負完全ウマ娘   作:Minus-4

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シービー!ターボ!トプロ!キタサト!新シナリオ!カツラギ!ジャンポケ!ネオユニ!ミラクル!タップダンスシチー!うおおおおおおお!!!!!

それはそうと、今回5時間で書いた僕を褒めてください。
完全に趣味回ですが。


第−15箱『魅力的な提案だぜ』

 

さてさて、何はともあれ、スペシャルウィークは『最底辺(マイナス)』の『負完全(マイナス)』から完全に回復した。

喜ばしいことに。

恨めしいことに。

 

僕としては、スペシャルウィークは一生『負完全(マイナス)』のままで良かったんだが。 

 

予定より早く『負完全(マイナス)』から復活したはいいものの、『負完全(マイナス)』になった事による遅れは、他の『異常(アブノーマル)』を相手にするには些か痛手すぎる。

 

「と、言う事でスペ。これからダービーまで、遅れを取り戻して取り返す為、死にに行くぞ」

 

「死…死にに…ですか?言い間違いとかでは…」

 

「ない。断じてない。今からお前が見るのは未来でも現実でも、希望でも絶望でも無い。賽の河原だ」

 

「スっスクリプトさん!」

 

『僕もそこまで付き添うんだから、互いに互いを気にしている場合じゃねえと思うぜ。そもそも僕って『虚弱(マイナス)』なんだし。』

 

「スズカさん!!」

 

「私は今回地獄を見せる側だし…手助けは出来ないわ。足を引っ張って邪魔する事はあるかもしれないけれど」

 

確かに日本ダービーは生半可な気持ちで掴める栄光では無い。そもそも十全であっても届かない頂だというのに。

 

悲鳴を上げて、悲痛を感じ、悲惨を目の当たりにし、悲報が舞い込み、悲業に灼かれ、悲録に記され、悲亡に伏され、悲衛に飲まれ、悲球に倒れ、悲終で幕を閉じる。

 

選ばれた18人の内1人だけがこの悲劇を回避し、喜劇を演じる事が出来るのだ。そこまでの道程は、荊棘で舗装されているが。

 

()()()()()()()

 

「しょうがないですね…スクリプトさん!」

 

『何かな、スペちゃん?』

 

「一緒に、死にましょう」

 

『そいつは魅力的な提案だぜ。』

 

もう『主人公(スペシャルウィーク)』が、怖気付く道理など無かった。

 

 

──────────

 

 

「一緒に死ぬとは言ったけどにんじんを諦めなきゃいけないなんて死んだ方が100倍マシです!!!」

 

前言撤回だ。

道理は確かに無かったが、理由だけなら全然あったらしい。それがにんじんだったとは思いもしなかったし、まさか文字通りに決死の覚悟を決めているとは。

 

「スペ先輩…そんなににんじんが好きだなんて…」

 

『スカーレットちゃん、めんどくせえから説得しておいてくれない?ほら、ツッコミが僕しかいないのってかなり問題だと思うんだよね。』

 

「えーっと、つまり…スペ先輩!勝負事っていうのはハングリー精神が大事なの!腹が減っては戦はできぬとも言うけれど…別に戦をするわけでは無いし、程よく空腹であるというのは大事な事なのよ!」

 

成程、なんだか妙に説得力がありそうで無い話だった。

ただ、人を騙すのには多少怪しいくらいが丁度いい。

 

「くっ…うぅぅ……!!」

 

『そこだ!やれ、スペちゃん!その我慢の先には『日本一』が待ってるぜ!』

 

 

─5分後─

 

 

「…お母ちゃんの…にんじん…」

 

「見事に真っ白ね…燃え尽きて灰みたい」

 

『……?これは……。』

 

スペシャルウィークは、五分もかけてようやくにんじんの封印に成功したのだった。この調子だと、きっとダービーが終わったら爆食いする事だろう。

 

勝手に食って勝手に後悔してくれ。

 

 

──────────

 

 

「えーっと、ウオッカさんは何故竹刀を…?」

 

「古き良き…いやまあ最近悪しき文化と呼ばれてはいるけど…典型的な体育教師のイメージです。つまりは、鬼!」

 

「鬼」

 

「先輩方!俺、心を鬼にします!2,400mを完全に自分のペースで走れるようになるまで、地獄の筋トレ、行くぞーっ!!」

 

そう言うや否や、ウオッカは竹刀をスペシャルウィークとスクリプト(球磨川)目掛けて振り下ろした。竹刀の先端がヒュッと音を立て、そして…。

 

スペシャルウィークとスクリプト(球磨川)の頬に一筋の線が現れた。色は赤、線の部分は熱を持ち、ピリっと痛みを感じる。数秒の後、たらりと赤い液体が流れ出た。

 

「えっええっえっえぇえぇぇ!?!?!?」

 

『これは…あの娘に似てるな、誰だっけ…そうそう、贄波ちゃんだ。思い出した。』

 

「どっどういう理屈ですか!?賽の河原を見るって比喩表現じゃ無いんですか!?」

 

「理屈も何も、俺たちはウマ娘なんすよ?本気で竹刀を振るえばつむじ風くらい起こせますって」

 

ウオッカ曰く、そういう事らしい。

 

ちなみに念のため記しておくが、実際の剣道の試合でつむじ風を起こして、相手に怪我させたら反則一回だから、これから剣道始める奴は注意しておくといいぜ。

 

「さて、死にたくなければ死ぬ気で死力を尽くしてください!!まずはこのBPM150のメトロノームに合わせて腹筋300回!!」

 

『はいはい質問。一回遅れるごとにどうなっていくのかな?』

 

「BPMを1減らして最初からカウントし直しですね。BPMが100を切ったら斬ります」

 

『袈裟で?』

 

「一文字です」

 

鬼は鬼でも剣鬼の発想だった。

 

「じゃあ始めますよ!3…2…」

 

「まっ待って…!」

 

「待たない!1…始めっ!!」

 

 

─2分後─

 

 

「はっ…!はぁっ…!」

 

『……………………。』

 

何も知らない人が見れば、今の2人は紛う事なき死体だった。事情を知っていても「あれ?もしかして2人とも死んだ?」くらいには見えたが。

 

既に一度死んだようなものだが、死んだだけでは物足りない。鬼は人の心が無いから鬼なのだ。

 

「じゃあ1分休憩して、BPM150で背筋300回っすね」

 

「えっ1分?」

 

鬼というより悪魔なのかもしれない。

 

 

─3分後─

 

 

「        」

 

『いやーあって良かった『大嘘憑き(オールフィクション)』。感じる苦痛をなかったことにしちまえば楽勝だぜこんなん。』

 

「次使ったら斬りますよ」

 

『短冊?』

 

(こま)でも微塵でも、お嫌いな方で」

 

悪魔というより主婦なのかもしれない。

 

時代遅れの体育教師のロールプレイが中々上手いではないか。そんなもの上手くなったところで人生で得する事は無いのだけれど。

 

「じゃあ1分休憩して、BPM150で腕立て300回っすね」

 

やはり悪魔だった。

 

『ちなみに沖野ちゃんはこれについてなんか言ってた?』

 

「どうせスクリプトが治療するからやるだけやっちまえって言ってましたね」

 

『沖野ちゃん本気で消してやろうかな。』

 

沖野も悪魔だった。

 

 

─3分後─

 

 

「」

 

『』

 

ここまで来ると2人とも虫の息…虫の方が元気かもしれないという有様だった。それでもノーミスでやり切っているのはやはり『異常(アブノーマル)』と『負完全(マイナス)』であると言った所か。

 

「じゃあラスト、BPM300でモモ上げ600回です」

 

もはや筋トレの体は成されず、つまり何が言いたいかというと、これは拷問といって差し支えなかった。

 

鬼でも悪魔でもなく処刑人だったようだ。

モモ上げを終えた後にウオッカが「これ毎日やりますからね」と言い放ち、スペシャルウィークとスクリプト(球磨川)はみっともなく泣いた。

 

 

──────────

 

 

「えーっと…大丈夫?」

 

「『ダメかも…。』」

 

「ま、まあ、ボクのは厳しいわけじゃなくて楽しむタイプのトレーニングだから…安心して?だから2人とも『あわよくば気絶させて逃げよう』みたいな顔はやめて欲しいなって思ったり」

 

トレーニングしてもらっている分際で何を考えているのか。それに、その気になればテイオーが〈帝王〉になるという事を忘れてはいけない。

どうやら2人は忘れているようだったが。

 

「って事で!ボクはダンスを教えてあげるね!まずはボクと同じポーズしてみて」

 

「こっ、こう?」

 

『痛たた…このポーズ腹筋と背筋に負荷がかかるからキッツイなあ。』

 

見よう見まねでテイオーの真似をしたはいいものの、地獄の筋トレをしたばかりの2人には厳しいものだった。実際、だいぶ楽な部類なのだが。

 

「何これ…2人とも体はブレブレで話にならないのに、軸だけはしっかり通っててそれでいて固まってる…どゆこと?」

 

『信念が固まったからじゃない?』

 

「…あぁ、芯ができたって事ですか」

 

「ふーん、すごいつまんない事言うね」

 

『……。』

 

流石のスクリプト(球磨川)とはいえ、美少女に真正面から隠しもせずに暴言を吐かれれば傷つく。今までなんだかんだどうにかなっていただけで、基本的にメンタルも弱いのだ。なぜなら『負完全(マイナス)』だから。

 

その後、紆余曲折あってダンスの練習に入り、時々筋肉痛で動きが鈍る以外はほとんど完璧だった。テイオー曰く「教え甲斐がなくてつまんないよー!」だそうだ。

 

すまねえな、うちの『負完全(マイナス)』が。

 

 

──────────

 

 

「スペー、もう目隠し取っていいぞー」

 

「えっと…あれ?飛び込み台から飛び込むって、確かゴルシさんそう言ってましたよね?」

 

「一回『負完全(マイナス)』になってんだから度胸は付いてんだろ。ちなみにここはスピカの部室な」

 

『それは分かるんだけどさ、この文章は一体何なのかな?正直言って、嫌な予感しかしねえが。』

 

2人の目の前にあったのは、文章付きの2枚の紙だった。

 

「北海道生まれの、素直で明るい頑張り屋。生後すぐに実母を亡くし、その親友である人間の女性の元に預けられた。『日本一のウマ娘になる』は2人の母に誓った約束。憧れたりくじけたりを繰り返しながら、持ち前のガッツで夢に向かってひた走る…私のことですよね?」

 

「御名答!ちなみにアタシが書いたやつな、それ。大事に取っとけよ?」

 

『「熊本から来た、捻くれ者のウマ娘。本人曰く『負完全(マイナス)』らしい。地元の友達を時々気にかけている。『僕は悪くない。』『また勝てなかった。』が口癖で、事あるごとにそう言っている。正気も狂気も不必要、彼女にあるのは混沌のみ。」これは僕のことだね。』

 

「正解。ていうか、その説明文でお前以外を思い浮かべる奴はそもそもいねえだろ」

 

中々コンパクトに纏まった文章だった。

今この時に至るまでの境遇や、際立った特徴が端的に説明されている。が、一体これが何だというのか。

 

「それで、これをどうすればいいんでしょう?食べろとか言いませんよね?」

 

「流石のアタシでも言わねえよ!ヤギじゃあるまいし。いやな、トレーナーから言われたんだけどよー、アタシってスピカで1番頭いいじゃん?」

 

『そんな自信満々で言うことでもねえと思うが、確かにそうだね。』

 

「でさ、お前ら2人の賢さトレーニングを一任されたのよ。そんで、ゴルシちゃん面白そーな事を考えついちゃったってわけな。『リポグラムで自己紹介させたらおもろくね?』って」

 

「リポグラム…って何ですか?ミリグラム的な…」

 

「いやいや違う違う、リポグラムってのは所謂一種の言葉遊びよ。使える文字を制限して、その中で文章を作るっていう遊び」

 

例えば「オッス、オラ、ゴールドシップだぞ!」という文章があったとする。

これを"お"の横列、つまりは

『お・こ・そ・と・の・ほ・も・よ・ろ・を』

を制限して書き直す。すると

「やあ、あたしは金でできた船っていう名前なんだ」

になる。これがリポグラムだ。

 

『…まさか、この文章をリポグラムしろと?』

 

「そゆこと。飲み込みが早い奴は好きだぜ、スクリプト。リポグラムで1人につき5通りの文章を作ってもらうっていう賢さトレーニングだ。頭使うだけだし、ウオッカの筋トレより楽だろ?」

 

「5種類ってことは…」

 

「"あ"の横列制限、"い"の横列制限、"う"の横列制限、"え"の横列制限、"お"の横列制限の5種類作ってもらうってこと。ただし"ん"だけはいつでも利用可能。わお、ゴルシちゃんてば、超優しいな!」

 

鬼よりも鬼らしかったし、悪魔よりも悪魔らしかった。

終わる頃には2人揃って文字が嫌いになることだろう。

だがそんなこと、あの〈不沈艦〉には関係なかった。

 

「うーん、この感じだと…スクリプトはもう行けそうだな。じゃ、スクリプト。最初は"あ"の横列制限」

 

『都道府県コード43(フォーティースリー)より()る、捻くれ者の駿メ(駿馬)娘。本人の(こと)によると、『人類史におけるフロップ』。地元の友を時々気にしている。『僕の罪と到底思えず。』『いつもの如く勝利、手の内に無えよ。』と、口癖をしょっちゅう言っている。正気も狂気も不必要、スクリプトの持ち物混沌のみ。』

 

「次、"い"の横列制限」

 

『熊本が故郷(ふるさと)の、心が腐ったウマ娘。奴は己をこう語る、『世の欠陥』と。故郷(ふるさと)の友を間々(まま)想ってる。『僕は悪くねえ。』『また勝てなかった。』がマウスの癖で、それらをよく(こう)から発する。真面(まとも)もその裏も無用、かの娘が欲すは混沌だけ。』

 

「調子いいじゃねえか。じゃ次、"う"の横列制限」

 

『肥後の辺りから来た、心が捻れた()女子(おなご)。彼女は述べた。『出来損ない』だと。地元の友達を気にかけがち。『私は(よこしま)じゃない。』『また負けた。』がお気に入りの言葉で、言わねば生きていられない。真面(まとも)(たが)えた気もいらない。彼女に、ただ混沌のみを捧げよ。』

 

「これは簡単だったか。はい次、"え"の横列制限」

 

『熊本から来た、気質が曲がったウマ耳の女の子。本人曰く『負完全(マイナス)』らしい。地元の友達のことを思い出しがち。『僕は悪くない。』『また勝利を逃した。』がよく使う科白(かはく)だから、隙あらば口にする。正気も狂気も不必要、彼女にあるのは混沌ただ一つ。』

 

「これも簡単だな。ラスト、"お"の横列制限」

 

『カルデラ(ひし)めく県からやって来た、性格が捻くれたウマ娘。奴が言うには『負完全(マイナス)』らしい。産まれた地にいる同胞(はらから)たちが心配みたい。『君が悪い。』『また勝てなかった。』が口癖で、やたら言いたがる。正しい気?狂った気?要らないね。アナーキーだけくれればいい。』

 

「はい合格!これをパパッと言えるのはもはや気持ち悪いぞお前」

 

『流石に疲れたぜ。パズルみたいで中々頭がほぐれるから楽しかったけどね。』

 

箱庭学園を舐めてもらっちゃあ困る。

あそこに通ってればこれくらいはすぐ出来るようになる。

ただし、黒神めだかが関わらない時の人吉善吉は除く。

 

とにかく、スクリプト(球磨川)の番が終わったということは、即ちスペシャルウィークの番になるということを意味しているので。

 

「じゃ次。スペの番だぞ」

 

「ちょっと待ってください!まだ紙に書けてません!」

 

流石に『主人公』といえど、この文字地獄に即座に適応は出来なかったようだ。というか寧ろ、された所で反応に困るのだが。

 

 

─30分後─

 

 

「やっと出来ましたぁ!!」

 

「おっ出来たか!じゃあ"あ"の横列制限からな」

 

「都道府県コード1に生を受けし、温厚ポジティブ努力娘。生後すぐに実母と死別し、その親友の人間の女性に育成を受ける。『日本一の駿メ(駿馬)娘の称号を手に入れる』と、実母と義母に宣誓済み。憧憬(どうけい)消魂(しょうこん)をリピートしつつも、天性の根性で夢に向けて力走する」

 

「次、"い"の横列制限」

 

「最も北方の都道府県生まれの、素直で朗らかな頑張る者。産まれてすぐ本当の母が亡くなったが、そのベストフレンドの女の元へ預けられた。『国家のコード+(プラス)8(アハト)1(ワン)でトップのウマ娘の名を取る』はダブルの母へ向けた約束。憧れや挫折を何度も反復するが、生まれ持ったガッツで夢へと向かってただ駆ける」

 

「よく出来たなこれ…次"う"の横列制限」

 

「蝦夷にてボーン、飾り気無いし呑気な頑張り屋。生後矢庭(やにわ)に母が逝去、親しい友の人間の女性の元に(まか)された。『日本一の()女子(おなご)に相成らん』は母たちに宛てた誓い。憧れたりへこたれたりしながら、持ち前の気勢で望み目指していざ走らん」

 

「やるなあ!次、"え"の横列制限」

 

「北海道出身、素直だし明るい頑張り屋。降誕(こうたん)後間もなく実母を亡くしたが、親友のヒトの婦人がその身を預かった。『日本一のウマ耳の女の子になる』は2人の母に誓った約束。心酔したり参ったりを反復しながら、元来(がんらい)持つガッツにより望みに向かいひた走る」

 

「これは簡単だな。ラスト、"お"の横列制限」

 

「唯一『(みち)』が付く地に生まれた、飾り気が無くて快活な頑張り屋。生まれてすぐに母が亡くなったが、親友であるウマではない婦人に預けられた。『ジャパンで一番有名なウマ娘になる』は2人いる母に向けた誓い。心酔や挫折が着いてくる人生だが、生来(たずさ)えていたバイタリティで夢に向かってひた走る」

 

「はい合格!30分でここまで出来るとは…ってオイ、スペ?どした?」

 

「限界…」

 

「…アタシってば、やりすぎた?」

 

『そうみたいだね。』

 

普段あまり頭を使う方では無いためか、ゴルシの賢さトレーニングが終わると同時にスペシャルウィークは倒れ込んでしまった。普通の人間がやれば5時間程度かかる事を30分で終わらせたのだから、それも当然だろう。

 

流石に何の前準備も無しにリポグラムはいくらなんでも可哀想すぎた。こんなの狂人のやる事だからね。

 

 

──────────

 

 

「──はうっ!?今私は一体何してた!?知らない景色!いったい現在地はワッツプレイス!?」

 

『スペちゃん、もう"お"の横列制限は終わってるから普通に話していいぜ。』

 

「あっそうなんですね…よかった…」

 

一体どれだけ苦痛を感じながらやっていたのか。

まさか魘されるほどとは、ゴルシでも容易に想像は出来なかっただろう。

 

『そうそう、ゴルシちゃんがお詫びって言ってにんじん三本置いてったからこれで糖分…。』

 

「えっ?なんれふか(何ですか)?」

 

『いや、何でもない。そのまま食べ続けてくれ。』

 

スクリプト(球磨川)ですら見抜けない速さとは恐れ入った。つまりはスペシャルウィークは過去最速で動いたということに他ならない。

 

『本当はこの後スズカちゃんとの並走が控えてたんだが…流石にその調子だと危ないね。中止だってスズカちゃんには伝えておくぜ。』

 

「すいません…」

 

『いいって。詰め込みすぎると逆効果だからさ。』

 

スクリプト(球磨川)はへらりと笑い、保健室から出て行ってしまった。つまりひとりぼっちという事なので、スペシャルウィークは途端に手持ち無沙汰なヒマ娘になってしまった。

 

スポーツにおいてやりすぎは逆に毒となる事が多い。

ウマ娘の場合は特に。『ガラスの脚』とさえ評されるほど繊細なウマ娘の脚には、ヒトとは違って過負荷を掛けることはあまり推奨されていないのだ。

 

とりあえず今日の予定が無くなってしまったスペシャルウィークは自室に戻り、ウマ娘に関する本を読みまくり動画を見まくることにした。後日話していたが、中々に有意義な時間だったそうだ。




マジで地獄を見ました。
もう二度とやりたくないです。

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