東方紅妖記   作:くるくる雛

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どうも皆さんくるくる雛です。
第二編は今回にて終了です。
第三編までは本当に間が空くそうですので少々の間投稿ストップになります。
連絡事項は以上ですそれでは、どうぞ。


第二編 下 レミリアの本心

 料理を満足して食べていただきこれにて終了、と思いきや脱衣所まで引っ張ってこられた鍋月は戸惑い、参っていた。

今の所脱衣所の入り口で待機してしまっているのである。

間に磨りガラスのスライドドアがあるだけである。

どうしてこうなったのかというと数十分前に遡る。

 

 

 

 

 

 食事を終えて鍋月は皿洗いをしていた。

料理長であれ雑用業務もしれっとこなすのは当たり前だと思いあまり違和感はなかった。

仕事の最中休んでいる妖精メイドのチェリーは退屈しのぎに質問してきた。

 

「そういえばチーフって何かの能力を持ってるの?」

 

「外からの人間が能力を持っているわけないでしょ。」

 

 カミーシャの言い方によりチェリーはむすっと膨れづらをする。

 

「物事の質を操る程度の能力。それが俺の持ってる能力だ。」

 

 その鍋月の言葉を聞きカミーシャはあたかも水を浴びたかのようにはっと驚き、チェリーは続けて問いかけた。

 

「物事の質?」

 

「そ、物体の質の純度を上げ下げしたり発酵速度をいじったりうま味をあつめたりとかな。」

 

 そうはいう物の、本人でさえその能力を使うのは稀でせめて漬物とかこっそり作っていた納豆菌の活動を速めたりするぐらいである。

 

「物事というのであれば、現象の質も?」

 

 ポピーがカウンターから顔を出し捕まりながら問いかけてくる。

 

「そ、微細な火力調整もお手の物ってわけ。」

 

 一同が感心しているとそこへ勢い良くドアを開けてフランが入ってくる。

 

「お兄さまー一緒にお風呂入ろう!」

 

 妖精メイドは目を丸くして驚き、鍋月は「えっ」と狼狽した。

 

「い、いきなり何を言いだすんだいフランちゃん?」

 

「だめー?」

 

 首を傾げるフランの後ろからレミリアがすっと現れる。

それを見て妖精メイド達は一気に立ち上がり礼をする。

それに片手を上げて鍋月に用があることをハンドサインで示して座らせると鍋月に耳打ちして語り始めた。

 

「実は私達いつも咲夜に背中を流して貰っていたんだけど、今はいないから位の高いあなたに任せようかなって思ってね。」

 

「え、まさかですね。」

 

 鍋月も驚きを隠せず目が泳ぎ始める。

確かに混浴は男としてありがたい話だ。

しかし、それをしてしまうのは如何なものかと理性がそれを強くさえぎっていた。

 

「不服かしら?フランの頭も洗えるのよ?」

 

「えっいえ、それって美鈴に任せられないのですか?」

 

 鍋月は自分がやるよりも女性である美鈴に任せたほうがいいという当然の思考で質問を質問で返す。

 

「確かに彼女の勤務時間はもうすぐで終わるわ。でも彼女、ちょっと荒っぽいのよ。」

 

 普段からの美鈴の行いを見ているとあながちそれも頷ける。

しかしそれなら妖精メイドにさせればいいのではと思い問いかけようとすると

 

「位が低いとどうも使う気になれない。だからあなたを指名したの。」

 

 とレミリアは心を読んでるとしか思えない言葉を放ち、後ろの椅子に座り足をプランプランと振り答えを待っているフランを見る。

 

「拒否権は」

 

「信条を無視したらあるわ。」

 

「そういうことですか。」

 

 もし任を果たさなければフランの泣眼を見ることになる。

確かに愛嬌はあるが良心と信条がそれを許さない限りである。

だがもし一緒に入れば笑顔にさせることもできる。

しかしいくら配慮するとはいえ裸だ。

背中に触れることは愚か裸体は見たくない、いや見る主義ではない。

 

「二つに一つよ早く決めなさい。さもなくば強制連行よ?」

 

「どのみち行く羽目じゃないですか!?」

 

 するとフランが椅子から飛び降りると抱き付いてくる。

いつものように押し倒すこともなくその場で抱きしめる。

そして鍋月の顔を見つめ声を震わせて問いかける。

 

「そんなに、いや?一緒にお風呂はいるの」

 

 このフランの泣きそうな程儚げな言葉が彼の良心を大きく揺さぶり判断の決め手となった。

鍋月の葛藤は終わりレミリアに苦笑いしながら決断した。

 

「畏まりました。背中と頭を洗えばいいのですね。」

 

「そうだけど私の頭は洗わなくていいからね?自分でできる。」

 

 そうしてヤッターと喜ぶフランに手を引かれて脱衣所に連れてこられ待ってるように言われて現在に至るわけである。

そうして鍋月は更衣室で待っていると、不意に中からレミリアに話しかけられた。

 

「そういえば鍋月、あなた咲夜にスリーサイズを聞いたらしいわね?」

 

 レミリアの響く声が鍋月の心にガスッと刺さる幻聴を聞き汗が噴き出てくる。

 

「スリーサイズって、女性の腰回りとか胸の周りの大きさのこと?」

 

 さらにそれにフランが追い打ちをかけるように言い放つ。

まだ純粋な分さらに穿ってくる。

もしかしたら既に自分の”精神の目”はフランの手中収まっているのではないかと思うと気が気でなくなってしまう。

今精神的HPを示すSAN値を計ることができたならその数値は確実に0に近い数値であるだろう。

 

「そうよ。ま、未遂であったらしいけど。」

 

「へぇー」

 

 吸血鬼姉妹の会話も耳に入らないくらいSAN値を削られているとフランとレミリアが扉を開けた。

 

「わっ!…あれ?」

 

 鍋月は当然驚いたが彼の視界にはしっかりバスタオルを巻いて要所を確実に隠しているスカーレット姉妹の姿があった。

 

「守るものは守らないとね。どっかの、守らない式神もいるけど。」

 

「ちょっと動きづらいし、はじめてだから…」

 

 もじもじとするフラン、それに対するように苦笑いを隠しながら堂々とするレミリアを他所にほっと安心し一息つけると料理長の服を脱ぎ半袖のシャツに長ズボンの姿になり二人の吸血鬼に手を引かれて共に風呂場へと入った。

風呂場は中々の広さとどういうわけか露天風呂まで擁しており地方の小さな旅館並であった。

鍋月はいつも自室のシャワーで済ませているのだが、服を着ていてなおかつ雇い主であり紅魔館に居場所をくれたスカーレット姉妹の背中を流すという任があるためそれもかなわない。

ちなみに今彼女たちは風呂に入っている。

この間にタオルを泡立てておこうなどと考えていると

「お兄さま~一緒に入ろうよ~」とフランがのんびりしつつ話してくる。

背中を流すだけでも精一杯なのにか!?とつっこみたい気持ちをを喉元で堪えてどうしたものかと浴槽の隅で悩んでいるとレミリアが寄ってきて

 

「それもいいわね。当主としてお願いするわ、一緒に入って頂戴?」

 

 なんて言うものだから頬を真っ赤にしてわかりましたと冷静を装いつつ脱衣所に行き、服を一通り脱いでバスタオルを腰に巻き付けこれでいいのかと問いかけたくなる気持ちになる。

その姿で出入り口のドアの前に立ち、それでは失礼しますと言ってから入る。

その途端、何かに風呂場の反対側から突き飛ばされて浴槽に派手に飛び込む。

 

「うわっ!!」

 

「わぷっこらフラン。落ち着きなさい。」

 

 はーいと頷いてフランは浴槽の中に入ってくる。

その刹那に濡れたタオルがぴっちりとくっつき彼女のボディラインが見えたのは黙っておいた。

その後レミリアとフランは浴槽から出てシャワーの前の椅子に座る。

 

「じゃあお兄さま、お願いね」

 

 声を弾ませて自分でキュッキュッと頭にシャンプーハットを装着し大人しく座る。

ちなみにレミリアは体を洗うためかバスタオルを外していた。

 

「はいはい。」

 

 そう言って石鹸として使われているクリーム状の物を手に出して丁寧にフランの頭に触りしっかり浸透させていく。

その際フランはずっときゃっきゃっと言って楽しそうであった。

 

「痒い所はないかい?」

 

「うん!」

 

 その微笑ましいやり取りをしながら一通りの作業を終えると、シャワー片手に髪についた石鹸を洗い流していく。

 

「はい、できたよ」

 

「ありがとう、じゃあ背中後でお願いね!」

 

 にかっと明るい笑顔を見せてフランは自身の体を洗っていく。

その隙にレミリアの背中を洗わねばと隣のレミリアの後ろに回る。

 

「お待たせしました。」

 

「うん。じゃあ優しくお願い。」

 

 少しどきりとしてはいと頷くと丁寧に背中を流していく。

 

「ねぇ鍋月」

 

「何です?」

 

 手を止めることなく優しく洗っていく。

ちなみに今彼の手は羽の付け根の所を洗っていた。

 

「ここに来て良かったと思ってる?」

 

「何を言いますか。私はここで紅魔館の一員として料理長をすることができて幸せ者です。」

 

 事実外の世界の人間がこうして働けるのはものすごい運があって成立するだろうそれこそ宝くじを10枚買って1等と特賞が同時に出る程度でなければならないのだ。

 

「それは良かったわ。乗り気じゃないのに働かせても綻びのあるような仕事しかできないし私は好きじゃないわ。」

 

 そう言ってレミリアは少し微笑んだ。

こうして微笑むのを見ると男として本当に嬉しいと思いなおかつ彼の信条に叶っているからその嬉しさも尚更引き立ってくる。

 

「それもそうですね。背中洗い終えましたよ。」

 

「ありがとうね。気持ちよかったわ。これからもお願いね、料理長。」

 

 バスタオルを巻いて風呂に戻っていくレミリアは捨て台詞のように呟いた。

ふと何のことかわからず理解に苦しんだが料理長の職という意味で捉えることにした。

 

「お兄さまー背中洗ってー!」

 

そしてその言葉にはいはいと頷いてフランの背後に回り、体を洗うタオルを受け取る。

 

「お待たせ。」

 

「うん!」

 

 そして他愛もない弾んだ会話が続き、フランが満足したのは言うまでもなかった。

 

 

 

 

 

 そして広い浴槽にスカーレット姉妹が鍋月を挟むように位置取りをして浸かっていた。

 

「もうそろそろ上がられますか?」

 

「まだ温めれてないわ。」

 

「まだお兄さまと一緒に入っていたい!」

 

 といった感じで鍋月の意見は折られてしまった。

本人もまぁ苦行じゃないから大丈夫かと考え

 

「分かりました。では二人のタイミングに合わせます。」

 

 そう言った矢先、磨りガラスの向こう側で誰かの人影が見える。

 

「んーっ!。あれ?」

 

 何も知らない美鈴は根っからの無防備で浴槽に入ってくる。

鍋月はそれを見てこれはまずいと湯煙の質を自分の能力で高めて美鈴の要所を隠す。

しかしそれも間に合わず風呂桶が飛んでくる。

 

「痛っ!くぅー…」

 

「あれ?鍋月、さん?」

 

 自身の髪と同じ位真っ赤に顔を染めた上に驚きの表情を見せて腕をまわして必死に隠そうと奮闘していた。

 

「何であなたがいるんですか!!」

 

「私が呼んだのよ。背中を流してもらうためにね。」

 

 レミリアがそう返す。

それでも色々と合点のいかない美鈴は参ったとばかりに自身の髪を前にやり上の要所を隠すようにかける。

そして手で隠す。

それだったら髪で隠す必要はと鍋月は問いかけるだろうがそのとき鍋月は視線を逸らして目を瞑っていたから何もつっこまなかったのだとか。

 

「あなたも一緒に入らない?」

 

「お嬢様がそういうなら」

 

 この時鍋月も顔を真っ赤にしながら「美鈴無理すんな」と目で訴えるもそれは届かず向こうは浴槽に浸かってきた。

 

「申し訳ございません」

 

「いや、大丈夫ですよ。過ちは誰にでもありますから。」

 

 ちなみにこの言葉は彼が料理長に着任した際に幽閉したことを謝ってきた美鈴に対して言った言葉である。

 

「はい。」

 

 二人とも顔を真っ赤にして伏せる。

スカーレット姉妹に関してはまだ発展途上である上バスタオルを巻いていたものだから我慢できたものの美鈴の場合は既に成熟していて洗練された肢体に加え何も纏う物がない状態できてしまったのだから恥ずかしいったらありゃしないといわんばかりであった。

そんな二人をレミリアは何も言わずただ目でやれやれとフランに言うだけであった。

 

 

 

 

 

 その後、入浴後の飲料を皆で飲むとそれぞれの寝床についていった。

美鈴は勝手に一人寝床に向かったがスカーレット姉妹は相も変わらず鍋月の先導で寝室に向かっていた。

 

「それではお休みなさいませ。」

 

「鍋月も。」

 

「はい。」

 

 そう言ってレミリアは自室に入っていった。

あとはフランを連れていけば一日は仕込みで終わると思い、気合を入れ直す。

仕込み自体自分が抜けても問題はないのだが本人のこだわりで欠かさずやっていた。

 

「じゃあフランちゃん、お休み。」

 

「…んう…」

 

 すると、服のを掴んで離そうとしなかった。

何かあるに違いないと思い問いかける。

 

「大丈夫?」

 

「一緒に寝てくれないの?咲夜はいつもしてくれてるよ?」

 

まさかの展開であった。

混浴に添い寝イベントが立て続けに起きるとは誰として予測してなかっただろう。

そして鍋月はここまできたらやってやると考え、わかったと答える。

 

「ありがとう、お兄さま。」

 

 いやいや別にいいよと遠慮がちにいうとベットまで先導する。

眠いのか時折目を擦っているのが愛嬌があって本当に吸血鬼かと疑いたくなるときが鍋月にはあった。

ベットの近くまで行くと鍋月を押し倒しそのまま隣で寝始めてしまった。

しかも左腕にまとわりつくような形で自身の方向に顔が向いているため起きようにも起きられず、寝息もきこえてしまい寝ようにも変に心臓の高鳴りが耳元まで聞こえてしまいどうしようもなかった。

誰も来ないといいなと願っていると扉の隙間から誰かが覗き込みパタンと閉じた。

ちなみにこの時覗き込んだのは消灯に見回っていた妖精メイドのチェリーで、その後そのことに関しては黙秘を貫いてくれたのだとか。

それから数十分後、諦めて寝てる振りだけしていると再び扉が開く。

今度は誰かが入ってきた。

背中に翼をもっていることからレミリアとすぐ断定できた。

 

「面白いことしてるじゃない、まざるわね。」

 

 そう言ってレミリアはすうっとどこか慣れたように右側に入ってくる。

そして優しくそっと腕をまわしてきた。

 

「ねぇ、起きてるんでしょ?」

 

 諦めがついて目を開いて白状する。

 

「本当に懐いちゃって、うらやましい。本当は私だって甘えたいの。でも紅魔館の当主としての誇りがあるから、できないのよね。」

 

 正直な話今そこでアタックしてくるかと驚く。

確かに彼女のカリスマ性は周囲を軽く凌駕していた。

しかしフランの様には甘えてこなかった。

もしかしたらフランを羨ましがっていたと考えるとすべてが繋がった。

 

「だから、今だけでいい、甘えさせて。」

 

 そう耳打ちする。

当主であり幼子(のように見える娘)の願いを断るわけにもいかず鍋月が構いませんよと頷くとギュっと力強く、でも優しく右腕を抱きしめた。

やっぱり姉妹だな。

そう思い無理やり自分自身の心を落ち着かせて眠りについた。

 

 

 

 

 

 そして図書館、パチュリーはいつものように研究…ではなく今回は魔力の源を自身が捨てようかどうか迷っていた剣に封じ込めていた。

魔力の種類がまた特別なもので生成に時間がかかったが完成するとあとはウイニングランよろしく楽な作業ばかりであった。

呪文を念じると剣は白いオーラに緑の炎を纏う。

そしてそれを鞘に納めるとオーラは消える。

しかし透明で何もなかった鍔から緑色のオーラが光を放っていた。

 

「完成、と。」

 

 それにしても、この魔力の封じ込められた剣を何に使うかはパチュリーにはレミリアの説明のおかげで分かっていたものの、どうも理解できない節があった。

 

「なんでこの剣に封じ込めさせることを望んだのかしら?」

 

 まあ後で聞けばいいかと妖精メイドが届けてくれた夜食を珍しく口に含んだ。

ちなみに夜食は手巻きずしの”完成品”であった。




毎度ご愛読ありがとうございます。
前回のヒントの答えをいっておきますと
紅茶→アールグレイ→添い寝です。
答えを見ても分からない方はyoutubeかニコ動あたりでアールグレイと調べるとわかるかもしれませんよー。
それでは皆様第三編にて。
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