(始まるんだ……戦いが…。)
カノンはグッと手を握り締めた。……また悔しさが胸に湧いて来る。
(私が戦うって言ったのに……何一つ通用しなかった……。)
今度こそ、とカノンは思っていた。ーーーーしかし勝つ為には、自分を変えないといけない。このままでは、確かにフェルシアには勝てないのだ。
(ーーーー与えられた力だけじゃ無い……自分の力を…手に入れないと…。)
焦りと悔しさの中で、そうカノンは誓うのだった。
◇◆◇
ーーーー宣戦布告から2日経った。
…まだグローリーからの動きは無い。
ゼウス達〈中枢〉のメンバーは、住民の避難を急がせると共に、必ず発生するであろう戦闘の為の準備を整えていた。
「ーーーーなぁ、ケラウノス。グローリーはどう来ると思う?」
艦長室に座り込むゼウスの問い掛けに、ケラウノスは軽く首を傾げながら答える。
「ーーーん〜、まぁ、向こう1週間はまだ戦いは起きない筈だぜ、ゼウスの叔父貴。ーーーー相手にだって、戦闘の準備があるだろうしな。…ソレに、グローリーとオーステルンは位置的にかなり離れてる筈。例え直ぐにグローリーが航空戦力を送り込もうとしても、時間が結構かかる筈だ。俺たちは軍事衛星を持ってる訳じゃ無いから、確証は無いが…な。」
ゼウスはため息を吐いた。
「軍事衛星…か。ウチもそっち系のエンジニア雇って、打ち上げとけば良かったな。そっち系にギリ詳しいのはサテライトお嬢ちゃん位か……。」
「ーーー連邦だって、今使ってるのは大災害前の年代物さ叔父貴。…宇宙開発系は、大災害時に全部中断しちまったからな。……今はロケット打てる場所も資源も無いし、エンジニアなんて要らねぇよ。」
「そうか?」
「そうさ。…それよりも、だ。」
ケラウノスは話題を変えた。
「ーーーーコッチも準備を整えないとな、叔父貴。……今まで使ったことの無い兵器類の点検に、兵力の準備………正直、グローリーに比べれば俺達の戦力は低いからな。差を埋める為にも、やるべき事は多いぜ?」
ゼウスは重々しく頷いた。
「あぁ。今こそ、この都市に嘗ての名を甦らせる時だ。ーーーー超弩級移動要塞都市のアンチボディとして建造された要塞都市……〈クロノス〉の名を。」
ーーーー〈移動要塞都市制圧用移動要塞 クロノス〉ーーーーかつて、連邦政府がゼウス率いる[オリンポスコーポレーション]に造らせた移動要塞であり、連邦が最初に建造した4機の移動要塞の4番目である。
完成すれば、人類史上最強の兵器になる筈だったが、先述の通り〈ティタノマキア事変〉でゼウスが連邦を裏切って、未完成の〈クロノス〉を奪取。その後、オーステルンに改名改良され今に至る。
ゼウス達は〈クロノス〉の性能に、少なく無い期待を寄せていた。
オーステルンは、グローリーに比べると戦力的に劣っている。しかし、〈クロノス〉としての力を解放すれば、その戦力差を覆す事が出来るーーーーそんな期待を寄せていたのである。
かくして、戦争の準備は始まった。……その火蓋が切って落とされる日まで、あと少しーーーーーーーー
◇◆◇
ーーーーーーー此処は、オーステルンの外縁に位置する軍事基地。
普段は都市の迎撃システムを管理する場所なのだが、今日は少し違った目的の為に使われていた。
「ーーーーうわぁ……凄いねコレ……物理法則とか如何なってるんだろ…??」
ーーーー軍事基地の一角、武器訓練用の広場にサテライトの唖然とした声が響く。
広場に居るのはサテライトとネオ、そしてもう1人ーーーーーーー
「…万物の創造に近しい能力…とても美しい……。ーーーーやはりこの目で見るのが1番ね…。」
儚さを感じる女性の声と共に、ふんわりとした白髪が揺れる。サテライトの隣で、宙に浮いたキーボードを叩く彼女の名前は、『アフラ・マズダー』。
サテライトと同じ〈中枢〉の一員だが、あくまでも一介の職員である彼女とは違い、〈幹部クラス〉の人物である。……見た目は如何見ても、サテライトと同じ歳に見えるが。
そしてそんな2人に見つめられながら、ネオは広場に佇んでいた。
……彼女の周りには、大小様々な物品が散らばっている。
どれもこれも全て、彼女が《物質再構築能力》で創り出した物だ。
ネオは、来たるべき〈グローリー〉とのーーーーーー引いては連邦との戦いに備えるべく、サテライトと中枢の研究チームに頼んで、自らの能力をテストして貰っていた。
ソレは恰も、嘗て連邦に囚われていた時代を思い起こさせる様だったが、あの時と違うのは彼女の方から望んだと言う事だろう。
ーーーー自らが大切だと思い、守りたいと願う人の為に、彼女は自らの力《リバースモード》を、使いこなそうとしているのだ。
「ふむふむ。取り敢えず今分かっている事はーーーーーーー」
アフラマズダーが、ホログラムのディスプレイに目を落としながら口を開く。
「ーーーーネオの物質再構築能力は、
そう言って、アフラマズダーは近くに置いてあったパソコン(これはネオが再構築で創り出したモノだ。)の電源スイッチを押す。
ーーーーーしかし、何も起こらない。画面は真っ暗なままだ。
「うん。やはりね。……パソコンの形は知っていても、内部構造を理解している訳では無いから、スイッチを押しても起動しない。…一方で、剣や矛みたいに構造が単純なモノなら、実用的に作れるーーーーと。」
そう言って、彼女はネオの周りに突き刺さっている武器類に目をやった。
「…ただ不思議な事に、
サテライトが口を挟んだ。
「セラムキューブが再構築時に微小な空間変動を見せているし、もしかしてセラムキューブが繋がっているとされる高次元領域から、足りない分を補充しているのかも…?」
「…〈
「だとするなら再構築には対象が絶対要るって言う、さっきの考えを変える必要があるかも知れないですね、マズダー先輩。」
「その様だね。例えばーーーー」
「なるほどーーーー」
2人が額を突き合わせて議論している間、ネオは自らが創り出した品々の上で、一息ついていた。
手元に浮かぶセラムキューブがキラリと光る。
目を閉じれば、トク…トク…と、静かな心音のような音が、頭の中に響いてきた。……コレは最近になって聞こえてきた音だ。
コレは誰にも言っていないが、何の音なのか何となくネオは察していた。
(多分……コレはニュウくんの鼓動なんだと思う。ーーーー自分のセラムキューブの一部が、彼の心臓の代わりになってるから……。)
心臓の音。……最も原始的な自らの存在証明。ーーーーネオにとってソレは、彼が生きていると言う事の証拠だった。自らの手で
ーーーー脳裏に、斃れた彼の姿が過ぎる。自分の頬に当てられた手が、徐々に力を失っていく感覚が甦る。
『行かないで』ーーーーと、縋り付いた時の事を思い出して、ネオは強く目を瞑った。
(もう2度と……彼を傷付けさせはしない。もう、何処にも行かせない。彼は私を守るって言ってくれたけど、私も彼を守りたい…。その為にーーーーーーー)
右手を左手で包むように握る。ーーーータルタロスが地に墜ちたあの日、彼が伸ばした手を掴んだ右手。
まだそこに、彼の手があるかの様にネオは右手を握り締め、閉じた目を開く。……その蒼い瞳に、強い光が宿った。
◇◆◇
一方、場所は変わって〔オーステルン外縁
ーーーーオーステルンの一角に、横付けする様に停泊している
彼女と向かい合っているのは、この城の主人アルセーヌ。彼女の座る椅子の肘掛けに留まっているのは、カラスのヘンドリックス4世だ。
部屋の中には、微かに緊張した空気が漂っている。
「ーーーーーーーーつまり…?自分だけの力を身につける為の、練習相手になって欲しい………そう言う事かしら?」
椅子に座ったままのアルセーヌの問いに、カノンは頷いた。
「そう。……今の私では…お母様を越えられないから。」
「……一朝一夕で力は身につくモノじゃないわよ、カノン。特に、新しい力を望むのなら尚更ね。」
アルセーヌの若干嗜める様な声に、カノンは頷きつつも口を開いた。
「ーーーーそれでも、何か掴めるかも知れない…。何もせずに終わるのだけは、絶対に嫌。……お願い。貴女の力と知恵を…貸して下さい。」
…最後の方は、もはや懇願だった。
アルセーヌは少し目を伏せる。ヘンドリックス4世が、どうすんの?ーーーと言わんばかりに、アルセーヌの顔を覗き見た。
……暫しの沈黙の後、彼女は口を開いた。
「そう。……なら、手伝いましょうかね。ーーーー私に出来ることがあれば、何でもするわ。……ま、やる事は貴女の中では決まってるみたいだけど。」
「……!!ありがとう。」
カノンは微かに顔を綻ばせる。そして直ぐに真剣な眼差しに戻ると、翠に光るオーバル型のセラムキューブを展開した。
「ーーーーーーーーじゃあ、早速だけど、行く…ね。」
「ガァ!ガァ!!」
カノンの行動から、次に起こる展開を理解したヘンドリックス4世が、鳴きながら椅子から羽ばたいていく。
そしてアルセーヌは椅子から立ち上がり、その手の内に闇色のキューブを顕現させた。
「ーーーー全力を希望かしら…?」
「ーーーーそうでなきゃ、鍛錬の意味が無い。」
向き合う両者。
部屋に張り詰めた空気が満ちていきーーーーーーーー
ーーーーーーーー弾けた。
ーーーー作中のキャラは、作者より賢くなれないーーーー
……もうちょっと賢くなっときゃ良かった。