転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

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米国”義勇”兵団海上部隊に何やら動きがあるようですよ?




第306話 米海軍航空隊 vs フレンチ・インターセプターズ。そして、ハルゼーの功罪

 

 

 

 ド・ゴールが暗躍する一方、アイゼンハワー指揮下の米陸軍航空隊もハルゼー麾下の米海軍・海兵隊航空隊も遊んでいたわけでは無い。

 正確にはパットン直轄の陸軍と海兵隊のは、”フレンチライン”以南のモロッコの治安回復任務に勤しんでおり、多忙を極めていた。

 陸軍・海兵隊航空隊の主任務は、その活動の航空支援と時折アルジェリアから飛んでくる仏軍機の要撃任務だった。

 融通の利かない頑固者な堅物だが、実直な軍人であるパットンは黙々と任務をこなして、着実に治安を取り戻していった。

 

 その模様は米国メディアにも報じられ、上官であるアイゼンハワー共々「確かに成果を出す米国義勇兵団の姿」として、本気の戦争に関わりたくはないが、それでも自尊心は満たしたい米国市民に好評をもって迎え入れられた。

 それはどこか「1932年のロサンゼルスオリンピックで活躍する自国選手団に熱狂する姿」に重なって見えた。

 

 その状況に我慢ならないのがハルゼーだった。

 無論、カサブランカには義勇兵団海上部隊の施設も置かれたが、正直、ハルゼーは何もかも整った海の上にいる事を好んだ。

 そして、展開した陸軍航空隊が防空任務を請け負って以来、ほとんど仕事と呼べるようなものはなくなっていた。

 

 いや、本質を言えば海軍の主任務は自国の領海警備とシーレーン防衛、そして自国軍が海外展開する場合は輸送船団護衛(エスコート)だ。

 しかし、米海軍上層部はハルゼー艦隊を船団護衛に使う許可は出さなかった。

 仏海軍が自慢のリシュリュー級戦艦を”通商破壊作戦(トレイダーレイド)”に投入してくるならまだしも、潜水艦だけで行うのであれば護衛空母と巡洋艦と駆逐艦からなる護衛艦隊だけで十分だ。

 ぶっちゃけ、超弩級戦艦や正規空母を対潜戦で投入するなど無駄でしかない。

 そして、その輸送船団に付けられている護衛艦隊もさしたる戦果をあげていない。

 当然である。何しろ、仏海軍潜水艦部隊は大西洋で通商破壊作戦など現状では行っていないのだから。

 沈められる標的がいなければ、戦果など上がるはずもない。

 時折、海の藻屑になってるリバティ船は、実は勝手に自壊して沈んでるだけだ。

 ただ、船体が自己破砕するとき派手に轟音を立てて一気に折れて涼むことが多いので、潜水艦が進路上に通過直前に隠蔽敷設した機雷との接触や雷跡を残さない電池式魚雷にやられたと言われれば、確かに状況証拠的にそうだと言える。

 ドイツ人が”G7e”という電池式魚雷を保有していることは知られていたので、ドイツに尻尾を振ったフランス人が持っていても不思議ではないと考えられた。

 問題となったのは、機雷はともかくむしろ通常の圧縮空気式魚雷より射程の短い電池式魚雷の射程まで、どうやってフランス潜水艦は探知されずに近づいているのか?だった。

 

 ここで笑い話を一つ。

 アメリカ→モロッコ航路に確かにフランス潜水艦は居なかったが、シュノーケルだけ出して米海軍探知距離外の水中に、音紋測定・記録装置を搭載した特別仕様の日独潜水艦が潜んでいたのだ。

 彼らは哨戒任務にいたらしい米国産の同族の音紋も記録していた。

 英国? 空母(しかもこの世界線では戦没していないカレイジャスとグローリアス)を含む護衛を引き連れた最新機材満載の大ぶりな電波測定艦、音響測定艦を堂々とジブラルタルから出航させて大西洋に居座っていましたが何か?

 ちなみにこの船団こそが、日独潜水艦の良いカモフラージュになったようだ。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 さて、話をハルゼーに戻そう。

 船団護衛任務すら与えられなかったハルゼーは、ついにアルジェリア方面への強行偵察任務をアイゼンハワーよりもぎ取った。

 さて、この時期の主だった米艦上機は……

 

 ・F6F-3”ヘルキャット”(制空任務もこなせる最新鋭艦上戦闘機)

 ・FM-2”ワイルドキャット”(艦上戦闘機。航続距離が短いため、艦隊防空が主任務)

 ・SBD”ドーントレス”(艦上爆撃機・艦上偵察機兼用の機体)

 ・TBF”アヴェンジャー”(最新の艦上攻撃機)

 

 ちなみに性能は良いが操縦性や取り扱いに難や癖のあるSB2C”ヘルダイバー”は、今のところ原型初飛行を済まし改良は続けられているが、本格量産には至ってないようだ。

 むしろ、太平洋で日英と全面戦争してないのに、史実と遜色のない艦上機を揃えるのはさすがはリアルチート国家アメリカだ。

 まあ、一応納得できる理由はある。

 古い軍事紙には「ゼロ戦を徹底研究して生まれた対抗策」と書かれていた時代もあったが、開発時期から見てそれは誤認で設計自体は「同じグラマンのF4Fシリーズの2000馬力エンジンを積んだ正常進化版」で、開発意図は「F4Uが失敗した時の保険」だろう。

 SBD”ドーントレス”は旧式化したSB2U”ヴィンディケイター”、TBF”アヴェンジャー”は同じくTBD”デヴァステイター”の後任機ということだろう。

 

 さて、中々に贅沢な米国艦上機ラインナップだが、ハルゼーは”ドーントレス”に爆撃偵察(500ポンド爆弾1発の軽爆装+燃料満載状態。航続距離2,165km)に燃料タンク搭載”ヘルキャット(航続距離2,157km)”×2機を護衛に付けた飛行分隊を最小単位とした強行偵察飛行隊を多数組織し、アルジェリア各方面へ飛ばしたのだ。

 入手したフランス双発爆撃機の航続距離なら、この強行偵察隊の行動範囲に必ず敵基地はあるはずだった。

 

 そして、その目論見は当たる。

 確かに巧妙なカモフラージュはされていたが、確かに基地はあった。

 ただ、問題なのは「基地を発見できなかった飛行隊」は戻ってこられても、通信から「基地を発見したと思わしき偵察隊」は未帰還が続いたのだ。

 そう、アルジェリアならびにチュニジア駐留フランス軍は既に多重化されたドイツ式防空レーダー網を展開済みであり、地上管制の下、的確に効率的に迎撃機を上げることが出来たのだ。

 

 しかも迎撃の専門職として待ち構えていたのは、性能から言うなら初期型F6Fとなら互角の勝負ができる”D520bis”に加え、最新鋭の機体が配備されていた。

 その機体こそ仏ブロッホ社MB150シリーズの最終形態、ノームローン製空冷星形14気筒の最新エンジン”14R(1700馬力)”を搭載した”MB157”だ。

 史実では驚くことにこの機体、試作機のテスト飛行において高度7,850mでP-51Dを凌ぐ710㎞/hを記録している。

 無論、どちらもテストコンディションでの結果だし、実戦量産型は仏標準のイスパノ・スイザ系20㎜機関砲×2丁とVG39bisと同じドイツ系13㎜機銃×2丁というこの時代のフランス戦闘機にしては(おそらく米軍機に対抗するため)重武装を施したために流石に速度低下を招いたが、それでも致命的というほどではなく、コンバットコンディションでもF6F-3に比べて100㎞/h近く優速なはずで、ドイツからマニュアルを輸入したロッテ戦術と一撃離脱を組み合わせれば、そう後れを取ることはないだろう。

 

 そしてこれら牙を研ぎ澄ましていたフレンチ・インターセプター達は、その与えられた役割を果たしてみせた。

 

 無論、ハルゼーの気性から考えてこれで済ますはずもなく、優秀な艦隊付参謀団より音信不通の偵察隊の予測喪失ポイントからおおよその仏軍アルジェリア航空基地の方位と距離を割り出し、陸海合同での大規模航空攻撃をアイゼンハワーに提言したのだ。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 しかし、アイゼンハワーにしてみれば冗談では無かった。

 まだ、モロッコの統治、欧州への橋頭堡化も終わってないのに、アルジェリアに攻め込むなんて時期尚早も良いとこだった。

 ハルゼーとて、地上侵攻をかけるには圧倒的に陸兵が足りてない事は理解していたし、兵站補給とて持たないとは思っていた。

 だからこその航空攻撃の提案だったのだ。

 

 これが立場の違い、立ち位置の違いという物だろうか?

 アイゼンハワーにしてみれば、そう言う問題ではないのだ。

 海軍航空偵察隊のおかげで、アルジェリアの仏軍が強力な防空網を形成して手薬煉引いて待ってるのは分かった。

 ならば、どうして宝石より貴重な航空戦力を、しかも足場が出来上がってないこの時点で消耗戦に投入しようと言うのか。

 付け加えれば、陸式と海式の対立は、何も大日本帝国の専売特許ではない。史実の日本が酷すぎただけで、多かれ少なかれ軍事予算を分捕り合う関係上、どこの国でもある話だ。

 

 しかし、ここで諦めるようならハルゼーではない。

 アイゼンハワーに話が通じぬのなら、無自覚の横紙破りで海軍の上官(・・・・・)に報告を入れたのだ。

 そう、海軍長官にまで上り詰めたキングに、だ。

 

 そして、キングは一計を案じた。

 陸軍長官のスティムソンに話を通し、そして参謀総長のマーシャルに面会した。

 そして、キングはある男と知己を得る。

 その男の名は、”カーター・ルメー”大佐。

 陸軍軍人でありながら空軍独立論を唱え続けたミッチェルの思想的後継者、ドゥーエが提唱した陸軍航空隊きっての戦略爆撃機論者だった。

 

 そう史実の日本で「鬼畜ルメー」、「皆殺しのルメー」と呼ばれた男だ。

 ルメーがドイツ本土を爆撃した際、部下に贈った言葉を抜粋しよう。

 

「君が爆弾を投下し、そのことで何かの思いに責め苛まれたとしよう。そんなときはきっと、何トンもの瓦礫がベッドに眠る子供の上に崩れてきたとか、身体中を炎に包まれ『ママ、ママ』と泣き叫ぶ3歳の少女の悲しい視線を、一瞬思い浮かべてしまっているに違いない。正気を保ち、国家が君に希望する任務を全うしたいのなら、そんなものは忘れることだ」

 

 言っておくが、これでも日本を焼け野原にしたときの言葉に比べればまだソフトだ。

 ある大学教授は、ルメーの印象をこう語る。

 

『彼は私が戦中に出会った者の中で最も優れた戦闘指揮官だった。 しかしルメイは異常に好戦的で、多くの人が残忍だとさえ思った』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ハルゼー麾下海軍航空隊、派手に行動して派手に墜とされたようですよ?

コンピューター連動で半自動迎撃システムのご先祖様な最新型ではないとはいえ、ドイツ式レーダー防空ネットワーク+ドイツが禁じずむしろ「ガンガン行こうぜっ!」とばかりの軍需をはじめとする産業の活性化と再軍備で大量生産されているフレンチ・ファイターの連携が相手では、流石の米軍海軍機も相手が悪かったようです。
初期型F6Fだと、円熟期に入ったD520bis相手で精々互角、MB157相手では明らかに不利ですからね~。
MB157でF6Fを蹴散らし、その隙にD520bisでドーントレス狙えば、まあ米軍にとっては史実の日独以上に嫌な相手でしょうね~。
それに結局、ハルゼーが保有するのは正規空母とはいえ3隻、補充されると言ってもローテーションで飛ばせる偵察爆撃隊の数は限られてますし。

そして、またしても苦労人アイゼンハワーの胃痛になりそうな案件が……

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次回もよろしくお願いします。

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