ギャッッ!!!ーーーーと白石の引かれた地面を蹴って、バサラがコクウへ突進する。そして、勢い良く真紅の太刀を振り抜いた。
空間に赤い残像を描きながら振るわれた刃を避けるコクウ。
二の太刀、三の太刀とバサラが連撃を叩き込むが、コクウは全て避け切っていた。
そして、自らのセラムキューブから作り出した一挺の銃をバサラに向け、容赦なく引き金を引く。
ーーーー銃声。
大気を裂いて放たれた闇色の属性弾は、バサラの太刀で斬り落とされた。
バサラが大地を更に蹴り、加速していく。
目にも止まらぬ速度でコクウへ接近したバサラは、太刀の峰をコクウの肩目掛けて振り下ろした。
しかしその動きを読んでいたコクウにスレスレで回避され、入れ替わりとなる様に鋭いストレートが飛んでくる。
「ーーーー殴ってくるって、知ってるぜ!」
ーーーーが、その動きを読んでいたバサラによって、コクウの拳は受け止められた。
そしてそのまま、彼はコクウに背負い投げを決めるーーーー
「…お前は、そう来るだろうな。」
ーーーーが、ソレもまた読んでいたコクウは、投げられた空中で体勢を素早く立て直し、地面にフワリと着地した。
しかしソレすら読んでいたバサラに、着地側の足に足払いをかけられる。
蹴りを腕で防ぐバサラ。
そして、両者は一旦距離を取って睨み合いに戻った。
離れたところで固唾を呑みながら見守っていたアミダは、一連の攻防に驚愕を隠せない。
(……凄い…。お互いが、互いの行動を完璧なまでに理解している…!ーーーーまるで、予め行動が決められた組手みたい…っ!)
もしも2人が争わず、手を組んで共闘したのなら、世界の誰よりも優れたコンビネーションになるのではないかーーーーとまでアミダは思った。
「……変わらないもんだな。意外と。」
アミダの前で、バサラと向かい合うコクウが口を開く。
「ーーーー嘗てのお前は強かった。そして今でも、全く変わらず強いままだ。」
「…そいつはどうも。」
軽く言葉を交わしたバサラの前で、コクウは姿勢を正す。
「だが、人が最も強くなる時は己の信念を成そうとしている時だ。ーーーーそして今、今こそが俺の信念が試される時!ならば、ココでお前に負ける事は許されない!!」
そうコクウが叫ぶと同時に、
(ーーーー?!あの光は……星のセラム?!)
一瞬考えて、アミダは気付くーーーーアレは、星のセラムの光だ。
その光は、コクウの叫びに呼応する様にコクウの周りに纏わりつくと、その形を変える。
ーーーーーーー光が揺らいで、何本もの腕に変わっていく。更に光は輝きを増し、その中から頭の無い巨人の様な姿が、迫り上がってきた。
「……コレはーーーー」
バサラが無頭多腕の巨人を見上げて、驚いた様に呟く。コクウが巨人の足元で、解説するかの様に口を開いた。
「…星のセラムは、生物の魂の坩堝。そして俺たちが操るセラムの力も、星から与えられたとはいえ、自らの魂に根付いた力だ。セラムとセラムの力の原理は、同じ魂由来の物。ーーーーつまり、
喋るコクウの後ろで、巨人が戦闘体勢をとる。…無数の腕が、異なる構えでバサラを狙った。
「ーーーー俺は
コクウは巨人の足元で話を続ける。
「その星のセラムを、俺が操って実体化させたのが、この巨人ーーーー《死神如来》なんだよ。」
コクウの言葉が終わると同時に、巨人改め《死神如来》が威圧する様に腕を広げた。
ビリビリと、押し潰す様な威圧感を感じながらも、バサラは頭の中で理屈を理解しようと頭を回す。
(ーーーーつまり…話に聞いた天聖ケテルと似た様な事やってるって訳か…??)
バサラは直接対峙した訳では無かったが、ネオやニュウからケテルの話は聞いていた。
聞くところによると、ケテルは星のセラムを操って、《星の腕》と呼ばれる攻撃をしてきたとか。
(ケテルがセラムから腕を創った様に、この巨人もコクウの力によって、セラムから創造された存在って事か。改めて、なんでもアリだな〈星のセラム〉って…!)
そう、誰に対してでも無く愚痴るバサラ。
そんなバサラ目掛けて、死神如来が攻撃を開始する。
腕の数を活かした、単純な連続
ーーーーーーーーズドドドドドドッッッ!!!!
ーーーー迫り来る拳を避け、砕かれた石が飛び散る中を駆けるバサラ。攻撃が幾重にも重なって迫り来るので、コクウに近づくことすら出来ない。
「てめ……!腕が多すぎんだよ!!減らせ!!」
叫びながら、バサラは真紅の太刀を振るう。
宙に真紅の残像を描いた刃が、死神如来の腕を何本か纏めて切り裂いた。ーーーー切り落とされた腕は、その場でパッと星屑の欠片の様になって消滅する。
生まれた一瞬の隙を突いて、バサラはコクウに向かって駆け出した。ーーーーコクウが放ってくる弾丸を全て斬り飛ばし、一気に彼に肉薄する。
「無駄だ!」
しかし、太刀がコクウを捉える前に死神如来の手によって、バサラはコクウから引き離された。更に、そのまま大地に勢い良く叩きつけられる。
「ぐっっ!」
白石の上をバウンドして転がるバサラ。
起き上がった彼の前で、死神如来が自らの力を誇示しているかの如く、腕を広げた。
ソレを睨み付けながら、バサラは小さく呟く。
「厄介なモンを編み出したもんだな、コクウ。」
「……新たな世界を望む力だバサラ。受け入れろ。」
コクウの声と共に、死神如来がバサラに攻撃を再開した。再び迫り来る、幾本もの剛腕。
「ーーーー断る。」
バサラが真紅の太刀を構え、一気に振り抜いた。ーーーー勢い良く鞘から抜く様なフォーム。
『ーーーーーーーー居合:火ノ鳥』
ドンッッッ、と死神如来の腕が斬り飛ばされる。
バサラが放った音速の居合斬りが、迫り来る剛腕を一刀の下に斬り伏せたのだ。
そのまま、バサラは左手をコクウに向けて突き出す。
『ーーーーソリッド・バレット』
左手に生じた火が、15発の燃ゆる弾丸に変わってコクウに飛翔した。
「そんなモノをっ!」
しかし、その弾丸は死神如来のまだ残っている腕で防がれる。
ーーーー立ち籠める粉塵。
それを割って、死神如来の拳がバサラに迫る。
残り2本になったその拳を、太刀の刃で受け止めるバサラ。
凄まじい火花が飛び散り、発生した衝撃波がアミダ達を揺らした。
「わっ?!」
腕で顔を庇うアミダ。ーーーー周りの
(…なんて強い衝撃波…!これ、みんな吹き飛ばされちゃうんじゃーーーーーーーあれ???)
細目を開けながら、波動が吹き荒れる周囲を見渡して、ふとアミダは疑問を抱いた。
「ウンエントリヒは何処……??」
ーーーーいつの間にか、
そして、アミダは
「………!」
何となく嫌な予感がして、アミダはそっと
(……わ、ワンチャン、このまま
アミダはそう思いながら、大きな寺院の様な建物の中へスルリと入り込んだ。…警備の姿すらない。本当に、このまま
しかし、たとえこのまま壊せそうだったとしても、バサラとコクウの一騎打ちの結果をしっかりと見てからにしよう…とアミダは決めていた。
せっかくバサラが長年の思いを背に戦っているのだ。……此処でバサラの戦いの結末を待たずに
「……さて……入ったは良いけど……ーーーー!!」
入るや否や、アミダの目は
アミダに気付いていたのか、此方に顔を向けていた。…背後には、女性の顔をモニターに映したロボットが一機。…機体から何本も伸びるコードが、ウンエントリヒを守る様に蠢く。
「やはり此処に来たか。……
ウンエントリヒの声に、アミダは首を振った。
「ううん。アナタが居ないのを不審に思ってきただけだよ。…私は、表で戦っているバサラさんの思いを、今は尊重したい。だから、無用な手出しはしない。」
「ほぅ…。」
……ウンエントリヒが軽く微笑んだ気がした。多分気のせいだろう。
「そうか。では聞くが、
「……そうなったら、私があの人に代わって
ウンエントリヒが微かに背後のロボットへ目を向けた。そして、再び彼は口を開く。
「それは、永遠に彼と別れねばならないという事を指す。………死によって、だ。それは絶望なのではないか??…折角、此処に
アミダは一瞬だけ建物の扉の方に目をやって、直ぐにウンエントリヒに視線を戻す。
「そりゃ、そうなったら悲しいよ私。…でも私、絶望するのはキライなんだ。それにーーーーバサラさんは勝つしね。」
確信が込もったアミダの声。彼女の胸がムン、と張られる。
しかし、ウンエントリヒは静かに首を振った。ーーーーそして、驚愕の一言を放つ。
「無意味だ。ーーーー彼等は全員、此処で死ぬ定めなのだよ。」
「………へ?なんて?」
思わず聞き返してしまうアミダ。
「……
冷たいウンエントリヒの声。アミダはサッと戦闘体勢を取った。ーーーー彼は、何かをするつもりなのだ。
「…何企んでるの!」
アミダの気迫の篭った叫びに、ウンエントリヒは淡々と答える。
「……元を辿れば、
アミダの中で、嫌な予感がマックスになった。
「ーーーー星瘴気動力利用型衛星兵器〈
アミダの背後の外が、突然明るくなった。
「狙いはココさ。ーーーーさようなら、アミダ。」
そんな彼の声と共に、
此処で話を切るんかって感じだけど、赦してください。オネガイシマス。
本当はバサラさんの式神-金剛-も、何らかの形にしたかったけど結局コクウの死神如来だけになりました。
……後書きって、いざ書くとなると何書けば良いか分かんなくなる。で、後になって『アレ書けば良かったなぁ〜』ってなるのが自分あるある。
ほな、また次回。
( ´ ▽ ` )ノ