この国はおれの国で…… この城はおれの城だからだ!!   作:是夢

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サブタイを(中略)
前回投稿時ルーキー日間最高9位まで確認できまして、大変ありがとうございました。

というわけで嬉しくなったのでオリ主と化したワポルが麦わら相手に原作の新キャラっぽい登場をして遊ぶお話を書きました。
重っ苦しい事を考えず原作っぽいノリで一味に軽く絡んでエンジョイするほどしがらみにとらわれて無い転生者の類ってなんか少ない気がする今日この頃、「この海で一番自由な奴が海賊王」を免罪符に自分の好きに生きるワポルで対戦よろしくお願いします。

少しだけ三人称混ざります。


〝そう急ぐな人生を…〟

世は大海賊時代。

富、名声、力、様々な物を求めて無数の海賊達が海を行く時代。

 

そんな時代にグランドラインの海を進む海賊船。麦わら帽子を被ったドクロの海賊旗を掲げたその船は、つい先日船長の手配書が出回りこのグランドラインに乗り込んできたばかりの新進気鋭の海賊団、麦わらの一味の船である。

普段ならば船員の笑い声や楽しげな会話が聞こえるという船員の仲の良さがわかる特徴があるその船だが、今現在に限って言えば珍しくそんな空気ではなかった。

と、いうのも船員の一人、航海士のナミという少女が熱を出して寝込んでおり、船医のいないこの船は医者を探さねばならないという緊急事態であるのと……

 

「んー……お(めェ)ら、本当に海賊か?妙な奴らだ」

 

そんな事を言いながらナイフに刺した肉をナイフごと食ってる男、つまりはブリキのワポルがその家来と共に麦わらのそれの数倍以上の大きさの船を寄せ、乗り込んで来ていたからである。

 

「まァいい…………とりあえず聞こう……」

 

四人という少数しか姿のない珍しい海賊団に確認から入る。例え彼が個人的にこの一味について知っていたとしても、この世界でそれが実際に起きているかを知るすべは彼にないからだ。

 

「我々は近くの国の者でこの近辺を諸々のついでに警邏しているのだが、海賊である貴様らがこの辺を航海する目的は何で目指す行き先は何処だ?我々は付近の安全を守る為にそれを聞く義務と権限がある。海賊であるというだけで捕縛するような法は我が国にはないので正直に答えてくれると互いに面倒が省けると思うぞ」

 

「海賊相手に堂々とした交渉、ご立派であらせられますワポル様」といういつもの家来のよいしょを軽く流す姿を横に、海賊たちは少しの相談の後金髪で片目を隠した男、サンジが返答した。

 

「この船の船員(クルー)の一人が熱を出して寝込んでる、だが船医がいないので医者を探してる所だ。そこでなんだが……」

 

だがワポルは何かを続ける前に表情を変えた。

 

「病人、だとォ……!?」

 

それまで、ともすれば海賊を前に呑気とすら言えるほど穏やかにナイフを齧りながら喋っていた筈が、突如凄まじい形相で気迫を出すワポルに、思わず一味の剣士は刀に手をかけ長鼻はその背に隠れてしまうほどだった。

 

「しかも船医もいないだァ……!?おれ様の前でよくもそんな状況を見せやがったなカバ野郎ども!オラァ!イッシー出張隊出ろ!」

 

ワポルの号令と共に彼の船から追加の人員が現れる。その姿は他の銃で武装した家来達とは違い、白い手術着に身を包んだ……どう見ても医者にしか見えない者たちで。

 

「すぐにこの医者をその病人のところに案内しろォ!我が医療大国ドラムの医者に病人を見過ごしたと汚名をつけるつもりかテメェらァ!!」

 

発する怒りの雰囲気と迅速で丁寧で親切な医者の紹介という行動のギャップに一瞬海賊たちは戸惑ったものの、状況を理解すると「ありがてぇ!」と慌ただしく医者たちを船の中へと案内していった。

 

 

 

 

    ※

 

ふぅー、つい熱くなってしまった。

原作主人公を前に初対面で原作に稀にありがちな『変な沸点を持つキャラ』ロールやるのが楽しくってな、普段の7割増しにオーバーにしてしまった。でも楽しかったからヨシ!この世は自由な奴が強い世界だから!

 

「な、なにはともあれ助かった、こんな海の上で当てもなくどうしようかと思ってたんだ。恩に着るよ」

 

問題が一段落して安心したのか、長鼻の男が礼の言葉を並べてくる。あー……だが俺は今からコイツらを少し脅かさないといけないんだよな。……はー、面倒くせぇ。

 

「あー……それなんだがな?恩に着るで終わられちゃ困るんだ」

 

少し空気が変わる。海賊も一人を除いて『おれ様』が何を言いたいのかこの時点で薄々察したようだ。

 

「既に言ったが、ドラムは医療大国だ。医者は患者を治療してもその代金を貰わないってのを続けると今度は医者が食いっぱぐれていなくなってしまう。それは困るのはわかるな?よって診察を押し付けた形になっておいて悪いがお前たちにも医療費は払ってもらわなきゃならねェ」

 

「けどよカバのおっさん、おれ達金無ェぞ」

 

他が何か言う間もなくあっけらかんと即答し、俺の家来からは「無礼だぞ」と一味の仲間からは「言い方選べ」と突っ込まれる麦わらの男。世間知らずのガキと取るか器のデカさと取るかみたいな場面かもしれんが多分両方って言っとけばいいんだろ?俺は知らんけど。ともかくバタバタする周囲に向かって軽くブリキを齧りながら語り聞かせる。軽く腹が減ってきたのだ。

 

「まーまー、そう急ぐな人生を……持ってねェなら他のもんを貰う。船とかお前らを海軍に売って懸賞金貰うとかはお前らが抵抗した時の最終手段だからちょっと待て。あと説明してたら腹減ってきたからこの船ちょっと食っていいか?」 

 

「ダメに決まってんだろ!てか最終手段じゃねーのかよっ!」と見事なツッコミを長鼻君が見せてくれたので、俺は機嫌を良くして海賊船の一部を食いちぎり……バクバクの実の力でより補強された素材にして埋め直してやった。いきなり船が壊されたと思って慌てる麦わらたちの姿は滑稽だったし、すぐに補強された同パーツにいい感じに少年心を擽るようなメカっぽい装飾つけてやったら途端に目を輝かせて食いついてくる。そのリアクションの大きさを見るだけでも楽しいし、きっと漫画なら能力の説明シーンみたいなのが実演を交えていい感じに描写されてるんだろうなぁとか想像すると更に楽しいし能力を褒められて自尊心が満たされていくので俺が出した補強パーツ(・・・・・・・・・・)はその分の駄賃としてとっときな、後でなんかの役に立つと思うぞ!

 

 

 

 

 

 

さて。茶番してる間に医者が診察結果を報告に帰ってきた。この迅速な診断とホウ・レン・ソウの徹底は俺の国政のちょっとした自慢だ。

それによるとこのまま放置すれば命に関わるが対応した薬を適切に処方すれば治るとのこと、だが……

 

「なにぶん古い病気故、薬は持ち合わせて無かったそうだ。なので丁度いい、これから我々は全速力でドラムへと患者を連れて帰還する!そしてお前らには仲間が我が国で治療を受けている間、我が国のため働いて貰う!」

 

俺の宣言に様々な反応を返す一味の面々。本当に飽きないなコイツら見てると。そして「さっきの医療費の話か?」と正答する者がいたので話を続ける。

 

「我が国の法律では医療費はなにも現金でなくとも直接の労働で返してもいいことになってる。各々得意な事でいい、例えばコックなら炊き出しとか、手先が器用だったり力自慢なら大工仕事とか。人手があって困らない場所はあるんでな、そうしてくれた方がお前らも負い目感じる必要なく気分よく出航できると思うがどうだ?」

 

それならなんとかなる……か?と首をひねる長鼻。先程から一番リアクションが多く面白い。会話の潤滑油として便利な男なのだな。そして緑髪の剣士がおおよその仕組みを把握したらしく、自分なりの解釈をまとめる。

 

「返す気のない悪党にとっては人質、返す気はあるが金のない奴らには返済方法の斡旋、よく出来たこった」

 

「うむ、繰り返すようになるが、我が国は医療大国。病人を見逃しては悪評が立ち、かと言って代金を回収できなければ医者が飢えてしまう。よって、『ドラムの医療技術は凄く、どんな患者も最後まで見捨てない』と『ドラムは海賊相手だろうと代金は取り立て、遂行する力がある』という両方の評判。このどちらもがこの時代を生き抜くために我が医療国家ドラムには必要だと考えて決めた法律だ」

 

説明を終え、最初に動いたのはやはりというか麦わらの船長だ。

 

「カバのおっさんの国に行けばナミは治せるんだな?」

 

「無論だ、『えー?ドラムって医療大国名乗ってるのにあーんな治療法確立された古臭い病気も治せないんですかー?ぷぷぷー』なーんてカバにも言わせてたまるかァ!!」

 

「なら決まりだ、早くナミを治して一番速いメリーに戻さないとな」

 

しっしっしっと笑う麦わらと各々決定を受け入れる表情になる一味。数少ない動きだが、船長に船員を従えるだけの信頼は見て取れる……ってとこか。

 

「ならば麦わら、さっさと船員に出航の指示を出すぞ。他の話は動きながらでもできるしな」

 

「おっ、そうだな、なら……」

 

笑みを浮かべて顔を合わせる俺たち。自分から振ってなんだが、かつて数多の活躍を眺めた気がするこの男と示し合わせる事ができるだけでもなんだか珍しくこの世に生まれた事を喜べるあたり、俺もまだまだミーハー野郎だな。

 

「「よーし野郎ども!出航だァ〜〜〜!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

両船の船員たちが、慌ただしく船を動かすために動いていく。

とはいえ、小型の帆船と大型のパドルシップでは動力に大きく差がある為、ほぼ我がブリキング号が海賊船を引っ張ってるような形になっているが。

さて、要件は済んだから島につくまで自由に雑談するか、コイツらとの会話さっきの流れだけでも面白かったしなと思ったところとでもう一つ、伝えておかないといけない案件を思い出した。

 

「そういやお前、ここまで結構話しておいてなんだが見た事ある顔だな、手配書出てるか?」

 

「あるぞ?三千万」

 

「名前は?」

 

「"麦わらのルフィ"」

 

いきなり手配書の内容を聞き、それなりの額を聞いても無反応な俺に海賊たちは「また何か始まるのか?」とこっちの様子をうかがい出す。

 

「あれ?なんかコイツらおれ様に慣れるの早くない?」

 

「はい、民にも理解しやすい素晴らしい単純さですワポル様」

 

「オイ、おれ様が皮肉とか理解できるようになってると知って言ってるだろそれ。まァいい、"麦わらのルフィ"最近我が国でその名前に何かあった気がする。折角だからおれ様に思い出させる仕事を与えてやろう、当然できるよなマーリモ?」

 

一瞬、海賊の剣士が反応したが、皮肉を言った家来が自身をドラム王国悪代官クロマーリモと名乗ってから報告を開始した為、誤解はすぐに解けた。

*1

 

「3日前、ドラム王国内の飲食店にて食い逃げが発生。犯人は“エース”と名乗り、"麦わらのルフィ"がこの国に来たら自分は10日間だけアラバスタで待つと伝言を残しました。我が国の警備隊だけでなく、ムッシュール様も捕縛を試みあそばされたのですが、逃亡を許してしまう、という事件がありましたな」

 

「よし、報告ご苦労、完璧に思い出した。ついでにお前たちにも状況は伝わっただろうから聞くぞ麦わら、お前あのエースとどういう関係だ?知り合いなら奴に金払うように言ってもらえねェか?」

 

「エースはおれの兄ちゃんだ、金は……どうかなおれあいつが金持ってるか知らねェし。でも、アラバスタには行くから、その時言っておくよ」

 

「そうか、ならおれ様からエースへ請求の手紙を書いてやろう。その手紙を運搬するのも仕事として医療費の足しにしておいてやる」

 

この会話の中、麦わらの一味は船長に兄がいると初めて知って驚いたり、そんな短期で病気を治し治療費の分を払い終える気かとツッコんだり、俺がエースに請求を届けることにそれだけの価値があると伏線になりそうな事を言って楽しんだり、俺が麦わらにおっさん面白ェ奴だなとか言われてかなり嬉しかったりしたのだが。

このドラムへと向かう船の中で起こる最後の大きなイベントとしては。

 

「お医者様からもう離れていて大丈夫と言われたの。私もあちらの船長さんに一言お礼をと……ワポル王!!??」

 

「ーーーーーーー!!??」

(ビビ姫〜〜〜〜!!!!????)

 

こうして、事情はだいたい覚えているが、向こうの事情からしてこちらが知っているのはおかしいので、『何故か海賊の船から知り合いの近隣国の姫が一人で出てきてすっごい驚いたけど名前出すのも不味い事情ありそうだから口を必死で閉じながら目や鼻水を飛び出させながら驚くシーン』を再現する遊びに興じるおれ様で〆るのであった。

*1
「……だって誰だってやりたいだろ?ゾロの目の前でクロマーリモの話題出して誤解させるの」と供述しており




さーて、この後のワポルさんは?

・麦わらとワポル、薬を求めて魔女を訪ね雪山登り。
・麦わら、面白変身トナカイを気に入る。
・ワポル、戦地への医者派遣の名目でトナカイの背中を押す。

というくらいの内容しか思いついてませんし書くとしても時間はかかります。
それでもいいとかの希望も筆者のモチベ維持になるので、質問とか疑問点などと共に感想をくれると嬉しいです。

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