転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

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久しぶりに本シリーズで非常に希少な女性キャラの再登場です。




第156話 Sometime, The Love is Heavy like Metal.

 

 

 

「えっと……もしかしなくても、君が”砂漠の協力者(ナビゲーター)”……?」

 

「はい♡ 旦那様♪」

 

 小鳥遊と合流(というか、隊長室の前で待機していた)隊長に聞いた現地協力者が待っているという場所に行ったら、何故か待っていたのはコードネーム”ザーフィラ”ちゃんこと、本名”ナーディア”ちゃんでした……いや、なんでさ?

 

「サヌーシー教団は、リビア全体に根を張ってるんですの。勿論、地域によって勢力の強弱はありますが」

 

 何でも商人の都であるトリポリタニアでは勢力がさほど大きくないそうだ。

 あそこは街の成り立ちや商人の街という性質から正統派、つまり穏健派のスンナ派が一番多く、またサヌーシー教団の原点とも言える同じイスラム神秘主義(スーフィズム)系のイドリース教団も一定の力を持っているようだ。

 無論、圧倒的な影響力があるのは地元と言ってよいキレナイカ王国だが、

 

「フェザーンではムルズクやウバリを中心に、それなりに勢力があるんですよ? トゥアレグの方々には、割とサヌーシー教団の自由な気風が肌に合うようで」

 

 そう相変わらずぺったんな胸を張る。

 やっぱいいよなぁ、平たい胸……ほとんど膨らみないのにちょっと柔らかくて。思わず先っぽをこねくり回したく……おっといかんいかん。現実逃避するついでに色ボケしてる場合じゃないな。

 すると俺の視線に気づいたのかナーディアちゃんは、近づいてそっと耳元で、

 

「あの時、旦那様に純潔(処女)を捧げた妹たちも来ています。お暇ができたら、姉妹一同たっぷり可愛がってくださいね?」

 

 小鳥遊君、そこで「やっぱ激重だったか……くわばらくわばら」と呟くのやめれ。

 それは俺に効く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

******************************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、砂漠行脚と言えば、定番はラクダである。

 ちなみに俺も小鳥遊も普通にラクダに乗れるようになった……というか、乗れるようにならされてしまった。

 いや、実際に砂漠特化の四足歩行獣だから便利なのよ。

 

 砂漠ってのはおっかない場所で、徒歩で進もうにも慣れてないと足を取られて中々前へ進めない。

 人間ってのは、地面を踏んだ(地面を蹴った)反動で前へ進むんだ。単純な作用反作用の法則だな。

 だが、砂漠の砂はキメが細かく衝撃を分散しちまい思った以上に前へ進めない。

 砂浜は歩きにくいって経験は誰もがしたことあると思うが、印象的にはあれより砂粒が細かい気がする。

 

 ついでに摩擦係数も小さいから、車とかも簡単にスタック(タイヤが砂に沈んでスリップ)しちまう。

 ただ、砂漠ってのは荒涼とした砂地だけじゃない。

 実は岩場や山、ガレ場やザレ場みたいになってる場所、つまりは地面がある程度固くて自動車でも走れる場所ってのは、ある程度は存在している。

 例えば、ニジェールの国境に近い街”ティウミ=アイノア”からリビアのオアシス都市”カトルーン”へ抜ける場所がまさにそうだった。

 

 フランス人は基本的にラクダを移動手段として使わない。

 文明人として、あるいは先進国としての意地でもあるのか、アフリカでも車両を使う。

 だが、ラクダはダメでも馬は良いってんだから、ますます意味が分からん。

 

 だが、日本人である俺は特に拘りがあるわけじゃないので”砂漠の船(ラクダ)”にも乗るし、防暑服の上にアラブの民族衣装カンドゥーラを羽織り、頭は布を輪っかで止めるクフィーヤで覆っていたりもする。

 

 いや、皇国軍の防暑服ってのは基本南方戦線、インドシナ半島や台湾、南太平洋の委任統治領なんかの熱帯雨林気候で着るように作られているから、強烈な日差しとそれ以上にきつく感じる砂漠の照り返し、そして凄まじい乾燥の北アフリカの砂漠を延々と行動するのには向いてない。

 そこで登場するのがアラブの民族衣装って訳だ。

 何千年も砂漠で生きてきた民の知恵が詰まった衣装はやっぱスゲー。

 

 史実のドイツ軍将校が、クッソ暑いはずの北アフリカ戦線で冬季戦用のロングコート着てる写真とか見たことあるか?

 あれ、実はなるべく肌を覆い隠した方が、日光の直撃を浴びない分涼しく感じるんだそうだ。

 そして、カンドゥーラやクフィーヤはさらにその上をいく。

 白だから太陽光を反射しやすいし、風通しも見た目以上に良い。

 確かに砂漠で白は目立つかもしれんが、原住民が全員同じような格好でラクダに乗って移動してるんだ、逆に紛れられる。

 ”郷に入っては郷に従え”とは昔の人も中々に上手いことを言うもんだ。砂漠の民の叡智は侮るべきじゃないのだ。

 

 ついでに今回の俺の相棒、”ヘカテーたん(パチ)”改め”試製二式長距離狙撃銃”も白い布を巻いて荷物に見せかけている。

 もちろん、小鳥遊君のフィールドスコープや無線機もだ。直射日光を避けるってのもあるけど、もう一つは砂漠の砂対策だ。

 繰り返すが、北アフリカの砂漠の砂は細かく、風に乗って直ぐに機械の中に入り込み、故障や不具合の原因になる。

 壊れた野戦無線機を修理しようと分解したら、中から掌一杯分の砂が出てきたなんて話もあるぐらいで、エンジン用に態々砂塵対策(トロピカル)フィルターなんて作られてる理由もこれだったりする。

 

 無論、アラブの民族衣装はこの砂対策の機能もどこの国の野戦服よりあるのだ。

 ちなみにこの砂漠特化装備の衣服の下に階級章まで付けた防暑服着てる理由は、ジュネーブ条約やハーグ陸戦条約対策だったりする。

 端折ってしまうが、あれの規定は「軍人は、どこの国のどの階級の軍人かわかる格好(=軍服や階級章)で戦場に出ろ。じゃないと便衣兵とみなす」なんだが、正規の軍服の上に何を羽織るかまでは定義されていない。

 ほら、正規の軍服の上に私物のコート羽織ってる軍人さんとかいるだろ? あれと同じ扱いって事だ。

 ぶっちゃけ正規の軍服だけで世界中で戦うってのは難しいから、その辺は割と黙認されていたりする。

 

 蛇足だが、俺達砂漠に展開する部隊には、ちょっとした特権がある。

 それは、本国の”山本光学(後の「SWANS」ブランド)”って眼鏡屋に特注した、サングラスやデザートゴーグルが支給されんのよ。

 なんだったら私物としても追加購入できる。

 まあ、砂漠だと日光や照り返しや砂塵で、目へのダメージがバカにならんし。

 

(ナーディアちゃんにも買ってやるかね~)

 

 一緒に行動するなら、あった方が良いだろ?

 

 

 

***

 

 

 

 さて、そんなおしゃべりしている間に、俺と小鳥遊軍曹、ナーディアちゃんはラクダ三頭にまたがって基地から東南東に進んでいたんだが……

 

「あー、いきなり居やがったよ」

 

 そうぼやくな小鳥遊。

 仕事が楽できて良いじゃないか?

 エンカウトしたのはオアシス都市”カトルーン”の目と鼻の先。正直、あまり時間的猶予は無い気がする。

 

(やっぱり、広域陸上警戒システムとか欲しいよなぁ……)

 

 砂漠だとあまり地雷は役に立たない。一見すると硬い地面に埋めれば効果あるように見えるが、ちょっと砂嵐が起こればあっと言う間に地雷原丸ごと砂の下なんて事はよくあるんだ。下手をすれば地雷が砂に流されてたなんてこともある。

 ただ、航空機の搭載レーダーで地上の車両なんかを探索するのは、対象からの電波反射が地面からの電波反射(グラウンドクラッター)なんかに紛れてしまい、ルックダウン可能なパルスドップラー・レーダーとかが実用化されるまでは技術的に難しい。

 遠い未来(いや、今生だと近未来か?)には、ミリ波レーダーなんかも有効だろうが、そんな今は手元にない未来の便利グッズはさておき、俺達は岩場に身を隠して観察を始める。

 以上のような理由で地上の監視手段はかなり長い間、目視ないし赤外線なども含めた光学的探知手段だった。

 だが、こうまであからさまな移動だとハイテク装備は必要ないわな。

 というか、砂塵を巻き上げて走っちゃ駄目でしょーが。「見つけてください」と言ってるようなもんだぞ?

 小鳥遊は早速、無線機で隊長に連絡入れるが、

 

(ん……?)

 

 おろ? おフランスの装輪装甲車”パナール”のキューポラから上半身出してるのって……

 

(あのチョビ(ヒトラー)髭野郎、もしかして……)

 

「小鳥遊軍曹、できれば即時発砲許可を取ってくれ」

 

「どういうことで?」

 

「上手くすれば、足止めできるかもしれん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ぺったん娘:「きちゃった♪(妹たちと一緒に)」

シモヘイ:「まあ、良いか。胸平たいし(色ボケ)」

小鳥遊君:「ヘヴィメタルェ……」

まあ、こんな感じのエピソードでしたw
シモヘイの場合、フォン・クルスと違って難しい政治の話とかあんまり考えずに済むのが楽。
ただし、執着している(されている)のが王様の末娘というのが何とも……w

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