負完全ウマ娘   作:Minus-4

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こんな短期間で仕上げる必要無かったなと思いながら書いてました。
こっからキャラがどんどん増えるので僕の技量次第ではどうにもならないかもしれません。
もしそうなったらあとは頼みます。




第−3箱『君の魅力がなくなる訳じゃないさ』

 

 

『いやーまさか1人部屋とは、中々気が利いてるね。』

 

「えっ?私は2人部屋みたいですよ?」

 

『僕初日からハブられてるの?流石に凹むけど。』

 

「いやあ、別にハブったわけじゃあないさ。元々は転入生が1人来るって聞いていたから既に1人部屋の娘の所に入れればいいと思っていたんだけどね、そしたらついさっき「もう1人転入生が来る」ってたづなさん…理事長秘書が言うものだからね。大変心苦しいのだけど暫くは1人部屋さ、ポニーちゃん」

 

「『ポニーちゃん?』」

 

スクリプト(球磨川)たちは現在寮にいる。

2人を送り届けてくれた沖野はというと

「有望株がまたリギルに…」と言いながら去っていった。

そして気絶していたアグネスデジタルはというと、今目の前にいる寮長のウマ娘であるフジキセキによって乱雑にソファに置かれていた。

 

「えっと、デジタルさんは…」

 

「あぁ、()()?まあ気にしないでいいよ。

──慣れたんだ。慣れたらダメなはずなんだけどね…」

 

「スクリプトさん!この人怒ってますぅ!」

 

『しょうがない、原因は僕にもあるし庇ってやるとするか。悪い子じゃ無さそうだし。』

 

──────────

 

『ってことがあってね。どうせ君は見ていたんだろうが一応報告さ。()()()()()()()()()()()()()()1()()()()だし、さっさと姿を見せたらどうだい?』

 

「不思議なこともあるもんだねえ、何の冗談か分からねえが偶然にも運良く寮の部屋は1人部屋で広々していてそれでいて美少女もついてくるとは!ケダモノの球磨川くんなんかと2人で同じ部屋にいるなんて命知らずもいいとこだぜ。襲われても文句は…あっそうか、今はスクリプト(球磨川)ちゃんか。じゃあ平気か、いやあ、失敬。それにしてもほんと、僕以外の女の子には優しいみたいで何よりだ。ちょっと妬いちまうぜ?」

 

『それはどうも。僕は女の子は喜ばせてあげたい派でね。というわけでこの理論に則ると僕自身も今は女の子なわけだし僕の努力に対するご褒美として、安心院さんちょっと体張って裸エプロンで夕食作って欲しいなあ!』

 

「気持ち悪。お前それスペちゃんに言えるわけ?人選んで話すなよ。それともそんなに僕が甲斐甲斐しく君のお世話をするところが見たいの…やべっ誰か来る」

 

『…安心院さんでも言い訳ってするんだ。裸エプロンが見れなかったのは残念だが良いことが知れたぜ。』

 

誰が聞いても言い訳にしか聞こえない理由で武装した安心院なじみは以前見た時より幾分焦った様子ですうっと透明になり消えていった。

球磨川としてはワンチャン裸エプロンの安心院さんが見れたというのに、部屋に近づいて来た誰かのせいで文字通り肩透かしをくらったので多少、いや非常に残念がっていた。

文字の上では淡々と話しているように見えるだろうが、その実ものすごく落ち込んでいたのでベッドの上で体育座りになって蹲ってしまった。

 

次の瞬間、コンコンっと小気味よく部屋のドアがノックされた。いくらスクリプト(球磨川)といえど居留守を決め込んだりはしない。スクリプト(球磨川)は声を出して在室を表した。

 

『は──』

 

「『は』は『はいっていいよ』のは!!!つーわけでおはこんハロチャオ!!あなたの目玉を濫獲或いは密猟!ドアを蹴破ってゴルシちゃんダイナミックエントリー!!!」

 

『この場合はどっちかっつーと『はーい、今開けますね。』の『は』だし、僕はあまりにも突然の襲撃とも呼ぶべき暴挙に内心困惑しているので『は?』が最適解だね。定期テストなら50点って所だぜ。』

 

「だあーっ畜生!!この『立てば金船座れば軍艦走る姿はゴルシちゃん』と呼ばれてトレセン学園で慕われているゴルシちゃん渾身の解答が50点だと!?まだまだ修行が足りねえ!!気づかせてくれてありがとよ、スクリプト!」

 

この奇行種ウマ娘は当然のようにスクリプト(球磨川)の名前を把握していた。自らをゴルシちゃんと名乗る彼女の名前は

ゴールドシップ。トレセン学園随一のハジケリスト、もとい癖ウマ娘である。

 

『こちらこそ、話し相手がいなくて退屈してたんだ。わざわざ僕なんかのことを気に掛けて挨拶しに来てくれてありがとよ。』

 

「んあ、挨拶?いやいや、暗殺…ひいては監察?」

 

『殺された上に僕の部屋はガサ入れされるのかい!?この僕をツッコミ側に持っていくとは中々やるね、マイフレンド。』

 

「マイフレンドなんてもんじゃねえ、ベストフレンドだぜアタシとお前は!!あっそうだ今度の日曜予定空いてたら水星行かねえ?GUND技術盗みに行こうぜ」

 

『おっいいね。僕もちょうど同じこと考えててさ、あの技術ってお金になるだろうから盗めれば一生遊んで暮らせると思うんだよね。』

 

互いに思考回路・発言が支離滅裂で滅茶苦茶なせいで変な所で意気投合。スクリプト(球磨川)もやろうと思えば友達の1人や2人くらい作れるのだ。

 

『冗談は神棚にでもさて置いておいて、とりあえず入りなよ。生憎というか偶然にも僕は1人部屋でね。ゴルシちゃんみたいな賑やかな娘がお話ししに来てくれるんならこれ以上の喜びはねえな。』

 

「物凄く罰当たりなことをしてる奴の発言とは到底思えねえけどそりゃどうも。いやあこの身に宿る欲望を抑えきれず、ついついドアをヤクザキックで蹴破っちまったけど、明日までには直しとくから安心しとけ!こう見えてゴルシちゃんは重機の運転も……」

 

『ああ、これは今僕が直すからいいよ。…はい直った。』

 

「えっ何どうやってやったの怖ぁ…」

 

スクリプト(球磨川)過負荷(マイナス)なので人目なんて気にしない。

それに、このゴルシちゃんとかいうウマ娘は一見軽薄そうに見えて、実際人の秘密を言いふらしたりしないタイプだろうと踏んだからだ。スクリプト(球磨川)の特技は人の値踏みをする事とカラオケの延長料金の踏み倒しである。

後者は犯罪なので過負荷(マイナス)以外はやらないように。

 

 

──────────

 

 

「そんで、お前はその過負荷(マイナス)?とかいう能力を持っていて、私には異常(アブノーマル)とかいう能力の素質がある、と…そう言いたいわけか。話を聞くだけだと異常(アブノーマル)だの過負荷(マイナス)だのっていうのは私たちが言うところの領域(ゾーン)或いは固有スキルみたいなもんだと思うんだよな」

 

領域(ゾーン)?』

 

「発現する条件はよく分かんねえんだけどよ、一説によると一時代を築く力のあるウマ娘が持っていることが多いらしい。あと、これは自慢だがゴルシちゃんも持ってるぜ。ほいっと」

 

『そこは嘘でも自慢じゃないって言うべきだと思うなあ。』

 

ゴルシがそう言って腕に軽く力を込めると、何もなかった場所に突然船の錨が現れた。顕になった。金色に輝くその錨からはある種の神聖さを感じるし、まるで多くの人間からの信仰心を集めた物の塊であるかのような威厳も備わっている。

 

スクリプト(球磨川)が燦々と煌めく錨に目を奪われているのを見てゴルシはふすんと満足げに鼻を鳴らす。

ドアを蹴破っても驚く素振りもなかった奴に一杯食わせることができたため、自尊心も保たれた事であろう。

 

「まあレース以外で使うことはそうそう無えよ。この世界は別にバトル漫画って訳でもないしな」

 

『そうだね。そういえばゴルシちゃんの錨を見てて思い出したんだけど、僕の知り合いに──』

 

次の瞬間、部屋の空気は親友同士のじゃれあいのような空気から一変する。スクリプト(球磨川)この世界のタブーに触れる(ガイドラインに違反)するような行為に及ぼうとした。

 

ああ何、別にアダルトって訳じゃない。

目の前にいるあまりにも眩しいまるで()()()みたいな女の子の顔面に螺子を突き刺して善も悪もというか前も後も台無しにしようとしただけさ。

 

まあ相手は()()ゴールドシップ。

不意なんて突けるはずも無い。

空気を読む事に関しては長けている。

何故って、だってほら、彼女は船乗りだぜ?

風すら読めない船乗りがいるかよ。

 

 

「後ろ手の螺子を仕舞えよスクリプト。」

 

「お前が親友だからって容赦はしねえぞ。」

 

 

『……バレた?』

 

「そりゃああんな不気味な殺気をぶつけられちゃあ誰だって気づくってもんよ!まあPacific Ocean(太平洋)のように寛大な心を持つこのゴルシ様は気にしてもいないし気に留めてもないけどな!螺子って何だ食えんのかそれ!?!?」

 

『喰らわせることはできるかもね。昔の僕なら今頃ゴルシちゃんの顔に穴開けようとしてたんだろうなあ。というか今してた訳だけど。』

 

「おうやれるもんならやってみやがれ。…つっても、アタシ達ウマ娘な訳だし、次から勝負するならレースでだな!てことで、帰るわ。楽しかったぜ…あっこれ連絡先な、そんじゃまたな!」

 

そう言うとゴルシは折角スクリプト(球磨川)が直したドアをわざわざ錨で破壊してからにこっと笑って帰っていった。

ゴールドシップ(黄金の船)と言う名前なのにまるで嵐そのもののようなウマ娘だったなあなんて考えながら、スクリプト(球磨川)は再びドアの修復を行うのだった。

 

 

──────────

 

 

『ってことが昨日あってさあ。ほんと都会って怖いよね、だって初対面だぜ?僕みたいなコミュ障にはトレセンは厳しいかもなあ。』

 

「それはコミュニケーション云々というより防犯面の教訓になりそうな話ですね…扉は鉄製にした方がいい、みたいな感じの…それより怪我とかはないですか?スクリプトさん。ほら、ドアの破片とか刺さっちゃったりとかは?」

 

『それがね、なんとスペちゃん。あのゴルシちゃんとかいう娘は破片を出さずにドアを真っ二つに割っちまったのさ。観音開きのドアみてえに。しかも2回とも寸分違わず同じ形で。』

 

「すごーく無駄な技術を極めてるんですね、そのゴルシさんって人…そうそう聞いてくださいよ、私の同室が何とサイレンススズカさんだったんです!」

 

『何だそれなんつー偶然だよ。これも君が持つ主人公補正のおかげかもね。』

 

「いやー主人公だなんてそんなぁ…えへへ」

 

スクリプト(球磨川)とスペシャルウィークは側から見ると何だかお似合いに見える。寮の部屋も違うのにわざわざ2人で登校しているのを見て、つい先ほど復活したアグネスデジタルは再び眠りについた。フジキセキは死んだ目をしながら脈を確認している。どうやら脈は正常だったらしく、アグネスデジタルを米俵のように担いでさっさと登校していった。

 

『それで、何で憧れ且つ同室のスズカちゃんと登校しないんだい?いやまあ、スペちゃんを起こしたのは僕だったし、肝心のスズカちゃんは影も形もなかった訳だけどさ。』

 

「なんか…朝練してるらしいですよ。さっきフジキセキさんに聞いたらなんとスズカさん昨日は門限を破って夜練していたからとっ捕まえに行ったらしいです。それで「まだ走り足りない」って言うから今日の朝4時から外出の許可を出してるらしくて…「最近寝不足だけど放っておくわけにもいかない」らしいです、フジキセキさん曰く。2人ともストイックですよね!尊敬しちゃいます!」

 

『…そうだね。今度頑張り屋の寮長さんを労わるためにお腹に優しいものでも買ってってあげようか。きっと喜ぶぜ…。』

 

スクリプト(球磨川)といえど、流石に同情した。

フジキセキがあまりに不憫だったからだ。

ここに来て、スクリプト(球磨川)の性質がいい方向に働いた。

自分より可哀想な奴を見かけるとつい甘やかしたくなってしまう癖が出たのだ。これで案外面倒見のいい先輩気質なところがあるので、七草粥やらうどんやら食べやすいものを差し入れる事だろう。

 

 

──────────

 

 

「私、トレセン学園の理事長秘書をしております、

駿川たづなと申します。教室まで案内しますね?」

 

「よろしくお願いします!スペシャルウィークです!」

 

『よろしく、僕は球…スクリプトロンガー。名前だけでも覚えて帰ってね。』

 

「それ決め台詞なんですか?」

 

『そうさ、格好いいだろう?』

 

「スクリプトさん…ふふっ、そうですね!」

 

スペシャルウィークが満面の笑み…というより慈母の微笑と形容するのが正しいであろう表情で笑った。それを見たたづなもクスリと笑っている。

今まで散々嘲笑はされてきたスクリプト(球磨川)であったが、慈しみの心を向けられる事など無かったので、何となくむず痒い気分になった。

 

『…さあ、行こうぜスペちゃん。僕らが編入する教室にさ。』

 

「そうですね、挨拶も考えてきたし準備万端です!」

 

「では行きましょう。私が先行するので着いてきてくださいね」

 

2人はたづなの後ろをついて行く。そこそこ廊下も長く、中々暇な時間である。こういう暇な時間は潰すに限る。

スペシャルウィークは日本一のウマ娘を目指すものにふさわしい挨拶の仕方を頭の中で反芻していた。

一方スクリプト(球磨川)はどんな女の子達が居るのか想像して期待を膨らませていた。だからモテねーんだよ。

 

「さあ、ここがお2人の教室です。それでは私はここで。頑張ってくださいね!」

 

「案内ありがとうございました!」

 

『ありがとね、たづなさん。』

 

教室の前に着くと、たづなは元の仕事に戻っていった。

教室の前に残された2人は、ドアをガラリと開けて、同時に教室内に乗り込んでいく。瞬間、教室内にいた十数人の視線を集める。

スペシャルウィークはすぅっと息を吸い込むと、意を決したかのような表情で完璧な自己紹介を始めた。

 

 

「アッアノッワタシキョウカラコノクラスニハイルスペシャルウィークッテイイマっひゃっグアァァッ…」

 

 

盛大にコケた。

それはもう盛大にコケた。

物理的にもコケたし、精神的にもコケたし、何というか、場の空気もコケた。先ほどまで騒がしかった教室の姿はそこにはもう無い。あるのは静寂に包まれた妙な空気感の立方体の空間である。あまりにも無音すぎるのでもはや部屋であるかどうかすら怪しい。

 

あんなに練習したのにどうしてこんな失敗を、と思っているだろうがこういうのは最初が肝心。後悔してももう遅いし後の祭り。とどのつまり過去形でしかない。

 

初手から大失敗をかましたスペシャルウィークは、いっそこのまま苔生した岩になって一生を終えたいとすら思っていた。あまりに哀れ、ウマ娘であった彼女は既に過去形、自己紹介でコケて苔まみれになったコケ娘である。

 

二本の足で走るという競技の特性上、()()()なんて縁起が悪いにも程がある。なんて不運なのだろう。この哀れな生物は私たちが護らねばなるまい。教室にいたウマ娘たちはそう思った。

 

 

『スペちゃん落ち込む事ないぜ!友達を作るにあたって最も重要なファクターとなる編入初日の挨拶を盛大にミスったからって君の魅力がなくなる訳じゃないさ!だからもっと自分に自信を持って前を向いて生きていこう!』

 

「うぅうぅっぅっっうぐぅぅっぅう!?!?!?」

 

 

教室にいたウマ娘たちはもうどうしようもできなかった。

どう聞いても煽っているようにしか聞こえないこのセリフは、発言した張本人の顔色や心音を聞く限り、善意が殆どを占めていた。つまりは本気でそう思っているという事なので手のつけようがない。スクリプト(球磨川)は教室入室から10秒も経たぬうちに教室の温度を氷点下まで引き下げた。こいつは過負荷(マイナス)の名に恥じないウマ娘である。

 

 

──しかし、当然究極のマイナスが居るのであれば、究極のプラスも居るということに他ならないわけで。

スペシャルウィークにとってもスクリプト(球磨川)にとっても幸運な事に、このクラスには正しく()()()()使()と呼ぶに相応しいウマ娘がいた。

コケてしまったスペシャルウィークに手を差し伸べた、

そのウマ娘の名前は──。

 

 

「私ハルウララっていうんだ!よろしくね!」

 

──高知のアイドルホース──

ハルウララ

 

 

瞬間、教室の空気は冷え切った氷河期のような空気から一転、凍りきった氷河を溶かし、体の芯からぽかぽかと暖まるような、そんな春の日差しのような空気感へと変化した。

皆「よくやった!」と言わんばかりの表情を浮かべ、ガッツポーズをしている。

教室左奥にいる、一見高慢ちきに見えるお嬢様風のウマ娘は「流石はウララさんね!」と言い出さんばかりの自慢げな表情を浮かべ、腕を組んでうんうんと頷いていた。

 

一方、編入生組はというと、スペシャルウィークは余りの優しさ、暖かさに感激して目をうるうると潤わせている。唇も震え、まるで雪山から辛うじて救助された遭難者のようにすら見える。実際生きた心地はしなかっただろう。

 

スクリプト(球磨川)はもう、なんかかつてないほど落涙していた。いくら春になって雪溶けしたとはいえ溶けすぎだ。おもろ。ここまで純粋なプラスなんて見たことがなかった…というかこの世界で最大最強のプラスであるハルウララに引っ張られて、マイナスであるスクリプト(球磨川)は浄化されかかっていた。

アグネスデジタルと同じシステムである。

 

「えぇっ、どうして泣いてるの、大丈夫?どこか痛いの?だったらはい!これあげる!飴玉!私がこの前転んじゃってすっごく痛くて泣きそうになっちゃった時ね、キングちゃんが飴玉くれたの!あっ、あと絆創膏も!」

 

「ちょっと、ウララさん!?それは言わない約束…!」

 

「いやー、学園中みんな知ってるんじゃないかなー?キングが実は物凄い世話焼きのお母さんみたいなウマ娘だってことなんてー」

 

「そういえばこの前ウララさんがお話ししていましたね〜。『キングちゃんはすっごく優しくてすっごく可愛い』って。うふふ…よかったですね〜?人気者ですよ?」

 

「──なんですって……」

 

「キングが白目剥いて一昔前の少女漫画みたいな作画になってマース!今のうちにスナップショットを1枚!」

 

「あのっ、収拾つかなくないですかこの状況!?スクリプトさん、なんとか纏めてくださいよぉ!」

 

『こんなに…優しくされたのは、初めて…!』

 

「よしよし、辛いことがあったんだね…。商店街のみんながね、『そういう時は思いっきり泣いていいんだよ』って言ってたんだ。だから、いっぱい泣いても、いいよ?」

 

『どうやら、僕のゴールはここだったらしい。ゴール板をここに作ろう、それがいい……。』

 

「滅茶苦茶なこと言ってないで戻って来てください!私1人残して逝かないでくださいぃ!誰か助けてぇぇ!お母ちゃぁん都会の学校怖いよぉ!」

 

 

春の空気とかとっくに通り越して地獄みたいな空気である。収拾もつかないし特に何か発展するわけでも無い。

だが、こういう何の生産性もない時間を含めて初めて、青春とは成立するものであろう。勉学や運動だけでは青春は到底成立しない。

 

──だからと言って、騒いで良いわけではない。

当然、今の時間の他のクラスは授業中だ。

『仲がいいこと』は他人に迷惑をかけることの免罪符にはなり得ない。

 

直後に教室に戻って来たたづなにより、3ーCクラスメイトは全員説教を受けるハメになった。残念でもないし当然である。反省しろ。

 

スクリプト(球磨川)を慰めていただけのハルウララ、『キングヘイローがみんなに好かれている』という話をしていただけのグラスワンダー、そもそも最初の一言以降机に伏して眠っていたフリをしていたセイウンスカイ、その他大勢はお咎めなし。

 

一方、なんか大泣きしているスクリプト(球磨川)

『東京怖い』と喚き続けるスペシャルウィーク、

『違うの、違うのよ!』と令嬢としての箔が剥がれぬよう大声で弁明し続けるキングヘイロー、

『キングが甘々なことなんて誰でも知ってマース!』と

これまた大声で囃し立てていたエルコンドルパサー。

この4人は主犯格と見做され、反省文を書いて1週間以内にたづなに提出する義務が課された。

 

スクリプト(球磨川)とスペシャルウィークは

『編入初日から大騒ぎして反省文を書いたヤバい奴ら』

として暫くの間不良のレッテルを貼られる羽目になった。

何度でも言うが、残念でもないし当然である。

反省しろ。

 

 






こんなに長くするつもりはないんですよ。
本当ならジャンプの新連載宜しく1・2話だけ長くして「大増量何文字!」とかやりたいんですけど、気づいたらいつの間にか予定にないデジたんとゴルシが出て来ててですね。合計5000文字弱、時間にして2時間とちょっと持ってかれてて。
プロットとか書き溜めがいかに重要か実感しました。
面倒臭いので作らないんですけどね。
つらつら書き連ねて、出来上がったら投稿する形式にします。
よろしくお願いします。
例によって例の如く、「このキャラの口調全然違う!」とかあったらご意見ください。検討します。よろしくお願いします。

感想・評価よろしくね。

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