モンスターストライク 〜星ノ呼ビ聲〜   作:犬社長

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97話〈VSアストラル〉

 

 

 

 

「ーーーーアストラル、だと?……また連邦の刺客か。」

 

 

 

 揺らめく炎の中、コクウが自己紹介を終えたであろうアストラルに向かって、一歩足を踏み出した。

 

 そして、微かに笑みを浮かべている彼女に銃を突き付ける。

 

「誰が来ようが、帰魂(リボーン)は渡さない。立ち塞がるのなら、死ね。」

 

 アストラルは、既に四機のオスプレイによって空中に吊り下げられている状態の帰魂(リボーン)を、チラリと見る。

 

「無駄よ。もう諦めなさいな。勝負は着いたようなものよ。…貴方一人では、私たちを止められないわ。」

 

コクウは肩を竦めた。

 

「やってみせるさ。……今までも、俺は独りで生きてきた。これからも、な。」

「ふふ…。可哀想な一匹狼ね。」

 

そうアストラルは呟くと、杖を掲げる。

 次の瞬間、空中に吊り下げられている帰魂(リボーン)が動き出した。…歯車が激しく回転して、機械の中心にある人1人分が入れる大きさのガラスの筒が、光で満ちる。

 

「?!…帰魂(リボーン)が動いただと…!」

 

驚くコクウに、アストラルが微笑みながら喋りかける。

 

「…私にはね。どうしても蘇らせたい家族が居るの。ーーーー今の状態で蘇らせても、いろんな魂が混ざっちゃって不完全な存在になるんだけど、共に戦える力を持って蘇るのなら、逆に今の方が良いのよねぇ。」

「貴様…!」

 

 コクウがアストラルを睨みつけた。一方、アミダは素早く帰魂(リボーン)にブレードを変化させた銃を向けると、引き金を引く。

 

 帰魂(リボーン)を破壊する為に放たれた一撃。…しかしその弾丸は、帰魂(リボーン)から()()()()()()()の手によって止められた。

 

「…!ーーーー止められた?!」

 

 歯噛みするアミダの前に、ズシンと巨大な霊体が舞い降りる。

 

 それは、巨人だった。死神如来程ではないが、十分大きい。唇の無い食いしばった歯が剥き出しになった口と、頭から後ろ向きに角が何本も伸びている。

 

巨人の悪魔。……そんな印象をアミダは抱いた。

 

「ああ!アスター!!私の可愛いアスター!!ーーーー素晴らしいわ!なんて恐ろしくて美しい姿なんでしょう!!」

 

 現れた悪魔を見上げて、アストラルが恍惚とした表情を浮かべながら叫ぶ。

 その声に応えるように、アスターと呼ばれた巨大な悪魔が両手を広げて、燃える夜空に咆哮した。

 

「アスター…?」

 

 アミダの呟きに、アストラルは嗤いながら狂喜に満ちた声を張り上げる。

 

「その通りよ!ーーーー彼は、私の可愛い可愛い弟なの!!昔、壊獣に殺されちゃったけど、今遂に黄泉帰(よみがえ)ったわ!!新たな力を手に入れてッ!!!」

 

 周囲にアストラルの叫びが木霊した瞬間、悪魔改めアスターがコチラに手を翳して来た。

 

鋭い爪の付いた異形じみた手に、真紅の光が宿る。

 そして、その光は無数の弾丸に変わって、アミダとコクウに降り注いだ。

 

「ソリッドバレット?!ーーーーやばっ!!」

 

 素早く身を翻して距離を取るアミダ。コクウも、飛んでくる弾丸を自分の攻撃で相殺しながら、アスターから距離を取る。

 

「さあ!!まだまだこれからよ、アスター!!お姉ちゃんと一緒に、私達の敵を滅ぼしましょう!!」

 

 そう叫んだアストラルが、アスターを率いてアミダ達に突撃してくる。

 

「厄介な……死神如来さえ有ればーーーー」

 

苦々しく呟くコクウ。

 迫るアスターが、コチラに向かって口を開けた。ーーーーその喉元から、光が迫り上がってくる。

 

「レーザー!!」

 

 アミダがそう叫んだ瞬間、アスターの口からブレスのような極大のレーザーが放たれ、周りの建物を木っ端微塵に消し飛ばす。

 

「この…!」

 

 レーザーを回避したアミダは、アスターを止めるべく走り出した。コクウもまた、別の方角からアスター目掛けて走り出す。

 

異なる方向から迫る2人を迎え撃つアスター。

 

『ウオオオオオ!!!!』

 

ーーーー獣のような咆哮が轟き、アスターの異形じみた手が2人を弾き飛ばさんと振るわれる。

 

「ふっ!」

「しっ!」

 

振るわれた手を、其々回避するアミダとコクウ。

 そして、アミダはインフィニティブレードをアスターに叩き付けた。

 

「おりゃあ!!」

 

ーーーーガキィンッッ!!

 

 火花と共に、アスターの拳とアミダのブレードが鍔迫り合いを始める。そんな2人を巻き込む様に、コクウが両手に携えた銃から闇色の弾丸を放って来た。

 

「きゃっ!?」

 

 アスターの体の側面をコクウの銃弾が穿ち、アミダにも銃弾が襲いかかってくる。

 咄嗟に彼女は飛び退って避けたが、肩を1発射抜かれてしまった。

 

「ぐっ!」

 

 肩を押さえながら地面に着地するアミダ。ーーーー危ないでしょ、と思わず言葉に出し掛けた所で『いや、コクウにとって見れば自分も(敵〉なんだから。』ーーーーとアミダは自制した。

 

(あーもう!!ーーーー三つ巴とか、むっちゃ戦い難いじゃないッ!!)

 

アミダは心の中で叫ぶ。

 

 彼女の前で、コクウがアスターの周りを素早く動き回りながら、銃を絶え間なく撃ち続けていた。

 

 しかし、アスターは動じていない。ーーーー頭部への被弾は避けている様だが、体を穿つ弾丸には一切反応せずにコクウと戦っている。

痛覚とか、そう言うモノが無いのだろう。

 

「貴方の力じゃ、私のアスターを止めれないわ!ーーーーだって、彼は強いもの!」

 

 そうアストラルが自慢げに叫んで、コクウに杖を向けた。

 彼女のセラムキューブ変化体でもある赤い杖の先端に、破壊の光が渦巻く。

 

「アストラルライト:ミスティックーーーー」

「ーーーーさせないよ!!」

 

 間一髪のところで、アミダはコクウとアストラルの間に割り込んだ。そして、インフィニティブレードで彼女の杖を止める。

 

「ーーーー邪魔だ!!!」

 

 しかし、庇ったコクウによってアミダは背中から蹴り飛ばされてしまった。

 

「痛ったぁ?!」

 

 吹っ飛ばされるアミダ。アミダを蹴り飛ばしたコクウは、そのままアストラルに銃口を突き付けて、引き金を引こうとする。

 

 しかし、アスターが素早く間に入り込んできて彼女を庇った。

 

「ちっ!」

 

 コクウは舌打ちをして、距離を取る。自分の銃弾を物ともしないアスターとの戦いは、コクウにとって苦しい物であろう。

 

「……面倒だな。アイツ、かなりの量の魂と混ざって強くなってやがる。…〈帰魂(リボーン)〉はキメラ製造機じゃねぇんだぞ…!」

 

 苛立ちを隠し切れずに呟くコクウ。…帰魂(リボーン)が、自分の意図しない方法で使われている事が、我慢ならないのだろう。

 

そんなコクウの隣から、アミダが口を挟んだ。

 

「ーーーー君の弾丸じゃ、アレを確実に仕留め切れないみたいだね。ただ、ダメージの蓄積は必ずある筈だから、ココは何とか私と協力しtーーーー」

「ーーーー最初に言っておく。お前の手など借りない。」

 

 アミダの声は、途中でコクウに遮られた。不満げに目を細めるアミダ。

 

「ーーーー全くもう…。此処で共倒れは嫌じゃないの?ちなみに私は嫌。ーーーーあと正直、アレは死神如来の無い貴方じゃ止めれないよ?私1人でもね。」

 

コクウは、アミダの方を睨みつけて首を振る。

 

「断る。…敵と協力するなど、頭の中はお花畑か何かか?…今此処で先に撃ち殺してやっても良いんだぞ??」

 

彼の言葉に、アミダは反論した。

 

「今、この場を生き延びる為の現実的な案を言っただけだよっ!ーーーー1人でなんとかしようだなんて、そっちの方がお花畑じゃん?」

「笑わせるな!さっきのお前の背中を、撃ち抜いてやっても良かったんだぞ?敵に背中を預けるなんて事がーーーーーーーー」

 

「………もう良いかしら?」

 

 2人の口論は、間に割り込んできたアストラルの言葉によって、中断させられた。

 

「「ーーーーッッッ?!」」

 

 同時に振り返る2人の前に、アスターが手から放った光の弾丸(ソリッドバレット)と、アストラルが杖から放って来た破壊光線が迫る。

 

「くそっ!」

「あぁ、もう!!」

 

飛び退って避ける2人。

 しかし、完全には回避し切れず、アミダはアストラルの光線が身体を擦り、コクウはソリッドバレットに腹部を射抜かれて、それぞれ吹き飛ばされてしまう。

 

「きゃあぁっ?!」

「がはっっ!!」

 

 燃える移動要塞の床の上を転がる2人。そんな2人に向かって、アストラルは杖を掲げた。

 

「さぁ、これで終わりよ。〈アストラルライト:コズミックエナジー〉。」

 

ーーーー杖から溢れ出した光が、アスターとアストラルを包み込む。

 

……攻撃技では無く、強化(バフ)を掛ける技の様だ。

 

『オオオオオオ……!』

 

 光に包まれたアスターが、両手拳を握りしめて空に向かって吠える。

 その巨大な腕が、内側から爆発するかの様に盛大にパンプアップした。

 

「うふふふ……!お姉ちゃんの力、感じるでしょう?アスター。……さぁ、やってお終い!!」

 

『ウオオオオオオオオオ!!!!』

 

吠えたアスターが、その腕を此方に振り下ろしてくる。

 その拳には渦巻く銀河のようなエネルギーが宿っており、直撃すればもちろん、掠っただけでも粉々になってしまいそうだ。

 

「ーーーーやばい?!」

 

 アミダは起き上がって回避しようとするが、それよりも早くアスターの腕が迫る。

 

 これはヤバいかーーーーとアミダが思った瞬間、隣から()()()()()()()()()()が飛び出して来た。

 

 

「あ。」

 

 

ーーーー鋭い声が木霊する。

 

 

 

「ーーーーーーーー居合:火ノ鳥。」

 

 

 

 ザンッッッッ!!!!……と、アスターの右腕が一刀の下に斬り飛ばされた。

 

『ーーーー!?!?』

 

 ダメージが無いにしろ、流石に腕を斬り飛ばされたのは驚いたのか、アスターは大きく後退りして蹈鞴を踏む。

 

 スタン、とアミダの前に黒いレザースーツの男が降り立った。その手に握られた真紅の太刀が、彼の肩にトン…と置かれる。

 

 

「まったく……随分と無茶苦茶な事態になってる様だな。」

 

 

 彼を見たアミダは、心底安堵した表情で息を漏らした。

 

「ーーーーもう…。来るのが遅いよ……バサラさん。」

 

 その呟きを聞いたレザースーツの男、否ーーーーバサラは、軽く笑ってアミダとコクウに振り向く。

 

「よぉ、大丈夫か?……悪りぃなアミダ。コクウ(誰かさん)の所為で遅れた。ーーーーだが、こっからは俺も混ぜて貰うぜ??」

 

 それを聞いたアストラルは、苦々しげに顔を歪めた。…アスターが明確に傷付けられた事が、我慢ならないらしい。

 

「この……私のアスターの腕を、良くも斬り落としてくれたわねっ!!!」

「私のアスター??……この怪物ーーーーあぁ、なるほど。〈帰魂(リボーン)〉か。こんな魂キメラも作れるとは、やっぱりヤバいもん造っちまったな、コクウ。」

 

 コクウが立ち上がりながら、思わずと言った風に叫んだ。

 

「こんなのが正しい帰魂(リボーン)の使い方なものか…!!知った様な口を聞くなよ??」

 

バサラはあっけらかんと言葉を返す。

 

「おぉ良かった、元気そうだな。…腹から血ぃ流してるから、心配したんだぜ?」

 

 バサラの言う通り、コクウはソリッドバレットに射抜かれた腹部から、かなりの量の血を流していた。

…傷口を軽く押さえながら、コクウはバサラに言葉を返す。

 

「舐めんな。…擦り傷だ。」

「いや、どう考えても直撃だろ。ーーーーまぁ、良い。」

 

 バサラは口を閉じて、アスターとアストラルに真紅の太刀を向けた。

 

「…アイツを倒す。どうせ、連邦の差金だろ?手を貸せ。」

「断る。」

 

キッパリとコクウは言い切った。

 

「ちょっと!?この後に及んでまだそんな事ーーーー」

 

 ムッ、となるアミダ。しかし、バサラはまったく気にしていない。

 

「いいや。貸して貰う。ーーーー行くぞ!」

「おい…!俺は、」

 

 こうして、コクウが何かを言い出す前にバサラは太刀を携え、アスター目掛けて突進していった。

 

「生意気な人…!ーーーーアスター!この人を先に消しましょう!!」

『ガアアアア!!!』

 

ーーーーアスターが左腕を振って、ソリッドバレットを小石を飛ばす様に飛ばしてくる。

 

「お前も使えるのか。ーーーーなら、コッチもソリッドバレットだ!」

 

 しかし、バサラが発動したソリッドバレットでアスターの攻撃は相殺された。

 

 続いてアストラルがバサラに杖を向ける。既にアスターは次の攻撃準備に入っており、何方かの攻撃を避けても片方の攻撃には被弾してしまうだろう。

 

「〈アストラルライトーーーー」

 

…ドンッッッ!!!

 

ーーーーが、杖は横から飛んできた弾丸に弾かれた。

アミダじゃない。……コクウだ。

 

「ナイス!」

 

ーーーーズドンッ、と振り下ろされたアスターの拳を回避するバサラ。アストラルの攻撃は飛んで来ない。

 

 そのまま、バサラはアスター目掛けて太刀を振り下ろした。

 

『ガアアッ!!』

 

 太刀を足で蹴り上げる様に受け止めるアスター。…激しい衝撃波が辺りを揺らす。

 

 それを見たコクウが、バサラごとアスターに向かって銃を乱射した。

 

「バサラさん!!」

 

 思わずアミダは叫ぶ。バサラの体がアスターごと撃ち抜かれるーーーー事は無く、気付けばバサラは素早く身を翻していた。

 

 結果、アスターのみが集中砲火にさらされる。ーーーーバサラは、コクウの行動を完全に読んでいたのだ。

 

『………!!』

 

 弾丸を喰らったアスターは、コクウの方を睨みつけた。そんな彼に、背後からバサラは攻撃を加える。

 

「言ったろ?!手を貸して貰うってな!!ーーーーお前がどうするかなんて、俺は分かりきってんだよ!…プライドなんて捨てて、今は俺と協力しろ!!ーーーータイマンまだ終わってねーんだろうが!!」

 

 アスターと戦いながら、バサラはコクウに向かってそう叫んだ。

 一方、コクウは苛立たしげに頭を押さえる。そして、走り出した。

 

狙いはアスター。

 

「ふざけんなよ!!この俺を今になって都合良く使いやがって!!」

「お互いにとって都合の悪い展開ってモンがあんだろ?!ーーーーコイツ倒せば、帰魂(リボーン)が連邦の物になるって言う、お互いにとっての最悪の展開は避けられるじゃねぇか!!ーーーーそれが分かんないお前じゃないだろうがよ!」

「黙ってろ!撃ち抜くぞ!」

 

 2人は激しく言い合いながら、()()にアスターに挑み掛かる。

 

『オオオオ?!』

 

ーーーーバサラの真紅の刀が、コクウの闇色の弾丸が、アスターを絶えず襲い、反撃の隙すら作らせない。

 

 コクウは射撃だけで無く、近距離での格闘も組み合わせながら、バサラの斬撃の隙間を埋める様に攻撃をアスターへ加えていった。2人が各々好き勝手に暴れている様に見えて、実は互いの攻撃が一切邪魔し合っていない。

 

 アミダが2人のタイマン観戦時に思った、2人が協力すれば最強なのではーーーーという考えは、今此処に完全に証明された。

 

「アスター…!!ーーーー私の可愛いアスターを寄って集って…!」

 

 アストラルが鬼気迫る顔で、バサラとコクウに向かって杖を向けた。

しかし、その間にアミダが割って入る。

 

「そこまでだよ!ーーーー私が居るって忘れた?!」

「このぉ…!面倒臭いわねっ!!」

 

 顔を顰めながら、アストラルは杖でアミダに応戦する。

 しかし、近接戦闘においてはアミダの方が一枚上手の様だ。少しずつ、アストラルは追い詰められていく。

 

「っ…!此処で負けるなんて事、認めないわ!ーーーーアスターを、私のアスターをこの手に取り戻す為にッ!此処までやって来たのよ!」

 

 追い詰められたアストラルは、空ーーーー帰魂(リボーン)の方を見上げて、思いっきり叫んだ。

 

「見てないで手伝いなさい!!ウンエントリヒ!!」

 

 その声に、今まで帰魂(リボーン)の上で事態を静観していたウンエントリヒが、ため息を吐いて動き出した。

 

「……まったく、仕方のない事だ。ミリア、薙ぎ払え。」

 

 次の瞬間、ウンエントリヒの後ろのロボットが無数のコードをうねらせると、コードの先端からコチラに無数のレーザーを放って来た。

 

 たちまち、辺りはレーザーの光と爆発に呑み込まれる。

 

「わっ?!」

「ちっ!」

「レーザーか!…厄介だな!」

 

 バサラとコクウは、攻撃の手を収めて回避せざるを得ない。アミダも同じ様に、無数のレーザー光線から距離を取った。

 そして、そのどさくさに紛れてアストラルが声を張り上げる。

 

「〈アストラルライト:コズミックエナジー〉!!」

 

ーーーー発動したのは、アスターを強化する技だった。

 

『オオオオオオッッッ!!!!』

 

 アスターが光に包まれ、咆哮を放つ。ーーーーそして、アスターは左手に光を集めると、ソリッドバレットとして放ってきた。

 

「ッ?!避けろ!!」

 

バサラの声が木霊する。

 次の瞬間、3人の周囲に光の弾丸が着弾し、激しい爆発と粉塵が立ち込めた。

 

 コズミックエナジーの効果によってバフが掛かっているソリッドバレットは、弾数も威力も桁違いに跳ね上がっていたのだ。

 

「きゃあぁあ?!」

「アミダ!ーーーーぐっ?!」

 

 弾丸に当たることこそ無かったが、飛び散った粉塵が体を叩き、バサラ達は大きく隙を晒してしまう。

そして、立ち昇る粉塵の中でアスターが動いた。

 

「今よ!アスター!!今度こそ、やってお終いっ!!!」

『ガアアアアッッッッ!!!!』

「ッ?!」

 

 アスターが構えた左腕に光が宿る。ーーーーそして、渦巻く銀河の様な光のエネルギーを宿した拳が、片膝をつくバサラ目掛けて振り下ろされーーーーーーーー

 

 

 

「バサラ!!!!」

「なっ?!」

 

 

 

次の瞬間、バサラは突き飛ばされていた。

 

 

突き飛ばしたのは…………コクウだった。

 

 

「おい……コクーーーー」

 

 バサラが言葉を言い切るより先に、アスターの破壊の拳がコクウの体を打ち据える。

 

そして、そのままコクウの身体を吹き飛ばした。

 

「コクウッ!!!」

 

 建物の残骸を撒き散らしながら、吹き飛ばされていくコクウ。……まともに喰らえば粉々になるであろう一撃を喰らっても、まだ人の形を保っている位には頑丈らしいが、大ダメージである事に変わりはあるまい。

 

 それを見たアストラルが、勝利を確信したかの様に叫ぶ。

 

「先ずは1人ね!!ーーーーーーこのままやっちゃうわよ!アスター!!」

『ウガアアアア!!!』

 

 アスターが再び拳を振り上げた。ーーーー狙いは、仕留め損ねたバサラだ。

 

「てンめぇ…!!」

 

 バサラが、歯を食いしばってアスターとアストラルを睨みつける。

 

 次の瞬間ーーーードンッッッッ、とバサラに拳が振り下ろされた。

しかし、バサラは既にその場に居ない。

 

「…?!ーーーー避けた!?」

 

 驚くアストラル。ーーーーバサラは、スレスレでアスターの攻撃を回避していたのだ。

 

 

「〈居合ーーーー」

 

 

アスターの懐から、バサラの声がする。

 攻撃を回避しただけで無く、そのまま流れる様にアスターの懐にバサラは潜り込んでいたのだ。

 

「アスターーーー」

 

 

「ーーーーー袈裟羅婆娑羅(ケサラバサラ)〉。」

 

 

 

ストン

 

 

 

 アスターの体が、中心線で綺麗に真っ二つとなった。

 

「うそ……………」

 

 唖然とした表情を浮かべるアストラル。そんな彼女に向かって走る影ーーーーーーーーアミダだ。

 アミダだって、ただ指を咥えて見ていたわけじゃない。アストラルとアスターの隙を伺い、ずっと攻撃するチャンスを待っていた。

 

 まさかアスターをバサラが一刀両断してしまうとは思わなかったが、兎も角これは好機。弟が斬り捨てられて唖然となっているアストラル目掛け、素早く接近して地面に叩き伏せる。

 

「がっっ?!?!」

 

 倒れ込むアストラル。そのままアミダはアストラルの首に手刀を()め、気絶させる。

 

 彼女が気絶すると同時に、真っ二つに斬られたアスターもボロボロと崩壊し、灰の様になって燃える空に舞って行った。

 

 

 

………アストラルとの戦いは終わったのだ。

 

 

 

ーーーーだが、全てに決着が着いた訳では無い。まだ、帰魂(リボーン)を持ち去ろうとするウンエントリヒが残っていた。

 

「……アストラルを降したか。ーーーーならば、もう奴の席を開けておく必要は無いな。」

 

 帰魂(リボーン)の上で、ウンエントリヒがそう呟く。すると、帰魂(リボーン)を牽引していた戦闘機が、重たいエンジン音を響かせながら空域から離脱し始める。

 

 更に、帰魂(リボーン)の上に鎮座するウンエントリヒのロボットが、紫色のバリアを展開して帰魂(リボーン)を守った。

 

「… 予定通り、帰魂(リボーン)は貰い受ける。さらばだ。」

「あいつ!!」

 

 咄嗟にアミダが銃を放つが、バリアに阻まれる。近付いて攻撃を叩き込めたら良かったが、既に帰魂(リボーン)は空の上だ。2人の力では届かない。

 

「無駄だ。翼のない君達では、空を飛べまい。……それに、今危険なのは君たちの方ではないか?」

 

 ウンエントリヒがそう言った途端、バサラ達の周りが次々と崩れ始める。心なしか、床も傾いている様だ。

 

「…ちっ。移動要塞が崩れ始めてやがる…!」

 

辺りを素早く見渡したバサラが舌打ちをする。

 試作型神威奈火(カムナビ)によって大打撃を受けながらも、辛うじて立っていた幽世(ゴースト)の移動要塞が、遂に限界を迎えて中心から崩壊を始めたのだ。

 それを上空から余裕の表情で見下ろしながら、ウンエントリヒが言葉を紡いだ。

 

「ーーーーこれで終わりだ。少なくとも、幽世(ゴースト)はな。お前達はどうとでもなるだろう。…だが、帰魂(リボーン)は我が手中に入った。それで良い。それで良いのだ。」

 

 

…勝利を確信した様な彼の表情が、燃え盛る炎に照らされて不気味に浮かび上がったーーーーーーーー

 

 

 







…既にプロットを大幅に無視して突っ走っておりますが、どうなる事やら……。

因みに、次回は結構早くできる予定。

と言うのも、今回の話と次回の話は元々一つだったんですよ。でも、ちょっと長くなりそうな気配を感じたので、二つに分けた次第です。
98話で投稿予定分も既に出来上がりかけてるので、今回は早くやれそうですネ。

ほな、また次回。ノシ
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