転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

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という訳で、前話あとがきの宣言通り、ガラリと話題を変えてシモヘイの新たな相棒である新狙撃銃(うぽって)の話題ですw




第354話 仮称”試製下総43式狙撃銃”という概念? いや、後世でふつーに”シモヘイ・スペシャル”とか呼ばれてそう

 

 

 

 もう、戦艦”ローマ”率いるイタリア残存艦隊の投降? 参戦?で初っ端から出鼻を挫かれた形となった日本皇国。

 こうなってしまうと次に何が起こるか分からないので、下総兵四郎(シモヘイ)は数日後、休暇を切り上げて原隊復帰していった。

 一応、ナーディアは「なんかもう一人生みそうな」気配がしたのでこっちでも寛容を見せたが……だが、イタリア人がますます嫌いになった。

 

 ちなみにナーディア以上に怨嗟の声を上げていたのは、皇国海軍の戦艦艦長(てっぽうや)達であったりする。

 なんのかんの海軍の上澄みである彼らは、来るべき海軍の未来予想図を知っていた。

 戦艦がこの戦争を境に”海の女王”の座を空母や潜水艦の中~小型艦、そしてそれらが誘導弾に明け渡して転落すること。

 おそらくこの先の戦争で、「戦艦同士の砲撃戦」なんて華のある舞台がやってこない事を……

 だからタラントの生き残り、”ローマ”に期待をかけていたのだが、結果は御覧の通りだ。

  

 まあ、それでもシモヘイが不運であったかと言えば、どうやらそうとばかりは言えないようで……

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「こりゃ確かに造りは”良い銃”っぽいんだが……ほぼ間違いなく」

 

(どっからどう見たって、”豊和(ホーワ)M1500”ショートアクションの”M40”仕立てじゃんっ!!)

 

 ああ、休暇は短縮されたが”仕込み”はしてきた下総兵四郎だ。

 なんかこの入りも久しぶりだな?

 ちなみに豊和M1500ってのは、前世で日本メーカーが唯一民生用に生産・販売していた大型獣の狩猟にも使える大口径ライフルなんだが……

 いやほら、前に俺の”シグネイチャー・スナイパーライフル”を作るって話あったろ?

 あれの完成品が出来上がったんだが……どうにも俺の愛用していた”九九式狙撃銃”の仕様変更で済ませていい話じゃねーな。コリャ。

 タフネスなクロームメッキ硬化処理されたブルバレルのフローティング・マウントは、まあ注文通りだ。

 バックアップのメタルサイトが注文通りちゃんとくっついてるのは、高評価。

 何しろこの時代の小銃用光学照準器(スコープ)ってのは精密光学機器の範疇で、そこまで頑丈にはできていない。

 確かに野戦には使えるが、「武人の蛮用」にどこまで耐えられるかと言うと……まあ、ズーム式じゃない分余計な可動部が無いので、砂や埃が入り込みにくい固定倍率10倍のスコープだから、少しはマシだろうがかと言ってそれに頼り切る気にはなれない。

 まあ、壊れて交換となってもゼロイン・アジャストとかは自分でもできるし。あと曇り止めの窒素ガス封入で、無反射コーティングレンズを使っているのも何気にポイント高い。

 

(重さもスコープ付きで5kg切ってるのは評価できるが……)

 

 ほら、重いとアクションシューティングじみた「移動と狙撃の繰り返し」をやるときにな?

 いや、確かに良さげな狙撃銃なんだけどさぁ~、

 

(これベースが九九式狙撃銃や梨園三式改とかの話じゃなくて……というか、もう動作方式(アクション)がリー・エンフィールド式ですらねぇしっ!)

 

 そりゃ世界のボルトアクション・ライフルの主流はもうマウザー・アクションなのかもしれんけど。

 

(というか、機関部がマジにまんまM1500じゃん)

 

 ボルトとかレシーバー周辺の造りなんかM1500のショートアクション・モデルその物だ。

 何でそれがわかるかって言うと、前世で俺がもっとも長い間所有していたのが”ホーワM1500”シリーズのライフルだったからだ。

 実際、”仕事”でもよく使ってたし。

 

(ああ、そういえば21世紀のウクライナでも狙撃隊が使ってたとか何とか聞いた記憶が)

 

 そのM1500が採用していたのがボルトアクション式手動連発ライフルの世界的主流の構造、ドイツのGew98が源流となる”マウザー(モーゼル)方式”って動作方式だ。

 いやリー・エンフィールド式にもモーゼル式にもどっちもメリットとデメリットがあるんだけどな。

 

(転生しても、M1500が俺の手元に来るなんて……なんの因果だ? コリャ)

 

 そして、ウォールナット・ストックに二脚と可動式パッドを取り付けられているから、見た目は戦後米国のベトナム戦争後期デビューな”M40狙撃銃”っぽいが……

 あと、オリジナルと明らかに違う点をあげるとすれば……箱型弾倉か?

 

「これ、もしかしてチ38式半自動狙撃銃と共通なのか?」

 

 なんだか見覚えがあり過ぎる10連発弾倉がくっついてるんだが? ここだけ見ると前世英国の”L42A1狙撃銃”っぽく見えなくもない。いやメタルサイトくっつけてるからむしろ外観的には”M40とL42のハイブリッド”ってとこかもな。

 すると開発元の”豊和銃器(・・)”の担当者は、

 

「ええ。実は陸軍の方から7.92㎜×57弾仕様の”次期陸軍ボルトアクション狙撃銃”の開発と絡めろと要求がありまして。その仕様の一つがチ38式半自動小銃シリーズとの弾倉共用化だったんです」

 

「ああ、そういう……」

 

 現在の皇国陸軍の主力小銃/機関銃弾ってリムレスの8㎜マウザー弾(7.92㎜×57弾)だし、実際に7.7㎜弾よりも威力は出るからその弾で狙撃銃作れってのは、まあ納得できるオーダーだ。

 陸軍には小鳥遊君ご用達の”チ38式半自動狙撃銃”ってのもあるが、実は同じ弾を使うなら、自動連発式よりボルトアクションの手動連発式の方が命中精度が高くなるってことが往々にしてあるんだよ。

 実際、今も自動式のチ38式半自動狙撃銃と、俺の初期装備である九九式狙撃銃が併用されてることからも何となく分かるだろ?

 俺みたいな本職の狙撃手が半自動式より手動式を好む理由が、発射速度より命中率を重んじる傾向があるからだ。

 細かい理屈は省くが、自動式より手動式の方が工学的に精度が出しやすく、特に銃弾の射程限界付近だと命中率に顕著な差が出たりするんだよなぁ。

 それはともかく、こいつも歩兵銃標準の20連発とか使えるのか……

 

(小鳥遊君、20連発の愛好家だしな)

 

 彼愛用のチ38式半自動狙撃銃の標準は10連発箱型だが、小鳥遊君は好んで20連マガをこよなく愛する。

 

「ただ、今は鉄製からアルミ合金に素材が更新されてますから、前より軽量になってるはずですよ?」

 

 んじゃあ、俺もそのうち20連を使ってみるかね~。

 

「社内で命中/集弾精度(グルーピング)テストをしたのですが……噂に聞く大尉の腕前なら、社内でのテストデータを見る限り700m以下の対人狙撃ならば苦労しないはずですよ?」

 

「イタリアは都市戦も多いだろうし、超長距離狙撃や対軽装甲狙撃する機会も少ないだろうから、使い勝手が良いかもな」

 

 試し撃ち(テスト)にちょうどいい環境とも言える。

 

「いいよ。とりあえず使ってみよう。実際にシグネイチャーの許可出すのは、イタリア戦で使ってみてからで良いか?」

 

 自分の名前つけて売るってのに、「いざ戦場じゃ使い物になりません」とかなるのは流石にちょっとな~。

 

「勿論です。ご本人が使っていない銃をシグネイチャー・モデルとして売り出すわけにはいきませんので」

 

 そりゃそうか。コマーシャル効果ってのは大事だしな。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 こうして仮称”試製下総(・・)43式狙撃銃”を入手した訳なんだが……

 

「ナニコレ、怖……めっちゃ当たるんだけど?」

 

 いや、一応M1500を使っていた前世の記憶がじわじわと甦り、異常に手にしっくりくるというのもあるんだが、

 

「700m先の空き缶に全弾命中とか……大尉殿、ナーディアちゃんとかその妹分に寝屋で子種装填するついでに怪しい魔術でも習ったんですかい?」

 

 いや、小鳥遊君や。俺だって驚いてんだぜ?

 700mにランダムに並べた大きさもバラバラの缶に10発全弾当たるとか、遮蔽物の無いリビアの荒野にしたって普通は有り得ないんだが……

 

「まあ、当たる分には良いんじゃないですかい? 大尉がなんかおかしいのは割といつものことですし」

 

「ヲイコラ」

 

 言うに事欠いてなんつーことを。

 

「まあ、ちょっとばかり筒先に出てくるイタ公に同情したくはなりしたがね。とりあえず20連マガ薦めておきますよ。それだけ当たるなら、一度に撃てる”的”数は増やした方がいい」

 

「……それだけ的があると思うか?」

 

「あるんじゃないですかねぇ? 俺の予想ですが、多分、正規軍相手より不正規戦の方が多くなる気配がしてますが」

 

「ああ、あの噂か……」

 

 何やらムッソリーニ政権とムッソリーニの古巣であるイタリア社会党や新進のイタリア共産党と不穏な状態にあるそうな。

 曰く、「日本人が攻めてくる前に俺達でムッソリーニ倒して、王家潰して社会主義国家作ろうぜ」とのこと。

 ただ、同じ穴の狢であるムッソリーニがその動きに気付かぬはずはなく、手駒の親衛隊である”黒シャツ隊”を動員し、暗闘開始して事態の鎮静化を図ってるらしいが……

 

「ギリシャの二の舞にならんといいが……」

 

「それ、大尉がよく言ってる”フラグ”って奴じゃないですかい?」

 

 

 

 まだ上陸作戦も始まってなというのに、日本皇国の”イタリア攻略戦”にはどうやら既に暗雲(?)が立ち込めているような気がするのは果たして気のせいだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




シモヘイ:「九九式ベースって話だったので精々L42あたりかと思ったら、L42テイストの入った前世の愛銃(ホーワM1500)のM40仕立てでござった」

とまあそれだけの話ですw
ただし今回のイタリアン・ノルマ……

・シモヘイの休暇を数日削る
・ナーディアちゃん、内心激おこ
・皇国戦艦艦長、それ以上におこ

は達成できた模様。
いや~、それにして因果律パイセン、結構あちこちで仕事してますね?w
でも一番因果なのって、この銃でシモヘイに撃たれるイタリアン・ソルジャーの皆様なのではないかなぁ~と。
まあ、撃つ相手が本当にソルジャーだけなのかは分かりませんがw

さて、次回はいよいよ……

それでは次回もどうかよろしくお願いいたします。


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