負完全ウマ娘   作:Minus-4

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タイトルホルダーが頑張っているところを見れたので今年はもう満足しました。イクノイックスおめでとうございます。
それはそれとして今回は6000字の予定が過去最長です。
半分眠りながら書いたので「いやここ日本語おかしくね?」みたいなところは報告してください。意図せず書いたところであれば修正します。よろしくお願いします。




第−4箱『君が頑張るなら』

 

 

『畜生ッこんな!こんな事が許されて良いはずがないッ!!』

 

転校初日の初授業終了後。

スクリプト(球磨川)は泣いていた。

ハルウララが実は別のクラスだったからだ。

あまりにも悲しんでいるので若干名のクラスメイトが

(もしかして慰めた方が良いのかな…?)

と思い始めていた。ウマ娘は基本的に善性で世話焼きたがりなのですぐに他人を甘やかしたくなってしまうらしい。

 

さて、このトレセン学園で一番やってはいけないこととは一体何だ?答えは「レースで手を抜く事」である。

当たり前だが、スポーツ推薦で入学しているようなものなので走りにおいて手を抜く事など許されない。即刻退学措置が取られるであろう。

 

では、二番目にしてはいけない事は?

それは、特に校則等で禁止されている訳ではないが、元の自分に戻れなくなる危険性すら孕む行為。

 

つまりは──母性を(くすぐ)る行為である。

今現在スクリプト(球磨川)がしているのはそういう行為である。

これが他のトレセンであればウマ娘は『あの娘を慰めたい』程度の感想を抱くだけで済むだろう。

 

ただ、この学園には感想どころか文字通り赤子を抱きにくる生粋の母、生まれつきお母さんである事が決められている概念的な母がいる。だからトレセン学園の敷地、もしくは彼女の耳に入る範囲でぐずるようなことをすれば──

 

 

「誰かが私を呼んでいますっ!!」

 

 

彼女が、スーパークリークが扉を勢いよく開いて乱入してくるのは目に見える事であろう。

あまりに予想通りすぎてセイウンスカイは机に突っ伏して必死に笑いを堪えていた。

 

 

──────────

 

 

『まさかあそこまで甘やかされるとはね。少しテンション上がってふざけてただけなのに、とんでもない怪物を呼んじまったぜ。』

 

「まさか常におしゃぶりを持っているなんて思いませんでした…」

 

「でもほら!そのお陰でこんな面白い写真が撮れました!転校初日から面白い奴デース!」

 

『一体いつの間に撮ったのかなぁ?あの時心を無にしてたから気づかなかったよ。』

 

「ウマスタに投稿…っと。うわっ通知すごっ」

 

『……僕の輝かしい学園生活が……。』

 

昼休みの時間にスペシャルウィーク、スクリプト(球磨川)、グラスワンダー、エルコンドルパサー、セイウンスカイの5人は食堂で同じ机を囲んで話していた。

エルコンドルパサーはスクリプト(球磨川)がスーパークリークにあやされ、おしゃぶりをしゃぶらされている写真を見せると、スクリプト(球磨川)は苦々しい表情を見せた。さらにその写真をセイウンスカイがウマスタに投稿。

 

これから後輩ができた時、どれだけ格好つけようともスクリプト(球磨川)『白昼堂々赤ちゃんプレイを衆人環視の下行うスクリプト先輩』と呼ばれる事が確定した瞬間でもあった。

 

スクリプト(球磨川)の目から見ても世代最強クラスである彼女らが編入生である自分たちに積極的に絡みにくることは分かりきっていた。本当に強い奴は他人すらも気にかける者である。

 

しかし、まさか編入初日から痴態を写真に取られ、あまつさえインターネットの広大な海に晒されるとは思っていなかった。陽キャ(プラス)ってこんなもんだったっけ。とスクリプト(球磨川)は困惑していた。

 

だから、そう。スクリプト(球磨川)からしても、強者たる3人からしても、触れたくない話題というものは存在するわけで。

例を挙げるとするならばスクリプト(球磨川)の隣に座っているスペシャルウィークの…ご飯の量とか。

全員が全員中々踏み出せずにいた。

『いくら何でも食べ過ぎではないか?』と聞き出せずにいた。北海道の人は皆こうなのか、とさえ思い始めていた。

 

で、あるならばここは当然恥を知らぬスクリプト(球磨川)の出番であろう。話を長引かせるのも酷なので、さっさと本題に入ってさっさと別の話題に切り替えることにした。

昔のスクリプト(球磨川)では考えられない優しさである。

 

『…時にスペちゃん。いつもそれくらい食べているのかい?僕は心配だぜ、君の…体重のことが。』

 

(よしっ、よく行った、よくぞ言ったスクリプト!)

 

(ああも簡単に繊細な話題を振るとは…中々やりますね)

 

(見た目の割に格好つけたがりデスね…でもナイス!)

 

3人はそれぞれ別々の感想を抱いたが共通しているのは感謝の念。心臓が強い奴がいて助かったという思いだった。遠回しに聞くよりも直接聞いた方が茶化して誤魔化しやすい。成程策士である。

 

「いえいつもはもっと…ほら、上京したてでちょっと気分が舞い上がっちゃって!だから、体重の心配は大丈夫です!」

 

『そうかい、それなら良かった。まさかいつもこんなに食べているのかと』

「ただ、この量だと午後が心配ですね…」

 

瞬間、空間が凍りつく。

てっきり上京で舞い上がって食べすぎているのかと思ったら、まさか、真逆であったとは。

スクリプト(球磨川)は当然助けを求める。

 

『……グラスちゃん。』

 

「…これも、彼女らしさということで」

 

『セイちゃん。』

 

「うーん、セイちゃんは黙秘権を行使するよ」

 

『エルちゃん…。』

 

「この調子で食べ続けてたらすぐに太」

 

「エルっそれは言っては…!」

 

女子にとっての禁句を口走りそうになったエルコンドルパサーをグラスワンダーが諫める、というか抑える。主に口を。ウマ娘が咄嗟にそんな行動に出れば当然息が詰まる。

 

「ムグゥッウゥウウゥッ!!!プハーッ!ウマ娘が本気で口を塞ぐとか、殺す気デスか!?」

 

「ごめんなさい、そういうつもりでは…」

 

「えーっと…、仲がいいんですね?」

 

『おいおいマジかよ…。君にはこれがそういう風に見えるのかい?』

 

「はい」

 

『そっか…。』

 

4人の中で、『スペシャルウィークは基本ど天然である』という認識が固まった瞬間であった。

以降この認識が改められる事は無かった。

 

 

──────────

 

 

「……それで気づいたらお母さんが願書だしてくれてて」

 

「いいお母様ですね〜」

 

スペシャルウィークは自らがなぜこの時期に編入してきたのかを話した。幼い頃からレースが好きだった彼女のために、母親が願書を提出してくれたという。

そんな母をグラスワンダーに褒められ、スペシャルウィークは嬉しそうにはにかんだ。

本来ならここでこの話は打ち切りになる筈だが、生憎この場にはもう1人編入生がいる。であれば、当然スクリプト(球磨川)にも話を振ってくることは予測できる。

 

「ちなみにスクリプトさんはどうしてこの時期に編入を?」

 

『運命かな。文字通りに。』

 

「文字通りって…えっ『命』を『運』ばれて来たって事ですか!?無理矢理編入させられた風に聞こえますよ!?」

 

「なんでそんな一瞬でスクリプトの言う事理解してるんデスか…」

 

「さっきまで天然ちゃんだったのにね〜」

 

スペシャルウィークからしてみればパーフェクトコミュニケーションなど容易いものだ。もっとも、意識して行なっている訳ではなく主人公補正によるものだが。

スクリプト(球磨川)からすれば、自分が投げたボールが完璧な形で帰ってくるので実際スペシャルウィークのことは気に入っている事だろう。

 

負完全(マイナス)はすぐ惚れる。

つまり人懐っこい。覚えておいて損はねえぜ。

 

「ところでチームはどこにするつもり?」

 

「私はサイレンススズカさんと同じところにします!!」

 

『僕も僕も。1人じゃ心細いからね。』

 

「あー……成程。それは、厳しいかもね〜…」

 

セイウンスカイは2人の希望を聞いて苦笑した。

2人からすれば理由がよくわからない。

グラスワンダーが薄く微笑んでいる理由も。

エルコンドルパサーが闘志を燃やしている理由も。

 

「えーっと、それはどういう?」

 

「行けば分かるよ。放課後に連れて行ってあげる」

 

『親切にどうも。今度マックでも奢らせてよ。』

 

「……言質取ったからね」

 

数日後、スクリプト(球磨川)はウマ娘に食事を奢るとはどう言う事なのか、思い知ることになる。肝も懐も冷えることだろう。

 

──────────

 

時は移って放課後。

場所はトレセン学園グラウンド。

サイレンススズカも所属している学園最強のチームリギルの選抜レースが行われる場所である。

その最強のチームに入るために集まったウマ娘総勢40名弱。

全員その目に闘志を宿し、他者を威嚇している。

 

だから、普遍的(ノーマル)なのだ。

 

『みんな余裕ないね。それだけ必死ってことかな?負ける時は負けるってのに気負いすぎだぜ。』

 

「でも気持ちは分かります。私だって、出来ることならリギルに入りたいですもん。気負うのも当然ですよ」

 

「そう言う割にはスペちゃん落ち着いてます!随分自信があるんデスね?」

 

『そういう君こそ随分自信があるみたいだね。羨ましいぜほんとに。実力に裏付けられた自信ってのはよ。ていうかウララちゃんもテスト受けるのかい?』

 

「うん、何だか今日は受かりそうな気がするんだ!よーし、みんな!がんばろーね!ウララも負けないよー!えい、えい!」

 

「「「おー!」」」 『おー。』

 

スペシャルウィーク、エルコンドルパサー、ハルウララ、スクリプト(球磨川)はお互いに気合を入れる。気合十分の4人が受付に名前を書きに行くと、そこにはグラスワンダーが佇んでいた。

 

「こちらにお名前を記入して下さいね」

 

「グラスはもうチームリギルの一員なのデース!びっくりしました?」

 

『そりゃあもうぶったまげたぜ。まさか学園最強に名を連ねている奴がクラスメイトだなんて、鼻が高い…が、同時にこの学校のレベルの高さも思い知ったかな。』

 

「あの……隣で見ている人たちって……まさか…?」

 

「そうですよ〜。リギルの先輩方ですね〜」

 

『はっは──世界ってのはとことん理不尽だぜ。』

 

スペシャルウィークもスクリプト(球磨川)も引き攣った笑いを浮かべるしか無かった。何故ならその場にいたのは全員が全員各時代の主人公クラスのウマ娘。

折角だし左から順に紹介しよう。

 

 

「今年は面白いポニーちゃんが多いね」

 

──幻の三冠馬──

フジキセキ

 

 

「誰が合格するのか…楽しみね」

 

──スーパーカー──

マルゼンスキー

 

 

「皆気合が入ってて良いデスね!」

 

──世界のマイル王──

タイキシャトル

 

 

「フフッ…今宵輝く原石は…誰かな?」

 

──世紀末覇王──

テイエムオペラオー

 

 

「これも後進育成の一環、か…」

 

──女帝──

エアグルーヴ

 

 

「……甘いな、未だ」

 

──シャドーロールの怪物──

ナリタブライアン

 

 

「タイマンできそうな奴は…っと」

 

──女傑──

ヒシアマゾン

 

 

「さて、見定めようか」

 

──皇帝──

シンボリルドルフ

 

 

 

……こんな面子が揃っていれば誰だって呆ける。

なんてったってそれぞれが主人公。時代を築いたトップオブトップの中でも一際名高い怪物たちである。

それが8人集まっているとなれば、ウマ娘からしてみれば今自分がいる所が夢か現実かなんて判断できないだろう。

 

ただし、それは()()()()()()()()()()()

スクリプト(球磨川)に関しては目を奪われた。目を疑ったのだ。

理由としては至極簡単、何故ここに黒神めだかのような超人然とした生物がいるのだろうか、という疑問が何よりも先に浮かんだからだ。

 

スクリプト(球磨川)の生涯のライバル兼妹分によく似ているウマ娘が存在する、と言う事実はスクリプト(球磨川)の精神を揺さぶり、感情を引き出すには十分すぎた。

 

『……どうやら、話を聞かなきゃいけねぇみたいだ。』

 

「あっ、ほんとですね。皆整列してますし」

 

『あー、まぁ…そっちもそうだね。今はレースに集中しようか、スペちゃん。』

 

「はいっ!…スズカさん、いないのかなぁ?」

 

話は噛み合わずに流れてしまった…いや、むしろこれ以上ないくらいに噛み合ってはいた。意図したものとは別だが会話は成立していた。スクリプト(球磨川)は何だか調子が下がった……ような気がした。

 

 

──────────

 

 

「次!」

 

「まずはオープン戦で勝ちたいです!」

 

「…次」

 

「リギルメンバーとして活躍したいです!」

 

リギルの選抜レースを受けに来たウマ娘達はチームリギルのトレーナーである東条ハナの前に整列していた。

現在は各ウマ娘に1人ずつ目標を聞く時間である。

堅実にステップアップしていく事を目標とする者、漠然と理想の自分を語る者。様々なウマ娘がいるが、大半は普遍的(ノーマル)な目標を掲げるだけで、トップクラスのものから見ればひどくつまらない時間である。

そして、スペシャルウィークの順番が回って来た。

 

「次」

 

「………」

 

「次!!」

 

「………………」

 

なんとこのウマ娘、言うに事欠いて、というか言葉欠いて学園最強チームのトレーナーに堂々シカトをかました。仕方がないので東条ハナは敢えて大きな声で名前を呼び、集中しきれずそわそわしている上京者の田舎娘の意識を向けさせることにした。

 

「次!!スペシャルウィーク!!」

 

「うわっ、あっ!はいっ!!」

 

「何か目標はあるか?」

 

「えっ、えっと……あっ!私、日本一のウマ娘になりたいです!私、お母ちゃんから日本一のウマ娘を目指しなさいって言われて、この学校に通うことを決めたんです!」

 

スペシャルウィークがそう語った途端、周りのウマ娘はクスクスと笑い始めた。今までウマ娘の友達が1人もいなかった、日本一がどれほどの価値なのかもはっきりとわからない純粋無垢な田舎者を嘲笑い始めた。笑っていないのはハルウララ、エルコンドルパサー、実は参加していたキングヘイロー、そしてスペシャルウィークのすぐ後ろに並んでいた黒髪黒目の童顔ウマ娘、スクリプトロンガー(球磨川禊)くらいのものだった。

 

さて、僕たちの物語(めだかボックス)を読んでいた奴なら分かると思うが、球磨川禊は友達にはとことん甘い。なんだかんだで彼は彼なりに友達を大事にしているらしい。と、いうことはだ。これから何を仕出かすかくらい、わざわざ説明せずとも分かるだろう。

 

『おハナさん、そろそろ僕の目標を言っても構わないかな?』

 

「そうだな。次、スクリプトロンガー。何か目標は?」

 

『皐月賞、東京優駿、宝塚記念、菊花賞、ジャパンカップ、有馬記念、大阪杯、天皇賞(春)、宝塚記念、天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念を制しての十三冠ウマ娘。』

 

スクリプト(球磨川)の夢物語を聞いた瞬間、周りのウマ娘達は世間知らずが過ぎる編入生をバカにし始めた。やれ本気でそんなこと言っているのなら撤回したほうがいいだの、やれお前のような戯言を口にするやつはリギルには相応しくないだの。まあ内容の方はどうだって良い。

 

肝心なのは「夢をバカにした」という事実だけだ。

スクリプト(球磨川)がこの世で嫌いなものは大凡6つ。

1つはこの世の全てを知った気になって絶望している奴。

1つは全ての人間が元々は善人だと本気で信じている奴。

1つは凡人(ノーマル)のくせに必死に超人(アブノーマル)に追いつこうとする奴。

1つは自分が犠牲になれば全員救われると考えている奴。

1つは自分が人間の最低の最底辺だと信じ切っている奴。

 

 

1つは、人の夢を聞いて笑う奴。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『人の夢を笑うな。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうスクリプト(球磨川)が呟くと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()巨大な螺子で顔を貫かれ、絶命した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『「大嘘憑き(オールフィクション)」。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

「「「………えっ?」」」

 

『どうしたんだい皆して呆けちゃって。今は所信表明中だろう?ダメじゃないか、ぼーっとしちゃ。』

 

「……スクリプトロンガー、貴様……!」

 

『おっと、そりゃそうだよな。レース開始前から()()を使って精神を磨耗させるなんて、到底スポーツマンシップに則ってるとは言えない行為をしちまったからには、この選抜レースは辞退させてもらうぜ。あーあ、折角同じ年に走るライバル達の心を折って負担を少なくしようとしたのに失敗しちまったぜ。』

 

『また勝てなかった。』

 

『じゃあ、僕は帰ることにするよ。ついでに学園も辞めちまうか。どうやらここには他人の夢に勝手に値をつける鑑定人気取りの平凡(ノーマル)しかいないらしい。精々頑張りなよ。その調子ならきっと……そうだな、8月くらいには一勝できるんじゃない?僕のことは忘れて内輪でワイワイ楽しく走ってればいいさ。じゃあな、二度と会わないであろう背景(モブ共)。あーあ、日本最高峰っつったって所詮この程度か。残念だぜ全く。』

 

そう言うと、スクリプト(球磨川)は東条ハナに背を向け、去って行ってしまった。顔を貫かれたウマ娘の中には恐怖のあまり泣き出してしまう者や倒れてしまう者が出た為、選抜レースは2時間ほど遅らせて開催される旨が通達された。チームリギルは予定もパンパンに詰まっていて後にずらすことが難しい為、理事長秘書監視のもとであれば、と言う条件付きでレースの開催が許されたのだった。

 

(スクリプトさん…私の為に…)

 

スペシャルウィークはスクリプト(球磨川)に恐怖も感じていたが、それ以上に感謝の念が僅かに強かった。何故ならどう考えても怒っていたのは彼女を笑った者にではなく、自分を笑っていた者に対してだったからだ。

そして、感謝の気持ちを抱く一方、自分のせいでスクリプト(球磨川)は退学になるだろうと考え、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

 

(スクリプト…中々やり手デスね…)

 

エルコンドルパサーは先程スクリプト(球磨川)が見せた『領域』のような何かを見て慄いた。35人の顔の中心に寸分違わず螺子を突き刺すその技量と、螺子を刺すまでのモーションの速さは、明らかに自分の動きを上回っていた。あのままレースが始まっていたら、自分が負けていたかもしれない、そう考え始めていた。

 

(スクリプトちゃん…大丈夫かな?)

 

ハルウララは自己肯定感が異様に低いスクリプト(球磨川)の事を心配していた。ハルウララは呑気ではあるがバカではない。故にスクリプト(球磨川)の精神性なんて既に看破している。本当は強く勝ちたいと願っている。しかし友人をバカにされて黙っているわけにもいかない。そうして実力行使に出た不器用な友人の事を、心配していたというわけだ。

 

(本当に…惜しい。夢を笑いさえしなければ…)

 

東条ハナはこの時期から『領域』をコントロールできるウマ娘をみすみす逃してしまった事を悔いていた。個人で出走するレースはともかく、団体戦形式のルールにおいてスクリプト(球磨川)の『領域』は切り札となり得ると考えたからだ。それ程の人材を逃した挙句、トレセン学園という組織に対しての信用も無くさせてしまった。自らがトレーナーとして未だ未熟であると再確認した瞬間であった。

 

──その後、2時間遅れで始まったレースは概ね元通りの展開で進み、エルコンドルパサーがチームリギルに所属する運びとなり、スペシャルウィークはサイレンススズカと同じチームに入る、と言う夢を諦めるに至った。

スクリプトが散々お膳立てしてくれたというのに、日本一に至るための一歩を、踏み外してしまったと思い、意気消沈するのだった。

 

 

──────────

 

 

登校の時とは打って変わってスペシャルウィークは1人で寂しくトボトボ歩いて下校しようとしていた。そして、ただでさえ遅かった動きが完全に止まる。理由としては、ウマ娘がダートに頭から埋まっている写真に目を引かれたから、ではない。目の前に、先ほどの混乱を引き起こした張本人のスクリプト(球磨川)が現れたからだ。

 

『やぁ、スペちゃん。その様子だと…ダメだったようだね。エルちゃんは強かったかい?』

 

「スクリプトさん…はい、強かったです、とても。キングさんを頑張って追い抜いて、私が1着だと思ったら…私よりよっぽど先にゴールしてたんです、エルさんが。とても……強かった。到底追いつけなんてしなかった。エルさんだってスクリプトさんのあの能力を目の当たりにして動揺していたはずなのに、それでも届かなかったんです。ものすごく悔しいですよ、今でも」

 

『そうだろうね。彼女はとても強いみたいだし。それに…恐らく本気なんて出してない。出すまでもない。レース本番まで手札は伏せたままで来るだろうね。』

 

「…スクリプトさん。本当に学園…辞めちゃうんですか。他の人を傷つけるような事をしたから…私が…私のせいで、その決断をさせてしまったからですか?」

 

『そんなことはないさ。他のウマ娘を攻撃したのは自分の意思だし、それに幻滅したからね、実際。もっと自由で真剣に学べるのかと思っていたら内実はその辺の女子校と大差なかったってオチさ。だから結局自分自身の意思で他人の心を折っただけだよ。スペちゃんが気に負うことは何もないさ。』

 

「でもっ!私が、日本一のウマ娘になるなんて言い出さなければ…!『スペちゃん。』っ…はい、なんですか、スクリプトさん…」

 

『夢を諦める理由に他人を使うな。』

 

『今言ったのはとある漫画からの流用だが…僕が思うに夢っていうのは、自分で見るから夢なんだ。他人が望んだ夢なんて所詮他人の夢でしかなくて自分の夢にはなり得ない。お母さんに言われて日本一目指してるとは言っていたけれど、実際どうなんだい、君の心は。』

 

「それは……」

 

『自分自身の事を何も分かってねえ内に、自分の可能性に見切りつけて限界決めてんじゃねえよ。もう分かっているんだろう?本当の、自分のための夢が。自分の心を嘘で固めるなよ。正直に、正喰に言ってごらん?本当の君は…。』

 

『もっと、貪欲だろ。』

 

スクリプト(球磨川)の辛辣な言葉はスペシャルウィークの本心を引き出す。スペシャルウィークの気持ちなんて気にせず、自分勝手に外面を引っ剥がす。

 

 

だから、スペシャルウィークはもう自分の気持ちを抑えることなんて、出来なかった。

 

 

 

 

「私は…私は…!ずっと昔から、子供の頃から、『日本一のウマ娘』になりたかった!走るのが大好きで、気づけば北海道の広大な草原で動物達と走っていて!それが楽しくて楽しくて、『あぁ、自分は走る為に生まれてきたんだ』ってずっと思っていた!!一人もウマ娘の友達なんていなくて、ずっと一人ぼっちで走っていただけだったけれど!『日本一のウマ娘』なんて遥か彼方の空の上に浮かんでいる数多の星の中でも一際輝きの強い物で、掴むことなんて到底出来ない物だって解ってはいるけれど!!それでも目指さずにはいられない!!私にはそこしか目指せない!!目指したくない!!私はそれだけを思って今まで生きてきたのに、それを笑われて、バカにされて、悔しくてたまらない!!だけど笑われっぱなしじゃ終われない!終わらない!そんなつもりは毛頭ない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、私は!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつらに勝ちたい!!!」

 

「愚か者でも!」

「世間知らずでも!!」

「走り方なんて学んだことがなくても!!!」

 

 

 

「主役を張れるって証明したい!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……言えたじゃねえか。自分自身でその気持ちに蓋をしちゃあ、真の実力なんて出せやしない。この日を境に君は生まれ変わるぜ。』

 

「はぁっ、はあっ…生まれ、変わるって…何だか……はぁっ、嘘、くさいですよ……」

 

『いいや、普段僕は大嘘吐きだが、これだけは保証しよう。昔生徒会の副会長をやっていた時、後輩の庶務の奴が『自分の気持ちが分かんねえ』って言ってずっとウジウジ悩んでたんだ。で、そいつが蓋をしてた気持ちが恋心だったってわかった瞬間、人が変わったように強くなってね。あれはマジに驚いたぜ。』

 

「ふふっ……私は、そんなに強くないですけど…それでも、変われると思いますか?」

 

『あぁ。僕がついてる。僕だけじゃない。グラスちゃんがついてる。エルちゃんがついてる。キングちゃんがついてる。ウララちゃんがついてる。デジタルちゃんがついてる。フジキセキちゃんがついてる。たづなさんがついてる。沖野ちゃんがついてる。今名前を挙げただけでも9人。君の夢を笑わずに応援してくれる人はこの学園にそれだけいる。そして学園の外に目を向ければ、君のお母さんがついてる。だからさ、自分のために、自分の夢のために、自分の夢を応援してくれる人のために、頑張ってみようぜ。君が頑張るなら、僕も頑張るからさ。』

 

「そんなこと言われたら……頑張るしかないじゃないですかぁ…」

 

スクリプト(球磨川)は膝に手をつき、息を整えているスペシャルウィークの手を取り、そう言った。

スペシャルウィークは本当の自分をぶちまけた恥ずかしさと、自分を励ましてくれたスクリプト(球磨川)に対する得体の知れない感情のせいで、涙が溢れた。

 

『さ、それじゃあ寮に帰ろうか。チーム探しはまた明日から始めれば良いさ。』

 

「そうですね…急いては事を仕損じる、とも言いますし!」

 

今日1日で絆をさらに深めたスクリプト(球磨川)とスペシャルウィークは2人で談笑しながら、帰路に

「つかせる訳ねーだろボケ!!青春感満載で締めようったってそうはいかねえ!!スカーレット!ウオッカ!やっておしまい!!」

 

2人の目の前に突然3人組の怪しいウマ娘が現れる。しかも麻袋を持っていて、サングラスにマスクで顔を覆っている。誰がどの角度からどう見ても犯罪者集団だ。

 

「あの…名前言ったら変装の意味ない……うぐっ…」

 

『えっ学園内で拉致は流石に……むぐぅ…」

 

「行くぞ!えっほ!えっほ!」

 

「「えっほ!えっほ!」」

 

2人はまるで神輿にでも担がれている、というか神輿そのものになった気分を味わっていた。案外痛いということを学べただろう。

 

「スクリプトさん!気持ちじゃどうにもならないですぅ!」

 

『諦めよっか。』

 

「投げやりにならないでくださあぁぁーーぃ……

 

 

──────────

 

 

「そんで?言い訳があるなら聞くぜ。マイベストフレンド。とりあえず、まぁ…カツ丼でも食って、落ち着けや」

 

『この場合言い訳を聞くのって僕じゃないかな。加害者と被害者を逆転させる能力でも持ってるのかい?』

 

「うん」

 

『持ってるなら仕方ないなあ!』

 

察しているだろうが目の前にいるハジケリストはゴールドシップである。場所はチームスピカの部室。

そこにはゴルシの他にも2人のウマ娘と1人の痴漢がいた。

 

「それで、痴漢の人はどうして私たちをここに?」

 

「「「痴漢の人ォ!?」」」

 

「いやいや、違う違う違う!勘違い!トレーナーって言ってくれよ…」

 

「……トレーナー、さん…。えっほんとなんですか?嘘とかじゃなくて?」

 

「昨日寮まで送っただろうが」

 

「あっ…そういえばそうでしたね」

 

「とりあえず、挨拶しろー」

 

「「「ようこそー、チームスピカへ!」」」

 

「よろしく…お願いします…?」

 

スペシャルウィークは例の看板を見ていないので特に不審がることはなかった。代わりにスクリプト(球磨川)はあのやばい看板のところか、と既に勘づいていた。無駄に勘だけは良いなこいつ。虫みてえ。

 

「今日からお前らはこのチームのメンバーだ」

 

「勝手に決めないでくれません?」

 

「勝手に決めるしお前は俺が隅から隅まで磨く!」

 

『沖野ちゃん、紛らわしいぜ言い方。あの動画SNSにあげても良いの?』

 

「あの動画って…えっお前触診の動画撮ってたのかよ!?やめてくれ頼む後生だ!」

 

5人は沖野のことを冷ややかな目で見ながら話を続ける。

 

「なあなあトレーナー。でもこの人たちって2着と競争除外だろ?何で今更…」

 

「スペシャルウィークは上がり3ハロン33.8。走った後の息の入りも早い。十分通用する。それにスクリプトロンガーは既に『領域』の発現を確認できた。それも広範囲で精密性が高く、完全にコントロール下に置いている。走りが見れなかったのは痛いが……まあ先行投資だよ」

 

『そりゃどうも。高く買ってくれてるみてえで何よりだぜ。』

 

「お前昨日私が『突撃!隣が晩御飯』した時は螺子2本しか出せないって言ってなかったか?」

 

『あまりにゴルシちゃんが不審者ムーブすぎたから伏せておこうと思ってね。』

 

「そりゃ完全にゴルシちゃんが悪いな……ぐぅ」

 

『ぐぅの音が出る余地はあるんだ。中々しぶといね。』

 

「ねぇウオッカ。なんかあの2人仲良くない?」

 

「ああ、とても昨日出会ったとは思えねー…」

 

お互いに打てば響くので打ちたい放題である。

ゴルシとしては久々に新しい同種を見つけて大変嬉しいだろう。とても良い笑顔である。

 

「そういえば、スペ。お前はサイレンススズカと一緒のチームがいいんだよな?」

 

「えぇ、まぁ…はい。憧れの人なので…。」

 

「左側見てみ。窓の近く」

 

沖野が指し示した窓の近く。

西陽がさすその場所にいたのは、スペシャルウィークの憧れであるサイレンススズカその人であった。

 

「えっ…?あっぇ、スズカさん?うぁぇっ!?どっどどどどどうしてここに!?」

 

「スズカは今日付で、リギルからウチに移籍したんだよな!」

 

「えぇ…まぁ…」

 

「うえぇぇぇ!?どうしてですか!?」

 

「あのチームはスズカさんの走りが分かってないのよ」

 

スペシャルウィークから湧き出た当然の疑問に回答したのはスズカ本人ではなくゴルシとダイワスカーレットだった。2人とも、スズカに関してはそれなりの知識を有しているように見受けられる。

 

「お前、日本一のウマ娘になるのが目標だと言っていたな」

 

「はい。言いました。決めました。将来の目標も、私の夢も…そこに至るための覚悟も」

 

『ひゅー、言うねえ。』

 

「言わせたのはスクリプトさんでしょう?何を今更〜」

 

「なあスカーレット、あの2人距離近くねえ?」

 

「そう?ウマ娘同士ならあんなもんじゃない?」

 

「それもそうか」

 

沖野は多少面食らった。

ついさっきまでのスペシャルウィークと今相対しているスペシャルウィークでは秘めている想いが違った。明らかに先ほどより毛艶がいい。光沢さえある。これは調子が絶好調の時の証である。

 

「一応聞くが…日本一のウマ娘ってなんだ?」

 

「見ている人に夢を与えられる、そんなウマ娘です」

 

「……パーフェクトだ。さっきまでとは違って芯ができたな。スペ」

 

「まぁ…半分はスクリプトさんのおかげですけど」

 

「それでも良い。人間でもウマ娘でも、1人で生きていけないことは変わらない。お前が本音をぶつけられる友人を編入早々に見つけられたことはこの上ない幸運だ。スペシャルウィーク。それとスクリプト。お前も、自分のことを信頼してくれる奴を大切にしろよ。お前はお前でスペに助けられてるはずだからな」

 

『そりゃあ勿論。僕は一回内側に入れた物は手放さない主義でね。断捨離ができねえのさ。』

 

「はっは!見てれば分かるさ!お前が強欲なことくらい!」

 

沖野は以前会った時のダメな大人振りは一切出さず、頼れる大人の風格を醸し出していた。本当に同じ人間か怪しいなこいつ。3人くらいいるんじゃねーの?

 

「……本当に、笑わないんですね。『日本一のウマ娘』…」

 

「おう、誰が笑うかよ。他人の夢を笑うような奴の夢なんて一生叶わないからな。それに、俺好きなんだよ。それは叶えられないだろっていうとんでもなくでかい夢を叶えちまうような、そんなご都合主義満載の物語がさ」

 

「…なら、決めました!私!ここで目指すことにします!!『日本一のウマ娘』!」

 

「「「「おおっ!!」」」」

 

「スペがスピカに入部したってことは…自動的に!?」

 

『当然、僕も入らせてもらう。約束しちまったしな。スペちゃんと一緒に頑張るってよ。』

 

「よっしゃあ!スズカに加えて『有望株』を2人ともゲットしちまうなんて!こりゃあスピカの時代が来るぞ…!」

 

『だけど、良いのかい?僕は『領域』を用いた暴行事件を起こしていて、理事長秘書さんから退学届を貰ったんだけど?』

 

「ああ、それなら心配ご無用。()()()()()()()()()()()()()()。たづなさんが俺に伝えに来たよ」

 

「というかアタシ達みんなスクリプトさんのこと怖がってなんかいませんよ!」

 

「そうそう、だって白昼堂々赤ちゃんプレイを衆人環視の下行うスクリプト先輩ですもん!そんな怖い人じゃねーって俺も知ってます!」

 

『あれどこまで広がってんの?』

 

「ウマッター見せてやるよ。このインフルエンサーゴルシちゃんの手にかかれば世界トレンド1位なんてお茶の子さいさい、ヘソで茶沸かすより簡単だぜ。やっぱ朝飯前はお茶を飲むに限る…ほい。アホみたいにバズってるぜ」

 

『……マジかぁ…。』

 

ゴルシが見せたスマホには

『世界のトレンド1位:スクリプトロンガー』の文字があった。トップに表示された動画は32万いいね。国内外問わず閲覧されているらしく、スクロールすればコラージュ動画の数々が。

これで第−1箱の伏線を回収したことになる。ただし、実際動画にされたのは悪平等(ノットイコール)ではなく過負荷(マイナス)だったが。

 

『はぁ…しょうがない、これも運命だと思って大人しく運ばれるとするさ。あーあ、しょうがない!僕も日本一を目指すとしよう。そして、日本最強を決める舞台で、僕と一緒に踊ろうぜ。スペシャルウィーク。』

 

「スクリプトさん…二言は無しですよ?」

 

『僕は嘘は吐くが二言は吐かない。だって、ほら。言葉に込めた意思が儚く散ってしまうからね。そっちこそ、また泣きついてこないように気をつけなよ?』

 

「ちょっと!恥ずかしいんだから思い出させないでください!」

 

「なあ、スカーレット…スクリプトさんの口調…カッコよくねえか!?俺も真似しようかな…」

 

「えっウオッカあんた正気?スキットルに麦茶と間違えてウィスキー入れて来てないわよね?」

 

「まず買えねえし酔ってもいねえよ」

 

スクリプト(球磨川)とスペシャルウィークが無自覚にいちゃついている間に、いつの間にかスクリプト(球磨川)ファン1号が生まれそうになっていたことはスカーレットしか知らない。

 

「よし!じゃあスペシャルウィーク。登録しておくから来週は頑張れ」

 

「えっ?来週何かあるんですか?」

 

「えっと…トレーナーさん…もしかして……」

 

「スズカ!しーっ!それは来週になってからのお楽しみだからな。楽しみにしとけよ?」

 

「スクリプトさん、サプライズですって!何だろう、新入生歓迎会かなぁ?それとも新入生歓迎会かなぁ!?それとも新入生歓迎会かなぁ!?」

 

『落ち着こうスペちゃん。頑張って3択に絞ったみてえだが全部同じ選択肢はクイズとして成立してねえぜ。…まぁ、ある意味歓迎会ではあるかもね…。』

 

「やったーーーーっ!!!いっぱい食べます!!」

 

「親友、お前……」

 

『こんな喜んでる女の子に……僕は真実を伝えられない。笑えよ、ちっぽけなこの僕の弱さを…。』

 

「あー、スペ?」

 

「はいなんですか!?」

 

流石にイタズラがすぎると考えたのか沖野も本当のことを言うことを決めたらしい。いつになく真剣な顔をしている。これから生きるか死ぬかの瀬戸際なのだ。そりゃあ真剣にもなる。

 

「新入生歓迎会ではしゃいでるところ悪いんだが……来週はお前のデビュー戦だ」

 

「えっ?」

 

 

──────────

 

 

「えっ?」

 

時は進んで1週間後。

新入生歓迎会ではないと聞いて茫然自失の状態に陥ったスペシャルウィークが目を覚ました時にはそこは……。

 

「ぶっ潰す!!」

 

「えっ!?」

 

阪神レース場の芝を踏んでいるのだった。

 

「ファイトー!お前ならやれるぞー!スペー!」

 

「スピカ魂見せてこーい!」

 

「集中ですよー!」

 

「かっこいいとこ見せてくださーい!」

 

「あー、その…頑張ってー…」

 

『流石に可哀想じゃない?日本一を目指すとはいえ…。』

 

「スクリプトさん…私もそう思います…」

 

『スズカちゃん…寮長さんから話を聞く限りではヤバい奴なのに、案外普通の感性持ち合わせてるんだね。』

 

「走りになるとどうしても抑えられなくって…時間も忘れて走っちゃって…」

 

スクリプト(球磨川)は気づいた。気づいてしまった。

 

──チームスピカにはヤバい奴しかいないということに。






ようやくアニメ1話終わりました。
ここまで書くのに60時間くらい使ってます。
やっぱ小説書いてる人たちってやばいと再認識しました。
例に漏れず「話し方こっちの方が良くね?」などあれば提案してください。検討します。よろしくお願いします。

感想・評価よろしくね。

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