めだかボックス読んでた人ならみんな脳裏に浮かんだと思うんですよ、このセリフ。
?「『拳』ゆう漢字と『挙』ゆう漢字はよう似てはりますわあ。」
今更ですが、うちの球磨川くんは本編終了後の球磨川くんなので『
しかし、『
スペシャルウィークのデビュー戦から1週間経った。
編入後僅か1週間で出走したレースの後半の爆発的な末脚やウイニングライブの大失態、先日のレースで危なげなく勝利したサイレンススズカの移籍などもありチーム《スピカ》は学園内外問わず注目を集めていた。
そして今日、さらに注目を集めることになる。
「よーし、スクリプト。パドックで変な事するなよ?するにしても決めポーズくらいにしておけ」
『あのさあ、沖野ちゃん。スペちゃんが1週間の短期トレーニングで勝利できたからって僕ができるとは限らないと思うんだけど。』
「お前なら何とかなるだろうし、何とかするだろ?」
『調子狂うなあ。それに今日は曲がりなりにも《スピカ》のメンバーである僕を見ようと大勢集まってるらしいし、緊張しすぎて欠伸が出ちまうぜ。』
「自然体もいいところじゃねえか…」
と、先程まで沖野と
現在
そう、まさかまさかのデビュー戦だ。
舞台は阪神レース場2,000メートル右回り。天候は晴れ、バ場状態は良好である。
パドックはチーム《スピカ》のメンバーである
《さて、続いて7枠12番……》
『おっと、今の娘の次が僕か。どうやら僕のことを見にきてる奴らが大勢いるらしいし、ファンサービスの一つでもしてやろうかな。』
先に言っておくが
ちょっと心変わりして甘くなった
だから決して悪意はない。決して。
『…さて、行こうか。』
──────────
《続いて8枠13番、スクリプトロンガー!チーム《スピカ》が送り出す期待の新人2人目です!奇しくも先日デビューしたスペシャルウィークと同じレース場、同じ枠!》
艶々とした黒鹿毛、中性的な見た目、平均身長よりやや低めの身長、そして小動物的な印象を与える表情。
今まであまり明言されているのは見た事がない…というと失礼な気もするが、球磨川ははっきり言って見た目がとても良い。それがウマ娘になったのだから、当然さらに美人になる。どちらかというと可愛らしい美人って奴だ。
だから応援に来たチーム《スピカ》の面子以外は
『こんにちはーーー!!!』
それを聞いたとある男は魂胆を見抜かれていた恥ずかしさで撃沈した。それを聞いたとある女は可愛らしい見た目から想像できない暴言のギャップで脳をやられた。
以前よりも大分優しくなった口撃であるとはいえ大小様々な人間には耐え難い。人々が心に何らかの影響を受け倒れ行くその光景は正しく世紀末、或いは
「あの野郎…何もすんなって言ったのに…」
「でもスクリプトさんらしいですね!」
「スクリプト…大丈夫かしら…」
「ちょっとスクリプト先輩!手加減しなさいよ!」
「言葉だけで薙ぎ倒すとか…カッケェ…!」
「私も今度やってみっか」
当然の権利のようにチームメンバーは無事だった。
──────────
地下バ道で沖野の説教を受けた
しかし
『
何てったって彼…彼女の『
『さて、走法はどうしようか。スズカちゃんみたいな大逃げ、スペちゃんみたいな先行策、ゴルシちゃんに吹き込まれた追い込みも良いかもなあ。』
「…ちょっと、そこのアンタ」
『ん?どうしたんだい、そんなに怒っちゃってさ。ほら、笑顔でいないと幸せが逃げちまうぜ?』
レース直前に作戦を決めるなどという舐めた真似をしていれば当然怒る娘も出てくる。周りを見てみれば、話しかけてきたのが1人であるだけで全員が敵意を露わにしていた。
「さっきのパドックの時もふざけるし…今だって無駄に集中力を削ぐような真似ばっかりして…邪魔しにきたんだったらさっさと帰ってよ」
『おいおい、僕は至って真面目だぜ?これでもさ。折角これから
「…決めた。お前はぶっ潰す」
『そうかい。ま、精々気が済むまですり潰しておくれ。』
今度は明確な悪意を持って言葉を吐いた。
自分に対して甘い奴にはとことん甘くなってしまう
「スクリプトロンガーさん、準備お願いしまーす」
『はーい、今行くよ。』
──────────
「そういえばトレーナーさん。さっきスクリプトさんと何か話し込んでましたけど何話してたんですか?」
「ああ、いや何、作戦のこと…まああれを作戦って言って良いものか分からねえが…とにかくレース展開についてだな。『微妙な勝ち方をしろ』ってな」
沖野とスペシャルウィークはスタンドで話していた。
スペシャルウィークはさっきまでゴルシ焼きそばを食べていて2人の話を聞いていなかったし、このタイミングで聞いてしまおうと思い立ったわけだ。
「へえ、私には『作戦ナシ!』とか言ったのにスクリプトさんには作戦伝えたんですね」
「お前ならレース展開に関しては心配することはなかったからな。ただ、スクリプトは…
「やりすぎそう?でもスクリプトさんは常日頃から『自分はマイナスだからどうやっても勝てない』とは言いますけど…だからってそんな滅茶苦茶しますかね?」
「違う、違うぜスペ。
沖野は語った。未だ未知数な部分が多い
それを聞いてスペシャルウィークはどうしても言わずにはいられなかった。
「そこは釘じゃなくて螺子にしません?」
「そこに何のこだわりが?」
──────────
『へえ、ゲートって狭くてイラつくって聞くけど…案外大したこと無えな。これならここでキャンプとか出来るかもなあ。』
(((13番うるさ……)))
流石は
ちなみに今はゲートの中である。案外集中を乱す戦略として機能してしまっているから余計にタチが悪い。
『お先。』
「「「あっ!?」」」
《さあスタートし……おっと13番スクリプトロンガー良いスタート…というより他の娘たちが大幅に出遅れた形になるか。ともかくこれは幸運なことですね…おっとこれは…『大逃げ』か?》
《既に13番は後続に6バ身ほどの差を付けていますね、これは彼女自身のスタートの上手さもあるかもしれません。スイスイと進んでいきます》
「クソッ…やられた…!」
ゲート内というのは非常に狭いためウマ娘にとってはストレス環境でしか無い。そんな所で延々と聞きたくも無い独り言を聞かされていれば当然集中力は削られる。
(いや…落ち着け…ここで『掛かり』でもしたらきっと13番の思うツボ…幸い距離は2,000m、あと1,800m程度ある。今は落ち着いて奴を観察する…!)
現在3番手の3枠3番の娘は『掛かる』直前で文字通り踏み留まる。
この娘は実力の低さを賢さで補おうと猛勉強した過去がある。持ち前の頭脳を用いて
(ハナを進んではいるけど、あんな啖呵切ってた割にはそこまで速くない…?成程、最高速度はそこまで速くないからこその精神的な揺さぶり、出遅れを誘発させてハナを取る。恐らくこれは『大逃げ』に見せかけているだけ、段々と速度を落として最終直線で再びスパートする…であれば本当は『逃げ』ではなく『先行』策なはずスタミナに自信があるからこその視覚的な幻惑話ぶりから自信があるのは確実それか余程のバカでないと返しウマで全力疾走なんて…)
『3番ちゃんいいのかな?このまま放っておいても。』
「なっ!?」
一度揺さぶって駄目なら二度。
二度揺さぶって駄目なら三度。
今までだってそうやって全てを混ぜこぜにして生きてきたのだ。例え甘くなっても敵を甘くは見ない。
(私の考えが読まれている…のは想定内だ。揺さぶりをかけてくるってことはそこそこ頭だって回るはず…って事までは考えていたけど!
3枠3番の娘は頭を高速で回す。
(本当はあいつだけずっと見ているわけにはいかないけれど…だからと言って目を離すのはまずい気がする…。残り1,200m、どちらにせよそろそろ前に出ないと私の勝ち目は薄くなる…あいつの声の事は後回しだ!)
──────────
《13番スクリプトロンガー少し下がってきたか?そして3番少しずつ上がってきた!2番手の8番も同時に出てきた!残り800mで先頭に2バ身差まで詰め寄った!》
《13番は苦しそうに見えますね、やはり返しウマでの全力疾走とここまでのハイペースが響いた形になったのでしょうか、しかしいい笑顔ですね》
「トレーナーさんどうしましょう!?このままじゃスクリプトさん差し切られちゃいますよ!」
「どうするったって…レースが始まっちまった時点で俺たちに出来る事は祈ることと応援、そして走ってる奴を信じて待つことだけだ。今からどうこう出来るもんでもねえ」
「そうよスペちゃん。いくらスクリプトが心配でも、信じて待っているのが友達ってものでしょう?」
「スズカさん…そのー…」
「何かしら?」
「そんなにそわそわしながら言われても説得力がないです…」
「…そうね」
段々と追い詰められている
「というかスクリプトさんなら『領域』使えば簡単に勝てるんじゃないですか?」
「いや、出来る限り『領域』は使うなと言っておいた。映像に残されて研究されるのが1番困るからな」
「でもトレーナーさん。スクリプトさんって『使わないで』って言って使わないような性格じゃないと思いますよ?」
「それは大丈夫だ。『もし使うならバレないように』って言ったからな」
「あー…それは他の人が可哀想ですね…」
「ん?そこまで派手なことは出来ないだろうと思ってたが…というかスペ、スクリプトの『領域』がどういう効果なのか知ってるのか?」
「今までの付き合いからの推測ですけどね」
スペシャルウィークとて何も考えず日々過ごしているわけではない。ウマ娘としてスクリプトの『
「多分スクリプトさんの『領域』って思ってるより単純なものだと思うんです。これは毎朝刺されてる私と計画犯のスズカさんと…あと多分ゴルシさんも知ってることだとは思うんですけど…少なくとも
「と、いうと?」
「きっとスクリプトさんの『領域』は…」
「…多分ですけどね?」
「流石にそんな滅茶苦茶じゃあない…よな?でも、仮にそうだとすれば…」
──────────
《3番、13番を追い抜いてハナに立った!8番は現在3番手、直線で一気に差し切ろうという構えでしょうか》
《13番は未だ笑顔を浮かべていますね、これはもう一つ驚かせてくれるかもしれません》
(残り500m、阪神の直線は356.5mだからここからスパートをかければ私が勝つ、とはいえ13番がそれで終わるはずがない!今だって余裕が残ってそうな表情、まだ何かやってくるはず!)
「油断は、しない…!」
普通であれば『逃げ』のウマ娘を一度捉えてしまえばそこから再び差されるなど考えないだろう。しかし3枠3番の娘は客観視はすれど楽観視などしない。
その油断が命取り、寝首を掻かれる要因となるからだ。
(後ろの奴らは無理して上がろうとペースを崩したせいで末脚は残ってないはず…であれば13番に何もさせなければ私の勝ちだ!)
(何でか知らないけど3番は13番にお熱で私を全然見てない…?ならチャンスかも…!)
『ぐっ…いやあ怖い怖い。大分睨みを利かせてるなあ…。』
「そのまま引っ込んでろッ!!」
睨みを利かせて目論見通り
現在先頭は3枠3番、2番手が8枠13番、3番手に5枠8番の娘といった展開となっている。
3枠3番の娘はこの時点で自分の勝利を疑わなかった。
自らの才能を賢さで補ったこのレースはまさしく彼女の自信となるだろう。
「よしっ!これで私の勝ちは決まっ…ッ!?」
だから、敢えて失敗を上げるとするならば。
彼女は自分が相手をしている奴がどんな奴か
彼女の右側後方からとても『悪意』という言葉では済まされないような感情が噴出する。言うなれば殺意。それも、比喩表現ではなく心の底から恐怖が湧き上がってくるかのような正真正銘の『殺す』という気概。普通の女学生が生きているうちに感じることは無いような悪感情。
一体背後はどうなっているのだろう。見ている場合では無いが、所謂怖いもの見たさという奴だろうか。とにかく、彼女は後方を確認した。
そこにいたのは、先程までの疲れが嘘のように、変わらず笑顔を浮かべている
「ここだあぁぁぁあ!!!」
「───ひ」
どれだけ体を鍛えようが。
どれだけ精神が強かろうが。
『
『おいおい、そんなに怖がらなくても良いだろう?』
「1着は私が頂くぞぉお!!」
3枠3番の娘は必死に、勝つ為にではなく、死なない為に逃げる。このまま右側を走行していたら
で、あれば。
無意識といえど左側に向かってしまうのは生物としては当然のことだろう。右側に飢えた肉食獣がいるというのにそちらへ向かう草食獣など居はしない。
ともかく
「──ッ!?邪魔ッ!!」
「───え?」
そして、
《先頭集団がゴール!!しかしこれは審議になるでしょうか?》
《3枠3番の娘が最終直線で斜行してしまったように見えますね。スクリプトロンガーの威圧が上手く決まりすぎてしまった形でしょうか》
そうして暫く時間が経ち、審議の結果が出る。
1着、8枠13番スクリプトロンガー。
2着、5枠8番の娘。
3着に3枠3番の娘が降着判定となった。
この順位付けとなった理由は様々あるが、主な物を上げるとすれば3枠3番の娘が斜行する前の、5枠8番の娘のスパートの速度が直後再加速した
──────────
チーム《スピカ》は現在良くも悪くも注目されている。
スペシャルウィークの棒立ちライブとかスズカの移籍とかのせいだ。だからデビュー戦にしては珍しく、
マスコミと言っても雑誌記者とか競バ新聞の記者とか、そういう奴らだ。
現在
「まずはレースお疲れ様でした、スクリプトロンガーさん」
『うん、お疲れ。いやー、初めてのレースにしては中々いい走りだと思うんだけどどう?沖野ちゃん。』
「ああ、概ね良かったんじゃねえかとは思うな」
「スクリプトロンガーさんが再加速した途端3番…テイクスミスさんがヨレたように見えましたが…」
『ああ、あれね。なんか知らないけど僕ってスパートする時威圧感振り撒いちゃうみたいでさあ。それが効きすぎちゃったんだろうね。とにかく、悪気は無えよ。』
よくもまあ流れるように嘘を吐けたものである、この『
「沖野トレーナーは先程のレース展開について何かコメントはありますか?」
「そうですね、スクリプトは序盤からかなりレースメイク出来ていたとは思いますが…テイクスミスも頭を使ったレース運びだった。斜行さえなければどうなっていたか分からなかったので正直ヒヤヒヤしていました」
『沖野ちゃん敬語とか使えんだ。似合わねー。』
「大人なんだからTPOくらい弁えるに決まってんだろ」
((なんか距離感近いな…))
「あー、まあ何が言いたいかっていうと…スクリプトはあんな展開になったのは意図的では無いですし…胸張って『勝った』とは言えませんし、満足はしてないと思いますね」
「ほう、と、いうと…?」
『ここは僕から話させてもらおうか。僕としてはさっきのレース、自分自身の力だけで勝ってこのインタビューに臨みたかったわけだ。だけどあのままいけばどちらが勝つかなんて一目瞭然だっただろう?つまり』
『まあそういうわけで、次は誰にも偶然だなんて言わせないレースにしたいかな。』
「成程、そういう事でしたか…それではありがとうございました。今日はよく休んでくださいね」
『うん、そうさせてもらうぜ。じゃあねー。』
「そんじゃ、あざっしたー」
特に変な事をするでもなく、滞り無くインタビューは進み、平穏に終わりを迎えた。
──────────
「ちなみにお前レース中何したんだ?」
『何って…僕の『
「滅茶苦茶使いまくってんじゃねえか…」
『そりゃどうも。』
こんなことバレたらレース永久追放である。
沖野は寿命が縮んだ。
レース展開に関してツッコミは無しで頼む。
こちとら初心者や。
感想・評価よろしくね。
『領域』とは別のスキルとか『過負荷』覚えさせるのはあり?
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あり
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なし