転生しても戦争だった ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~ 作:ガンスリンガー中年
強いて言うなら……『近衛印の策略は、”こうかはばつぐんだ!”』だった?
イタリア王国とバチカン市国が作成し、日本皇国が資金源となり配布(大規模空中散布)した”国籍剝奪並びに破門通知。および指名手配書”は、実は近衛首相が想定した以上の効果を発揮していた。
まず、イタリア政府が法的な意味で”非国民(イタリア王国民に非ず)”としたせいで、出生届、婚姻届、死亡届などの各種届出や各種公共サービスの受諾も機能が北部で麻痺している現在だけでなく、この先も得られる可能性は無くなった。
それよりも更に多かったのは、教皇庁からの破門だった。
冠婚葬祭に関する事務手続きは、イタリアも近代国家である以上、政府が取り仕切ってはいるのだが……例えば、洗礼。結婚式、あるいは総指揮に埋葬……イタリア人の生活にかくも教会は未だに密接に関わっており、それらが全て「破門を理由」に拒否されるのだ。
これは現実面よりも心理面での影響が大きかった。
”無国籍人で非キリスト教徒の懸賞をかけられた犯罪者”
これが北部イタリアに巣食う”赤色勢力のトップ300人”の『イタリア王国における
これは思いの外、『懸賞品目当ての襲撃に対する心理的ハードル』を大きく押し下げたのだ。
ちょっと前提を書くが……
300名というは戦闘員だけで”北イタリア社会主義共和国”に対しては如何にも少なく感じるかもしれない。
だが、想像して欲しい。
現実の日本政府の権力者順にトップ300人が機能不全に陥ったらどうなるかを。
しかも、”北イタリア社会主義共和国”は北部在住のイタリア人全てが、「赤化と赤色勢力による統治と支配」を受け入れた訳ではないのだ。
現実的に言えば、末端の構成員まで含めても”北イタリア社会主義共和国”と呼べるのは精々100万規模だろう。
何しろ、元々が三派11流28団体の寄せ集めだ。民心掌握以前に先王とムッソリーニの首を跳ね飛ばした後も、くだらない
これ史実でもちょっと似たような事があり、「1946年の王政廃止に関するイタリアの国民投票」で王政が廃止になると決定したとき、イタリアの社会主義者や共産主義者が本当にイタリア国民の支持を得ていたら、その時点でイタリアは共和制に移行せず、社会主義国家や共産主義国家になり、”赤い旅団”も生まれなかったはずだ。
そもそもこの王家存続の是非を問う国民投票自体がかなり胡散臭く、英国は王政存続に賛成したがアメリカが反対。また、その走狗に成り果てた史実ではジブラルタル司令官まで務めたが、実は終戦直後に
国民全体の支持は失いつつあったが、それでも南部などでは強い支持があり、何度も書いているが当時は凄まじい赤色汚染だったアメリカとイタリアの左翼、「赤軍大好きアカのシンパ。ついでにチャーチルとイタリア国王が嫌いで、ルーズベルトが大好き」というプロフィールの”裏切り者のマクファーレン”の妨害や政治工作・情報操作があったにも関わらず、王政廃止への賛同数は”有効投票数の54%”という僅差に過ぎなかった。
つまり46%も君主制の存続に賛成だったという訳だ。例えば、この世界線でもやたらと登場するナポリは保守派が強く、実に投票数の80%が「王政廃止反対」だったらしい。
おまけにその投票取り仕切っていたのは当時の法務長官、パルミーロ・トリアッティという男なのだが……この男、『イタリア共産党の書記長』で、死んだのはソ連だ。
もう、国民投票で何が起きたのかは大体想像できる。
☆☆☆
万事が万事、こんな感じの当時のイタリアに巣食った左派・左翼・赤色勢力なのだが……
その本質は”この世界線”においてもなんら変わらず、故に何とも皮肉であり、同時に必然でもある事態が起きたのだ。
そう、最初に”
まず、賞金首=”北イタリア社会主義共和国の権力者トップから300有余名”と考えて欲しいのだが、その手の連中が物資欠乏の中、イタリア北部に密輸された物資を入手した場合、どうするかだ。
当然、首脳部やそれにぶら下がっている連中は、「富の公平分配を金科玉条とする共産主義」と正反対の行動を取った。
なんのことは無い。現実のソ連で起きた事と同じだ。
要するに、”北イタリア社会主義共和国”とは『ソ連を猿真似して矮小化した劣化版の下位互換』であったのだ。
ならば、リストに名のない中堅どころがその下の者達を扇動して物資引換券となった上層に下剋上を起こすのは、”北イタリア社会主義共和国”の成り立ちから考えても当然だった。
そもそもこ奴らは、故ムッソリーニが見放したように元々は社会主義や共産主義を標榜しつつ『徒党を組んで富裕層を襲撃し、金品強奪の上に家人を犯し殺してきた』ような輩も多いのだ。
加えてリスト入りした連中は、「国からも神からも見放された賞金首」だ。躊躇いは無かった。
実に滑稽なのは、自分達が「リストに名を記載されて無いだけで同じ穴の狢」ということをきれいさっぱり忘れている事だ。
そう、北イタリア社会主義共和国の構成員というだけで、彼ら・彼女らもまたテロリストなのだ。
だが、見事にリスト入りを果たした300有余名も大人しく狩られてやるつもりは無かったようだ。
その取り巻きやつるんでいた富裕層の(本来は自衛目的で雇った)私兵や用心棒と共に、説得以前に”血の粛清”だ。
そして、その千載一遇の待っていた者達がいた。
カモッラの傘下・提携を筆頭に犯罪結社は、金持ちが後生大事に隠し持ってきた金品をより効率的に巻き上げる為に食糧などの生活物資以外にも武器弾薬も流し始め、更には息を潜めて機会をうかがっていた『
”
ちなみにこのアエタリア・マフィア、本家マフィアの中にも構成員あるいは同志が紛れ込んでいたりするので、今回の「北部の主要アカ」の情報提供でも暗躍していたのだろう。
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「ねえ……なんか想定より大変なことになってない?」
ローマの宮殿にてマリアンナがそう訝しんでいると、
「いんや。まだ想定内だ。兄上が焚きつけた以上、タガが外れた近衛はこの程度の事は平然とやるだろうさ」
和仁は流石に皇族の一員だけあり、近衛首相の
「そ、そうなの?」
「ああ。あの喧嘩上等の擬人化みたいなオッサン、結構、中身は怜悧冷徹冷厳の三拍子揃ったおっかない男だぞ? それと”
「えっ? コノエ首相も転生者なの?」
どうやらマリアンナ的には初耳だったらしい。
「まあな。石油がとれること前提に油田が未発見だったリビアに肩入れし、アオゾウ地区のウラン鉱脈目当てにチャドに逆侵攻をかけたのは最終的には全部、首相の指示さ。転生者でなければ間違いなく、知らん知識だろ?」
(というか、現地人の雇用確保をお題目に鉱夫集めてもう試掘始めてるとか手際よすぎだろう……)
ちなみに今は北アフリカでは皇国の最友好国である”リビア
人口稀薄地帯でもあるフェザーンだからこそ使える荒業でもある。
(というのが建前だな)
「ちなみにリビア、フェザーンに原子力産業が根付くまでの”繋ぎ”って名目で、軍の兵器実射実験場や射爆場を誘致したのも近衛首相だぜ?」
(もう何の”実験”を何に紛れ込ませようとしてるのか一目瞭然だよなぁ~)
「まあ、本国じゃあ”平和利用”を建前に核の動力化や発電化に勤しんでいるって名目だから……まあ、やむなしか」
日本皇国には湯浅、湯川、仁科などの優れた核物理学者がおり、それどころか『史実でも日本が大のお気に入り』だったらしい、”
彼らは総じて、核エネルギーの兵器転用には反対していた。
厳密に言えば、『暴発させるのではなく、制御して次世代エネルギーとして使う』ことへと皇国核物理学界隈では研究がシフトしていた。
「カズヒト、何か言った?」
「うんにゃ。まあ、害悪だとわかっていても必要な物ってのはあるもんだなっとな。それが”必要悪”ってものかもしれん」
(まあ、少なくとも時間的・物理的制約で、今次大戦で皇国が使う可能性は低いが)
「なにそれ? ムッソリーニとかの話?」
「ああ、アレも北部のアカも、確かに”必要悪”
「過去形なのね? まあ、ムッソリーニはもうこの世から強制退去させられてるけど」
「『必要悪、必要なくなりゃただの悪』ってのも真理なのかもな」
割と意味深長な言葉ではあるが、
「いずれにせよ、マリアンナ……俺たちが出来ることは、当面の間はイチャつくことしかなさそうだ」
(噓だけどな)
はい。皆様の期待を裏切らず、イタリア北部は良い感じにgdgd(流血付き)になってきましたw
まあ、歴史を紐解けば「革命(あるいはクーデター)と称する裏切りと下剋上こそがアカの華」でありまして。
えっ? ”粛清”? あれは日常風景ないしルーチンワークなのでは?
ただ今回の特殊イベント”北伐”で発生した導入部のその本質は、「革命思想そっちのけの保身と物資の奪い合い」だったりw
そして久しぶりに「サンクトペテルブルグ以外」で出てきた”
そして、最後に”不穏”を滲ませてくるカズヒト殿下w
割としっかり「人を見て」ます。
どうやら、”
なんか温泉つかって湯治養生と洒落こみ、史実より長生きしそうな予感。
この世界線において、「北部チャドを併合したリビア三国連合」は、予想以上に戦後も含めて大きな意味を持ちそうです。
さて次回は、リビア(キレナイカ王国)繋がりでハーレム系狙撃手がちょこっと顔出しするかも?
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次回もどうかよろしくお願いいたします。