転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

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ララシュ地上ステージの開始です。
自由フランス軍の難易度ルナティック?




第312話 ”台風”が来る! そして、エランヴィタールを発露させた軽騎兵の末路

 

 

 

 ド・ゴールは教条的なきらいはあるが、ドイツ人が仕掛けてきた電撃戦をよく研究し理解していた。

 一説によれば電撃戦はド・ゴールとトハチェフスキーの研究(2人は、第一次大戦で同室の捕虜だった)で、機械化した歩兵・騎兵を戦車軍団に追随させ、それを支援する野砲も自走化しなければならない(つまり、全ての部隊に機械化が必要である)という主張していたという。

 つまり、ドイツ人にやられたそれは、本来ならド・ゴール自身が行ってみたかった戦いであり、それに反対したのが現フランス首相のペタンだった。

 

 であるならば、戦車と航空機、そして(いささか古めかしいが)牽引砲を入手したなら、それを試してみたいと思うのも道理だろう。

 

 もし、より高性能な(それこそ米軍が持っているような)戦闘機と専門の爆撃機が倍ほどあっただけでも結果は違ったかもしれない。

 ド・ゴールが企図したのは、短時間の重砲による効力射と航空機による空爆、それを支援攻撃に突入する装甲部隊だ。

 

 英国人は侵攻させた(・・・)だけでは飽き足らず、重砲すらも偽フランス人に先に撃たせることを望んだ。

 その願いは叶った。

 英国人は、見当違いの方向に着弾する様子をカメラに収められた。

 だが、航空隊は少しだけ遅れた。練度の問題で空中集合に少し手間取ったのだ。

 そして、結果として摺り潰された。

 

 だが、そこで諦める必要はない。

 実は古い砲でも自由フランス軍にはアドバンテージがあったのだ。

 当時、英国軍がララシュに配備していた砲は新しい物が多かったが……

 ・BL7.2インチ榴弾砲:射程14,000m

 ・BL5.5インチ砲:15,500m

 ・QF25ポンド砲:12,250m

 とM1917/155mmカノン砲&GPF155mmカノン砲(射程19,500m)よりは射程が短いのだ。

 その分、11,300mのM1918/155mm榴弾砲&シュナイダーM1917C/155mm榴弾砲陣地はボコボコに撃たれて早急に沈黙してしまったが。

 砲の性能や門数の問題があるが、練度差もまた大きかったようだ。

 とはいえ、そう命中しないと分かっていてもアウトレンジからポコスカ撃たれるのも面白くはない。

 

 勿論、戦争という物に全力を傾注する英国人が、それを放置する筈はない。

 そして、制空権はとっくに英軍の物なのだ。

 ならば、よりアウトレンジから攻撃をかけるのは道理だった。

 

 

 

 英国には、”空飛ぶ対地兵器”がいくつもある。

 今回登場願うのは、そのうちの一つ。

 英国内では新顔の部類の

 ・”ホーカー・タイフーンMk.IB”戦闘爆撃機

 史実と大きく違うのは、試作段階で空戦性能不足が疑われ、空軍の対地攻撃能力不足解消という期待と共に戦闘爆撃機(ヤーボ)として改設計され、最初からRP-3ロケット弾などのロケット兵器の使用を前提とした、俗に言う”ロケットフーン”として生まれた事だろう。

 また改設計に伴うエンジンセッティングの変更が功を奏したのか、信頼性は史実より幾分上昇しているようだ。

 長いレール不要のZero-Pointパイロンを介して両翼に懸架されるのは、60ポンド弾頭付のRP-3ロケット弾×8。

 命中率は高くないが、その火力は当時の軽巡洋艦の一斉射に匹敵すると言われている。

 そしてこれまた史実と違うのは、60ポンド弾頭の中身が皇国が大好きな”対人/対軽装甲用の焼夷拡散弾頭”だということ。

 史実の三式弾を参考にして開発したと思われるそれは、触発あるいは時限信管で炸裂して、ベアリング玉のよう鋼鉄球弾子、焼夷弾子を撒き散らした!

 非装甲の砲兵隊、更にその周辺にいた歩兵隊が浴びたらひとたまりも無いだろう。特に空襲を受けた経験が乏しくまともな地対空兵器がない部隊には……

 ちなみに20㎜機関砲による対地掃射もしっかり行っている。しかも一部の機体は”地上掃射スペシャル”だったらしく、7.7㎜機銃×12丁を装備して文字通り銃弾の雨で薙ぎ払った猛者もいたらしい。

 そして、タイフーンの合計48機による攻撃は二波に渡り執拗に行われ、ある意味、最も人死を短時間に出した。

 一言で表せば、自由フランス軍砲兵隊は壊滅したのだった。

 

 

 

 そして、事態は装甲戦ステージへと突入する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ロランがその命令を出した時、まだ空中戦の真っ最中で、重砲隊はまだ砲撃してる最中だったことを記しておく。

 自由フランス軍前線装甲指揮官のロランは、冷静に状況を見ていた。

 敵の縦層防衛線はさほど幅広とは思えないが、かといって装甲の薄いM2/M3軽戦車を突っ込ませて良いほど貧弱な火線では無いだろう。

 ならばこそ、装甲が厚い(と思っている)M3中戦車、M4中戦車は戦車の本懐よろしく工兵隊に地雷除去させながら鉄条網を突破。

 その後をハーフトラックなどに座乗した半装甲化された歩兵部隊を追従させ、防御線を食い破る。

 野砲や機関銃座、塹壕などは第一次大戦でもよく見られたそれで、戦車とは本来、塹壕を乗り越えて敵を粉砕するために作られたのだ。

 敵は戦車を地中に半埋没させトーチカとして使う腹づもりで、まともに機動戦を行う気は無いように見受けられることもその判断の後押しとなった。

 正攻法とはその戦術が強いから正攻法となる。

 

 そして、軽戦車隊は軽騎兵よろしく迂回戦術に徹せさせる。

 第一次世界大戦を経験したロランは、波打ち際から川へと続く防衛戦は、その水辺の両端が陣地化させずらい事を知っていた。

 特に海側だ。

 潮の満ち引きがある浜辺は、水没するために地雷設置も難しい。

 同じ理由で、塹壕線も波打ち際までは伸ばせないのだ。

 

 そして、砂浜からの防衛線の後ろに回り込めば、最低でも攪乱はできる。

 例えば、有効な対戦車兵器である6ポンド砲は車輪がついて移動はできるが、旋回砲座にも乗っけていない限り即座に後ろから回りこまれた戦車に砲口を向けるのは難しい。

 実際、旋回砲座なんて物を使ってるのは高射砲や対空機関砲くらいだ。

 軽戦車の装甲では、そんなもので徹甲弾を水平弾道で撃たれればひとたまりもないが、それはもう射線入らないようにするとか注意して進むしかない。 ロラン麾下の装甲戦力はM4中戦車12両(自由フランス軍が保有するM4の実に3/4)、M3中戦車が24両、M2/M3軽戦車が合計32両。

 合計60両のド・ゴールが対独戦で欲しかった立派な戦車大隊だ。おまけに機械化された随伴歩兵もいる。

 中戦車部隊で正面吶喊を行い進入路を開き、軽戦車で引っ搔き回せば勝算は十分にあるはずだった。

 

 

☆☆☆

 

 

 

 しかし、「恋愛と戦争では手段を選ばない」とされる英国人が、それを読んでないはずがない。

 ララシュ港に戦車輸送艦で運ばれ、つい最近配備された24両の6ポンド砲搭載の最新鋭巡航戦車”クロムウェルMk.I”24両のうち、16両を防衛線の内側海沿いに展開していたのだ。

 少なくともM2/M3軽戦車にとってクロムウェル巡航戦車は恐るべき相手である。

 

クロムウェルMk.I巡航戦車

 重量:27.5t

 出力:600馬力

 最高速:64km/h

 最大装甲厚:76.2㎜

 主砲:6ポンド砲(57㎜50口径長砲)

 

M3軽戦車

 重量:12.7t

 出力:267馬力

 最高速:58km/h

 最大装甲厚:50.2㎜

 主砲:M5/37㎜50口径長砲

 

M2A4軽戦車(流石に自由フランス軍に回されたのは、対戦車砲を搭載したA4だった。A3までは機関銃しか装備されていない)

 重量:11.6t

 出力:267馬力

 最高速:59km/h

 最大装甲厚:25.4㎜

 主砲:M5/37㎜50口径長砲

 

 つまり自由フランス軍軽戦車隊は、待ち構えている重量で倍以上、装甲厚で1.5~3倍、出力で倍以上、自慢の速力ですら優越され、火力で圧倒している相手と対峙しなくてはならなくなった。

 勝っているのは数くらいだ。

 そして、戦車戦の基本である相対戦になった場合、一番装甲が厚い正面同士を向けあうこととなる。

 

 勇敢なる自由フランス軍の現代の軽騎兵達は、まさに騎兵突撃よろしく勇猛果敢に攻めるが、新しすぎて米軍さえもまだデータを持っていないこの戦車相手には些か無謀であった。

 軽戦車の主砲の原型はM3/37㎜対戦車砲(37㎜53.5口径長砲)で、これを50口径に短砲身化したのがM5戦車砲で当然、原型より威力は落ちる。

 原型ですら戦車装甲を撃ち抜けない「ドアノッカー」と称されたのに、これでは100mまで接近してもクロムウェルの3インチの砲塔正面装甲を射貫けないのも道理であった。

 そして、クロムウェルの6ポンド砲は、「徹甲弾しか撃てない砲」とかつて英軍より不満が出たが、逆に言えば装甲射抜く徹甲弾特化の砲で、通常徹甲弾(APCBC)ですらも有効射程限度とされる1500mで、M2/M3軽戦車のいかなる部分も貫通できる。

 加えて……日本皇国海軍陸戦隊が6ポンド砲を搭載した海兵カスタム97式軽戦車なんて物を使っているので、その関係で『徹甲弾しか撃てないなら、中に炸薬仕込んだ徹甲榴弾作ればいいじゃん』ってノリで開発された皇国人が好んで使う、通常徹甲弾と貫通力が変わらない上に遅延信管にて敵車内で炸裂する徹甲榴弾(APCBC-HE)をちゃかり大量購入して配備されていたりする。

 基本、皇国海軍陸戦隊は英国王立海兵隊との共同戦線を想定して英国式7.7㎜小銃弾(.303ブリティッシュ弾)を使用する銃火器や共用装備を多く使っているので、そのあたりの連携はばっちりなのだろう。

 ちなみに英国本土ではチャーチルと同じ75㎜45口径長砲搭載型のクロムウェルも生産が始まってるらしい。

 

 

 

 この状態でフランス騎兵の伝統ともいえる「全てを克服する意思(エランヴィタール)」を発露させ、装甲突撃(チャージ)を敢行する自由フランス軽戦車隊。

 それらに対して、ユニークな戦争観を持つ英国人が操るクロムウェルが一番装甲が分厚い正面を向けて相対し、しっかり狙って6ポンド徹甲榴弾を撃てばどうなるか?

 結果は言うまでもないだろう。

 

 とても「軽騎兵の一斉突撃に放たれたマスケット銃の一斉射」の歴史再現というか、長篠チックというか……

 一部の軽戦車は離脱しようとしたが、ただでさえ最高速で負けているのに軽戦車チームは後進1速、とてもじゃないがトップギア&フルスロットルで追いかけてくるクロムウェルから逃げ切れるものでは無い。

 そして自由フランス軍の装甲軽騎兵を平らげた英国巡航戦車隊は、隊列を整え悠々と防衛線を攻めている本命の敵機甲部隊の後ろへと回り込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 




すごいよ! ソ連だってナレ陥落した街あったのに、自由フランス軍が奇跡的に1話持ったよ~(挨拶
えっ? 一方的にボコボコにされてただけ?
いえ、ロラン大佐が健在な以上、ちゃんと耐久してますよ?(強弁

という訳で試作機が出来た段階で「空戦性能不足」を指摘され、早々に戦闘爆撃機(ヤーボ)としての活路を見出した”タイフーン”氏でしたw
RAFに不足していた対地攻撃能力、需要の増してきた近接航空支援(CAS)の専門職集団の登場です。
おそらく”テンペスト”も同じ方向性で製造されるようで(テンペストは、元々タイフーンの改良型だったけど変更点が多すぎてテンペストって別の機体になったという)。
この世界線だと、戦争後半のレシプロと初期ジェットの優秀な戦闘機にはあまり困りそうもないので、むしろペイロードが大きくて頑丈なヤーボは需要が大きそうです。
ドイツや日本と戦争してないし、米国とは今のところ全面戦争には至ってないので、空冷型のMk.Ⅱは製造されず、当面はタイフーンで全然大丈夫なのでテンペストはMk.V後期型仕様が初の量産型になるような? 43年の中頃に登場予定です。
英国海軍機やホーカーの戦闘機ファミリーもちゃんと書いてみたいな~と。
特に44年には、シーファングを始め魅力的な「最後のレシプロファミリー」が揃うし。


そして、
「英国式高速装甲戦闘車両、”クロムウェル”。Mk.I解放……!」

という訳で、何気にデビュー戦だったクロムウェル巡航戦車でした。
マジにクロムウェル相手にM2/M3軽戦車ではキツイです。
そして、お約束な「騎兵突撃」でエランヴィタールを披露して終了しました。
次回、ロラン大佐再登場かな?

次回もどうかよろしくお願いします。

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