転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

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お読みいただいている皆様、お久しぶりでございます。
お待ちいただいた皆様、申し訳ありませんでした。

クルスの冬宮殿をバックにした大公就任演説より再開です。





第295話 サンクトペテルブルグ大公ニンゼブラウ・フォン・クルス

 

 

 

私は聖人君子でもなければ、神の言葉を聞く神秘も奇跡も信仰も持ち合わせていない(Я не святой и не обладаю тайнами, чудесами или верой, чтобы услышать слово Божие.)

 

君たちの期待を裏切るようで悪いが、私は君達と何ら変わらない”ただの人間”に過ぎないのだ(Мне жаль вас всех разочаровывать, но я обычный человек, ничем не отличающийся от вас.)

 

私は何か特別な力があったから”サンクトペテルブルグ大公”に選ばれたわけでは無い(Я был избран ”Великим князем Санкт-Петербургским” не потому, что обладал какой-то особой властью.)

 

だが、私はむしろそれが良い、それが正しいと考えているのだ(Но я думаю, что это хорошо, это правильно.)

 

優れているから良き統治者になれるのか? 特別だから良き大公になれるのか? 断じて否!!(Делает ли превосходство вас хорошим правителем? Делает ли ваша особенность хорошего эрцгерцога? Конечно нет! !)

 

良き君主とは、偏に民の事を慈しめる者ことだと私は考える(Я считаю, что хороший правитель — это тот, кто заботится о своем народе.)

 

思い違いをしてはならない。国家の為に民はあるのか? 否! 民の為に国家はあるのだ!!(Не обманывайтесь. Есть ли люди ради государства? Нет! Нация существует для людей! !)

 

その本質において、政治は断じて民を支配する為の道具ではない! より多くの人間を幸福に生きられるようにするために政治はあるのだ!!(По своей сути политика — это определенно не инструмент контроля над людьми! Политика существует для того, чтобы дать возможность большему количеству людей жить счастливо! !)

 

故に私は共産主義もソヴィエトも否定する!! 忌まわしい独裁者と愛すべきを民の流血で染めた赤い帝国をを断固として拒絶する!!(Поэтому я отвергаю и коммунизм, и Советский Союз! ! Мы решительно отвергаем красную империю, запятнанную кровью отвратительных диктаторов и нашего любимого народа! !)

 

恐怖と粛清と密告で成り立つような国家など、この世に存在してはならないのだ!!(Нация, основанная на страхе, чистках и доносах, не должна существовать в этом мире! !)

 

 

 

人の幸せは人の数だけ存在する。そして、人は生まれながらにどんなにささやかでも自分の幸せを追求する権利があるはずだ(Сколько людей, столько и счастья. И что люди рождаются с правом стремиться к собственному счастью, каким бы малым оно ни было.)

 

なればこそ、私はこの街で民がそれぞれの幸せを見つけられるような場所にしたいのだ(Вот почему я хочу сделать этот город местом, где люди смогут найти свое счастье.)

 

神への信仰を幸せとするなら、そうすればいい(Если вера в Бога делает вас счастливыми, пусть так и будет.)

 

それが当たり前にできるのが、私の統治するサンクトペテルブルグという街だ(Город, которым я управляю, Санкт-Петербург, является местом, где это можно сделать как нечто само собой разумеющееся.)

 

そして、私はその小さな幸せを私の出来る全力で守り抜こう(И я буду защищать это маленькое счастье всеми силами.)

 

その為なら手段を選ぶつもりはない(Для этой цели я не выберу никаких средств.)

 

それが大公を任じられる私の覚悟であり、矜持なのだ(Я полон решимости и гордости быть назначенным Великим Герцогом.)

 

最後に私の声を聞くすべて人々に……(Наконец, всем, кто слышит мой голос……)

 

С Рождеством(メリークリスマス)

 

 

 

 

 

 

 

 そして、大公就任式で冬宮殿の広場に詰めかけたサンクトペテルブルグ市民、いや『その声を聴く、ニンゼブラウ・フォン・クルス・デア・サンクトペテルブルグを慕う全ての人々』が水を打ったように沈黙し……

 

”””””我らがサンクトペテルブルグ大公殿下、万歳!! 神に誉れあれ!! 枢機卿猊下!! 総督閣下!! 我らが国父に栄光あれっ!!(Да здравствует наш великий князь Санкт-Петербургский! ! Слава Богу! ! Ваше Святейшество кардинал! ! Ваше Превосходительство губернатор! ! Слава нашему Отцу! !)”””””

 

 喝采が、歓喜が弾けたっ!!

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「ハハハ……こりゃアカンですわ。何もかも手遅れ、処置無しですわ」

 

 何故か側近の立ち位置に控えていた公的には日本皇国のサンクトペテルブルグ駐在武官であるはずの小野寺は、そう変な笑みを浮かべた。

 そして、これまたどういう訳か隣に陣取るドイツ産サンクトペテルブルグ三羽烏の一人、国家保安情報部(NSR)のシェレンベルクに、

 

「シェレンベルク卿、下手をすれば1945年までに、大公殿下が治める”サンクトペテルブルグ()()”は、人口1000万を数えることになるかもしれません」

 

 へらっと笑いながら、

 

「ドイツ的にはどうなんですか? 1000万人の私兵にして、死を恐れぬ”狂信者”の誕生は?」

 

 小野寺は半ば確信していた。

 

「もはや大公が一声かければ、男も女も、老いも若きも老人から子供まで、鉄砲担いで喜んで最前線に立つようになりますよ? ええ、比喩抜きでね」

 

 史実で95万人の戦死者(その死因の97%が餓死と言われている)を出しながら、900日のドイツ軍の包囲を耐え抜いた「レニングラードの狂気」が、その狂気度を緩めぬまま、いやむしろより強固になりながら”別の方向”に塗り替えられた事を。

 

「重畳重畳。大いに結構だ。味方であるのなら、実に頼りがいがある」

 

 同時にシェレンベルクは、「史実のレニングラード包囲戦」で感じた何かがが、ドイツではなくソ連に向けられた場合(ケース)を想像してそっと笑みを浮かべる。

 

「噂によれば巣を焼け出された親愛なるどこぞの同志書記長は、”レニングラード奪還”を公然と(わめ)いているそうだ」

 

 事実である。

 もはや航空焼き討ちにあい、物理的な大炎上で現実世界に存在しなくなったクレムリン宮殿の敵を討つべく、時折粛清を交えながら日々発破をかけているらしい。

 独裁者においては、日常風景なのだろう。

 

「ほほう。それは興味深い」

 

「難儀な事だと思わないかね?」

 

「そのココロは?」

 

「フォン・クルス大公が治めるサンクトペテルブルグ公国を攻め落とすなんて、計画を練るだけでも死んでも御免だ。私は戦場でもないのに”戦死”するつもりはない」

 

「言い得て妙ですねぇ」

 

「何百万人で攻め寄せる気かは知らんが、最初から『勝敗よりもどの程度、生きて帰ってこれるか?』を考慮しなければならない作戦を考えねばならないなぞ悪夢でしかない」

 

「ハハッ。何故でしょうね? 根拠はないけど、それが現実を預言してるようにしか思えない」

 

 

 

 

 今にも雪をも溶かしそうな熱狂の中、サンクトペテルブルグは大公領として新たな歴史を歩み始めたのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




重ね重ね、1年以上お待たせしてしまい申し訳ございません。

ちょっと一次創作を描き続けるのに色々悩み、モチベーションが消滅していました。
去年、別名義で二次を描いていたのですが、色々重なり執筆自体からしばらく遠ざかっていました。

腕自体が鈍っているし、設定を忘れていたり、まだ方向性が不明瞭でリハビリしながら執筆になるので更新はゆっくりになると思いますのですが、またお付き合いいただければ幸いです。

なんとか終戦を目指して執筆再開しようと思ってますので、改めてよろしくお願いします。




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