モンスターストライク 〜星ノ呼ビ聲〜   作:犬社長

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新章開始です。

…いつもより、文章量が多いかも?
ゆっくりしていってね〜。




86話〈フロム:スターダスト〉

 

 

 

 

 

 

 

 

星暦XXX2年 7月 25日 

 

 

 

〔時刻〕 AM11:02

 

 

 

〔場所〕 廃墟都市エッジワース

 

 

 

 

………何処までも灰色の廃墟が広がる地。

 

 倒壊したビルの隙間を埋める様に、光り輝く星屑の様な〈星のセラム〉が漂っている。

 

 辺りに動く物など一切無く、ただただ死の静寂だけが何者も居ない街に満ちていたーーーーーーーー

 

 

 

ズズゥ………ン。

 

 

 

……ふと、廃墟が揺れた。

 

地震だろうか??………いや、違う。

 

 

ーーーーこれは()()()()()()

 

 

 見ると、灰色の廃墟群の奥から粉塵が柱となって立ち昇っている。何本も、繰り返し湧き上がる粉塵の柱。その度に、爆発めいた振動が周囲を揺らす。

 

……動く者など居ない筈の廃墟で、戦いが起きているのだーーーー。

 

 

 

 

 

「おりぁあ──────っ!!!」

 

振り回されるは、()()()()()()()()()

 

 その刃が切り裂くは、()()()()()()()()()()()()()(ーーータルタロスを警備していたロボット)だった。

 

『ーーーーガガガ…!』

 

 金属の軋む音と、耳障りな電子ノイズを撒き散らしながら、迷彩柄のザーギンが爆ぜる。

 

……ドゴ──────ン!!!

 

爆発が起き、辺りの廃墟に新たな穴を開けた。

 

 その爆発を背景に、やけにカラフルな髪の毛をした少女が1人、砕けたアスファルトの上を走っている。

 

「ほらほらぁ。ーーーーもっとスピード上げないと、倒されちゃうよ〜♪」

 

 頭の後ろで束ねられた金色の髪を揺らし、片手で金色に輝く鋏をくるくる回しながら、少女は別の迷彩柄ザーギンに襲い掛かった。

 

『ーーーー!!』

 

 ザーギンは勢い良く腕を振り回すが、少女に容易く避けられてしまう。ーーーーそしてそのまま、腕を巨大化した鋏で切り落とされるのだった。

 

「動きは遅いし、装甲は脆い。…所詮は()()()だね〜♪」

 

 ガコォン、と地面に落ちるザーギンの腕を避け、本体の胴体に鋏を突っ込む少女。内部構造を破壊されたのか、スパークが散ってザーギンが崩れ落ちる。

 

ーーーー次の瞬間、その崩れ落ちたザーギンの後ろから、新手のザーギンが殴りかかってきた。

 

「…!ーーーーおっと。」

 

 迫る拳をギリギリで回避する少女。ーーーーしかし、彼女の後ろにもまた別のザーギンが現れーーーーーーーー

 

 

タ──────ン……!!

 

 

ーーーーザーギンの腕が少女を捕らえようとしたその時、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『ギギ…ッ。』

 

ふらつき、道路に倒れ伏すザーギン。

 

 

「ーーーー()()()()さん!!…あんまり遠くまで行かないでください!!」

 

 

続いて聞こえる男性の叫び声。

 その声に、ジャックと呼ばれた少女ーーーー正式名称『ジャック・ザ・リッパー』は、最初に殴りかかってきたザーギンを切り倒しながら男に叫び返した。

 

「キミが援護してくれるから、ヘーキだよ♪ーーーーそれにコイツら、そんなに強く無いしね。」

 

そう言って、頭上を見上げるジャック・ザ・リッパー。

 

ーーーー見上げた空には、彼女を見下ろす様に飛んでいる()()()()()()()()姿()()()()()

 

 黒いヘッドホンを首から掛け、裾に近づくにつれて微かに紫色に変わっていく漆黒のコートを羽織っている。

 履いているズボンも靴も、微かに紫を帯びた黒。……まるで、夜空を身に纏っている様だ。

 

 そんな彼は、背中から伸ばした()()()()()()()を羽ばたかせながら、ジャック・ザ・リッパーの隣に舞い降りて口を開く。

 

「ーーーーしかしですね、ジャックさん?…万が一、僕の援護が届かなかったら……」

「んー、大丈夫でしょ♪キミは心配しすぎだよ、ニュウ♪」

 

『ニュウ』。ーーーーそう呼ばれた黒ずくめの青年は、微かに溜息を吐いた。

 

「貴女が強いのは理解していますよ。……でも、戦場ではどんな事が起きるか分かりませんから。ーーーー例え、相手が『量産型ザーギン』だったとしても、もう少し慎重に行きましょう。」

「全く〜。お堅い人なんだから♪」

 

 ジャックはやれやれと言わんばかりに片目を閉じた。……が、次の瞬間、別の声が2人の会話に割り込んでくる。

 

 その声は、2人の片耳に付いている超小型の通信機から聞こえていた。

 

 

『ーーーーこちら、()()です!突然すみません!!……ですが今、お二人の北西300メートル地点から、空間の揺らぎを検知したので報告にあがりました!!ーーーーおそらく、敵の〈偽装コクーン〉による物です!!』

 

 

ーーーーその声を聞いて、顔を見合わせる2人。

 

「ほぅ…新手ですか…。」

「おやおやぁ♪…懲りないね♪」

 

そして、2人は同時に北西の方角へ顔を向ける。

 ちょうど今居る位置から、道路が真っ直ぐに伸びている方向だった。

 

 

 

ーーーーカシャ────────ン…。

 

 

 

 2人が目を向けるとほぼ同時に、倒壊したビルとビルの隙間の景色が揺らいで、砕ける様に消える。

 

 砕けた景色は六角形のパネルの集まりへ変化して、溶ける様に消えていった。ーーーー周囲の景色をパネルに投影して、内側の物体を不可視の状態にする連邦政府のステルス技術…〈偽装コクーン〉である。

 

……そして、砕けた景色の向こう側から、巨大な複数の影が姿を現すのだったーーーーーーーー。

 

 

「…ん??何あれ??」

 

 現れた影を見たジャックザリッパーが、頭に疑問符を浮かべながら首を傾げる。

 

 

……現れたソレは、如何やら2種類ある様だ。

 

 

 先ず、巨大な横長のガスタンクに逆関節の脚が4本生えた様な見た目をしている物。…タンクの先端からは、背骨に良く似た形の金属パイプが捻れながら伸びている。ーーーーーーーーコレが4つ。

 

 そして、その()()()()()()()()を左右に2つづつ引き連れる様にして歩いているのが、身体と大砲が一体化した様な見た目の()()()()()()()()()であった。

 

 脚付き横長タンクの先端から伸びた背骨の様な金属パイプは、その大砲の根本に繋がっている様である。

 

 何方も奇怪な見た目をしているのだが、特筆すべきはその大きさか。と言うのも、脚付き横長タンクの身長はおそらく30メートル程で、大砲付きケンタウロスに至っては50メートルを超えている。

 

…それほどの巨体が今、ニュウとジャックザリッパーの方を向いて、300メートル先に立ち塞がっているのだ。

 

「なんか…聞いた気がするなぁ♪ーーーーあの脚付きタンクは確か、なんちゃらかんちゃら補給用うんたらかんたらで、アッチの大砲付きは…なんちゃらかんちゃら制圧用ほにゃらら…だった筈♪」

「ーーーー〈星瘴気動力補給用特化装備機兵デスタンク〉と、〈星瘴気動力利用型・中遠距離制圧用特化装備機兵キャノンアーク〉ですね。」

 

 凄まじくあやふやな記憶を曝け出すジャックザリッパーの隣で、ニュウが小さく補足した。

(尤も、このアホが考えた様なクソ長い名称を、一言一句違わずに暗唱できるニュウの方がおかしいかもしれないが。)

 

「そうそう、それそれ♪……確か、連邦政府の兵器だよね?」

ジャックの問い掛けに、ニュウは頷いた。

「ええ。新人類勢力に対抗する為に製造されたモノだと聞いています。……1年半前に開発された〈デスアーク〉を基礎(ベース)に、〈星のセラムエネルギー〉を動力として動く砲台を搭載した大型破壊兵器ーーーー。」

 

ーーーー彼がそう言い終わるか終わらないかのタイミングで、〈デスタンク〉と〈キャノンアーク〉に動きがあった。

 

 デスタンクから伸びる背骨の様な金属パイプが、虹色に輝き出したのだ。……その虹色の光は、激しく明滅を繰り返しながら〈キャノンアーク〉の構える大砲に流れ込んでいく。

 

 

『…ッ!!キャノンアーク、デスタンクから星瘴気動力(星のセラムエネルギー)の供給を開始!!砲身に〈星のセラム〉が充填されていきます!!』

 

 

 2人の耳に、女性ーーーー『ミラ』の声が聞こえて来た。ジャックザリッパーが、サッとニュウの方を振り返って口を開く。

 

「…どうする?避ける??」

 ニュウは、虹色に光り輝き出したキャノンアークの砲身を見て、首を振った。

「いや……キャノンアークのチャージ速度が、思ったより早い。……僕がなんとか凌ぎます。」

 

……そう言うや否や、ニュウは両手を前に突き出す。

 

「…スピード・モードOFF。…シールド・モード…ON!!」

 

 彼の背中の翼が消え、代わりに翳した手の前方に巨大な漆黒の盾が出現した。

 

…V字の装甲板を縦に幾つか並べた様な形の盾が、何個も重ね合わせられる様にして、空中に出現する。

 

それが終わると同時に、ミラが声を上げた。

 

『ーーーーキャノンアーク、砲台の固定及び砲撃準備完了!!』

 

 ミラからの報告を聞きながら、並べた盾の裏側でニュウは小さく呟いた。

 

「さぁ…耐えてくれよ……。」

 

次の瞬間、ミラが叫ぶ。

 

 

『ーーーーーーーー攻撃、来ますッ!!!!』

 

 

 

 

カッッッ!!!!

 

 

 

 

ーーーーーーーー凄まじい閃光が、辺り一面を埋め尽くした。

 

 

 デスタンクから補充され、キャノンアークの構える大砲に注がれた〈星のセラムエネルギー〉が、破壊の波動となって撃ち出されたのだ。

 

 解き放たれし波動は、周囲の廃墟と地面を砕きながら音速で直進し、ニュウが構えた盾に命中する。

 

 

ズドンッッッッ!!!!!

 

 

 竜巻もかくやと言わんばかりの爆風が生まれ、再びの閃光が辺りを満たした。

 

「ぐぅぅうぅッ……!!」

「うひゃあ────ッ♪♪飛ばされそ──ッ♪♪」

 

何重にも重ねた盾越しに襲い掛かる爆風。

 

 飛ばされない様に足を踏ん張るニュウの後ろで、彼の背中のコートにしがみつきながら、何処となく楽しそうに声を上げるジャックザリッパー。

 

 

ーーーーバキバキと破砕音が連続して響いてくる。キャノンアークが放った波動が、ニュウの盾を砕き割っているのだ。

 

 

「…くっ?!ーーーー盾が…次々と破られていくッ!?」

 

 驚愕するニュウ。……一枚、また一枚と盾が消え失せていく。

 

ーーーーそして、ニュウとジャックザリッパーを守っている盾は、残り一枚となってしまった。

 

 その最後の一枚にも破壊の波動が押し寄せ、今にも砕き割らんとヒビを与え始める。

 

「…おおー!!キミの盾をこんなに壊すなんて、威力凄いねぇ♪♪」

 

 こんな状況でも、なんだか楽しそうなジャックザリッパー。一方のニュウは冷や汗モノだった。

 

(ーーーー戦うのは初めてだが…威力強すぎだろッ!?………この盾が破れたら…僕達も危ない…!)

 

…心の中でそう叫んだニュウ。

 

 その間にも、盾に入ったヒビ割れが益々大きくなりーーーーーーーー

 

 

「……だったら…こうだッ!」

 

 

ーーーー()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 チュイィンッ!!!!と音を立てて、破壊の波動が斜めに逸れて飛んでいく。

 

 そして、ニュウたちの斜め後方500メートル程の位置に着弾し、そこにあった灰色の高層ビルの残骸を、何本か纏めて砕き割って塵に変えた。

 

ーーーー立ち昇る、特大の粉塵柱。

 

 直下型地震レベルの激しい揺れが辺りを揺らす。……廃墟への被害は甚大だったが、ニュウ達は無事だった。

 

「…あっぶねぇ……!ギリギリだったぁ…!」

 

 攻撃を横に逸らした瞬間に砕け散った盾を見て、ニュウは安堵のため息を吐く。

ーーーーしかし、キャノンアークはニュウを休ませる気など無いようだった。

 

『まだですニュウさん!!』

 

ミラの声が、ニュウの耳に飛び込む。

 

『ーーーーキャノンアークが星瘴気動力再装填を開始!!…さっきよりチャージ速度が速いですッ!!』

 

「マジかよ…!」

 

 歯噛みするニュウ。ーーーーそんな彼の横から、勢いよく飛び出す影があった。

 

「お疲れニュウ♪♪ーーーこっから先は、あたしに任せなよっ♪♪」

「ジャックさん?!」

 

…ジャックザリッパーである。

 

 飛び出しざまに、キャピッ♪とウィンクをかましたジャックザリッパーは、驚くニュウを後ろに大きくジャンプした。

 

 そして廃墟のビル群を足場に、軽快にキャノンアーク目掛けて走り出す。

 

「ーーーーあたしの思い描く新人類達のハッピーキングダムには、君のような物騒な機械は要らないの♪…だからね、バイバ──イ♡」

 

 そうキャノンアーク目掛けて言うと、彼女は傾いたビルの屋上から空へ大きく飛び上がり、両手を振りかぶった。

 

ーーーー振りかぶった手の先に、巨大な(…20メートルはあるだろう。)金色の鋏が出現する。

 彼女のセラムキューブが、変形することによって具現化したモノだ。

 

 鋏のサイズが大きすぎて、もはや彼女の手に収まっていないが、気にする事なく彼女は腕を振る。

 

ーーーー彼女の腕の動きに合わせて、金色の鋏も大きく動く。

 

「…ジョキンと切っちゃうよ〜♪♪♪」

 

ニヤリと笑って、ジャックザリッパーは両手を広げた。

それに合わせて、鋏も開く。

 

ーーーー大きく開いた鋏を真上に携えた彼女は、キャノンアーク目掛けて勢いよく飛び込んでいくと、広げていた両手を顔の前で交差させて叫んだ。

 

 

「ーーーーフィニッシング・エ────ッジ♪♪♪」

 

 

ーーーー放たれし彼女の必殺技(ストライクショット)が、キャノンアークに迫る。

 

 そしてキャノンアークを、その胴体と融合した大砲ごと切り裂こうとしてーーーーーーーー

 

 

 

コ────────ンッッッ!!!

 

 

 

…鳴り響く甲高い衝突音。

 

 ジャックザリッパーが放った鋏の一撃が、キャノンアークの展開した〈巨大バリア〉によって防がれたのだ。

 

 球体状に展開されたバリアを挟み込む左右の刃から、凄まじい火花が上がる。

 

「ーーーーおや?バリアかぁ♪……でもーーーー」

 

 ジャックザリッパーは交差させている両腕を、より強く交差させていく。

 彼女の腕の動きに合わせて、ますます刃の締め付けを強くしていく巨大な鋏。

 

ギャリギャリと耳障りな音が、辺り一面を満たす。

 

 バリアを展開しながらも、キャノンアークは大砲にエネルギーを供給し続けていた。

 

 砲身に宿った星のセラムエネルギーが、虹色の渦を巻き始める。……あと少しで、破滅的なエネルギーの衝撃波が放たれるだろう。

 直ぐそばに、発射寸前の銃を突きつけられている様なこの状況でも、ジャックザリッパーは笑みすら浮かべて、巨大なバリアを割ろうとしていた。

 

 バリアの表面から散る火花も、だんだん勢いを増していく。

 

 ジャックザリッパーがバリアを破壊するのが先か、キャノンアークがジャックザリッパーを砲撃で吹き飛ばすのが先か…。果たしてーーーーーーーー

 

 

「ーーーーオリジナル(デスアーク)に比べれば!……そのバリアは脆いでしょッ♪♪♪」

 

 

ーーーー戦いを制したのは、ジャックザリッパーだった。

 

 パリ────ンッ、と音を立てて巨大バリアが砕け散る。

 続いて、巨大な鋏の刃がキャノンアークの大砲と融合した胴体を挟み込んで断ち切りーーーーー……。

 

 

 

ズド──────ンッッッ!!!!

 

 

 

3度目の閃光が辺りを満たす。

 

 砲台ごと上下に切断されたキャノンアークから、チャージされていたエネルギー波が行き場を無くして迸ったのだ。

 

 発生した爆破は、デスタンクにも誘爆を引き起こす。

 そして、無数の火柱が天高く立ち昇るのであった…………。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

「ふぅ♪…派手な爆発だった♪♪楽しいね♪♪」

 

 

 

ーーーー広範囲に渡って破壊された廃墟。

 積み重なる瓦礫の山の天辺で、ジャックザリッパーが額の汗を軽く拭って口を開いた。

 

「…コッチは冷や汗モノでしたけどね。」

 

 瓦礫の山の下で、鉄骨に腰掛けていたニュウが呟いて答える。

 

「ま、なんとかなったからオッケーオッケー♪生きてればハッピー、だよ?」

 

あっけらかんとしているジャックザリッパー。

…ココで、ニュウの耳にミラからの通信が入ってきた。

 

『お疲れ様でした。……敵からの増援は無さそうですので、お二人は帰還して頂いて大丈夫です。』

 

 ニュウは独り頷くと、耳元の通信機越しにミラに向かって話しかける。

 

「えぇ。ミラさんも、状況報告ありがとうございます。…貴女のお陰で、キャノンアークの接近に気が付けました。ーーー先手を撃たれていたら、どうなっていた事か。」

 

通信機の向こうで、ミラが頭を振った気がする。

 

『いえいえ!……私はただ安全な所から指示を出す事しか出来ませんから…!』

「それで十分だよね?ニュウ♪」

 

 話を聞いていたジャックザリッパーが、瓦礫の山の天辺から飛び降りながら話に割り込んだ。

ニュウは頷く。

 

「えぇ、そうですね。ーーーーーーー取り敢えず、僕達はこれから帰還します。…もう通信は切って貰って大丈夫です。何かあったらまた繋げますので。」

『ーーーーはい!分かりました。…では、コレで失礼します。………さーて、お昼食べよ〜っと

 

…ピッと通信が切れた。最後に聞こえたノンビリとした声に苦笑しながらも、ニュウはジャックザリッパーの方を振り返って口を開く。

 

「ーーーーさて、帰りましょうか。」

頷くジャックザリッパー。

「そうだね♪……ところで今何時かな??」

 

 ニュウは、腕時計をチラリと見る。(…全身黒で固めている彼だが、腕時計だけは黒では無く、朝焼けの空の色の様な綺麗なグラデーションを持つ、透き通った青い時計だった。)

 

「12時15分前ですね。……12時過ぎには、()()に戻れるでしょう。」

「そっか♪…じゃ、早く帰ろう♪お腹すいちゃったよー。」

 

 ニュウの先に立って歩き始めるジャックザリッパー。ニュウは、その後を追って歩き出しーーーーーーーー

 

 

 

『──────────。』

 

 

 

「……ん?」

 

…ふと、何かが聞こえた気がして、彼は振り返った。

 

 

「…気のせいか。」

 

 

 しばらく耳を澄ましていた彼だったが、やがて小さく一回頭を振ると、ジャックザリッパーの後を追いかけ始める。

 

 

 そんな彼を北の空から、北極に咲く()()()()にして理外の象徴ーーー〈アメノミハシラ〉が見下ろしているのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

〔同日 同時刻〕

 

 

〔場所〕神聖国家〈ブリタニア〉

 

 

 

 

ーーーー大地に雄々しく立つ、機械のドラゴン。

 

 

 

…超弩級移動要塞都市にして、元連邦政府の3番艦〈神聖国家ブリタニア〉を初めて見た者は、皆そう口にする。

 

ーーーー確かに、その見た目は機械のドラゴンと形容するのが丁度いいだろう。

 

大地を踏む、巨大な機械の脚が4本。

 上から見ると都市全体がトカゲの様な形をしていて、真ん中には巨大な翼の様なモノがある。

 

ーーーー無論、飛ぶ為に作られたものではない。…その正体は、翼の形に作られた電力生産用の太陽光パネルである。翼の皮膜に当たる部分が、太陽光から電力を得る為の巨大な発電装置となり、〈ブリタニア〉で消費される電力を賄っているのだ。

 

 また、翼の外側のフレーム部分には、レーザー兵器などの対壊獣兵装が備わっており、都市を守る役割も果たしている。

 

 

 

ーーーーーーー見た目についての話はここまでにしておいて、次は〈ブリタニア〉という国の事について話そう。

 

 

 

〈神聖国家ブリタニア〉

 

 

ーーーーそれは、はるか昔よりこの星にあった由緒正しき国の名である。

 

 連邦政府が創設される前から存在し、大災害によって地上を放棄しなければいけなくなった後も、絶えず滅びずその名を受け継いできた。

 

 嘗て(1年半前)には連邦政府に加盟していたが、今では新人類に関する連邦政府との意見不一致から連邦を脱退し、新たに〈レシアル国〉・〈グローリー〉・〈ノストラキングダム〉・〈オーステルン(アステール)〉の4つの移動要塞都市と『5王国新人類同盟』を結んでいる。

 

ーーーーコレは、オークニーのロット王を筆頭に、新人類の再支配と旧連邦の解体を目指す〈11王国連合〉に対抗する為に結ばれた物だ。(…勿論、連邦政府に対抗する為でもある。)

 

 そんな『五王国新人類同盟』のリーダー的存在としても、ブリタニアは名を馳せていた。

 

 

 

 また、ブリタニアには国王である『アーサー』に忠誠を誓う〈円卓の騎士団〉と呼ばれる精鋭達の集まりが存在し、彼らが国防の一端を担っている。

 

…さらに、ブリタニアの護りはコレだけではない。

 

 この街には、〈聖杯システム〉と呼ばれる〔対壊獣用特殊兵装〕が存在しているのだ。

 それは、オーステルンの〔雷霆〕やグローリーの〔アナテマの雫〕と同じ、絶級にすら対応可能な必殺級の兵器である。

 

 

ーーーー円卓の騎士の名の元に集いし精鋭達、対壊獣用特殊兵装〈聖杯システム〉、この2つが今日までブリタニアを護っているのだ。

 

 

 

 


 

 

 

 

………そんなブリタニアの中心地、竜の胴体に当たる部分に建っている巨大な城の中で、()()は椅子に腰掛けていた。

 

 

 

「いやーー、弱体化したとはいえ、連邦も一筋縄じゃ無いダムスね〜。」

 

……小さな椅子に腰掛けているネオの隣で、大きいソファにダラッと座り込んでいる少女が声を上げる。少女が話すたびに、水色の混じったブロンドヘアの三つ編みが揺れた。

 

「ーーーーだけど、着実に私たちが勝利を積み重ねてる。…この1年半の間に、世界は確実に変わってきているわ。()()()()()()()だって、そう思ってるでしょ??」

 

 三つ編みの少女の呟きに、隣で姿勢を正して座り込んでいた赤髪の少女ーーーー〈レシアル国〉の王『ソロモン』が応えた。

 三つ編み少女改め、ノストラキングダムの()()恐怖の大王『ノストラダムス』が、ソロモンの声に頷きを返す。

 

「そうダムスね!ーーーー予言に従って、早めに連邦を裏切って良かったダムス〜♪」

 

 ニコニコしながら、ソファの上で体を揺らすノストラダムス。

 

「ははは……。」

 

ふと、彼女達のいる広い室内に明るい笑い声が響いた。

 笑いの主は、白い軍服に似た服を身につけた金髪の女性ーーーーブリタニアの王『アーサー』その人である。

 少し離れた所に座り込んでいた彼女は、笑いながらノストラダムスに話しかけた。

 

「ノストラダムスの大予言、か。…話には聞いていたが、君の予言は良く当たるそうだな?」

「そのとーりダムス!私の予言は、百発百中にして絶対ダムス!」

 

 ノストラダムスが、ドヤ顔で無い胸を張る。アーサーは微笑みながら話を続けた。

 

「君が予言の力で国を治めているらしいと聞いた時には、そんなものに頼って上手く(まつりごと)がいくものなのか、と若干疑っていたんだがな。……中々上手くやっている様で、感心しているよ。」

 

 アーサーの言葉に、ますますドヤるノストラダムス。…実際、彼女が治める要塞都市である〈ノストラキングダム〉は、彼女の予言のもとに回っている国である。

 

 それほど住民の多い移動要塞都市では無いが、ノストラダムスの予言の力に裏打ちされた、彼女への絶対的な信仰と忠誠心によって支えられている国なのだ。(ーーーーーーーと、ノストラダムスは思い込んでいるが、実際はちっこい彼女にマスコット要素を見出している変態(ロリコン)達の集いである事は内緒。)

 

 

「…そんなにドヤ顔で無い胸を張らなくても良くってよ、ノストラダムスさーん?」

 

ーーーーと、ココで別の声が、ノストラダムスの横から話に加わってきた。…若干煽り気味の声に、ノストラダムスがムスッとした顔になる。

 

「ちょっと()()()()〜!?胸弄りは止めるダムス〜!!ソッチだって無い癖にぃーー!」

 

 ノストラダムスにそう言われた薄緑の髪の少女ーーーーポラリスは、ネオの隣の席でティーカップから紅茶を飲みながら、ノストラダムスに向かって言い返した。

 

「貴方よりは()()わよ〜だ。」

 

 生意気全開でノストラダムスを煽るポラリスの後ろで、まるで執事か何か様に立っているスーツ姿の男が、嗜める様に口を開く。

 

「ーーーーやめとけってポラリス嬢。子供っぽい見た目だが、相手はあくまでも王様なんだぞ?」

「なんだろう……。フォローに見せかけて、私の事ディスってるダムス???」

「い、いや……そんなつもりは毛頭………。」

 

 プンとむくれてしまったノストラダムスを尻目に、ポラリスがスーツの男に向かって、空になったティーカップを差し出した。

 

「ねぇ、しもべ?ーーーーお茶が無くなっちゃったみたい。注ぎ足してくれる??」

「だから、俺はしもべじゃない…護衛だ…。」

 

 そうスーツ姿の男はブツブツと愚痴を言いながらも、カップを持って部屋から出て行った。…なんだかんだ言いつつも、彼女の言う事を聞いてしまう所が、彼がいつまで経っても()()()と呼ばれている所以なのだろうが、それは今は関係ない話である。

 

 

「…………。」

 

 女子4人が話をしている間、ネオは椅子に座ったまま何かを言う訳でも無く、ただ彼女達の話に耳を傾けていた。(…自分と比べれば、2人とも()()部類に入るなぁ……なんて考えを、一瞬抱いたのは内緒。)

 

ーーーーそもそも、まだ誰にも言っては無いが、ネオがこのアーサーの居城に来たのは、とある真剣な悩み事があったからである。

……別に今話してもいいのだが、何となくアーサーかソロモンのどちらかしか居ない時に話したくて、タイミングを見失っていたのだ。

 

(アーサーさんも、ソロモンさんも、王としての広い視野を持った凄い人。……だからきっと、私の悩みにも答えを導いてくれる筈…。)

 

そんな事をネオが思っている時だったーーーーーーーー

 

 

 

ビーーッ!!ビーーッ!!ビーーッ!!

 

 

 

「ーーーー?!」

「む……。」

「え、警報??」

 

 突然鳴り響き出した耳障りな警報に、アーサーとソロモンが同時に立ち上がった。

 

ネオも静かに立ち上がる。

 

 続いて、紅茶を注ぎに部屋から出ていった筈のポラリスの護衛(しもべ)が慌ただしく戻ってきた。

 

 

()()壊獣(ノーマン)だ!壊獣(ノーマン)が出たぞ!!」

 

 

ーーーー戻ってくるなり、そう声を上げる護衛(しもべ)の男。ソロモンが顔を曇らせる。

 

「…また??ーーーー昨日も、ノーマンの大群が襲来してきたばっかりなのに……。」

 

アーサーも、困った様な顔を浮かべて頷いた。

 

「……弱ったな。ーーーー防衛兵器は半数が昨日の戦闘で破損して、修理中だ。残る半数で迎撃出来るといいが……。ちょっと待っててくれ。」

 

そう言って、アーサーは誰かと連絡を取り始める。

 

「ーーーー聞こえるか??ーーーーああ、そうだ。ーーーー分かってる。壊獣の数は?ーーーー…なるほどな。」

 

 アーサーが誰かと話し合っている後ろで、ノストラダムスが眉を顰めて呟いた。

「どうも最近、壊獣達の活動が活発ダムス。……もしかして、これは何かの前兆ダムス……??」

 

 むむむ…と首を捻っている彼女を横目に、ネオは歩き出す。

 

「ネオ?何処へ行くの??」

 

ソロモンの問いに、ネオは振り返って答えた。

 

「壊獣を倒しに。……なんとなくだけど、沢山の気配を感じる。昨日より、数が多いかも。」

 

 その声を聞いたアーサーが、少し驚いた様に口を開いた。

 

「…!外の見えない城の中から、数まで分かるのか…。ーーーーだが、その通りだ。……昨日の襲撃より数が多いと、副艦長の『エクスカリバー』が言っていたよ。」

 

その声に、ネオは小さく納得の頷きを返した。

 

「やっぱり。ーーーーじゃあ、私も行く。……大丈夫。なんとかしてみせるよ。」

 

ーーーー1人で大丈夫なのか…と、不安げな顔を浮かべている彼女達に、ネオは安心させる様に声を掛けると、部屋から出て行ったーーーーーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

ーーーー広々と広がる深い青を湛えた空。

 

 

 ブリタニアの外縁部まで走り出てきたネオは、その空に浮かぶ無数の黒い異形達を目に捉えた。

 

…既に迎撃兵器による砲撃が始まっており、あちこちで起きた派手な爆発が空を彩っている。

 

ーーーーこの防衛戦にはブリタニアだけではなく、ソロモンが艦長()を務める超弩級移動要塞都市〈レシアル〉も参加していた。というのも、ブリタニアとレシアルは今同じ場所に居るのである。(ーーーーだから、ソロモンがアーサーの城に居た、という訳だ。)

 

 

「……良し。行こう。」

 

 空を見上げて、ネオは小さく呟く。そして、片手にセラムキューブを展開。ーーーー続いて空いた方の手で、白いコートから球形のカメラを取り出す。

 

 カメラの電源を入れると、それはまるで光を湛えた瞳の様に輝き、フワリと浮かび上がった。カメラと言うよりは、ドローンの様だ。

 

……自分の側に浮かび上がった状態で静止したドローンに向かって、ネオは声を掛ける。

 

「ーーーー()()()()?起きてる??」

 

 すると、ドローンが突然生きているかの様に動き出した。

 

「はいはいはいはーーい。起きてますよ♪どんな御用ですか〜?」

 

 そんな声が、ドローンの中から聞こえて来る。ネオは空を見上げたまま要件を告げた。

 

「ブリタニアの防衛兵装にアクセスして、〈シールドン〉を幾つか制御してくれる?…空中戦の足場にしたい。」

 

ドローンが機体全体を使って頷いた。

 

「了解。ーーーーこれより、シールドンにアクセスします。よいしょ〜♪」

 

 

 その声が終わるや否や、ネオの側に飛行する巨大な盾ーーーー壊獣の攻撃から都市部を守る為の自立稼働型兵器である、〈シールドン〉が飛んで来た。

 

それに足を乗せ、ネオはセラムキューブを空に翳す。

 

 

「ーーーーリバース・モード…ON。」

 

 

 セラムキューブが光り輝き、ネオの背後の空間に巨大な穴が空いた。

その奥から、ゆっくりと巨大な大剣ーーーー霊柩ノ大剣(コフィン・ブレード)が迫り上がって来る。

 

 その柄を握って虚空より刀身を引き抜くと、ブンッ…と音を立ててネオの体を光が包み込んだ。

 

…リバースモードの超越的身体能力の源たる《パワーオーラ》である。

 

 湧き上がる光に包まれながら、ネオは空に浮かび上がっていくシールドンの上で、自らの能力を行使する。

 

 

火葬ノ剣(クリメイション・ソード)鳥葬ノ槍(スカイ・ブリアル・スピア)葬送ノ太刀(ヒューネラル・ロングソード)。」

 

 

 朗々たる詠唱の様にも聞こえる声の後に、次々とネオの周りに武器が現れては、彼女の周りを回りだした。

 

ーーーーーーーー詠唱は止まらない。

 

 

亡骸ノ細剣(コープス・レイピア)墓石ノ斧(グレイブ・ストーン・アックス)。……全武装顕現(オールウェポン・マニフェステイション)。」

 

……回る武器の輪の中心で、最後にネオは霊柩ノ大剣(コフィン・ブレード)を掲げ持った。

 

 

 次の瞬間、全てのノーマンがネオの方を向く。…まるで、その存在を無視出来ないとでも言うかの様にーーーーーーーー。

 

 

 注がれる異形達の見えざる視線を、逆に睨み返してネオは声を上げた。

 

 

 

「ストライクショット:オラクル・アナンシエイション。」

 

 

 

 瞬間、ネオの周りを回る武器達が荘厳なる光を帯び、凄まじい勢いで射出されていった。

 

ーーーー空を逆向きに飛んでいく流星の様に、七色の光の尾を引いて武器が飛んで行く。

 

真夏の空に次々と生じていく爆発の閃光。

 

 音速を超える勢いで放たれしネオの武器が、まるで意思を持っているかの如く、ノーマンを追尾しては斬り倒していくのだ。

 

 もちろん、ノーマンもただやられている訳では無い。ネオに向かって、物量を生かした飽和攻撃を仕掛けて来る。

 

……しかし、ネオが飛ばさずに手元に残しておいた霊柩ノ大剣(コフィン・ブレード)によって、悉く裁かれていた。

 

 

ーーーー迫る誘導弾(ホーミング)を大剣で弾き飛ばし、レーザー光線の雨を潜り抜け、無数の拡散弾を躱しながら、ネオはシールドンを足場に空を駆ける。

 

「ふん。」

「ーーーーキュオォン!?」

 

…時折、ノーマンをすれ違いざまに斬り伏せながら、彼女は戦闘を続けていく。乱れ飛ぶノーマンの攻撃と、射出した武器の軌跡、そして防衛兵器による砲撃の閃光が彩る空を、彼女は渡り歩いていた。

 

 

『ウォォーーーーーーン………』

 

 

ーーーーと、ココでネオの前に一際大きいノーマンが姿を現す。

…他の個体とは違い、まるでエイの様な巨体を持つノーマンーーーー所謂、五ツ星級ノーマンである。

 

「五ツ星級…!」

 

 ネオは、シールドンの上で構えをとった。…流石に五ツ星級となると、1人では厳しいかもしれない。

 

…そう、1()()()()()

 

 

ーーーータタタタタタァンッ!!!

 

 

背後から、銃声が連続して鳴り響く。

 そして、五ツ星級ノーマンの身体に幾つもの弾痕が刻まれた。

 

『オォーーーーン…!?』

 

 倒しは出来ないものの、怯ませる事には成功した様だ。ノーマンが鳴き声を上げて少し後ろに退がる。

 

それに入れ替わる様に、ネオの横に薄緑の髪が現れた。

 

……先程まで、ネオの側で紅茶を飲んでいた少女ーーーーポラリスである。

 

「やっほ〜♪手伝いに来たわよ。」

 

 ネオと同じく〈シールドン〉を足場にして空を飛ぶポラリスに、ネオは軽く目を向けて頷いた。

 

「ーーーーありがとう。」

「どういたしまして。」

 

 ポラリスはニコッと笑って、ネオの隣にシールドンを横付けした。その手には、一挺のレーザー銃が握られている。

 

 それを構えて、ポラリスは自慢気にネオに声をかけた。

 

「…五ツ星級は手強いからね〜。でも、私が来たからにはもう大丈夫よ♪ーーーーチャチャっと片付けちゃうんだから!」

 

 そう言ってから、ポラリスは構えた銃の引き金を引く。

 閃光と共に放たれたのは、輝く星屑の欠片の様な銃弾だった。

 

ーーーー次々と五ツ星級ノーマンの身体に命中し、穴を穿っていく流星の様な弾丸。

 

『ウォォーーーーーーン…!』

 

銃撃を体に受けながら、ノーマンが吠える。

 

 そして、ノーマンの体が光り輝いた。……更にバチバチとスパークが散る音が聞こえだす。

 

「電撃ーーーーいや、放電!!」

 

 ネオは、素早くシールドンを蹴ってその場から飛び退いた。ポラリスも同じ様に飛び退く。

 

ーーーー次の瞬間、ノーマンの全身から凄まじい電流が迸り、周囲の大気を灼いた。

 

 さっきまで2人が立っていたシールドンが、放電に呑み込まれて爆発を起こし、落下していく。

 

「…危なかった。」

 

 空に創った円形の足場に着地したネオは、煙の尾を引きながら落ちていくシールドンを見ながら、そっと呟いた。

 

 一方のポラリスは、別のシールドンにとび乗って事なきことを得た様だ。

 

「伝わる電撃…厄介ね。」

 

ポラリスの呟きに、ネオは頷く。

 

「うん。ーーーー近付かず、遠距離から倒そう。」

「了解!ーーーーなら、私の出番よね♪」

 

 ポラリスはそう言って、銃を構えた。ーーーーその銃口に光が宿るのを見ながら、ネオは手を動かす。

 すると、空を飛び回りながらノーマンを貫いていた武器達が、グルリと急旋回して五ツ星級ノーマンに向かって飛んで来た。

 

前後左右から迫る武器達。

 

『フォォオォンッ!』

 

 五ツ星級ノーマンは、巨大な体を回転させてネオの武器達を薙ぎ払った。

 

ーーーー弾き飛ばされた武器が、空に散っていく。……だが、これで良い。

 

 

「さーて、いくわよーーーー!!!」

 

 

武器の投擲攻撃は、ただの陽動。

 

ーーーー本命は、ポラリスの一撃だ。

 

銀河の様に光が渦巻く銃を構え、ポラリスは叫ぶ。

 

 

「ーーーー星屑のトゥインクル・ストライク!!!」

 

 

 無数の流れ星を束ねた様な光り輝く銃弾が、ポラリスの構えた銃口から放たれた。

 ソレは空を飛ぶにつれて分裂し、光り輝く雨の様になってノーマンに襲い掛かる。

 

『ウォォーーーーーーンッッッ?!?!』

 

 次々と体を流星に撃ち抜かれ、苦悶の咆哮を上げるノーマン。

 

 更に追い討ちで、ネオが一旦は弾き飛ばされた筈の武器達をもう一度ノーマンに向けて放った。

 

 

 こうして、銃弾と刀剣に体をズタズタにされたノーマンは、星のセラムを噴き出しながらド派手な大爆発を引き起こすのだったーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

「……凄いわね。」

 

ココは、アーサーの城のバルコニー。

 

 そこからネオとポラリスの戦いを見ていたソロモンは、五ツ星級ノーマンの爆発を見ながら、静かに呟いた。

隣に居るアーサーが頷く。

 

「あぁ。方や、世界最強と言っても過言では無い〈覚醒新人類〉。方や、〈()()()()()()〉が一目置く程の強力な力を秘めた新人類だ。……私はもう驚かなくなってきたよ。」

 

空を見上げながら、少し呆れた様に話すアーサー。

 

 

ーーーー2人の見上げる空の上で、壊獣達との戦いは続いていくのだった………。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 一年半前、オーステルンとグローリーの戦争終戦後、各地で新人類達の蜂起が起きた。

 

 

 これを受けてイースターは、各地で起こる混乱をコントロールし、連邦を打倒するための緩やかな共同戦線を構築する為、各地から名のある新人類達を募った。

 

 

 掲げられたイースターの名の元に集いし、世界各地の強力な新人類達。

 

 

 それをイースターは纏め上げ、世界規模の〈対連邦政府新人類共同戦線〉を創り上げた。

 

 

 世界各地に散らばり、連邦政府及び新人類弾圧を押し進める旧人類達に対抗する為の、新人類達の武装集団。

 

 

 イースターを前身とする()()の事を、人々はこう呼んだ。

 

 

 

〈スターダスト〉ーーーーと。

 

 

 







新キャラ登場祭りの会場はココです()

…大丈夫かコレ?この章の次は最終章なんだケド??登場人物増やしてどうすんの???

てか、7章は〈幽世(ゴースト)編〉の名が示す通り、バサラさんに焦点を置いた話なんだけどね…バサラさん出てきて無いね()

まぁ…ちょっと今回と次回の話は、一年半の間にイースターの皆んなの状況がどう変わったかーーーーってのに焦点を当てるつもりです。原作改変止まんねぇなコレ…。

なので、次回バサラさんが出てくる筈…!頼んだぞ、未来の私…!!

では、また次回!( ´ ▽ ` )ノ
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