この作品は私と他に友達と一緒に書いている作品です
小説等を投稿するのは初めてですので至らぬ点があるかと思いますがよければ私達の処女作であるこの作品どうかお楽しみください。
今日もまた自分の分け与えられた部屋に日が射し込む前に目を覚ましてしまう。
身をよじりうつ伏せになり枕元に置いてあった懐中時計は5時を指し示してあった。
「まだ5時か……」
大まかな朝食のスープの仕込みは番に済ましていてなおかつパンの備蓄もあるが故にあまり時間を要さず、30分あればすぐに食卓に並べられる。
「…ちょっと様子見るか…」
そう呟き朝日を浴びようかなと背伸びをすると咄嗟に寝巻の黒いジャージを着替えて料理人の制服を身にまとう。
着替え終えて部屋を後にした頃には上りかけた朝日によりメインホールの綺麗なステンドグラスに仄かに灯りが灯る。
言葉にしがたい幻想的なムードが漂う中、新鮮な朝日と空気を求めて扉に手をかける。
扉を押すや否や、その隙間から朝日が流れ込み、彼の朝を出迎える。
最近目覚めが悪いことをメイド長に相談したところ(朝日を浴びて体を動かすのが人間のあなたに妥当でしょう)と言われ、たった今試す次第に至るわけである。
「こりゃいいな…後で礼を言わないと…」
玄関先軽く腕を振り、深呼吸し身体にスイッチを入れていく。
女性の純粋な笑顔が見たい、ただそれが彼の原動力で、ウリであった。
勿論ちょっと…男としての自粛すべき下心も稀にあるがここ紅魔館に来てからはその類を表面に出すこともなく、奮闘しているのであった。
「さて、そろそろ時間だ。」
振り返り、さて朝食の支度だと意気込み扉に近づく。
その時、その意気込んだモチベーションに浮かれるな馬鹿と念のこもっていそうなドアの角が眉間に突き刺さる。
ちなみに、このトラブルはこれで四度目である。
「ってぇ!!」
「あぁ…すいません!鍋月さん!」
眉間を抑えその場に縮こまる勢いで悶える。
そして一通り痛みが引くと顔を上げた。
そこにいたのはどよめきを隠せず苦笑いをする紅魔館のメイド長、十六夜咲夜であった。
目線があうとすこし気まずそうにタオルを差し出した。
「大丈夫、血は出ていない。それにしても…」
それより先は言わないことにした。
彼女が気にしてるかもしれないことをいちいち詰まる必要はないのだから。
そしてふらつく様子もなく苦笑いを返して紅魔館の中に入る。
「ごめんなさい、この身でありながら不注意で痛い思いをさせてしまって…」
前よりは少し頭を浅く下げて謝罪する。
伏し目になっている咲夜を拝むのも悪くないやと思いつつ流石にまずいだろうという紳士の心の囁きが聞こえ、とりあえず締めの文句を即興で考え述べていく。
「心配要りませんよ、同じ仕事仲間ですし、誰にだって失敗はありますよ。寧ろ失敗して成長するものですから。」
では、朝食の支度をしなければいけないのでと鍋月は駆け出す。
そこまで決まったのはいいのだが振り返って駆け出した途端、ドアの枠に再び眉間を打ち付けることになった。
それから時間が立ち青く澄んだ空に太陽が昇る。
吸血鬼のレミリア・スカーレットにとっては種族の天敵故、屋根で覆われ影が大きく広がるバルコニーにいた。
常人みたいに外に出歩くことができないほど彼女たち吸血鬼にとって太陽の力は強力なのだ。
レミリアは紅茶を嗜みながら側の咲夜を見て鍋月について話していた。
「鍋月守同(ナベツキ シュオナ)が来てもう二週間…うまく仕事ができているようね、料理の腕前は咲夜に勝るとも劣らずよ。」
「私も驚きを隠せませんでした…まさか牢の中で食べた料理を平らげただけで調理法を見破り、まねして見せましたから…」
「それに、侵入した際に誤って不審者として認知して相応の待遇をとった上、牢に入れた美鈴を許すという流れを見る限り、なかなかの器の持ち主と見たわ。」
実際、今の料理長鍋月はここを訪れた際敷地内にうっかり入っていたところを門番の美鈴に見られ、追い払おうとするも「ここの主に用がある」
とわめきそれも届かず美鈴の体術を受け牢屋につっこまれ監禁されたのだ。
そこで「美味しい物を作れば紅魔館の料理人として牢から出してあげてもいいわ」とレミリアが提案してそれを難なくクリアして見事紅魔館の料理人の座についた。
もっとも、失敗したのならすぐ血を抜かれることになってただろう。
その働きっぷりにレミリア自身が「料理長になれば咲夜の負担を軽くできるわ」と鍋月の耳元でなってみないと提案したところ、現在に至る。
「彼の料理をどう受け止めているかはしらないけれど、負担が減るのは咲夜の自由度が増すことに直結するわ。彼に感謝しないとね。」
「その通りでございます。ところで一つご質問してもよろしいでしょうか?」
「何?」
レミリアは口に運ぼうとしていたティーカップを止めて耳を傾けた。
咲夜からの問いかけはそれ程珍しいものとなっていたからだ。
「何故鍋月さんを紅魔館の一員に?」
「あぁ何かを言うと思えばそれ…彼なら役立ってくれるかと思ってね、フランも気に入っていることだし。」
「ここに来たのもレミリア様が運命を…」
「いや、そこまでは知らなかったわ、フランが気に入ってしまったことも含めてね。」
視線を横に逸らして苦笑いをしてレミリアは紅茶をすすり驚きを紛らわしたが、咲夜にはその表情はバレバレであった。
同刻、鍋月は紅魔館のキッチンで早くも夕飯の下準備をしていた。
料理長という役職故に腕の立つ部下の妖精を5名つけてくれることもあり皿洗いをするのは稀になってしまった。
それでも妖精をこき使うこともなく少し休ませたりしている。
「これで夕方まで寝かせたら丁度良くなるかな…」
そういった矢先、ドアが思いっきり開け放たれる。
そんな開け方をするのは紅魔館では彼女、レミリアの妹のフランだけだ。
「おにいさまー!」
「おぉ、フランちゃんじゃな…いっっ!」
案の定フランだったなと鍋月はそう言って椅子に座っている鍋月にハグしようとするも前から突進するだけに終わり、腹に頭突き+倒れた時に後頭部を打つ羽目になってしまった。
その後、フランが鍋月の腹にまたがって問いかけた。
「ねぇ、お兄様一緒にあそびましょ♪」
まだ仕込みや準備ができていなかった鍋月にとっては嬉しかったもののその前に仕込みの方をどうしてもしたかった。
「ごめん!今は無理なんだ!」
「うぅー…」
マジで駄々をこねる5秒前のようにも思えた鍋月はやばいと思い言葉を続けた。
「あと10分、あと10分待ってください!」
「…」
そこで鍋月はフランの顔色を窺った。
長いようで短く、短いようで長いのが待ち時間だ。
そこまで我慢できるかなと不安になりながら覗き込んだ。
「うー…わかったよ…でも待たせないでね…」
下唇に指をあて少し悩んだようだが納得してくれたようだ。
厨房に備え付けの椅子に座りまだかなーと届いていない足を暇そうにプラプラさせている。
「人気ものね。」
そう部下の妖精のチェリーの苦笑いを受けながら立ち上がると少し嬉しそうに頷いた。
料理長に任命される際にチェリー、アマリリス、カミーシャ、パーム、ポピーの5人の妖精メイドを部下としてレミリアから任された。
因みに粗方の作業は終わり談笑に耽っていた。
鍋月はドアの蝶番を見て壊れていないことを確信すると妖精に返す。
「懐かれるのは嬉しいんだけど仕事中に入ってこられるとちょっとな…蝶番壊れてなくてよかった…」
そう苦笑いして仕込みを再開した。
この仕込みに関しては自分の手でやるのが自身のこだわりである。
この10分後、仕込みを終えた途端フランに「あそぼ!」と飛びつかれ服の襟を掴まれズルズルと引きずられて別室に連行されたことは言うまでもなかった。
ここまで読んでくださった方々へまずはこの話を最後まで見ていただきありがとうございます!
もし、この作品を楽しいと思っていただければ幸いです。
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