オリジムシ・ヒンナヒンナ   作:ヤナ麻呂

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明けまして御目出度う御座います。
コロナに罹りました。自分の場合家族内での隔離政策がうまく機能せずって感じで一番最後に感染ったので「この糞感染者が…。」って言葉がすんなり出てきました。『この気持ちは小説に活かせるかもしれない!!!』



六話 ペンギン急便

放たれた弾丸は幸運にも当たることはなく建物の外壁に新しい傷をつけるだけだった。

 

「ぎゃあ!!ちょっと待って待って!!そいつらの仲間とかじゃないから!!!」

 

「本当〜?」

 

「今から出るから!!撃たないでよ!!絶対に!!」

 

そう言って女が壁から体を出した瞬間、杉元は再び発砲する。

 

「うぎゃあ!!二度も撃ったな!!モスティマにも撃たれたことないのにッ!!!」

 

結局、緋色の髪の女は銃を置いて両手を上げながら杉元の前にすごすごと出てきた。

 

「アンタこの二人組とどういう関係だい?」

 

引き金に指を掛けたまま杉元は質問する。

 

「あたしはその…そこにあるケースをとある所に届ける仕事をしてまして…。依頼人がケースを私達に預ける前にそこの二人組に盗られちゃったみたいで…それを追いかけてきたわけです…。ハイ。」

 

「ふ〜ん…。じゃあこの二人組とは関係ないのか…」

 

「そりゃあもう!!!この銃に誓ってもいいよ!!」

 

「そっか〜。撃っちゃってゴメンね」

 

「えー…。まぁいいけど」

 

杉元は膝を付いて両手を上げていた女の手を取ると

 

「お嬢さん殺しかけておいて何だけど大丈ッ…」

 

次の瞬間杉元は立ち上がりかけていた女を突き飛ばすと、頭上に向けて発砲した。突き飛ばされた女は短い悲鳴を上げながらごろんと転がる。

 

「いったぁ!!何すんのさ!!」

 

そう言って起き上がった女が見たのは自分の同僚であるループスと杉元が斬り合っている姿だった。

 

「エクシア無事か。」

 

「ちょ…テキサス!?何してんの!?」

 

杉元は斬り掛かってきた女に対し一回一回装填が必要な小銃では不利と判断し腰の銃剣を抜く。

 

「テキサス待って!!二人とも落ち着いてぇ!!!」

 

下から斜めに斬り上げてくる剣を躱すと真っ直ぐ銃剣を突き出す。テキサスと呼ばれた女は体勢を低くして銃剣を避けると杉元の足に鋭い蹴りを入れた。

 

「お〜い二人とも聞いてるの?」

 

蹴りを入れられ姿勢を崩した杉元にとどめを刺そうとテキサスは剣を上段に振り下ろす。

 

「があああっ!!!」

 

杉元は間一髪で柄を握る手を抑えると襟を掴み投げ飛ばした。

 

「あれっテキサス押されてない?」

 

杉元は銃剣を逆手に持ち投げ飛ばしたテキサスに馬乗りになり首に銃剣を突き刺そうと力を込める。

対するテキサスも源石剣で杉元の首を掻っ捌こうと抵抗する。あと少しでテキサスの首に銃剣が突き刺さる所で短く繋がった発砲音が辺りに響き渡った。

 

「そこまでッ!!龍門で殺しはご法度だよ。テキサスも頭に頭に血が上りすぎ」

 

「別に…」

 

そう言うとテキサスは口から血をペッと吐き出した。

 

「…アンタら仲間なのか?」

 

「そうだよ〜。仲間でもあり同僚さ!!」

 

「アンタの同僚いきなり空から降ってきて斬り掛かって来たんだが…」

 

「いや〜…それはそのゴメンナサイ…」

 

「……」

 

「ちょっとテキサス!!」

 

「私は悪くない…」

 

「えー…。気を取り直して自己紹介と行こっか!!私はエクシア!!こっちの無表情なのはテキサスだよ。よろしくねッ!!」

 

そう言うとエクシアは杉元の手を握ると上下にブンブンと振る。

 

「…杉元佐一だ」

 

「スギモトさんね。さっきは荷物を取り返してくれてありがとう!!ペンギン急便の看板に傷を付けるところだったよ!!」

 

「…エクシア時間が…」

 

「はっ!!配達の途中だった!!ボスにも連絡しないと!!」

 

「…私が先に荷物を届けてくる。エクシアは今回の事をボスに報告を頼む」

 

「オッケ〜テキサス。ちょっと待ってね」

 

そう言うとエクシアは携帯を耳に当て連絡を取り始める。気がつくと杉元を襲った二人組はどこかに消えていた。

 

「スギモトさ〜ん。ボスが今回のことで礼がしたいから来てもらえだってさ!!時間とか大丈夫?」

 

「…まぁ暇っちゃ暇だからな」

 

「じゃあ決まりだ!!一名様ご案内〜」

 

エクシアは杉元を車に乗せると発進させた。車はスラムを抜け市街に向かう。

 

「スギモトさん龍門に最近来たの?」

 

「あぁチェルノボーグから歩きでな」

 

「ひゃあ〜。スゴイね」

 

そう言うとエクシアはニシシと笑いながら

 

「じゃあうちの会社は知らないわけだ…。きっとボスのことを見たらビックリするよ!!」

 

「……?」

 

「スギモトさんはスラムで何してたの?もしかして悪巧み?スギモトさん滅茶苦茶強いからなぁ!!テキサスが押されているの初めての見たよ!!」

 

「…仕事を探しててね。少し前に住む予定だった家をぶっ壊されたんだ」

 

「おおっと…悪い事聞いちゃったね。気を悪くしたらゴメン!!」

 

「いいよ。別に気にしてない」

 

「…よしッ!!ボスの所で用事が終わったら近衛局に連れて行ってあげる!!誰が家を壊したか突き止めてガッポリ賠償金もらっちゃおう!!あたしが手伝ってあげる!!」

 

「ありがとう。あんた良い人だな」

 

「エクシアでいいよ。ほらっここがペンギン急便のオフィスだよッ」

 

車を降りるとエクシアを先頭に建物の中に入っていく。エクシアは社長室と書かれたドアの前で止まるとドアを四回ノックする。

 

「合言葉は……」

 

中からボソボソと声が聞こえてきた。

 

「ペンギン帝国万歳!!これってホントにいるの?」

 

そう言うとエクシアはドアを開け中に入る。

 

「やっほー!!ボス!!スギモトさん連れてきたよ!!」

 

「あぁ…よく来たな…」

 

その声を聞いた杉元は即座に戦闘態勢に、銃剣を手に中に入る。

 

「尾形ァァァァ!!!!!」

 

部屋に入った杉元が見たのは孤高の山猫スナイパーではなく逆光を背にし高そうな椅子に体を預けたペンギンだった。

そのペンギンは口をあんぐりと開け足元には割れたグラスが転がっている。

 

「あれっ?」

 

「お、おっかねぇ兄ちゃんだな…」

 

杉元は銃剣を腰に戻すと

 

「すみません。昔殺されかけたヤツに声がそっくりで…」

 

「えぇ…まぁ今はどうでも良い。兄ちゃんがウチのエクシアがミスった所を助けてくれたそうじゃねぇか」

 

「ちょっとボス!!あたしが荷物受け取る前に盗られてたんだからミスじゃないって!!」

 

「うるせぇ!!割れたグラス片付けたいから箒とチリトリ持って来い!!」

 

「は〜い」

 

「そこでだ。ウチの第一のモットーは『やられたらやり返す。倍返しだッ!!』だからな。これはもちろん受けた恩も例外じゃねぇ。」

 

「昨日と違くない?」

 

「さっさと箒持って来いエクシアッ!!」

 

ペンギンは息を整えると

 

「兄ちゃんは仕事探してんだろ?エクシアから聞いたぜ。俺のツテや今から帰ってくるクロワッサンやソラに協力して貰えば生活に困ることは無いと保証するぜ」

 

「おぉ!!あんた…いや貴方の名前は…」

 

「皇帝(エンペラー)だ。ボスでいいぜ。」

 

「俺は杉元佐一って言います!!いや〜家ぶっ壊されて困ってたんですよ!!」

 

杉元はエンペラーの手(?)を握るとブンブン振る。

 

「おいエクシア!!色々終わったらスギモトの事手伝ってやれ!!恩人の家ぶっ壊した奴だ。骨の一本や二本やっちまってもいいぜ」

 

「はーい!!行こうかスギモトさん!!」

 

「エンペラーさん…いやボスありがとうございます」

 

杉元がそう言うとエンペラーは照れたように鼻(?)を擦り

 

「へっよせやぁい」

 

「ボスゥゥゥッ!!」

 

杉元とエンペラーがじゃれ合っていると誰かが部屋に入ってきた。

 

「ただいま〜ボスおる〜?土産もぎょうさんあるで〜」

 

「ただいま帰りました」

 

肉と書かれた服を着た女性と可愛らしいピンクのフリフリを身にまとった少女が入ってきた。

 

「お兄さ〜ん誰?ボスの知り合い?」

 

「杉元佐一だ。どうぞよろしく」

 

「兄さん男前やな〜。ウチはクロワッサンよろしゅう頼むで〜」

 

「ペンギン急便の歌って踊れるアイドル、ソラです。宜しくお願いします!!」

 

「あぁよろしくね」

 

「ところでスギモトはん、どっかに行くのとちゃうん?」

 

「あぁマフィアと運送屋の抗争に巻き込まれて家を失ってね…。そのお礼参りに…」

 

「…ほーん。ちなみに住所って聞いてもええか?」

 

「別にいいけど…確か北海町支遁街辺見路24号だったかな?」

 

「…ありがとな。ボス、ソラちょっと」

 

クロワッサンはボスとソラを呼んで部屋のすみっコでヒソヒソ話し始める。

 

(どうしたんですか?)

 

(おい…クロワッサン内緒話は俺の趣味に合わないんだ

が)

 

(ちょっとええか。スギモトはんの家はマフィアと運送屋の抗争で潰れたんやろ)

 

(あぁ本人もそう言ってたぜ)

 

(スギモトはんの家の辺りで、四日前に仕事あったやん。エクシアはんとテキサスはんのペアで…)

 

(それがどうかしたんですか?)

 

(ウチあの仕事が終わった後いつも通り近衛局に今回の仕事で出た被害と補償について報告しにいってな)

 

(オイそれって…)

 

(確かに家一つ潰してるわ。正確にはテキサスはんがマフィアの車に車で体当たりかましてそのままマフィアの車が家に…って感じやけど…)

 

(それって不味くないですか?でもちゃんと謝ったら…)

 

(待て…)

 

ソラとクロワッサンがエンペラーを見るとエンペラーの顔からあせが一粒滴り落ちた。

 

(ボス…どうしたん?)

 

(スギモトはかなりやばいぞ…俺の事声が似てるってだけで殺しかけたからな…。しかもテキサスと互角らしいぞ…)

 

(うそっテキサスさんが!?)

 

(ほんまかいな。そんなにやばそうには見えへんけど…)

 

三人が恐る恐る杉元を見るとどっから出したのか大きな砥石で銃剣を砥ぎながら

 

「ヒーヒッヒッヒ、マフィアも運送屋もまとめてチタタプにしてやるぜ」

 

(ヤバいでボス…。ウチらよくわからんチタタプってやつにされるで)

 

(どうするんですかボス?)

 

(待て…今俺の灰色の脳細胞がグッドでナイスなアイディアを思いついた。その前にまず…)

 

「スギモトさ〜ん!!早く行こー!!近衛局閉まっちゃうよ!!今日はボスから許可が出たから弾制限ナシの大盤振る舞いだ!!!」

 

(アイツ黙らせてこいッ!!)

 

((了解ッ!!))

 

こうしてエクシアはソラとクロワッサン達に連れて行かれ戻ってくることはなかった。

 

二人きりの部屋でエンペラーは杉元に近づく

 

「どうかしたんですか?ボス?」

 

「いや…。今スギモトの仕事をどうするか話しててな…」

 

「すいません何から何まで…」

 

「無いそうだ…」

 

「えっ?」

 

「仕事無いってよ。ペンギン以外お断りだってな」

 

「そんなぁ…」

 

「まぁそこでだ…。無かったですハイそうですかじゃ俺の面子が立たねぇ。スギモト俺の仕事を手伝う気はねぇか?」

 

「ボス…それって…」

 

「ようこそペンギン急便へ、社長のエンペラーだ以後よろしく」

 

「ボスゥゥゥゥゥッ!!!」

 

「話ついたみたいやな…」

 

「あっ!!クロワッサン先輩!!杉元佐一です。宜しくお願いします。得意なことは銃剣を使った格闘戦で苦手なことは射撃とイナゴの佃煮です!!」

 

「あぁ…よろしゅう」

 

「スギモト早速だが初仕事だ。明日十時にウチに来い」

 

「はいッボスッ!!」

 

杉元がエンペラー達と別れエクシアの車に乗り込もうとした時、ちょうどテキサスが帰ってきた。

テキサスは杉元を見つけるとペコリと下げ

 

「あの後エクシアから聞いた…いきなり斬り掛かってすまなかった」

 

「テキサス先輩ッ!!ペンギン急便社員見習いの杉元佐一ですッ!!宜しくお願いしますッ!!!」

 

「………え?」

 

 

 

 

 

 




皆さんが一番好きな入墨の囚人は誰ですか?僕は辺見和雄です。

それでは最後に、
『素敵な仕事が見つかって良かったネ!!杉元!!』
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