転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

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何やらまたしてもろくでもない事を考える魔王様と教官。
VG39は良いとして……最後に多分、新キャラです。





第332話 ルーデルとロスマンの”ドイツ版トップガン(?)”交渉、そしてVG39(輸出仕様)と……??? 誰?

 

 

 

 さて、ハルトマンとシュミットがヴィルケとの邂逅を果たしている一方、また別のパイロット同士の出会いがあった。

 

「君がハルトマンの基礎教練をしていたというロスマン特務上級曹長かね?」

 

 そう、ロスマンを探していたのは……

 

「これはこれは。急降下爆撃(スツーカ)隊のトップエース、ルーデル少佐ではないですか。お会いできて光栄です」

 

 そう、ルーデルだった。

 まあ、この男のことだ。興味本意とかミーハーな理由で探していたわけでは無い様だが……いや、そういう理由だったらそれはそれで驚きだが。

 

「よかった。貴殿を探していたのだよ」

 

「私を? 何用ですか?」

 

 既にスモレンスクで勇名を馳せているルーデルが自分を探す理由に思い当たらないロスマンは首を傾げるが、

 

「本題を切り出す前に一つ質問を良いか?」

 

「なんなりと」

 

 ルーデルは徐に、

 

「貴殿は見覚えのない階級章を付けているようだが……それは?」

 

 そう、ロスマンの胸には見慣れているドイツ空軍のそれと並び、見慣れない”青い花のような十字架”の刺繡が入った階級章らしき物をつけていたのだった。

 ルーデルは直感的にそれを階級章だと判断したのだが、

 

「ああ、これですか? この作戦に限り戦闘職、現役の戦闘機パイロットとして復帰する事にしたんですよ。まあ、流石に実戦経験不足のまだ一人前とは言えない教え子たちだけを戦わせるのは気が引けましてね。足りない経験は、私が隊長となることで多少は補えると考えたんです」

 

 そう苦笑しながらロスマンは、

 

「そうしたら、大公殿下が『流石にドイツ国防空軍(ルフトバッフェ)将校の身分でサンクトペテルブルグ市民軍(ミリシャ)の隊長をさせる訳にはいかない』と、空軍上層部と掛け合って、そのおもばゆいのですが”市民軍大尉”の階級を頂きまして」

 

 まあ、実際には『上級曹長なら普通に少尉待遇、特務とつきゃあ二階級上が相場だから大尉が妥当だろ?』くらいなノリだったのだが。

 ついでにシュタウフェンベルクに頼んで参謀ルートで問い合わせたら、「ええよ~」みたいな感じで返事が帰ってきた。

 まあ、空軍司令部(OKL)でサンクトペテルブルグの重要性を理解していない者はいないということだろう。

 いや、OKLだけではなくOKW(Ober Kommando der Wehrmacht:国防軍最高司令部)全体で、であろうが。

 

 ただ、クルスがイマイチ納得できないのはメッセンジャーとして自分で戦闘機操縦して飛んできたのが、どう考えても新型機を見物に来たとしか思えないNSR長官レーヴェンハルト・ハイドリヒだったことだ。

 

『いつものこととはいえ……あの長官、フットワーク軽すぎないか?』

 

 とはクルスの弁。

 部下であるシェレンベルクは苦笑しながら、

 

『きっと自分の目で、防衛準備の進捗具合を確認したかったんでしょう』

 

 と返したらしい。

 

 

 

「ふむ。属してる軍が名目上違うとはいえ、大尉か……なるほど、好都合だ」

 

 そう頷くルーデルだったが、

 

「少佐?」

 

「いや、実は上申して赤色どもが攻勢を仕掛けてくる前に、Ju187の”慣熟(ならし)”を兼ねて、ミリシャの戦闘機隊と合同訓練でも行おうと思ってな?」

 

「えっ?」

 

「なに。ミリシャ航空隊は要撃任務専門なのだろう?」

 

「ええ。正直、防空任務以外には今のところ手が回って無いですね」

 

 何とも皮肉だが、現在のサンクトペテルブルグ市民軍航空隊のモデルは、かつてソ連に存在していた国土防空のスペシャリストであった”防空軍”だ。

 そうであるが故に前線基地であるノブゴロドやサンクトペテルブルグのレーダー警戒網は整備され、航空管制に積極的にZuse型演算機やPPIスコープなどの最新技術を導入、『レーダーで捉えた敵編隊を地上管制で可能な限りパイロットに負荷をかけないように誘導する』ということに趣を置いていた。

 おそらくだが、クルスがいずれ実用化を狙ってるのは1950年代後半の米国で実用化された”半自動式防空管制組織(Semi-Automatic Ground Environment:SAGE)”みたいなシステムじゃないだろうか?

 まあ、これはサンクトペテルブルグ大公領単独でどうにかなるものでは無く、おそらく本気で開発するならドイツやバルト海沿岸諸国での合同開発になるだろう。

 

 まあ、未来の話はさておくとして、確かにミリシャ航空隊で『鉾として使える航空機』は戦闘機だけだ。

 

「幸いにしてJu187は乗った感じ、Il-2襲撃機(シュトゥルモヴィーク)の上位互換のような物だ。仮想敵としては上等すぎるが悪くはない」

 

 つまりはIl-2と戦う実戦シミュレーションをさせてやろうということなのだろうが、

 

「それは大変ありがたい申し出ですが……少佐たちの急降下爆撃機隊に利益はありますか? こう言ってはなんですが、エースの卵はいますが、まだ雛鳥とも言えない者達が大半ですよ?」

 

「いや、だからこそちょうどいいのだ」

 

 クックックッとルーデルは凄味のある魔王スマイルを浮かべ、

 

「そこそこの腕前と機体、『赤色空軍』を想定するには丁度良い相手とは思わないかね?」

 

「ああ、そういう」

 

 ようやくロスマンも納得がいった。

 確かにハルトマン達エースと最新鋭機のMc205Bの組み合わせは、『仮想敵』としては”強すぎる”のだ。

 機体だけでも現状のソ連戦闘機やレンドリース米軍機とは性能差があり過ぎるのに、あまり上質とは言えない赤農空軍のパイロットと現在、サンクトペテルブルグに集結している独軍パイロット達とは比べるべくもない。

 実戦を凄まじい勢いで潜り抜けたというより強行突破してきたルーデルだからこそ感覚的に理解できてしまうのだが、これでは逆に良質な訓練にはならない。

 

 また、ロスマンとしてもルーデルのようなベテラン達が教導役を買って出てくれるのは、忖度なしでありがたい話だった。

 ルーデル一派は16機だが、VG39は200機。

 慣れてない新人達に、疲労を蓄積させない為にそう長い空中戦訓練はさせられないが、ローテーションを組めば都合はつけられる。

 逆にルーデル達は、可能な限り機体に乗って、出来れば実戦を想定した操縦で慣れておきたい所だろう。

 戦場に行く前に、安全な環境で訓練できるなら、それに越したことはない。

 

「わかりました。そういうことでしたら、市民軍の上層部には私が掛け合ってみましょう。幸い、上司は物分かりが良い者が多いですし」

 

「それは羨ましい話だな」

 

 実はスモレンスクに到着するまでは、あまり上司と折り合いの良くなかったルーデルであった。

 まあ、魔王にも苦手なものもどうにもならない事もあるということだろう。

 

 

 

 そしてこの訓練は、後でとても大きな意味を持つことになるのだが……

 強いて言うなら、”トップガン”というところだろうか?

 映画ではなく、リアルな軍事組織である”アメリカ海軍戦闘機兵器学校”の方だ。

 その最初の存在意義は、『異種機体間の戦闘研究』だったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*************************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんてシリアスに終わると思ったら大間違いなのが、この世界線だ。

 その頃、サンクトペテルブルグ市民軍(ミリシャ)、航空隊基地にはDB601NGVを搭載したドイツ圏輸出仕様の”VG39”が並んでいた。

 

 輸出仕様VG39(DB601NGV搭載型)

 エンジン出力:1495馬力(MW50使用時:1775馬力)

 最高速:660㎞/h(戦闘重量。MW50使用時は704㎞/h)

 航続距離:1500㎞(両翼下に250kg増槽×2装着時)

 武装;MG151/20㎜機関砲×1(モーターカノン)

    MG131/13㎜機関銃×4(左右主翼)

 ペイロード:500kg

 装備:Revi16合致式光学照準器、層流翼、電波高度計、地上無線誘導連動簡易慣性航法装置、バブルタイプ・キャノピー、Bf109G準拠の防弾装備、メレディス効果型胴体下NACAダクト、後方警戒レーダー、Bf109Gと共通の三翅プロペラ、自動スラット(Bf109Gと共通)、セルフシーリングタンク、自動燃料切替装置(増槽が装備されていた場合、自動で増槽の燃料を先に使用する)

 

 性能的には、「ちょっとだけ劣化した史実のP-51D」だろうか?

 この時代だと扱いに癖があり光学照準器の特性を理解してないと使いこなすのが難しいEz42のようなジャイロ・コンピューティング式ではなく、あえてシンプルな操作の従来型のRevi型合致式照準器を使い、高度計は気圧式ではなく正確な電波式、地上からの誘導精度をあげるビームライディング式の操縦補助装置、燃料タンクを付けてるのに機内燃料を先に使うミスを無くす自動燃料切替装置、背後に付かれたら警告音を鳴らす後方警戒レーダー、自動式のスラットと基本的に「ミスを潰す戦闘機初心者に優しい設計の戦闘機」と言ったところだ。

 実際、適応高度幅が広いエンジンに加えて、機体が空力的に洗礼されているせいもあり操縦特性もかなり素直で扱いやすい。

 既存のパーツを使い複雑な装備もない為に整備性は良く、全金属セミモノコック構造の機体は頑丈だ。

 ぶっちゃけ、フランス本国仕様のVG39よりちょい豪華な装備である。

 基本、エンジン、照準器やプロペラなどのコンポーネントはほぼほぼBf109Gの物を使っており、250kg燃料タンクはドイツ空軍標準規格のそれだ。

 基本的にエンジンなどの無い”ホワイトボディ(コンポーネント未装着状態)”だけ作ってもらって、コンポーネントはサンクトペテルブルグの工廠で取り付けて調整したという感じだ。

 言い方を変えると、「Bf109とかのドイツ式コンポーネントが使えるように小変更したVG39の”キット”をフランスから輸入した」とも表現できる。

 完成品を輸入した方が確かに早いのだが、知っている方もいるだろうが特にこの時代のエンジンや機銃やプロペラは消耗品だ。

 例えば、同じ液冷のマーリン系で耐用300時間、アリソン系は150時間でスクラップヤード送りになると言われている。

 米国のように「戦闘機を使い捨てにできる」のなら良いが、そうも言ってられないサンクトペテルブルグでは、「いざという時に部品が国境線の向こう側」にあるよりは自国で簡単に手に入るコンポーネントの方が都合が良い。

 そもそもサンクトペテルブルグにはユンカース社だけでなくMc205BのDB605Aエンジンの兼ね合いでダイムラーベンツのエンジニアも常駐しているので、そういう意味でも保守メンテナンスに不安が無い。

 Mc205Bなんかの最新鋭機に比べれば性能的には見劣りがするが、性能よりも新米の戦闘機パイロットと地上要員(特に整備員)に優しいというのはありがたいだろう。

 それにドイツの最新鋭機にスペックで劣るだけで、パイロットの技量が同程度なら現時点での米ソの戦闘機相手に互角以上に張り合える程度にはある。というより史実のBf109Gよりスペック的には上だ。

 戦闘爆撃機的な任務には向かないが、それをまだ経験の浅いミリシャ・パイロットに求める必要もないだろう。

 

 さて、そんな”サンクトペテルブルグの空の護剣”となるべく戦闘機を、にんまりと見つめる女性がいた。

 

 

【挿絵表示】

「うっふっふ~♪ いよいよこの”クリスティアーナ・フォン・ホーエンツォレルン”が華々しい実戦デビューを飾る時が来ましたわ~ねッ!♡」

 

 いや、誰だよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、実は感想欄で見事に登場を予見していた方もいらっしゃいましたが……

はい。いよいよ出てきました英国王妃やキレナイカ王国の末姫に続く名門お嬢、

”クリスティアーナ・フォン・ホーエンツォレルン”

まあ、今回はとりあえず名前出し&顔出しオチですね。
次回あたりに”彼女たち”がここにいる理由でも書いていきたいなぁ~と。
という訳で、クリスティアーナの掘り下げはちょっとお待ちくださいませ。

そして、VG39(輸出仕様)。
元々この世界線のVG39、ドイツがさっさとフランスの再軍備を推しまくったせいで、高品質なアルミ合金(2000番台の超ジュラルミン)も普通に手に入っているので、アルジェリアやモロッコ上空で米軍機を圧倒したように素性の良い機体なんですよね~。

それでフランス製のシャーシにドイツ製のエンジンやコンポーネント詰め込んだ結果(なんかこう書くとF-1マシンみたいだ)、出来上がったのは性能はMc205Bみたいに尖りまくって無いけど、そこそこ高性能ながら素直な操縦特性で新人でも扱いやすい機体になったようですよ?

これを”新人向け戦闘機”と言い切っちゃうあたりが何とも贅沢というか……バルバロッサ作戦初期のソ連パイロット(あと史実のBf109乗り)は泣いていいと思う。
まあ、基本的にはこの世界線産のVG39にBf109Gのコンポーネントを組み合わせたキメラ機なんですけどね。
ある意味、”枯れた技術”がほとんどなので、製造(ユニット)コストも運用コストも安いという。
まあ、元々は間に合わせの機体だったはずのBf109Gが思ったよりも即戦力の引く手あまた
で、サンクトペテルブルグに配備するのに間に合いそうもないからシャーシだけフランスから取り寄せてBf109Gの余剰部品を組み込んだら上手くいった……みたいな裏話もw

次回もどうかよろしくお願いいたします。




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