短いです。
ーーーーまた、逢えたら良いなって、ずっと想ってた。
そんな日なんて、訪れる訳が無いのに。
…でも、まさかこの願いにも近い想いが、叶う時が来るなんて夢にも思っていなかった。
…惜しむらくはただ一つ。
ーーーー『敵』として出逢ったという事だった。
◇◆◇
「暁…ッ!!」
ーーーーハレルヤの慟哭にも近い声が木霊する。
揺らめく霊体の様な少年ーーーー暁は答えない。
「あぁ。ーーーー彼は喋れないよ。」
深町が思い出したかの様にハレルヤに説明し始めた。
「さっきも言った通り、彼の魂だけをセラムの中から引っ張り出すには、まだ〈
深町が笑みを深めると、暁が一歩足を踏み出した。
動くたびに、彼の輪郭はぼやけ、何か違う物が見えて来る。
ーーーー例えばそれは犬であったり、暁ではない別人の姿だったりした。
「もっとも、メインーーーー魂の主導権は暁だ。連邦の研究により、君達が振るうセラムの力は、魂に結びつく物であるという事が明らかになっている。…だから、」
深町が指を鳴らした。
次の瞬間、ハレルヤとキラリを不可解な圧力が襲う。
「きゃッ?」
「ーーーー重力…ッ!!」
地面に膝をつく2人。ーーーー見ると、暁が此方に手を伸ばしていた。深町が自慢げに口を開く。
「ーーーー彼の生前の能力は、問題無く使える。…最高だ。
ーーーーと、ここでハレルヤが鬼気迫る表情で叫んだ。
「深町ぃぃ!!」
重力の頸木に捕らえられながらも、彼は起き上がってセラムキューブを展開する。
「もう、これ以上……死者の魂を侮辱するなぁぁぁッッッ!!!!」
放たれたのは、一条のレーザー。
ーーーー光の速さで深町に迫ったレーザーを、直前で暁の霊体が防ぐ。
いつの間にか、暁の霊体は巨大な鎌を持っていた。…そしてその鎌で、レーザーを左右に切り裂いて防いだのだ。
「死人に口なし、だよハレルヤ!ーーーー私にとってみれば、今のこの状態の〈
レーザーを防ぎ切った暁が、一気に地面を蹴って加速する。ーーーー狙いはハレルヤ。
「ッ…!!」
ハレルヤは、右手に顕現させたガントレットで鎌の一撃を受け止める。
『ーーーー。』
「くっ……。」
ーーーー鎌を止める事には成功したが、鋭い蹴りを腹に叩き込まれた。
ハレルヤは地面を転がる。ーーーーそして、起きあがろうとした瞬間、真上に吹き飛ばされた。
「ぐっ?!」
ーーーー暁が、真上に向かう重力を発生させたのだ。
「…そういえば、そんな事も出来てたんだったな…!」
上に落ちながら、ハレルヤは苦い顔で呟く。そして、足の裏から水のエネルギーを放出すると、空中で体勢を立て直した。
そこに暁が突っ込んでくる。自らの体に重力の力を宿し、あらゆる方向に重力をかける事で、擬似的な飛行能力を得ているのだ。
フォン、と振るわれる鎌がハレルヤのガントレットとぶつかって、火花が散る。
そのまま、両者は空中で互いに攻撃を交わし合った。
ーーーー火花と水飛沫が宙に次々と舞って、キラキラと輝く。
そしてその真下では、キラリが深町と向かい合っていた。
「……さて、彼と暁の戦いを見ていたい所だが、そうも行かない様だな。」
深町がキラリに目を向けた。ーーーー既に、彼女はセラムキューブを変化させた翠の矢を弓につがえ、彼に狙いを定めている。
「貴方の計画は全て止めさせてもらいます。…大日本帝国の復活から、星の花の分体の力を利用した衛星兵器〈
深町は尚も不敵に微笑んだ。
「やって見せると良い。ーーーーココで終わるつもりは無いがな。」
ーーーーザッ、と深町とキラリの間に、銀色の鎧に身を包んだ兵士らしき人影が割り込んでくる。
そして彼らは、各々が片手にセラムキューブを展開した。ーーーーただの兵士では無く、新人類の様だ。
「…〈養殖
キラリを舐め切った態度で曰う深町に、キラリは鋭く言葉を返した。
「…あんまり私を下に見てると、足元掬いますよ。」
「ふふふふ……。どうかな??」
深町が不敵に笑ったと同時に、周囲の兵士達が一斉にキラリに殺到するのだったーーーーーーー。
◇◆◇
ハレルヤ達が戦いを始めた頃、バサラはコクウと睨み合っていた。
ここは、前までコクウ達と話し合っていた建物の外。白石が引かれた、神社の境内の様な場所だ。
ーーーーその中心で、2人は臨戦体勢で向かい合っている。
そして、ぐるりと周囲を
「一対一…。助太刀は無し、だ。良いな?」
コクウの問いにバサラは頷いた。
「あぁ。」
彼が抜いた斬魔刀ヴァジュラの刃が、キラリと煌めく。
それを一瞥したコクウが、彼を睨んだ。
「…バサラ。お前はまだ、その刀で誰かを殺し、幸せの形を奪っているのか?」
試す様な問いかけに、バサラは微かに首を振る。
「ーーーーいや。あの日から、俺は人を斬らないって決めてたんだ。それを破った事はねぇ。正直、あの時のお前の言葉をずっと恐れてたのさ……。」
ーーーー独白の様なバサラの呟きが、そっと木霊する。
「ーーーーそうだ。俺は怖かった。自分が力を振るう事は、誰かを殺すと言う事であり、殺すと言う事は幸せを奪う事なんだと、お前に言われたあの日から俺は怖くなった。」
バサラは片手にセラムキューブ、片手に斬魔刀ヴァジュラを握ったまま、そっと歩き出す。
「そして、イースターとして仲間を率いて戦う選択をした自分に、矛盾も抱えていた。…『自分は人から幸せを奪いたく無いから、戦いません。でも、皆んなは戦って下さい。』ーーーーなんて、ただの自己中じゃないか。」
彼はセラムキューブと斬魔刀ヴァジュラを、そっと交差させる。すると、セラムキューブの持つ火の属性エネルギーが刃を伝い、斬魔刀ヴァジュラが赤く輝き出した。
「……でも、俺は今、覚悟を決めたよ。自分の大事な大事な人達の幸せ……それが一番大事な事なんだって、
…バサラはチラリとアミダの方を見た。おそらく、ここには居ないニュウやネオ含めた、イースター全員の事も連想したに違いない、とアミダは感じ取る。
「ーーーーだから、ソレを守ることが出来るなら、何だってする。人殺しが幸せの剥奪ならば、何処までもその罪禍を背負って生きる。己の罪が運命に裁かれる、その日まで。」
不退転の意思を込めた瞳で口を開いたバサラは、次の瞬間、真っ赤に熱したヴァジュラを握り締めて砕き割った。
バキィン……!!ーーーーと音を立てて砕ける斬魔刀ヴァジュラ。そして、彼のセラムキューブがヴァジュラの代わりに、真っ赤な刀身を持つ太刀となって彼の手に収まる。
「ーーーーお前と向き合う事になった事を、今は感謝してる。……俺なりの覚悟って奴が、やっと定まったからな。俺は戦うぞ、コクウ。……誰かを傷つける事になる事ぐらい、分かり切ってる。その責任ーーーー罪を背負って、守るべき人の為に戦うんだ。大事な奴らが傷つかない様にする為に。」
それは嘗てのコクウの言葉に対する、バサラの答えだった。
「ーーーー大層御立派な覚悟だ。…だが、そんな覚悟しなくたって生きていける様になるんだぞ??
コクウも、バサラに向かって歩み寄りながら口を開く。
「死が無くなれば、誰も悲しまない。傷付かない。罪も生まれない。…素晴らしき世界の幕開けだ。」
2人は互いの目と鼻の先まで歩み寄って、顔と顔を突き合わせた。
「死があるからこそ、幸せは大きくなるんだ。死なせたくない、生きてて欲しい。ーーーーそんな願いが力を与え、刹那の瞬間にすら幸福を与えてくれるんだ。俺はそう信じる。」
バサラがそう言い放つ。
コクウが彼を睨んだ。
「なら、そんな刹那の幸福を他人から奪う選択をしたお前は、実に愚かな大罪人じゃないか。」
「もう言っただろ。……その罪は、全部背負うって。世界中から石を投げられる事になっても、俺は投げ返さない。ソレが覚悟だ。」
「ーーーー利己的で偽善的な思想だな。」
「ーーーーあぁ、言い返しはしない。そう思う奴らがいるのも、承知の上だ。」
「そうか。馬鹿馬鹿しい……。」
両者は口を噤む。
言葉はもう、要らない。
次の瞬間、大勢の人々が見守る中で両者は遂に激突したーーーー
キリの良いところで切った方が、モチベが次回まで持つ事に気付いた。…その代わり、短くなっちゃうけどねぇ……
バサラさんの話はテーマ自体が拗れまくってる気がするので、果たしてちゃんと筋の通った話を書けているのか。ーーーーそこが最大の疑問。