負完全ウマ娘   作:Minus-4

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明けましておめでとうございます。
はっきり言って今回の話は特に進展は無いです。
文章もなんだか拙い気がします。
それに一万字を割っています。
でも頑張りました。
感想等あればどしどしご応募ください。
気づいたら返します。


第−6箱『台無しにしてやるぜ』

「ここは図書室だよ!」

 

「わあ〜っ!すごい本の量…!」

 

『流石は日本一のトレセン学園、蔵書数も半端じゃねえな。ところでテイオーちゃん。一つ質問があるんだが…。』

 

「んー?何だねスクリプトくん?」

 

『一人称が『ぅ私』の図書委員とかっている?』

 

「いるわけないじゃんそんな一人称の人…」

 

スクリプト(球磨川)たちは現在トウカイテイオーの案内で図書室にやってきていた。膨大な数の蔵書が醸し出す古本特有の匂いが彼女らの鼻を擽る。

そこは正に本好きにとっての楽園であった。

 

「トレセン学園は文武両道なんだ!賢さのトレーニングとかはここから本を借りてやるんだよ!2人とも分かった?」

 

「はい!ところで栄養学の本ってどの辺りですか?お腹すいちゃって…」

 

「料理の写真で空腹を誤魔化そうとするくらいなら早く食堂行ったほうがいいと思うなあ」

 

『スペちゃんこの本見てよ。ほら、これ美味しそうじゃない?』

 

「うわあ…!特大にんじんハンバーグ野菜マシニンジンアブラカラメ…!?ちょっと私食べに」

 

「ちょっ、ちょっと!そこのあなた達!静かにしてください!」

 

「「はあい…」」

 

『………。』

 

図書室ではお静かに。

そんな事は小学校で散々習う事である。当然騒いでいればお叱りを受けるだろう。実際はそこまでうるさかった訳ではないが、図書委員のゼンノロブロイが真顔で腰を上げかけていたので近くにいたメジロマックイーンが急いで3人を諌めることによりひとまず図書室に平和が訪れた。

 

スクリプト(球磨川)が黙っている理由は二つ。

一つは『異常(アブノーマル)』が2人、それも1人は『主人公』級であったから。もう一つはゼンノロブロイが右手に神々しい剣を握っているのが見えたからである。これ以上騒ごうものなら真っ二つに切り裂かれそうな気がしたからだ。

 

大嘘憑き(オールフィクション)』で復活する事はできても、痛いものは痛いのだ。スクリプト(球磨川)といえどわざわざ斬られる趣味はない。

 

 

──────────

 

 

「こちらはプールでございま〜す!」

 

「わあ〜!プールって初めて見ました!」

 

『おいおい、大嘘吐くのは僕の特権だぜスペちゃん。それにそんな嘘ついたところで一笑いも取れやしないさ。』

 

「いえいえ、北海道ってプール全然ないんですよ。寒いからかは分かりませんけど」

 

「スクリプト〜?これは謝んないといけないんじゃないの〜?」

 

『大嘘吐き呼ばわりしてすいませんでした…。』

 

「そこまでガチトーンで謝らなくても」

 

場所は移り、ここはトレセン学園のプールである。

プールトレーニングや遊泳の為に使用することができる。

飛び込み台もあるにはあるが、使用の際は責任者の付き添いが必要となる。万が一にも怪我をするような事態があってはならないからだ。

 

「ところでお魚は泳いで」

 

「ないよ!どんだけお腹空いてんのさー!?」

 

「But!!私は魚とswimmingしても短距離なら負けません!」

 

突然大声で話しかけてきたウマ娘の名はタイキシャトル

短距離・マイル路線を突っ走る活発ネイティヴ娘である。

余談だが、ネイティヴダンサーとは一切関係ない。

 

3人が呆気に取られていると、タイキシャトルはプールに飛び込む姿勢をとった。スクリプト(球磨川)はこれから起こる事態を察して既に『大嘘憑き(オールフィクション)』を発動する準備をしていた。

 

「うっひょー!超気持ちいいデース!」

 

スクリプト(球磨川)の大凡の予想通り、タイキシャトルは大きな水飛沫を上げながら、水面に飛び込んだ。

当然、タイキシャトルが上げた水飛沫…所ではない量の水は3人の全身を余すところなく濡らしてしまった。

 

「「………」」

 

『やっぱりね。こんな事だろうと準備しておいて良かったぜ。『大嘘憑き(オールフィクション)』…ん?2人とも、どうしたんだい?そんな目で僕を見つめないでくれよ、惚れちまうぜ?』

 

「あのー、私たちも濡れたんですけど…」

 

『うん。濡れてんね。』

 

「スクリプト、ボク達もその『領域』でどうにかしてくれないかなーって」

 

『よく考えてみなよ、スペちゃん、テイオーちゃん。自分の目の前に美少女が2人いる。その2人は水浸しになっていて、髪の毛や尻尾の毛からしとしとと水滴が滴っている。水も滴るなんとやら、だ。こんな役得な状況誰が改善しようとするって言うんだい?僕なら間違いなくしないね。』

 

「テイオーさん、やっぱりスクリプトさんって…」

 

「うん、間違いなくそっちだろうね…」

 

『また内緒話かい?もっと隠したほうがいいと思うけどなあ。』

 

スクリプト(球磨川)は2人の会話にまたもや首を傾げるだけだった。太古の昔に流行った『鈍感系』である。

そんなんだからモテねえんだよ。

 

 

──────────

 

 

「次は外を…ってスクリプトどこ?」

 

「スクリプトさんならあそこです。切り株のところ」

 

「クソーッ!また負けたーっ!なんでだよチクショーッ!」

 

『何度やっても勝てないんだね。仕方ない、そういう相手もいるさ。ヒシアマちゃんの場合はそれがブライアンちゃんだったってだけさ。どうだろう、いっそのことここは一思いに諦めてさ、ヒシアマちゃんは自分なりの道を探すって言うのもありなんじゃないかなと僕は思うけどなあ。』

 

「そうかな…」

 

『そうだよ。』

 

「そうかも…」

 

テイオーが視線を動かすと、そこには『女傑』とすら呼ばれるヒシアマゾンを『負完全(マイナス)』方面に引き摺り込もうとするスクリプト(球磨川)がいた。

 

「えっ何やってんの!?ダメダメ、いきなり他人をマイナス方面に引き摺り込むとか何考えてんの!?」

 

『えーっ、だって久々に同士になってくれそうな人がいたんだぜ?そりゃあ同じ所まで落ちてきて貰いたくなるでしょ。』

 

「今まで1人で寂しかったからってそれは…!」

 

「テイオーさん。こうなった時のスクリプトさんはまともに相手したら疲れちゃいますよ?頑固なんだから説得とか無駄ですって」

 

「でも、それじゃあ…!」

 

「だから実力行使に出ます」

 

「…え?スペちゃん今なんて?」

 

「え?いや、だから…」

 

「実力行使に、出ます。」

 

「こうなったらスクリプトさんって面倒くさいんですよ。テイオーさんもさっき見たと思うんですけどたまーに持論で理論武装して滅茶苦茶なことをやるんですよね。だから殴ってでも止めます。今日の朝お腹を刺された恨みも込めて」

 

スペシャルウィーク、まさかの暴力での解決に打って出た。彼女の言う通りスクリプト(球磨川)はかなり面倒臭い癖ウマ娘である。一発殴らなければ止まる事はないだろう。

 

「いや、スペちゃん。パンチなんてしたらスクリプトが怪我するんじゃないかな…?」

 

「『領域』があるので大丈夫です。それにスクリプトさんなら一発くらい許してくれますよ。ということで」

 

『えっいや、スペちゃん。朝螺子をお腹に捩じ込んだのは僕は悪くないって言っただろう?それにそもそもはさっさと起きない君がぁっ!?』

 

マジで殴ったぜこいつ。

どうしてこんな面白え奴ばっか集まるかな。

 

「ふう。じゃあテイオーさん!案内の続きお願いします!」

 

「それはまあ、いいんだけどさ…えっスクリプト大丈夫?死んでないよね?」

 

「大丈夫ですって。私も朝一回死にかけたのでこれくらいなら治せますよ。多分」

 

「…じゃあ、いっか…」

 

その後校内の様々な場所で、気絶したスクリプト(球磨川)を引き摺るスペシャルウィークが目撃された。相当螺子を刺されたのが気に食わなかったのだろう。

それはそれとして、スクリプト(球磨川)を引き摺るスペシャルウィークを見たスズカは震え上がった。

 

 

──────────

 

 

またまた場所は移り今度はグラウンド。

スペシャルウィークとスクリプト(球磨川)、転入後初のトレーニングである。スペシャルウィークは当然のこと、復活したスクリプト(球磨川)も珍しく気合いが入っている。

いくら負け犬であるとはいえ、勝つための努力はなんだかんだ怠らない。こういうところが『負完全(マイナス)』であると断定できない理由でもある。

 

『…で、沖野ちゃん。ぶっ殺されてえのかな。今すぐにでも物言わぬ骸に変えてやってもいいんだぜ。』

 

「おいおい待てよいきなり物騒だなスクリプト。よく見ろよ、ちゃんとしたトレーニングだろ?」

 

『僕の知り得る限りツイスターゲームはトレーニングとは呼べねえな。分かってんのかよ沖野ちゃん、スペちゃんのレースは1週間後なんだぜ?遊んでいる時間なんて1秒たりとも残ってなんかいないのに。』

 

「スクリプト、お前スペのことが心配なだけだろ。いやー分かりやすいなお前…目は口ほどに物を言うってよく言うがお前の場合はもっとよく分かるぜ。やっぱり俺のトレーニングメニューは間違っていなかった。スペシャルウィークは不足している体幹を鍛えることができる。そしてそれを見せることによって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。お前の弱点は『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』だ。改善していくぞ」

 

『…最初からそれ言ってくれない?赤っ恥かいちまったぜ。もうとっくに慣れてるからいいけどよ。』

 

「言ったろ?『中央のトレーナーを舐めんな』ってな」

 

沖野はそういうとニヤリと笑った。

してやったりと言う顔である。

それを見たスクリプト(球磨川)もにへらと笑った。

負完全(マイナス)』特有のヘラヘラした顔である。

 

「体幹鍛えるトレーニングってそれもっと早く言って欲しかったんですけど!?」

 

「そうだよ!なんで貴重な時間削ってツイスターゲームやってんのかと思ったらそういうことかよ!知ってたらオレだってもっと本気で…!」

 

「甘い、甘いぞウオッカ!ウィスキーくらい甘い!」

 

「ウィスキーは元々糖分少なめの酒だろうが!」

 

「こんななりでも俺は一応中央のトレーナーだ。一見意味不明に見えるトレーニングでもしっかり考えればそこに意味はある。つまり、自分の頭で考えてどこをどうトレーニングしているのか考える必要がある。これはレース中も同じことが言える。俺はお前らを強くしてやる事はできても、レース中横からアドバイスしてやれる訳じゃあねえ。もしレース中困ったことがあったら俺に聞くのか?()()()()()()()()。結局レースってのは個人競技。そこに他人の思いが乗っかった所で最後に信じるべきは自分の心だ。だから、レース中は自分で作戦を組み替えて臨機応変に動く必要がある。その為の賢さも鍛えるトレーニングって訳だ。分かったか?」

 

「あーもう分かったよ!何なんだよこんな妙なトレーニングやらせるくせにすっげえまともなことばっか言いやがって!こうなったらオレだって本気でやってやる!」

 

「わっ私も!出来るだけ自分の頭で考えてみます!それとスクリプトさん脇腹つつくのやめてもらっていいですか!?」

 

『ごめんごめん。プルプル震えてるからつっついたら崩れ落ちるかなって。』

 

沖野が折角良いことを言っていたのにスクリプト(球磨川)の茶々のせいで空気感は台無しだった。便乗したゴルシもスペシャルウィークの耳に息を吹きかけているし、スカーレットはウオッカの脇をくすぐっている。

チームスピカのメンバーでまともなトレーニングをしているのはスズカだけだった。

スズカはさめざめと泣いた。

 

 

──────────

 

 

翌日、スペシャルウィークのデビュー戦の概要が決まった。阪神レース場右回り芝1,600m、枠番は8枠14番となった。

『日本一のウマ娘』になると決意した以上、デビュー戦は勝利で飾りたい。その一心でスペシャルウィークはトレーニングに励んだ。

 

しかし、体力もないのに急にトレーニングの強度を上げればそれは疲れる。当然疲れる。

スペシャルウィークは寮に着く頃にはヘトヘトだった。

フラフラで部屋に入っていくのを見届けて、スクリプト(球磨川)も自分の部屋に入る。

 

「それにしても酷いねえ、球磨川くん。君は反則じみた『大嘘憑き(オールフィクション)』で疲労を無かったことにしているというのに、君のことを気にかけてくれたスペちゃんの疲労はほったらかしなんて。女の子に優しいとか、全くどの口が言ってるんだか」

 

『生憎敵に塩を贈ってやるほど僕は甘くない。勝負事に関しては僕は辛く当たるぜ。僕は苦しみたくねえってのもあるし、スペちゃんには辛酸を舐めさせてやりたいからね。』

 

「今頃彼女は疲れて眠っているだろうね。あーあ、可哀想。あんなに信頼しているスクリプトロンガーちゃんが実は裏ではスペちゃんを罠に嵌めようとしてるなんて!友達辞めちゃうんじゃねーかなあ」

 

『君は勝ち負けに興味が無いからそんなことが言えるのさ。勝ちたいから他人を貶めて陥れるなんて昔からみんなやってきたことだろう?今までの人外生で一体何をみて生きてきたんだか。人間ってのはどいつもこいつも救いようもねえバカばっかりなんだから、この程度誰でもやってる事さ。』

 

栗東寮の一室。スクリプト(球磨川)の部屋は壁が軋むほどの悪意で満ちていた。一方は必死にもがく虫を観察するかのような視線を向ける『悪平等(ノットイコール)』、もう一方は観察者の首を捻じ切らんとする『負完全(マイナス)』である。

この日栗東寮のウマ娘たちは原因不明の悪寒に苛まれたという。これが『トレセン学園裏七不思議』の噂が広まるきっかけでもあった。

 

「ああ言えばこう言う。結局根っこのところは変わってないね、いやーよかった!僕は君が別人になっちまったと思って不安だったんだぜ、球磨川くん。だがまあ、いいだろう。今回の口論は僕の負けさ。その調子で衰えないよう鍛えておいてくれよ?僕も見てるだけじゃあ退屈だしね。それじゃ、君の友達も来るみたいだし消えるとするぜ。じゃあね、球磨川くん」

 

『…相変わらず勝手だなあ。螺子をぶん投げないよう自分を制御するので精一杯だぜ。』

 

「まあまあ、そうカッカなさんなって。カルシウム足りてねえんじゃねえのか?ほれ、チャーハン食えよ」

 

『…せめて何か一つのテーマに沿って文章を出力してほしいなあ、ゴルシちゃん。そもそもそのほかほかチャーハンはどこから取り出した訳?てか今どっから来たの?』

 

「どこってそりゃ…ゴルシワープを利用して亜空間経由。炒飯は作ったのを持ってきたんだよ」

 

『何個スキルを持てば気が済むんだよ。』

 

安心院なじみが去った瞬間にゴルシワープによってゴルシがスクリプト(球磨川)の部屋に飛んで来た。まさに間一髪である。

 

「所でスクリプトギター弾けるか?ギター買ったんだよBTR見た影響で。弾けたら教えて欲しいんだけど」

 

『ギターくらい朝飯前さ。ほら、僕って色んなことに手出すからさ。ギターも当然弾けるって訳。』

 

「それはミーハーっつうんだよ」

 

スクリプト(球磨川)はこんなふうにすましてはいるが、実際内心は狂喜乱舞の様相だった。奇行が目立つとはいえ相手は美少女。そんな女の子から頼み事をされるなんて『負完全(マイナス)』冥利に尽きる。手取り足取りギターレッスンをしてあげる事を決意したようだった。

 

「それでこれ見てくれよ。ギター買ったは良いものの弦の本数がなんか違う気がするんだよな」

 

『おいおい影響受けすぎだぜ。どうせ4本の弦で『実はベースだった』とか言うつもりなんだろ?残念ながら僕はベースだって弾けるんだぜ。』

 

「流石にそこまで露骨に影響は受けねえよ。ほら見て、なんか多くねえか?」

 

『いや弦の数47本ってこれハープじゃん。どういうボケだよ。ていうかさ、僕をツッコミ側に調教してゴルシちゃんが楽しようとすんの止めてくんねえかな。』

 

「…バレた?」

 

『バレバレだぜ。火を見るよりも明らか。』

 

「脊髄反射でツッコミができる体にしてやるからな」

 

『おお怖い怖い、やれるもんならやってみるがいいさ。僕がツッコミ側に回るなんてあり得ない。その希望ごと飲み込んで台無しにしてやるぜ。』

 

「えへへ」

 

『訳わかんない所で照れるの止めてくれない?』

 

スクリプト(球磨川)は気づかない。

既にツッコミ側に片足突っ込んでいるということに。

このトレセン学園でボケをやるには社会倫理等が抜け落ちていなければならない。変に一般常識を持ち合わせているスクリプト(球磨川)ではボケに回れないということを、ゴルシは既に理解していたのだった。

 

こうして今日も、何事もなく夜が更けて行く。

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室。

下校時間を過ぎているというのに、シンボリルドルフはそこに1人佇んでいた。そして、突然口を開き、ぽつりぽつりと言葉をこぼし始める。

 

「…スクリプトロンガーと対峙している時、妙な感覚があった。まるで自分が自分でなくなっていくかのような…そんな感覚。あれもスクリプトが見せた『領域』の効果かと思っていたが…どうやらそうではないらしい」

 

「…流石、『皇帝』の異名は伊達じゃないね。いやあ、僕としても驚いたぜ。まさか僕のスキルを自力で突破する奴がこの世界にいるなんてさ。正直舐めてたよ。今だって僕が姿を現わす前から気づいてたみたいだしね」

 

「なに、簡単なことさ。私の『領域』は神威を雷として具現化させることが出来る。つまり神威を自在に操ることが出来る。だから生徒会室に満遍なく神威を張り巡らせれば、誰かが侵入してきたことも容易に把握できる」

 

「僕のスキルを解除したのも脳に直接神威を流し込んで相殺したってことかよ。失敗したら君の人格が消し飛ぶかもしれねえってのに、よくやるぜ全く。それはそうと、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「なんだ?話してみるといい。私はどんな悩みでも受け入れやめろ。私はシンボリルドルフだ。それ以外の何者でもない」

 

ルドルフは頭の中にある自分以外の人間の記憶を振り払う。トレセン学園以外の学校の生徒会長などやった事はない。つまりまた目の前の女に何かされた、と判断した。

 

「成程。スクリプトを送り込んだのもお前だな?」

 

「ご名答。そこまで多くのヒントを与えたつもりじゃねえが…皇帝様は頭脳も明晰らしい」

 

「当然だ。そうでなくてはトレセン学園の生徒会長など務まらん。そんなことより、だ。何が目的でここに来た。暗躍するのならば最後まで隠れていればいいものを」

 

「まあ正直な話が直談判さ。君にお願い事をしに来た。別にこの学園のウマ娘を傷つけるとかそういう意図は無いから安心してくれよ(安心院さんだけに)」

 

「実害は出ていないから一応聞いてやろう。話してみろ」

 

 

「僕はスクリプトを 秘匿情報 

 

 

「…なるほど、つまり……君は寂しいのか」

 

「いやどこをどう取ったらそうなるんだよ。全然そんな話してなくないかい?」

 

「いいや、していたさ。確かに、置いていかれるというのは寂しいことだ。自分は足踏みしているのに、相手は勝手に──」

 

「もういいよ…うーん、見当違いだったなあ。てっきり君は聖人君子(黒神めだか)みたいなやつかと思ってたんだが…やはり僕には人の心は些か難しすぎる。はあ…しょうがねえ、時間かけて地道にやるしかないか」

 

「ふふっ…スクリプトと同じ事を私に求めるのだな。何度も言うが私は聖人君子などではない。精々無敗の三冠を取っただけの一ウマ娘さ。それ以上でも、それ以下でもない」

 

「全然謙遜に聞こえねえぜそれ。案外嫌な性格してるねえ、シンボリルドルフ」

 

「お前のような奴相手に謙遜してもしょうがなかろう。少々自慢に付き合ってもらっただけさ。そもそもお前は不法侵入しているのだからこれくらい我慢するがいい」

 

 

その日、生徒会室から話し声は絶えなかった。

そうして24時を回った頃、ぱったりと話し声は絶えた。

他の誰も知らない、2人だけの密会だった。

 

 

──尚、忘れ物を取りに来た1人の生徒が生徒会室から薄く聞こえる笑い声に慄き、翌日から『生徒会室には嗤う幽霊がいる』と滅法噂になった。

またもや『トレセン学園裏七不思議』の一つとして数えられることになったという。

シンボリルドルフは自らの不注意のせいで生徒たちを不必要に怖がらせた事をひどく悔いたという。

ただ、一部の生徒からは『自信ありげな姿だけでなく物憂げな姿も最高に尊いでしゅっ!』と好評だったらしい。

名は伏す。意味は無いだろうが。




誰か文才を分けてくれ。
ほんの少しでいいから。

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