東方紅妖記   作:くるくる雛

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皆さんこんにちは、こんばんは、くるくる雛です。
まさかの2日連続ではなく1日に二回投稿になりました。
前書きが長いのもあれなのでさっそくどうぞ。


第一編 中 (紅魔館での一日)

 鍋月が別室に連行されていたその頃、鍋月と共に幻想郷入りを果たしてしまった椎唄玖力(シイウタ ヒサリキ)は妖怪の山の近く、ちょっとした空き地の石に腰かけて夢の内容を思い返していた。

内容はここ幻想郷の創造者、八雲紫〔目が覚めた後に鍋月に確認をとったらそう応えてきた〕が語りかけてくるといった夢だった。

その語りの内容も曖昧ながら残っている。

能力を与えることだけしか覚えてなかったが、恐らくほかにもあっただろう…だが今はそれを水に流し与えられた能力を確認することにした。

 

「あらゆる物を出す能力か…生物とか複雑なのは無理そうだな。ここはひとまず…」

 

 そう言って空を見上げながら虚空からコップを出す。

色までのイメージはしてなかったのかほんのり蒼空の色をしている。

 

「こいつはいい…で、どうやったら消え…」

 

 いうが先か、コップは跡形もなく消え去り、そこに風がすうぅと通るだけであった。

 

「なるほど…これなら…」

 

「あっ…またあなたでしたか!」

 

 沢の対岸の岩で白狼天狗の犬走椛が吠えるように叫ぶ。

彼女と会うのは三度目だが妖怪の山に踏み入ってそこで初めて会った時に将棋を打ち、あっさりと勝ってしまい、歯ぎしりさせる思いを与えた。

それからというもの、見つけては 勝負! と言うようになってしまった。

 

「ここで会ったが三年目です!いざ尋常に勝負してください!」

 

 剣の切っ先を椎唄に向ける。

最も、剣術ではなくて将棋での勝負だが。

旅人の彼にはそんなに時間を食うわけにはいかなかったが故に断ろうと思い頭を掻いて答えた。

 

「断る、また今度相手してやる。」

 

そう言って断り、ふくれっ面の椛を拝みながら妖怪の山をそそくさと後にした。

 

 

 

 

 

 さて、時は少し進み紅魔館。

自分の目の前にフランがいる。

しかも自分が幻想郷の紅魔館で働いている。

幻想郷の存在を知っている外の人間が聞けばその話は涎もの間違いないだろう。

体験記を綴るだけでコミックマーケットに出る本を厚くさせ、繁盛させることも夢ではない。

そんな憶測を鍋月は一人紅魔館を駆け回りフランと鬼ごっこを楽しんでいた。

流石に空を飛ぶのが苦手な鍋月は空中に浮くのはなしとフランに頼み込んでいる。

やってる本人たちは楽しそうではあるが端からみると「おまわりさんこのひとです」と言われかねない。

しかしただ純粋に楽しんでいる。

それだけである。

 

「まってください!」

 

「またないよー!」

 

 紅魔館中にそんなやり取りをまき散らしながら二人は知らず知らずのうちにパチュリーの図書館へと突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 その頃、パチュリー・ノーレッジはいつものように本を漁ってはどこでこしらえたのか分からない不気味な素材を組み合わせて新しい魔法の研究をこなしている。

そのため本の山が山脈を成していた。

 

「ふむ…」

 

 静寂に包まれているのはどこの図書館でも定石なようで、それに関してはここ紅魔館の大図書館でも適用されていた。

事実、パチュリーの使い魔の小悪魔は黙々と本を整理していて、ボコボコと泡立つフラスコの液体の音が響き渡っているのがわかるほどである。

すぅっと慎重に青い薬品の入ったビーカーを桃色の薬品の入った大きなフラスコに傾け、先端に滴を作り、一粒落とす。

まだ変化はない。

 

「あとは…三滴…」

 

 一つ、また一つ落としていき、仮説に基づいた量にまであと一滴となった。

緊張感に手が僅かながらも震えてくる。

 

「これで最後…」

 

 青い薬品の滴が落ちるとフラスコの薬品は光を仄かに放っていく。

彼女の望んだ結末にたどり着いたのである。

実験が成功しフラスコの薬品の光に照らされたパチュリーの密かで怪しげに笑みが浮かび、ビーカーが机の上に置かれる。

しかし、その結論を打ち砕くようにフランと新入りの料理長が飛び込むように図書館に入ってきた。

 

「きゃはははは!」

 

「まてー!」

 

「っ!!」

 

 遠くでどしどしと微量の散を巻き上げながら鬼ごっこをしている。

ただ走り抜けていくのであれば問題ないのだが通り過ぎた後本が床に散っていくことが何よりも許されなかった。

そしてパチュリーの机の目の前を通り抜けた際、揺れによって不安定であった頂の本が滑り落ちてきて机の実験道具一式をなぎ払う。

その後、パチュリ-は図書館を去っていく二人の背中を憎悪の目で睨みつけていた。

 

 

 

 

 

 図書館から飛び出して三分後、ようやく鍋月の手がフランの肩につく。

 

「捕まえました!」

 

「ありゃりゃ…」

 

 フランの肩にソフトなタッチで優しく触れると自身の追いかける側は終わりとなる。

 

「じゃあわたしの番ね!」

 

「一分後ですよ」

 

「わかってるってばぁ!」

 

 そう返されると鍋月は追いかける以上に本気で走り距離を取る。

もし外の世界での言い伝えが本当ならと考えただけで青ざめる。

 

「いっぷんたったよー!今から追いかけるねー!」

 

「ヤバい…」

 

 冷や汗を滝のように流しながら周囲を見回す。

まだフランの影は見えない。

このまま隠れ忍ぶ。

 

「おにいさまー?どこー?」

 

 声は次第に近づいてくる、やり過ごすか逃げるか、二つに一つ。

物陰から飛び出すとそこにフランがいた。

しかも手の届く範囲だ。

 

「ひいっ!」

 

「つっかまーえた!」

 

 そのまま押し倒し背中に手をまわしてぎゅっと抱きしめるフラン。

しかし、破ぜることはなく、助かったと一息ついた。

それと同時に子供とはいえ美少女が自分に抱き付いていることに照れた。

しかしフランはそのまま鍋月のお腹に頬を擦り付けた所で鍋月の様子に気づいた。

 

「どうしたの?もしかして嬉しいの?」

 

「ま、まぁ…はい…」

 

 頬を染めながら照れ隠しして答える。

ここまで懐くのは誰一人想像がつかなかっただろう。

目の前で咲夜が苦笑いして二人のやりとりを見ていることも含めて。

 

「なにか変なものでも食べさせましたか?」

 

「してません!」

 

その後、図書館で騒いだことについてパチュリーからの説教は小一時間続いたとか。




今回もここまでお読みいただきありがとうございます。
昨日投稿してから寝て、朝起きてみればお気に入り登録されていてものすごくテンションが上がりました。
やっぱり自分たちでつくった物を評価されるといい気分になれますね。
よろしければ感想を残していってもらえれば幸せです。
それでは皆さままた次の話で~
ノシ
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