転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

317 / 439
ある意味、英国面(ソフト表現)全面執行回です。
あ~あ、パチ仏が吹っ掛けてくるから、王様ノリノリになっちゃったよ……





第314話 ”プリンス”、拉致予告される。小鳥遊君、巻き添え確定。そして……鉄拳の獅子王、咆哮する

 

 

 

「ほう。これが噂の”1000ヤード・ライフル”か。我が軍にも採用すべきかもな」

 

 そう呟いたのは、この世界線ではドイツ人やイタリア人の捕虜にはSASの生みの親にして頭目、スターリング中佐だ。

 というかいつの間にか背後を取られていた。

 スターリング中佐、もしかしてニンジュツでも使うのだろうか?

 

 ああ、二式十三粍長距離狙撃銃(ヘカテーたん)愛好家の下総兵四郎だ。

 ちなみに俺のイメージするヘカテーたんは、某炎髪灼眼に出てくる娘だ。なうちの嫁さん(ナーディア)もそうだが、自分で言うのもアレだが……俺はツリ目の小柄なぺったん娘に弱い。

 実は肌の色や髪色や長さにあまりこだわりはなかったりする。

 強いて言うなら、某競”バ”ゲーで言うなら、フラワーは確かに文句なく可愛いが、見た目の好みから言うならスイーピーを選ぶ。そんな感じだ。

 

「悪くないと思いますよ? 砂漠に荒れ地、岩山なんて遮蔽物が無いところでは必然的に交戦距離が長くなる傾向がありますから。北アフリカみたいな乾燥地が多いところだと真価を発揮できます」

 

 確かアフガンとかに行ってた米兵は、『岩山じゃあ平均交戦距離が500m超えだ。223じゃ射程も威力も足りん』とか前世で言ってたような?

 

「確か”ボーイズ対戦車ライフル”と同じ弾丸(=13.9㎜×99)を使うタイプもあったようだが?」

 

 狙撃任務もひと段落、今は投降した連中をふん縛って連行準備してる最中だ。

 俺と小鳥遊君、そしてスターリング中佐のポジションは現場から1㎞は離れてるから、往生際の悪い苦し紛れの発砲でもそうそう弾丸も砲弾も飛んでこないだろう。

 というか周辺警戒をSASが担ってるんで、心配しても意味はない。

 

 

「ありますよ。”二式改十四粍特殊(・・)長距離狙撃銃”っていうのが」

 

 噂では、開発チームは”真・ヘカテーたん”と呼んでるとかなんとかって。

 いや、あの化物ライフルが制式量産されるってのはどうなんだ?

 

「ただあれ、機動的運用するには少々デカすぎるし重すぎる。使ってみた感じ、命中率から逆算して対人狙撃用に限れば有効射程は二式十三粍と大差ないんですよ」

 

 いや、威力は抜群なんよ?

 ただ、二式の12.7㎜×81弾は銃身長700㎜の二式から発射された場合、初速は765m/s。

 対して二式改の13.9㎜×99弾は、820㎜銃身からの発砲で銃口初速730m/s。

 弾頭重量や弾道特性の兼ね合い、「人へ当てられる距離」に関してはそんなに差がない。

 射線が確保できて条件と腕さえよければ、どっちも1マイル(約1.6㎞)スナイピングはできるんだが。

 

「性質的に小官は十四粍は対物・対軽装甲用装備だと考えています」

 

 大きさと重さのトレードオフしての威力って言うなら、人間相手に使うにはちょっと割に合わないと個人的に思う。

 はっきり言って13.9㎜弾は、例え相手がボディアーマー着てても対人ならばオーバーキルだ。

 

 ※なおサンクトペテルブルグでは、より強力な14.5㎜×114弾仕様の単発式長距離狙撃兼用対物ライフルが製作中の模様。

 

「なるほどな。含蓄深い言葉だ」

 

 スターリング中佐はうんうんと頷き、

 

「時に”プリンス”。いや、シモーサ大尉、君は戦後は正式にリビアの王家に婿入りし、そして本格的にリビア陸軍狙撃隊・各治安機構狙撃隊の育成を担うそうだな?」

 

 英国情報部、無駄に(無駄な)仕事し過ぎィッ!?

 いや、確かにそういう話はあるんだけどさ。

 

「さて、治安任務を行う部隊を教育するなら、対テロ訓練も含めた方が良いのではないか? うん。きっとそうだ。そうに違いない」

 

 中佐は何を言いたいんだ?

 

「実はSASには、1000ヤード超級の狙撃ノウハウを行うエキスパートが不足していてね。無論、そのような大口径狙撃銃を扱うノウハウもない」

 

 あっ、何となく言いたいこと分かったかも。

 

「さて、君にSAS教官のカリキュラムを提供しようと思う。その代わり君の狙撃スキルを伝授して欲しいのさ。なに、今年中に日本はイタリアを陥落させるのだろう? 44年はよほどのことが無い限り、まあさほど忙しくはならないだろう」

 

 いや、それフラグなんじゃ……

 

「その頃には暇もできるだろう。頃合いを見て、上には私の方から言っておこう」

 

 ブリksェ……

 それ、多分俺に拒否権ない奴ですよねぇ?

 戦時中は多分、除隊できないし。

 

「サラリーは弾むぞ?」

 

 あー、はいはい。

 ナーディア、もし俺がマーマイト中毒とか、フィッシュ&チップス症候群とかになったらすまん。

 せめてイスラム圏では食っちゃアカンもんは食わんようにする。

 

「とりあえず紅茶に期待しつつ、三食朝食を食うようにしますよ」

 

 英小説家サマセット・モーム曰く、「イギリスでおいしい料理を食べたいのなら、朝食を一日三回食べよ」だとか。

 紅茶じゃなくて食事の方のイングリッシュ・ブレックファストは、まあ食える方らしい。食いたいと思ったことはないが。

 

「そうかね? ビーフウェリントンは結構いけると思うのだが? 私としてはサンデーローストやヨークシャープディングも勧めるが」

 

 あっ、名前だけ聞くと美味そうな……いや英国だけに油断はできんぞ。

 いや前世に比べれば、流石にソ連相手に「食料欲しさにジェットエンジン売るほど」食料に困ってる訳じゃないだろうが……

 

「アイ・ショーティ。上の判断が是とするならば、吝かではありません」

 

 ところでさっきから他人事みたいな顔をしている小鳥遊君。

 超遠距離狙撃のスポッターも特殊な訓練が要るって忘れてないよね?

 

 ニ・ガ・サ・ナ・イ・ヨ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*************************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ララシュを巡る戦いは、死者と負傷者と逃走者、そして大量の”捕虜”ではなく「逮捕者」を出した。

 英国は、戦争ではなく治安活動を行っただけなので当然であった。

 英国公共放送の発表では、

 

”自由フランス軍を僭称する重武装テロリストによる「英国領ジブラルタル」の南岸にある港湾都市ララシュへの”襲撃事件(・・・・)

 

 そう第一報が報じられ、

 

”現地駐留英軍と日本皇国からの派遣部隊がこれを撃退”

”襲撃犯は、ケベック州を不法占拠グループと完全に同一組織”

 

 へと続く。とりあえず”自由フランス軍を僭称するテロ組織”扱いは徹底していた。

 そして流石に腹黒大国グレートブリテン。こんな”美味しいネタ”を自分達だけでニヤニヤしながら楽しむはずもなく……

 随分と国際社会復帰組や新参も増えた国際連盟に、ジュネーブでの国連臨時総会招集を依願する。

 爆弾の代わりに燃料を満載して英国本土までかっ飛んできたアブロ・ランカスター”連絡機(・・・)”が持って帰ってきた録画データと録音データによる楽しい楽しいお偉いさんだらけの国際上映会 in スイスの準備に余念がない英国(情報・諜報系)紳士同盟諸君であった。

 

 無論、その間に英仏犯人引渡協定の再確認が行われた。

 ”国際刑事警察委員会(ICPC:インターポールの前身)”はオーストリアのウィーンに本部があったが、現在は戦争の影響で開店休業状態なため、この手の国際犯罪者引渡協定は基本、二国間協議でやるしかない。

 事務次官級協議の後、仏ペタン首相は首相就任後に初となる英首相チャーチルとの二者会談に望んだのだ。

 どっちも多忙でもあるが、会談場所はロンドン。捻りはないが”ロンドン緊急会談”と銘打たれた。

 どうにも英仏犯人引渡協定の確認が「口実」に見えて仕方ないが……多分、その場に”何故か”「ロンドンから日本に帰って来やしねぇ」と野村外相に愚痴られている吉田滋皇国欧州統括外務官がオブザーバーとして招かれ(いや広義な意味では日本も当事国と言えば当事国なのだが……)、同席が許されて(もしくは英仏二国から”強火の要請”があって)実質三カ国協議になってしまっていたので、余計にそういう印象になったのかもしれない。

 吉田欧州統括曰く、

 

「いや、別に参加させてくれと頼んだ訳じゃないんだが……なんか嫌な予感してたし。流れ弾かな?」

 

 皇国外務大臣の椅子を押し付けられるのが嫌で、帰国せずにロンドンに居座っている吉田の自業自得でもある。

 ちなみにだが……何故か、翌年度の日本へのフランスワインの輸入枠が拡大し、戦後を待たずにルノー、プジョー、シトロエンなどの仏自動車メーカーの日本への本格進出が決まった。名目は、”欧州復興支援策”の一環。妙にODA臭がするが……外交古狸の嗅覚は流石であり、予感的中であった。

 英仏の話し合いの場だった筈なのに、不思議なこともあるものである。

 

 

 

 そして、英国内ではとあるクライマックスを迎える。

 

『”自由フランス軍”なるふざけた名を僭称するテロリスト風情がケベックに飽き足らず、再び神聖なる我が領土に手を伸ばし英国に仇なすというのなら……よかろう! その巣穴ごと駆逐し、それがどれほど無謀な行動なのか教えてくれようっ!!(If those terrorists who go by the ridiculous name of the "Free French Forces" are not satisfied with Quebec and once again intend to reach out to our sacred territory to wreak havoc on Great Britain...well then! We will eradicate them and their den and show them just how reckless that is!!)』

 

 老いを知らない獅子王の咆哮……そう、英国今上国王”リチャードIV世”の大号令が中継で電波に乗り、バッキンガム宮殿より世界へと伝播する!!

 

 

 

 そう、ここに先の戦いで死んだロラン大佐率いた一派も、これからモロッコに屍を晒すであろう者達も、そして捕縛される者達でさえ、英国王直々の宣言により「フランス人として死ぬ」ことは永遠に叶わなくなった。

 彼らに残されたのは、「無国籍のテロリストという不名誉な看板を背負ったままあの世へ行く」ことだけだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳でブリKS全開回でしたw

まずシモヘイ、スターリング中佐直々にメシマズ国家へ拉致予告(スカウト)されましたw
小鳥遊君は、「絶対、逃がさないゾ☆」ロックオンされたようです。
まあ、超長距離狙撃は、スナイパーだけでなくスポッターも通常のスナイピングと別のノウハウが必要ですし。
しかも小鳥遊君、フランカーもこなせるユーティリティースポッターでお買い得ですw
というか、シモヘイは今のところ狙撃特化だけど、できることが増えるのは良いかな~と。
あと、小鳥遊君って無駄に引き出しが多い気がするw

まあ、リチャードIV世は為政者として当然と言えば当然の反応かもしれませんが……王令、ロイヤル・オーダーの発令です。
ちなみに本文中の英文、翻訳とかにかけると日本語部分が実はややソフトな表現になってるのが分かりますw

そして、外交古狸の吉田統括、化かし合いの本場欧州産、ある意味本家な英仏古狸にしてやられる。
二者会談がなし崩しに三者会談にw
まあ、ロンドンに合法的に居座ってるツケを払う形になりましたとさw

どうやら英国の反撃が始まりそうですが……
次回もどうかよろしくお願いします。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。