俺…崖から落ちて…生きてるのか?
「…ぇ、おき…。…いて…の?」
誰かの声が聞こえる…頭が痛い。
「ねぇってば?大丈夫なの!?」
何者かに揺すられ杉元は目を開ける。
「うおおおッ…お?」
最初に杉元の目に飛び込んできたのは明らかに北海道の山中ではなく石畳西洋風の建物だった。
「あぁ良かった。やっと目を覚ました」
どうやらこの少女が介抱してくれていたようだ。
「ここは何処だ?」
「えぇ…大丈夫?自分の名前は言える?」
「俺は…杉元佐一だ。こっちは親友のインポちゃん」
「キィッ!!」
「そう…私はミーシャよ。ところでおじさん本当に大丈夫?ずぶ濡れだしちょっと怪我してるけど」
「あぁ大丈夫。えッおじさん?やだ…そんなに老けて見えるの?確かに三十手前だけどまだ二十代だよ。ねぇインポちゃん。まだ若いよね?」
「……」
「なんで黙るのぉ!!」
「ふふっ」
杉元がミーシャを見るとミーシャは少し顔を赤くして慌てて取り繕い
「ごめんなさい。あなた達を見てると何か可笑しくって。久しぶりに笑えた気がするわ。ありがとね」
「ミーシャさんっていうのかい。ひとつ聞きたいんだがここが何処か教えてくれるか。北海道ではなさそうだが…」
「その…ホッカイドウ?って所は知らないけどここはウルサス帝国の移動都市の一つチェルノボーグ市よ」
「ウルサス帝国にチェルノボーグ市?聞いたことねぇな…」
「スギモトさん…。あなたやっぱり変よ何処か怪我してるのよ。病院いきましょう。一緒について言ってあげるから」
「いや大丈夫だよ。これ以上世話かけられないよ。それにここがどんなところか確認したいしね」
「そんなこと言ってもスギモトさんずぶ濡れで風邪引いちゃうわ!!」
「いや大丈夫大丈夫!なんたって俺は不死mヴェックショイ!!!」
杉元が大きなくしゃみをするとミーシャと杉元の間に沈黙が流れる。
「着替えならお父さんのがあるから家に寄ってきなよ…」
「すまない。恩に着る…」
「いいわ、気にしないで」
杉元たちは路地裏を抜け歩き出す。杉本は初めて見る人や物に興奮を隠せない。
「ちょっと聞きたいんだけどミーシャさんの頭にあるのはやっぱり耳なの?」
「当たり前じゃない。まぁ種族によって全然違う形だけど。」
そう言うとミーシャは耳をピコピコと動かす。
「おぉ…」
そう言って大きな通りに繋がる道に出ようとすると突然向こうから飛び出してきた赤い服を着たウルサス男性と杉元はぶつかってしまう。
「おぉっと、すまない大丈夫か?あんたすごい汗だくだな」
そう言って差し伸べられた杉元の手を取ることなく男性は路地裏に消えてしまった。
「何だ変なやつだな…」
しばらくして杉元は向こうからやって来た黒い服で身を固めた一団に呼び止められる。
「失礼、旅行者の方とお見受けしますが先程この辺りで赤い服を着た男を見ませんでしたか?」
「そいつなら路地裏の方に入っていったぜ」
「御協力感謝します。行くぞ!絶対に逃がすな!!」
黒服の男たちは杉元に礼を言うと走り去っていく。その内の一人を捕まえると
「少し聞きたいんだが、あんた達が探してる男って何かしたのか?悪人って面はしてなかったが…」
「あぁ感染者のクソ野郎ですよ。まったくどぶ鼠みたいにすばしっこくて…あっ楽しい旅行中に失礼しました。本官はこれにて!」
そう言うと男は去っていった。
「感染者って何だ?…あれッミーシャさんがいない。」
ミーシャは杉元がいたところから少し離れたベンチに座っていた。その顔を暗く少し怯えているように見えた。
「…アイツらもう行った?」
「さっきの人たち?あぁもう向こうの方に…」
「そう…じゃあ行きましょうか」
「ミーシャさん。さっきあの人達が言ってたんだけど、感染者って何かわかる?」
ミーシャは杉元の言葉を聞くと少し肩を震わしながら
「感染者っていうのは鉱石病に罹った人達のことを言うの。この病気になると体から石が生えてきて最後に死んじゃうの」
「そんな病気が…」
「それだけじゃない、ここでは感染者は対して徹底的に取り締まりがされているの。見つかっちゃったら良くて強制連行、悪くてその場で処分」
「…ッ!」
「その分感染者に対する皆の当たりも強くて…ある日弟が鉱石病に罹ったの。すぐに憲兵隊が来たわ。お母さんは弟を守ろうとしたけど、あいつらに『邪魔するな』って立ち上がれなくなるくらい殴られて…」
「ミーシャさん…。」
「でも私…連れて行かれる弟を見て…怖くて見てることしかできなくて…」
「…すまない、悪いことを聞いたな。」
「…私も急に取り乱してごめんなさい。さぁ家についたよスギモトさん」
そう言って浮かべたミーシャの笑顔はとても痛々しく杉元は軍帽を深く下げた。
「(この世界は一体何なんだ?知らない病気に見たこともない人達。俺は一体何処にいるんだ?)」
アニメだとミーシャ普通の耳とケモミミもあってそんな感じなんだって長年の謎が解けた気がした。