ちょっと書き終えるまで長く掛かった…。難産難産。
コ○グ「もう疲れちゃってェ…途中筆が全然進まなくってェ…。」
あと前回、遂にカノンとフェルシアの戦いが始まった!……みたいな感じで終わりましたけど、今回の話にはカノン出てこないです。
\すマーン!!/(デビルマン風)
◇◆◇
[グローリー大聖堂 五階 懺悔室前廊下]
カノンが扉の奥に行ったのを見送ってから、ニュウはそっと踵を返した。
……扉の向こうは、まだ静かだった。少なくとも、いきなり戦いが始まった訳では無いらしい。
ニュウは歩き出す。…一先ず、大聖堂周辺の安全を確保するつもりだった。ネオ達は最新型との戦いが終われば、大聖堂に向かうだろう。
大聖堂周辺には、まだアナテマシリーズと軍隊が居る。ネオ達に先立ってソレ等を排除し、安全な行軍を助けるつもりだった。
「ーーーーとは言っても…カノンさん大丈夫かな…。」
油断なく銃を構えたまま、ニュウは独りごちる。
カノンがフェルシアに勝つ為に、ネオ達の助けを受けながら特訓的なコトをしていたのは、勿論知っている。…実際に立ち会ったこともある事だし。
しかし、カノンは『何か』を掴みかけたものの、それが形と成って実る前にグローリーとの戦いが始まってしまった。
……ハレルヤ曰く、『フェルシアはカノンの全てを知り尽くしている。このまま立ち向かっても、前の二の舞になるかもしれない。』ーーーーとの事だ。
ニュウもカノンの意志ーーーー自分の犯した罪の精算の為に、一人で戦うーーーーと言う意志を汲んではいる。しかし、やっぱり加勢した方が良いのでは……とも、思ってしまうのだ。
(直ぐには自分を変えられない。…それはカノンさんも分かってた事……。せめて、掴みかけた『何か』がしっかりとした形になってくれればーーーー)
そこまで考えて、ふとニュウは気付いた。
ーーーー或いは、フェルシアとの戦いこそが、カノンに『何か』への気付きを齎すモノではないか?………と。
◇◆◇
[グローリー7番街 商業区域]
ドンッ!
パリィンッッ!!
ガシャーーーーンッッッ!!!
グローリー7番街ーーーー様々な店が建ち並ぶ商業区域に、戦いの喧騒が齎されていく。
ーーーーズドンッッッ!!
シャッターの降りた店が1つ、爆発で吹き飛んだ。……瓦礫と共に、舞い上がる黒煙。
「く……。」
ーーーー黒煙の中から飛び出したネオは、素早く槍を複数纏めて生成。生み出したソレを、対象目掛けて投げつける。
ーーーーキュインッッッ!!!
空気を切って投擲された槍。
しかし、ソレは何物も貫く事なく空に消える。
『ギャアアアアアアア!!!!』
直後、女性の絶叫のような声が響き、空から純白の天使が舞い降りた。
ーーーーーーーーアナテマシリーズ、その『最新型』である。
「…しッ!!」
舞い降りる
それを無骨な鉄剣で受け止める最新型。ーーーー刃と刃がぶつかって、激しい火花が散る。
鍔迫り合いは一瞬で、直ぐに最新型はネオから距離を取った。そして彼女目掛けて、遠距離から無数のエネルギー弾ーーー《エナジーボール》とも言うーーーを、放ってくる。
ーーーーネオの周りに着弾し、次々と爆ぜては商店街エリアの床を抉っていく《エナジーボール》。
「…凄い威力。でもーーーー」
舞い上がる粉塵を掻い潜って、ネオは最新型に突撃していく。最新型は迎え撃たずに、空へ飛ぶ事でネオから離れた。
……完全に警戒されている。
ーーーー正直なところ、最新型はネオにとっての脅威では無かった。エナジーボールの威力は確かに強いが、回避は比較的容易だ。パワーも高いが、決定的な差では無い。
しかし、ネオは機動力で負けていた。……最新型は、マッハスピードで空を飛ぶ事が出来る。彼女は遠距離攻撃手段を持たず、頼みの綱の武器投擲も、せいぜい時速160キロ位の速度が精一杯だ。
「ーーーー攻撃さえ…当てられれば……。」
空を飛ぶ最新型を見上げて、そっと呟くネオ。周りには、最新型の翼から抜け落ちた白い羽が舞っている。
………やはり、
ネオはそう考えた。
「ーーーー銃……。」
ーーーー少し前から、思っている事がある。
…ニュウと自分の間にある、
ーーーー元旦のあの日。自分は一度死んだニュウを蘇らせた。
その時に、自分とニュウの間に何かしらの繋がりが生まれたのだと、アビスが言っていた事をネオはずっと覚えていた。
その繋がりは、ネオに起きた変化をニュウにも伝えた。…つまりネオの覚醒に伴って、ニュウも覚醒に至った訳だ。
更にその繋がりは、ニュウに
ニュウが、心臓のネオのキューブを通して、ネオの力を一部使えるようになった。
ーーーーじゃあ、
「銃をイメージする……特殊な構造じゃなくて良い…彼の力を……再現する…。」
ネオはセラムキューブを握った。ーーーー欠けた中心…彼の心臓となっているキューブから、力を引っ張り出すイメージ………。
ーーーー
ネオは目を開いた。……それは、少し不思議な感覚だった。セラムキューブから武器を作る時は、何というか…『ゼロから作ってる』って感じがする。
しかし今のは、元々あった物をソコから取り出したーーーと言った感覚だった。
チャキッ…!!
微かに金属的な音を響かせながら、目の前に現れたのは一挺の
「………〈セラムキューブ:
ネオの呟きと共に、光り輝く銃がその形をハッキリとさせた。
ーーーーーーーそして、この時ネオは知らなかったが、ニュウの方にとある異変が起きていた。
◇◆◇
「……ん??ーーーあれ??なんだか…僕の銃が……薄くなってーーーー」
大聖堂から出ようとしていたニュウは、ふと自分が構えている〈レールガン〉が、幻の様に色を薄くしている事に気が付いた。
手に感じる重さも、どんどん軽くなっていく。
「え。ちょ…なんだコレ…?!」
突然の謎現象にニュウが戸惑っている内に、レールガンは消滅した。
「き、消えちゃった……??」
唖然とするニュウ。ーーーー最後に、ネオの手を一瞬見た気がするが……。
「…なんなんだよ…。武器無くなっちゃったじゃん……。」
訳が分からず、ニュウは途方に暮れるのであったーーーーーーー
◇◆◇
消えたニュウのレールガンは何処へ行ったのか?ーーーー答えは単純。
「……コレが、ニュウくんの………ーーーー銃。」
ネオの手に、空間を越えて移動していたのだ。
その銃の見た目は、今まさにニュウの手元から消えたレールガンに、酷似していた。
しかし銃全体に、少しシャープな印象を与えるアタッチメントが付く事で形が変わり、更に色も黄色に変化している。
……ネオの手に渡った事で、能力の一部が変質したのかもしれない。
構えると、意外としっくりくる重みが手に伝わった。
「ーーーいける…!!」
狙うは、空を舞う天使。ーーーーはじめての射撃だ。何処でも良いから兎に角当たれと、念じてネオは引き金を引く。
ーーーータタタタタタタタタタッッッ!!!!
乾いた音が連続して響き、銃口の先端からスパークが散った。
そして、放たれた音速の弾丸が最新型の翼を撃ち抜く。
『ギャアッッッ?!?!』
不意を突かれ、蹌踉めく最新型。すかさず、ネオは銃弾の雨をその純白の身体に浴びせた。
(凄い……反動が無いし、狙った所にしっかり届く。ーーーーーーまるで、この銃の方から当てにきてるみたいな……)
ネオが、あまりの扱い易さに軽く驚いている間に、銃弾に撃たれ続けた最新型が地に落ちて来た。
『ーーーーギィィッッッ!!』
撃たれながらも最新型は身体を動かし、銃弾から逃げる様に飛ぶ。…翼が損傷しているとはいえ、中々の速度だ。
「ーーーーでもやっぱり、動かれると追えない…。」
顔を顰めるネオ。ーーーー追いエイムはまだ苦手らしい。しかしーーーー
ーーーーガコン……ッ!!
「…?!
なんと、ネオの意志に関係なく、
銃口が上下左右に拡大し、その他のパーツも全体的に大きくなる。ーーーーまるで、バズーカ砲……。
カチャ、と言う音と共に目の前に現れた、半透明のサイトを覗き込むネオ。……そのサイト越しに最新型を見ると、十字のマーカーの様な物が表示された。
「……マーキング・ミサイル。」
小さく呟くネオ。
放たれたのは、さっき迄の弾丸とは異なり、大きなミサイル弾だった。
それは、マーキングされている最新型を追尾するかの様に飛び、脇腹に着弾する。
ドゴーーーーン!!
ーーー激しい白爆発が、最新型を横殴りに吹き飛ばした。今度こそ地面に叩き付けられる最新型。
深い傷を負っていたが、まだ戦える様だ。ーーーー此方に向かって、エナジーボールを投擲してくる。
「ーーーーそれはもう見慣れた…!」
ネオは軽やかにソレを回避すると、勢いよくダッシュして最新型の懐に飛び込む。
……もう最新型からは、さっきの様な機動力が失われていた。今までの様に避けるのではなく、迎え撃つ事に決めたらしい最新型。
ーーーーだが、ネオ相手にその行為は命取りだ。
「はッ!!」
『ギャアッ!?』
あっさりと剣を叩き落とされて、
ただでさえ、マーキングミサイルの一撃で体力が減っているのだ。ネオとの近距離真っ向勝負に勝てる訳が無い。
「ーーーーアナタは結構強いからね…。確実に決める。」
そうネオは宣言すると、
ゼロ距離からの連続射撃に最新型の頭部は晒され、内側から破裂する様に周囲にドス黒い血を撒き散らす。
しかし、最新型は頭部を消失しても尚、動き続けた。
「…!!」
ネオの首に純白の手が伸びて、強く締め付けられる。
(ーーーーッ!?首を絞められた…!このままは危険…!!)
素早くネオは最新型の手首を握ると、思いっきり力を込めて手首の骨を折った。
ボキィ!!ーーーと音がして、最新型の手の力が抜ける。拘束から逃れたネオは左脚を高く上げ、踵落としの様に最新型の胸に叩き込む。
ーーーーーーー肋骨が纏めて粉砕される音が響いた。
「これで最後。ーーーー
トドメと言わんばかりに、生成した
◇◆◇
[グローリー5番街 居住区域①]
ーーーー人気の無い静かな住宅地に、剣戟の音が響く。
バサラは、『斬魔刀ヴァジュラ』を構えたまま前方ーーーー地に足をつけ、此方をニヤニヤと目の無い顔で見つめる最新型(以下、最新型Aと呼称。)ーーーーを睨み付けた。
彼の後ろには、背中合わせになる様にハレルヤが立っている。
…ハレルヤもハレルヤで、最新型の1体と向かい合っていた。(以下、最新型Bと呼称。)
彼等の足元には沢山の折れた剣や、砕けた鎧、白い銃が転がっている。……コレ等は全て、グローリー軍の物だ。
バサラは、ハレルヤの手も借りてグローリー軍を退け、今は最新型2体との戦闘に入っている所である。
……ただどうも、戦況は膠着状態らしい。2人とも大きな傷は負っていないが、立ちはだかる最新型達も、あまりダメージを受けている様には見えない。
「面倒な相手だな…こいつ等。」
「そうだね…。でも軍隊は一旦退けたから、今はコイツらに集中できる。」
ハレルヤがバサラの呟きに答え、ガントレットを装備している両手を握り締めた。
ーーーーと、同時に最新型達が2人に飛び掛かって来る。
「ーーーーうらぁッ!!!」
雄叫びと共に迎え撃つバサラ。
斬魔刀ヴァジュラと、最新型Aが持つ鉄の剣が激突して火花が散る。
「ふッ…!」
ハレルヤも両腕を使って、迫り来る最新型Bの剣を受け止めた。
ガントレットと剣がぶつかって、此方も火花を散らす。
『ギャアアアッ!!』
『グギャアアアッ!!』
まるで絶叫の様な不気味な声を上げながら、2人を叩き斬ろうとする最新型達。
バサラは素早く足払いをかけて、最新型Aを転かす。
そして、倒れた最新型A目掛けてヴァジュラを振り下ろしたが、最新型Aは横に転がってソレを回避。
更に起き上がりと同時に剣を横薙ぎに振るって、バサラを攻撃してきた。
「ーーーーッと!!」
それを上半身を反らして回避したバサラ。ーーーーそしてヴァジュラを鞘に納め、居合の構えをとる。
「……お前等、結構体力あるからな…。一撃で決めるつもりでやんねーと、中々終わらねぇ。」
構えた彼の体を、赤い炎の様なオーラが包み込む。
ーーーーズッ……、と周囲の細かな礫が震え、何か見えない力に押し退けられる様に、バサラから離れて転がっていく。道に散らばっている鎧や剣も、カチャカチャと音を立てて揺れ始めた。
……尋常では無い力が、バサラに集まっている。
側にいるハレルヤは、全身が粟立つのを感じた。
「ちょっと…離れた方が良いかもね。」
そう呟いて、ガントレットから凝縮した水のエネルギーを放ち、自分と戦っている最新型Bを引き離した。
そして、流されていく最新型Bを追いかける様にバサラから離れる。
ハレルヤが離れていくのを横目で確認してから、バサラは小さく息を吐いた。
彼の周りの空気が、どんどんどんどん揺らいでいく。……噴き上がる火のようなオーラもより激しくなり、見る者を圧倒する。
「…どうした。来いよ…!」
バサラは最新型Aに対して、居合の構えを保ったまま口を開いた。最新型Aは一瞬たじろぐように体を動かしたが、剣を静かに構えるとバサラの誘いに乗って、彼に突っ込んでいった。
ーーーーマッハスピードで空を飛ぶ事が出来るアナテマシリーズ
ーーーーしかも、僅か6メートルかそこらの至近距離からの突撃。普通、目で追う事は不可能な筈だ。
ーーーーーーーザシュッッッッッ!!!!
……青空に鮮血が舞う。
僅か一瞬で、最新型Aはバサラの背後に移動していた。
一方バサラはその場から動かず、ただ刀を鞘から抜いた状態で立っている。
……………ドサリ。
暫くの静寂の後、最新型Aの上半身がズルリと下半身から滑り落ちた。
バサラは刀を振り、スッと鞘に戻す。
カチン!と音を立てて『斬魔刀ヴァジュラ』が鞘に収まった時、彼の背後で最新型Aの下半身が、膝から地面に崩れ落ちるのだった。
バサラが最新型Aとの戦いを制したのとほぼ同時に、ハレルヤも最新型Bとの戦いを終えようとしていた。
「ふん!!」
『ギャアアア!!』
最新型Bの目の無い顔に、強烈なストレートを浴びせるハレルヤ。
カウンターで飛んできた剣を片手で受け止め、空いている方の手で剣を叩き割る。
バキッ!!ーーーと音を立てて、半ばから砕ける鉄剣。
それを見た最新型Bは、ハレルヤから距離を取った。ーーーー片手に持った剣の破片を投げて追撃するハレルヤ。
最新型Bはそれを回避すると、空に飛び上がった。
ハレルヤも両脚から水のエネルギーを放出し、空を飛ぶ。
『ギイィィッッッ!!』
空に飛び上がったハレルヤに向かって、素早く突撃して来る最新型B。
……音速レベルの突進は回避するのも難しい。故に、ハレルヤは自らを巨大な水球に包み込んで、身を守ることにした。
ザバァンッッ、と水球の表面と最新型Bが接触し、盛大に水飛沫が上がる。
分厚く貼られた水のバリアとも言うべきそれは、最初の接触で大部分が飛び散り無くなった。
しかし、忘れてはならない。ーーーー飛び散った水、それ等は全てハレルヤの制御下であると言う事を。
「ーーーー集まれ!!」
ハレルヤが腕を振ると、辺りを漂う水飛沫が再び水球に戻った。但し、今度はハレルヤを包むのでは無く、最新型Bの身体を包み込む形でだが。
『……?!』
水から脱出しようともがく最新型B。ハレルヤは最新型Bに脱出される前に、水球に向かって掲げた手を強く握りしめた。
次の瞬間、巨大な水球がギュッと縮小し、内部の最新型Bに凄まじい水圧を掛け始める。
『ーーーーッ?!?!』
……それは一瞬の事だった。
ハレルヤの水球の内部に発生した水圧は、凡そ水深2,000mに相当する圧力である。
地上の生命体が一身に背負うのには、余りにも高すぎる力。
その圧力に全方位から晒された最新型Bは、肺などの内臓器官が一瞬で潰れ、自らの死すら認識出来ずに絶命するのだったーーーー。
◇◆◇
[グローリー4番街 工業区域]
白い建材を基調とした工場が建ち並ぶ[工業区域]。
此処でも、戦いは起きていた。
戦いの中心に居るのはアミダとキラリ。そして、アルセーヌの3人である。
彼女達は工業区域内にて、最新型2体及びグローリーの軍隊と交戦を行なっていた。
「ーーーー《ダンサー・イン・ザ・ダーク》。」
アルセーヌの声が、戦場に響く。
「…!
軍隊の誰かが、そう声を張り上げた。
それと同時に、アルセーヌの姿が床に溶け込むように消える。
「…残念だけどーーーー壁だけじゃなくて、床からも出て来れるのよ。」
彼女の囁きと共に、軍隊の足元の地面からアルセーヌが飛び出して来た。
「ぐはっ?!」
「ごふッ!」
「がっ!」
一瞬にして懐に飛び込まれた兵士たちを、アルセーヌは華麗に蹴り飛ばす。反撃しようとする兵士達だったが、彼等の反撃が届く前にアルセーヌの姿が消えた。
「ーーーーくそッ!!床に潜ったな!?」
「…正確には、
「!!!」
ぬっ、と音も無く兵士達の背後に現れるアルセーヌ。彼女が両手を振ると、彼女の前に浮かんでいる漆黒のキューブから、黒い波動が放たれて兵士達を吹き飛ばす。
ドンッ、と舞い上がる粉塵。
ーーーー追撃しようとしたアルセーヌだったが、ココで別の影が戦いに割って入ってきた。
………アナテマシリーズ
「……おりゃッ!!」
その純白の体から繰り出される斬撃がアルセーヌを斬り裂こうとした時、間に割って入ったアミダが剣でソレを受け止めた。
大気に爆ぜる火花。
攻撃を止められた最新型は、アミダを剣ごと叩き斬る勢いで力を込める。
「うわっ!?」
押し込まれたアミダは、思わず片膝を床につけた。
最新型の剣と鍔迫り合い状態の『インフィニティ・ブレード』が、ミシミシと軋む。
……このままでは折れるーーーーーーとなった所で、アミダの背後から無数の矢が飛んできた。
深緑の光を纏ったその矢は、アミダと鍔迫り合いをしていた最新型の頭部に突き刺さる。
『ギッッ!!』
仰け反って、一歩退がる最新型。その矢を放った張本人であるキラリが、油断なく弓を構えたまま叫ぶ。
「…今です!!追撃、入れて下さい!!」
応えたのはアルセーヌ。
「ーーーー了解よ。」
彼女の、闇色のオーラを纏った回し蹴りが最新型の頭部に炸裂し、吹き飛ばす。
更に起き上がったアミダが、インフィニティ・ブレードを十字を描くように振り回し、体勢を崩している最新型を切り裂いた。
ドッと血を噴き出しながら、倒れ込む最新型。これで1体は倒れた。…だが、まだ最新型はもう1体残っているーーーーーー
ーーーーそうアミダが思った時、キラリの背後に白い翼が現れた。
「ッ!?キラリぃ!!」
アミダが叫ぶのと、
『ギャアアアアアッッッ!!!』
最新型が絶叫して、キラリの首に剣で切り掛かったのが同時だった。
「……ッッ!!!」
ーーーーキラリが素早く身を翻す。
彼女の首を狙って横薙ぎに振るわれた剣は、キラリの首を捉えることは出来なかったが、彼女の右肩から胸の上を通って、左肩までを一直線に切り裂いた。
パッ、と舞う紅。斬られたキラリは地面に背中から倒れ込みーーーー
「ーーーー《トゥルー・カラーズ・シャイニーブライト》ッッ!!!」
ーーーー倒れる瞬間、キラリは弓を
彼女の弓から、眩い光が放たれる。
……それはもはや矢では無く、レーザーであった。
『ギィィィッッ?!?!』
至近距離から迸った一条の閃光に貫かれ、最新型は大きく仰け反る。貫かれた箇所から、バチバチとスパークが噴き出しーーーーーーーー
『……ギ、ギィィィヤァァアァアッツッ!!!!』
耳を塞ぎたくなるような悲痛感のある断末魔を上げながら、最新型は地面に大の字になって倒れ込んだ。……溢れ出した血液が、地面を真っ赤に染めていく。
「うっ………。」
同時に、キラリも糸が切れたかの様にドサリと崩れ落ちた。
「キラリッッッ!!」
血相を変えたアミダが、倒れ込んだキラリに駆け寄る。
血を流し倒れ込む彼女をアミダが抱き起こすと、キラリは目を薄らと開いた。
「い、いててて……。やったよアミダちゃん。……私、倒せたよ。」
痛みに顔を顰めながらも、キラリは微笑む。アミダは思わず声を荒げていた。
「…でも今のは危なかったよキラリ!!ーーーーもし深く斬られてたら、どうするつもりだったのさ?!」
キラリは回避行動に出る際、弓を構えたままだった。ーーー構えを解いて素早く回避していれば、負傷しなかったかもしれない。
……但し、構えを解いていた場合、今の様に最新型を倒す事は出来なかっただろう。
少し申し訳なさそうな顔をしながらも、キラリは口を開いた。
「…ごめんね。ちょっと無茶したかもしれない。でも、私はタルタロスの時も、獣神祭の時も、ずっと皆んなの足ばかり引っ張ってきて……。私…少しでも皆んなの力になりたかった。だから………。」
ーーーーそれは、キラリがイースターの一員となってから、ずっと思っていた事だった。
…タルタロスでの戦いの時、キラリはただ守られるだけだった。自分から戦いについて行ったのにも関わらず、あの時キラリは何も出来なかったのだ。
だから、今度はそうなるまいとキラリは心に誓った。イースターの……ひいてはアミダの助けに自分がなれる様に。
ーーーー必ず、皆んなの役に立って見せる。……この戦いが始まる前から、キラリはそう決めていたのだ。
「……でも、結局怪我しちゃったら、これからの戦いについて来れないよね。ごめん…。結局役に立てなくてーーーー」
少し目を伏せて呟くキラリ。アミダは反射的に口を開いて叫んでいた。
「ッ〜〜!そんな事ないよ!!……さっき私が最新型に押し込まれてた時、援護してくれたじゃん!タルタロスの時だって、獣神祭の時だって、私と一緒に戦ってくれたじゃん!?……無理しなくて良いんだよ。キラリはちゃんと戦えてる。ーーーそれは私が良く知ってるから!」
「………アミダちゃん…。」
その叫びを受けたキラリの目が微かに揺らぎーーーー
『ーーーー
ーーーー今この場にいる誰のものでもない、第三者の声が聞こえてきた。
「「「ーーーーッッッ?!」」」
声の聞こえてきた方を振り向く3人。
彼らの目に、迫り来る漆黒の波動が映り込むーーーー
「ーーーー〈ヒドュン・イン・ザ・ダーク〉ッッッ!!」
咄嗟にアルセーヌが叫んで、アミダとキラリの体を紫の光で包み込ませた。
目の前に着弾した黒い波動が爆ぜ、辺りを吹き飛ばす。ーーーーアミダとキラリは、アルセーヌの技のおかげでノーダメージだったものの、1人爆発に巻き込まれた彼女が吹き飛んでいくのを、アミダは見た。
「アルセーヌッ!?(ーーーー私達と同時に自分を守る程の力が、もう……!!)」
次の瞬間〈ヒドュン・イン・ザ・ダーク〉の効果が切れ、アミダとキラリは実体を取り戻す。
アルセーヌは、だいぶ離れた所にドサリと倒れ込んだ。キラリが自身の怪我を他所に、アルセーヌの方に駆け寄る。
一方、アミダは攻撃が飛んできた方向を睨み付けた。
……しかし、さっきの技名発声。何処かで聞いたことがある様なーーーー
バサリ…………。
「…!!」
翼の羽ばたく音が聞こえる。
ーーーーその羽ばたきに顔を上げたアミダが見たのは………
「
青空を背景に空に佇む、真っ黒な見た目のカノンの姿であった。
ーーーーしかも、それだけでは無い。
黒いカノンのすぐ隣に、
皆、アミダ達の見慣れたカノンの見た目をしているが、全身が単色の見た目に統一され、首にゴツめのチョーカーを付けているという特徴がある。
「……な、何これ…。」
アルセーヌを介抱しているキラリが、唖然と呟いた。アミダも呆然となって口を開く。
「カ…カノンが……いっぱいだ。」
◇◆◇
[グローリー7番街 商業区域]
最新型との戦いを終えたネオは、人の気配の無い商業区域を走っていた。
何故か軍隊が追いかけて来ないので、武器は全て消して手ぶらである。ーーーちゃんとニュウの銃も、本人に返しておいた。(遠隔で)
おそらくレストラン街と思しき、小洒落た区画を大聖堂目指して走っていたネオだったが、ふと沢山の椅子が置いてある広場で立ち止まった。
……何かの気配を感じたからだ。
(……なに…?ーーー何か…私を狙っている…??)
ーーー彼女の脳裏に、獲物に忍び寄る猫のイメージが浮かんだ。…この場合、自分が猫に狙われる獲物かーーーー。
いつでも武器を生成出来るよう、セラムキューブを手に出現させてから、辺りを見渡すネオ。
『…カチ。』
広場の真ん中にある細い時計台が、
次の瞬間、ネオの側のお洒落な椅子が派手に吹き飛ぶ。
「ッ!!!」
空を舞う、11個の椅子。
その内10個をネオは回避し、残りの1個は脚で蹴って弾き飛ばした。
地面に落ちた椅子が、ガラガラガッシャーン!と派手な音を立てる。
「……誰!?」
ネオは椅子が吹き飛んできた方向を見て、口を開いた。
ーーーーそれに、猫のような女性の声が答える。
「さーーて、誰でしょ〜??」
カツン、と硬い靴の音を響かせて、ネオの前に1人の少女が立ちはだかった。
ゆらゆらと揺れるコードのような尻尾。…その先端には、鋭い刃のような物が付いている。
赤色掛かった髪に、肩には
猫のようにしなやかそうに見える体には、普通の生き物には無い筈の球体関節らしき物が見える。
ネオは油断なく構えたまま、自分の質問に質問で返した少女に向かって、口を開いた。
「………グローリーの…軍隊の1人。かな?」
少女は指を顎に当てる。
「ーーーーん〜、ちょっと違うかなぁ〜。ま、でも別になんでも良いよね。……取り敢えず、『お父様』が貴女を欲しがってるんだ。大人しく、
ネオは目を細めた。
「…断る。グローリーじゃ無いにしろ、どうせ連邦の差し金だよね。ついて行く訳が無い。」
少女は顎に添えていた手を下ろす。
「そっかぁ。……じゃあ、無理矢理にでも攫うしかないね。死んでなければ良いって事だし、足とか腕無くなっても…大丈夫だよね?」
そのセリフに、身構えるネオ。
少女は両手を広げた。ーーーコードのような尻尾、その先端に付いていた刃が9つに分離する。
対抗するように武器を生成したネオに向かって、少女ーーーー〈人造臣機ノイン〉ーーーーは、笑って叫んだ。
「早く貴女を持ち帰って、『お父様』に褒めてもらうんだから!……あんまり抵抗しないでよね!!!」
その言葉と同時に、9つに分たれた尻尾の先端の刃が、ネオに襲い掛かったーーーーーーー。
…過去の自分にひとこと言いたい。
「なんでネオの銃を、こんな回りくどいやり方にしたんだ!!!」
…元々、ネオは銃持ってるんすよ。キャライラスト見れば分かるけどね?(あの黄色いやつ)
だから別に何も捻らずに、これからは銃も使えますよ〜ってだけで良かったのに、なんで最初は持ってないって設定にしたかなぁ〜??
一応、伏線?的なものとして、わざわざ連邦兵の1人に「ネオは銃を持ってない」って言わせてるんですよね。伏線ってか、原作との矛盾解消の為?
でも、絶対こんなことせんで良かったよな…。
あ、因みに〈
ドイツ語で「弔い」って意味っすね。…今までルビは英語だったのに、急にドイツ語になるっていう。…ちな、読みがあってるかは知らん()
ほな、また次回。(ちょっと今、なんやかんな疲れてるからまた遅くなるかも。)