東方紅妖記   作:くるくる雛

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どうも皆さん毎度のごとくくるくる雛です。
今回の後書きは相方が急にしたいといいだしたのでまかせてみました。
それではどうぞ。


第三編 中 助人

 紅魔館を出てしばらく経ち昼下がりに人里に降りてくると早速レミリアの言っていた助っ人を探しに団子屋に向かった。

そこはどこか時代劇に出てきたような佇まいをしていて、店内の座敷の席に見覚えのある顔があった。

 

「お、鍋月じゃねぇか!久しぶりだな!すいません!三色団子もう一つ!」

 

 鍋月より少し背が小さく、カーゴパンツと呼ばれる迷彩柄のズボンに黒いシャツ、そして腰に上着の迷彩柄のジャケットを巻いた姿で三色団子を頬張っていた椎唄は驚き、まあ座れと暗示させるように追加注文し。

団子屋の娘は“はい!ただいま!“と言いすぐさま持ってくる。

 

「おっ、すまないな。」

「いいんだ。ところで、紅魔館での仕事はどんな調子だ?」

 

 椎唄は気さくに問いかけて緑茶を飲む。

鍋月と椎唄は共に幻想入りした友人の仲である。

こうして時折時間があれば団子屋で一服し情報を交換するのが慣わしだ。

しかしあまり宜しくない状況ゆえにはぐらかして答えるしかなかった。

 

「まあいい感じだよ。」

 

「そうか、さて、と。俺は遣いを待たないとな。それまでゆっくり話そうぜ。」

 

「俺も。ここで助っ人を待たないと…あれ?」

 

「どうした?まさかお前が紅魔館の遣いで…」

 

「協力的で腕の立つ助っ人がお前…?」

 

 鍋月と椎唄はお互いに見合って指差し、硬直し、全てを理解した途端お互いに爆笑しあい、各々の腹筋を徹底的にしごきあげた。

 

「まさかだな。」

 

「全くだ。」

 

 そうして本題に入り、椎唄は自身の知っている限りの情報を伝えた。

中身は咲夜が地霊殿に降りていったきりで戻った形跡はないことであった。

それを告げると最後の団子の一玉を椎唄は咀嚼し、鍋月は額を抑えた。

もしかしたら地霊殿の住人と戦うことになるであろうと仮定し、鬼や烏相手に自分がかなうかと自信を無くしたためである。

そのとき、椎唄は団子屋に入ってくる少女二人組を見つけた。

彼女たちはどちらも人里では浮きかねない巫女服と魔法使いのような出で立ちで異彩を放っていた。

鍋月は外の世界で得た予備知識でその二人をいとも容易く特定し、愕然とした。

特定できたのは、主人公並の知名度のある方々だったからだ。

 

「まじか!?」

 

「よう!霧雨さんに博麗さん!」

 

「あ、あのときの万券の旅人。何してるの?」

 

「誰かと思えば椎唄じゃねえか!久しぶりだな!」

 

「ああ!何か驕ろうか?それと万券の旅人じゃなくて椎唄な?」

 

「じゃああの団子でお願い。」

 

 二人は机を挟んで向かい側に座る。

再び注文する椎唄を横目に鍋月は何がどうなっているのか分からず、“今起こったことをありのままに…“の人と同じくらい焦っていて混乱していた。

そして気さくに大物と接する椎唄の首を掴んで真実に迫った。

 

「なぁ、どういうコネしてんだお前…」

 

「いやぁ、博麗神社で幻想郷ではどうせ向こうの金は使えないだろうと思ったから一万円札を放り込んで旅の安全を願ったら地域のこととか教えてもらってさ。その伝で霧雨さんとも知り合ってね。」

 

「本当に運いいなおい。」

 

「お前に言われたかねぇよ。」

 

 強運を上回る豪運の持ち主はそれもそうだったなと肩をすくめ緑茶を飲むと巫女と魔法使いの不思議な視線に気が付いて、何ぞと首を傾げるとストレートに霊夢は問いかける。

 

「ごめん、アンタ誰?」

 

「俺の友達の…鍋月守同だ、腕の立つ紅魔館の料理人だ。」

 

 言葉が詰まったのはここで鍋月はレミリアから名前を授かっていたためであり、つい外の世界での名前が飛び出しそうになったからである。

すると紅魔館という単語を聞いた霊夢と魔理沙は、ざわめいて2人だけで何か相談しては鍋月に視線を向ける。

 

「ねぇ、もしかして咲夜を捜してるの?」

 

「ん?そうだけど。」

 

 やっぱりねと霊夢は息を吐いて湯呑みに手をかける。

もしやと察しのいい椎唄は団子のお代わりを頼んだ後すぐに問いかけた。

 

「やっぱり?」

 

「こいつが言うに夢で“団子屋で困り顔の青年達を助ければ幸運が降りてくる“というお告げを貰ったそうだ。ま、私も見たんだがな。」

 

 へらへらと笑い霊夢を代弁して魔理沙は肩をすくめて答える。

椎唄の読んできた神話ー外の世界でも海の果てにある地域の神話ーでもなかなか男性が幸運をもたらすという伝承はなかったため何で俺たち?と首を傾げて目で訴える。

 

「そうなると、協力してくれるのか?咲夜の捜索。」

 

「お告げだから、仕方ないわ。ね?」

 

「だな。つか椎唄はともかく料理人は戦い方知ってるのか?」

 

 霊夢と魔理沙の協力的な発言により鍋月の失望しきっていた目の色が変わり、希望の灯火がぱちぱちと心の中で燃え上がる。

それ故に戦い方云々の問いかけは頭に入るのに少々時間が必要になっていた。

 

「スペルカードは二つだけですが、まあ大丈夫です。パチュリーや美鈴の弾幕を相手に凌げるほどにはなりましたので。」

 

「ほう、パチュリーにか。」

 

 面白そうに魔理沙は言葉を反芻して首をゆっくり縦に振った。

何を隠そう、パチュリーは彼女の魔法使いとしての付き合いも友人としての付き合いも長く、実力もお互いに理解している。

自他共に親友と認めるほどの仲である。

美鈴はともかく彼女仕込みとなると信頼性もぐっと高まる。

 

「でもあんた達、あくまでもスペルカードバトルは遊戯よ。戦争とは違うわ。」

 

 そんな様子をよそに霊夢は正論の横槍を入れてくる。

無論、あくまでスペルカードバトルはスポーツでいうボクシングのようなもので幾つもの厳しいルールを知らない者が一歩間違えれば冥府の方々にお世話になる始末になりかねない。

そういった不祥事は許されないスポーツなのである。

しかし、スペルカードバトルは逆に捉えると命の危険を冒すことなく擬似的な命の駆け引きが可能となる上、弾幕の美しさも相まって女性や妖怪達の間で瞬く間に広まり、それ故スペルカードバトルのルールも意義、勝敗関係も容易に浸透したそうな。

それでも霊夢が注意したのは遊びを遊びと割り切れない男達がそれをやりやがて決闘と同じように命を取り合うものとして使われたこともあったためであり。

冥界に召された人もいたためである。

そういった時代があるのを知っていた、いや、あるものだと考えている椎唄は分かり切っていたように軽口を混ぜて答える。

 

「あぁ。分かってる。今ならテストしたっていいぞ。」

 

「鍋月は?」

 

 鍋月もまたパチュリーからバトルのルール、意義を教わっていたため、暗唱できるわけではないものの知ってはいたため頷いた。

 

「決まりね。でも命の危険があったらどんなときでもつまみ出すから、例え依頼主の部下でもね!」

 

「そんなときは来ませんよ。」

 

 鍋月のその言葉と共に椎唄は頷いてみせて腰を持ち上げて立ち上がる。

手にはいつの間にか領収書を手に持ってるのが見えた。

 

「それじゃあ、最後に目撃情報のあった妖怪の山の地霊殿の入り口に行きますか。中にいるみたいだし。」

 

「場所まで分かってるのか、なら余裕だな。」

 

魔理沙も立ち上がると一同は各々の目を見て、異論がないことを確認すると、会計を済ませる椎唄を待ってから妖怪の山に出発した。

 

 

 

 

 

 そして日が傾いてきて遠くの空が赤く染まり始めた頃、鍋月一同が妖怪の山に着く。

とは言うものの本当に中腹でなければ麓でもなく、入り口にいた。

 

「日も暮れ始めてきたし…どうするの?」

 

 唐突に霊夢は鍋月に問いかける。

道中誰が大将を務めるかという話になり、やっぱり紅魔館の方を助けに行くのだから同じ紅魔館の人が主導権をという魔理沙の提案は鍋月の“いや、一応妖夢いるから俺じゃなくても“という声を無視して満場一致で可決し、現在に至るわけである。

 

「どこか泊めてもらえるところなんてあるか?」

 

「あるんだよなぁ、それが。」

 

 魔理沙は意味深長に頷いてみせて霊夢に目配せする。

そのやり取りを見て椎唄はすぐにどこか悟った。

 

「あ!あなた達は!」

 

 妖怪の山から降りてきた少女はあからさまに久しぶりと言いたげな気持ちで叫び驚く。

 椎唄が前に麓で出会ったこいしとは違う濃く青みがかかった緑色の髪を持ち反対色の赤黒いドレスを身に纏った少女である。妖怪の山を訪れていない鍋月以外は全員面識があり、そこに踏み込む勇気と腕前を持ってることを彼女は知っていた。

 

「あら雛、久しぶり。」

 

「よっ!」

 

「こんにちは。」

 

「こんにちは。皆様おそろいで何をしているのですか?」

 

鍵山雛はむむと鍋月を睨み近づいていく。

本人は睨みつけて威嚇してるように見えるが端から見ると大袈裟に表現すると美少女ががおーと威嚇する程度にしかならなかった。

それ故一同は何やってんだこいつと目で訴えるように見つめる。

 

「この山に入るつもりなら私と一度勝負してください!」




いつも東方紅妖記を読んでいただきありがとうございます。
改めて皆様初めまして、くるくる雛さんの相方で、文章化担当の業袋(業)です!
UA1500超え記念、10話投稿記念、色々とある中で雛さんにこの場を譲っていただきました。
この場をお借りして、ありがとうございます!!
トコロデユーエーッテナンデスカー
書いてて正直な感想、驚きを隠せません。
友人に突然椛のKENZENな薄い本をもらった時のような感覚です!
話は変わりますが自分も大学受験生なので一編一編の間の更新速度が日に日にスローになっていってしまっています。
こればかりは抗いようがないのです。orz
拙い文章でしたが、読んでいただきありがとうございます!
先述したとおりの理由で投稿は不定期更新になるかもしれませんが時間を捻出して書きますので今後も応援よろしくお願いします!
質問や応援コメントも首を長くして待っています。
それではまた後書き担当がまわってくるまで!
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