この国はおれの国で…… この城はおれの城だからだ!!   作:是夢

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ワンピース二次創作ブームに便乗。
憑依されてない章ボスの方が少ないんじゃないか?という原作の中でハーメルンで名前で検索しても一件も出てこない奴の話で対戦よろしくお願いします。



〝この国はおれの国で…… この城はおれの城だからだ!!〟

 

「このっ、カバ野郎がァ!!」

 

人の頬を殴る感触。それなりに鈍い音がするも、周囲の雪に音が吸われて思ったより響き渡ることもなかった。

 

「ゴホッ、ゴホッ、畜生思い切り殴りやがって……」 

 

口の中を切ったか、内臓にもダメージが行ったか。雪に覆われ真っ白な地面に血で模様を描く目の前の老人……いや正確な年齢を知ってる訳じゃないのだが。十字に伸びた髪は白く、顔にシワも目立ってるし老人でいいだろ。まぁ、それはともかくだ。

コイツは悪態をついているが俺が殴ったのには正当な理由がある。

 

 

「おれがお前を殴るのは国家公認の行為で暴力とは扱われない。なぜならお前は幾度となくこの国で盗みを働く常習犯、そしておれ様にはお前を含むこの国で罪を犯した奴を裁く権利があるからだ」

 

「どうせ金持ちなんだ、ケチケチするな!!」

 

「盗みだけじゃねぇ!テメェは無許可で医療行為と銘打って意味不明なもんを国民に施してやがる、強盗行為も含めてお前のせいで自宅療養で済むもんを入院必須にまで悪化した奴らがどれだけいると思ってんだァ?このカバがッ!!」

 

「ぐっ、それは……本当にすまなかった。ヤモリの尻尾は効くと思ったんだ、あんな結果にするつもりじゃなかったんだ」

 

目の前の男は盗みについては悪びれない癖に医療行為モドキの結果については悔いているらしい。本人なりに違いがあるのだろうが、被害を受けた側からすればどちらも迷惑な犯罪行為なのだが。

……俺はこの老人が俺のいない世界(・・・・・・・)で何をして、それがどれ程この国に良い影響を与えたかは知っている。だが、それを差し引いても今目の前にいるコイツのやったことを許してはいけない職業なのが俺だ。

 

「その金持ちがどうやって金持ちになったか、テメェのあれがいかに医療行為でないかを講釈してやることもできるが面倒だから代わりに確実な事を言ってやろう」

 

俺は言葉を続けながら老人の髪を掴んで持ち上げる。老人の髪もかなりのボリュームだが、同時に俺の手は十字の一房をまるごと握れるくらいにはデカイ為可能な芸当だ。

そして持ち上げた顔を近づけて怒鳴りつける。

 

「この国ではな、国民も、国民の所有物も、全て王様のものなんだよ。そして『ドラム王国憲法第十一条、王様のものを王様の許可なく奪う事は罪である』!! つまり、お前はこのおれ様、ドラム王国国王・ワポルのものを盗み、傷つけた!それだけでも大罪!よって、この国で罪を犯したお前はおれ様に裁かれる!そこに言い訳の余地はない!どうだ、テメェのようなカバでもわかる簡単な理屈だ」

 

俺の知る俺と同様に俺が勝手に改めた法だが、間違いなくこの国で効力を発揮し秩序となって国民を守っている法の名を以て、俺は老人にこの国のルールを説く。

俺も頭は良くないが、だからこそ俺でもわかるくらいに単純なルールを優先した。それでも理解して貰えない人物は確かに存在するが、目の前の老人にはどうだろうか。

 

「わ、わかった、おれが悪かった。悪かったからその手を離してくれ……」

 

俺はため息をつきながら老人を放してやる。

まぁ所詮俺なんてこんなもんだ。王様として法を書いても、結局最終的には暴力や恐怖に頼らないと人一人動かせない。だからといって悲観してる訳でもなく自分をそんなもんだと妥協して生きてるんだからどうにもならんよな。

 

「ワポル様〜!!ご無事ですか〜!!」

 

ゼェゼエと息を整える老人を死んだ目で見ていると、俺を呼ぶ声が聞こえてきた。老人を逃さないように位置取りを変えながらそっちを見ると、声の主は俺の家来の一人だ。

なんの用か言わせようとすると、老人の方を気にする素振りを見せたので聞かせるか家来の身では判断しかねる話だと思い、耳打ちをさせた。

 

「チッ」 

 

俺は家来の話を聞いて露骨に舌打ちをし、老人を蹴り飛ばしてやった。

 

「おい、ジジイ、運が良かったな。テメェが悪化させた病人が我が国の病院の適切な処置で息を吹き返したそうだ。よってドラム王国憲法では殺人を犯していない貴様を死刑にできなくなった。その他の罪も殺人未満なら俺様が振るった暴力で追及が面倒になった。よって食いもんとかの消耗品以外の盗んだもんを後で返しに来い、それでおれ様は赦してやる」

 

「ほ、本当か!?」

 

「二度言わせるな面倒くさい。だが、おれ様が赦してもテメェの被害にあった奴からテメェへの悪感情が消える訳じゃねぇ。おれ様からちゃんと裁いて貰った方がマシかもしれない、というのがおれ様の国の法と罰の基本方針だ。その辺はしっかり理解しておくように」

 

老人は俺に頭を下げ、礼の言葉を述べる。あいにく俺は言葉の裏の真偽を見抜く力すらない王様なので、本心からなのかその場限りの言葉なのかは相変わらずわからない。よって今後の行動で判断するとする。

やる事もなくなったので、決定した事を家来に改めて伝え、俺は城に帰ることにする。俺は自分の仕事をできるだけ少なくなるように国の仕事を分配する超怠け者の王様だが、それでも他の仕事はゼロではないのだ。

ふと思いつき、最後にまだ俺に頭を下げている老人……Dr.ヒルルクと名乗っている男に言葉をかけておくことにした。

 

 

「ジジイ、テメェが本当に医者がやりたいなら患者を殺しかけないようにちゃんと医学の勉強をしろ、そしてちゃんとした医者になっておれ様とこの国の為に働くんだな、まーっはっはっは」

 

 

 

ジジイがなんか喋るトナカイを連れてきて俺のお抱えイッシー20からそいつに医術を教えてもらえるように再び頭を下げて来たのが、その数カ月後の話だった。

 

……それ頭下げる先俺でいいのか?確かにイッシー20にローテで定期講義させたり新人育成にも力を入れるように命令を出したのは確かに俺だが……良いのか?

 

 

 

 

 

 

      △ ▼ △

 

 

 

 

 

 

……痛ェ。すげぇ痛ェ。

こっちに生まれてこの方戦いなんかする必要もない王様という立場に甘んじて、更に死んでも治らなかった面倒くさがりのせいでロクな修行もできねぇ、そんな俺がこんなに痛い思いをしなければならない理由、それは。

 

「ゼハハハ……思ったよりやるじゃねェか、能力を随分使い込んでやがるな」

 

「褒めたつもりか?カバめ、王様であるおれに迷惑かけた時点でこれは世界的大犯罪だ、テメェの減刑はねぇ!」

 

目の前にいるこの海賊のせいだ。俺の知る通り(・・・・・・)ある日突然やってきて俺の国ドラム王国を襲ってやがる。

知ってたなら対策してないのか、と言われても細かく何日の何時かとかは知らんし、そもそもこの時代に海賊が街を襲うことなど日常茶飯事で、実際に俺も何度か他の海賊団の襲撃を受け、それを国力を以て退けている。

つまりはそれができる程度に国の防衛戦力を強化しておいたのだが、なんやかんやこの辺りの海では能力者は強力で、それしかない俺が最高戦力のままぐらいにしか一般人はならないもので。

そして今日やってきた海賊はそんな状態では止められないような奴らだったと言うわけだ。

 

 

「ゼハハハ、見逃して貰えないなら仕方ねぇ、海賊らしく奪わせて貰うぜ“黒水(くろうず)”!!」

 

突如、俺の身体が引っ張られる。この戦闘でも事前知識でも知っていた奴の『闇の引力』とかいうやつで、この回避不能の引き寄せで触れられると俺は俺の戦闘能力の99%である悪魔の実の力を失うとかいうシロモノだな。だが……

 

「うおっ、危ねえ!?」

 

海賊は引き寄せられた俺を掴むことなく避けた。それもそのはず、俺は引き寄せられながら口を大きく開いて海賊ごと食ってやろうとしていたのだ。仮に触れられて能力が封じられようがこのデカイ口と頑丈な歯は自前だ。噛まれればそれなりに痛いと思ってやったが大正解なようだ。そして俺に触れなかったということは能力が使えるということだ。

 

「“バクバク(ショック)”!!」

 

俺は口を開けたまま大砲と化したベロから砲弾を発射して海賊を追い立てる。海賊は地を転がって這いずって今日も積もっている雪に塗れる羽目になる。

 

「ゲホッ、ゲホッ、てめェ、その威力まさかドクQのか!!」

 

「まーっはっはっは、ありがとよ、お前の手下のリンゴ、美味かったぜ。お陰で爆弾撃ち放題だ!“バクバク食”!!」

 

バクバクの実はどんな物でも美味しく食えるようになるから、食品に偽造した兵器を食わせてくる敵が出てくるとソイツは補給物資をくれるありがたい存在になる。爆弾の混ざったリンゴを全部平らげてその隙をついて一発で倒して爆弾は俺に再利用されて……と俺がアイツとかち合ったせいであの船員踏んだり蹴ったりだな。敵だから俺としては助かるからいいんだが。

 

 

と、色んな幸運やバクバクの実の初見殺し性能を活かして抵抗を続けたんだが……何事にも限界ってもんがある。

相手の船長はあの白ひげの船で隊長候補にすらなってたとか聞くし、船員だって我が国の悪代官と悪参謀がボコボコにされてるくらいには強い。お陰で向こうの手が空いて複数の海賊幹部に囲まれるという最悪の展開。全く以って最悪だ。

だが悪い事は重なるもんで、海賊は俺に最悪の提案を持ちかけてくる。

 

「お前、おれの仲間にならねェか?」

 

歯並びが悪く、バンダナを頭に巻いている、闇の能力を持つ男は続ける。

 

「お前を守る部下は既に倒れ一人もいない、ここまでの戦いでおれとの実力差も理解しているだろう?」

 

「お前ほど能力を使いこなしてる奴は貴重だ、それが仲間になってくれるなら、この国をこれ以上襲う必要もねェ、すぐに撤収する!どうだ!?」

 

全く、酷い話だ。一見、国を人質にとっての交渉だが実際は違う。

実のところ俺は隠し事が苦手ですぐ態度に出る。だから今日初めて会って戦闘しただけのこの男にもわかるのだろう。俺に『この国にも国民にも思い入れがない』ことを。

所詮、王様に生まれついたから、その立場からわざわざ落ちるのがダルいから。そんな理由で適当に立場に甘んじ続け、これからもそうであってほしいと生きてきた。

それをこの海賊は見抜いているのだ、だから将来は今と同じようなベッドや食いもんが手に入る生活を送れると条件を追加している。

まぁ俺にそこまでする価値があるのかはわからんがもしかしたらこのバクバクの実を高水準で使える奴が欲しいのかもしれず、表向きの王様としての面子を保つためにお前は充分戦ったとか部下はもういないんだからと抜けやすい言葉をかけているのかもしれない。

 

だがまぁ、どっちにしてもだ。

 

 

「オイ、チェス、クロマーリモ。いつまで寝てやがる、王様が戦ってる中職務怠慢だぞ」

 

俺はその辺に倒れている家来を睨み付ける。

 

「ヒッ、も、もう……しわけ……」

 

だが奴らは息も絶え絶えで言葉を発するのがやっとだ。これ以上の戦闘ができないのは海賊の言うとおりだろう。

 

「ならば仕方ない、質問にだけ答えろ。この国の王様は誰だ?」

 

俺が俺であってもワガママな王様なのは変わらない。俺が“できる”と確信した命令を遂行できないときの不機嫌な俺を知っている二人は必死に言葉を紡ぐ。

 

「あ……あなた様です……ワポル様……」

 

「その通り!」

 

俺は手下の答えに再び気合を入れて海賊に立ち向かう。

 

「この国はおれの国で…… この城はおれの城だ!!テメェらがこの国に来なければおれ様は今日も明日ものんびり好き勝手に暮らせてたんだ、そんな生活滅茶苦茶にしやがった奴の仲間に誰がなるかァ!

『ドラム王国憲法』に基づいて判決を言い渡す!テメェらは王様のモンに手を付けた!よってこの国では死刑だとおれ様が今決めたァ!」

 

別にどうでも良かったんだ。この国も、俺自身も。海賊になるってのも、この国が突然の天災に襲われて無くなったりしたら選択肢に入ってくるだろうし、毎度持ち出してるドラム憲法も俺がなんか違うなと思ったら変えてる程度の奴だし。

結局の所俺が生活邪魔されてムカついた、そんな程度で良いんだ。この世界は自由な奴を推奨しているらしいし、何より小難しい理屈を考えるのは俺向きじゃねぇし。

 

バクバクの実の力を再起動させ、武器を構える。船長らしいさっきから戦ってる海賊に加えて更に何人か増えて多対一だが……それでもせめて連中に何かしら嫌がらせしてからにしたいところだ。てか何だよ黒ひげって。お前の特徴の中でひげはどう考えても地味な部分だろうが。

 

と、どうでもいい悪態をつけるくらいには気力が戻ってきた、そんな時であった。

俺が攻撃するより前に、海賊共の一人が吹き飛び……

 

「おいワポルよ、約束が違うぞ。この国で処刑される海賊はこのムッシュールに任せると」

 

「に、兄さん!?」

 

「このカパ野郎が!いつもお兄たまと呼べっつってんだろーが!!」

 

「わ、悪かったよ兄者」

 

「分かればいいんだ、ムッシッシ〜」

 

さて、このコントみたいなくだりを見せると大抵の奴は調子が狂ったり気が抜けたりするんだが今日の相手はそうじゃねぇらしい。

そんな奴らだ、援軍に来た我が兄ムッシュールの実力を見誤ることはないようだが、もうほぼ助かったと言っていいだろう、兄貴はそれくらい強く、更に今日は特に海賊に対して怒っている。色々あってこの国や俺に甘い男だ、それを焼こうとした海賊どもが許せないのも当然だ。

全く、俺なんかに都合のいい援軍が良いタイミングで来てくれるようになるとは、本当に人生はわからねぇな……

 

 

 

 

 

 

 




ワポル
本作の主人公。原作の知識を持っていてその原作と性格が違うので恐らく憑依か何かだろうと思っているが、興味がないのでそのままにしている。
元が元なので原作とは比較にならない程善政を敷いているが、国民はそんな事を知らないので落差による過剰な感謝とかはなく、革命?起こす必要あんのそれ?くらいの支持率を維持している程度。
夢はひたすらふかふかのベッドで寝て好きなもんを食べている生活。既に叶ってるように思えるが、本人曰く「最高クラスの贅沢だしこの世界でそれを維持するのは大変だぞ?」とのこと。


軽く仕上げたので説明不足な部分もあると思いますが、質問があれば感想で聞いていただけると。
やりたいイベントは全部書きましたし海賊団を作るわけでも積極的な内政するわけでもないので物語に発展性はないため現状続きはないが……需要があれば書かないとは言い切れないといったところ。
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