新ZOIDS伝説ー獅子皇の章ー   作:ドラギオン

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今回は二話連続投稿です。


神秘

ぼやける視界に、天井らしき壁と電灯が見える。

「あれ、死んだ?」

 

 目を開け、ボーとする脳がしばらく覚醒しない。寝惚けながら天井に手を伸ばす。

「起きたのかいセオリ。三日ぶりだね」

「よかったっす」

「感激。本当に心配したであります! 本当にセオリ様を失うかと~」

「此処は?」

「正規軍の基地っす。そしてここは医務室っす」

 

 目を覚ましたセオリの手を握る、泣きそうな顔のアインと脇のベンチに腰掛けるアンナとハットン。アインは、顔布を外し素顔を晒しているが、泣く事に集中して気が付いていない。

(相変わらず可愛いな、喋り方も変わってるし)

 

「そういえば、なんで寝てるんだ痛っ!」

「駄目。動かないでください!」

 

 起き上ろうとすると、体中に痛みが走り、慌ててベッドに抑えられる。良く見ると体中に包帯が巻いてあった。其処であのジェノリセッターとの戦いを思い出した。圧倒的な力に嬲られ、最終的に……。

「オウドは!? オウドライガーは!」

 

 再び痛みに顔を歪めるも、上半身を起こしユース団の3人に問いかけた。すると、ハットンが「落ち着いて下さい」と嗜める。

 

「オウドライガーは、損傷は大きいですけどコアは無事っす」

「あんたと一緒で眠ってるだけさ、直に稼働するだろうよ」

「安静。今は大人しく」

 

 再び三人がセオリをベッドに戻そうとするが、彼女が「大丈夫」といいゆっくりと起き上る。何故か、その後に手摺を掴みながら歩くセオリを止められなった。

 そして、彼女の姿がドアの向こう側に消えると、三人が慌てて追いかけた。追いかけた三人だが、必死に前に進むセオリを止めず、肩を貸す。

 

「大丈夫って、結構な打ち身とかあったんだよ!」

「それに何で歩けてるんですか? 脚の骨折れてたはずっすよ」

「驚愕。無理しないでください」

「問題ないよ。昔から痛みには、強いし身体も頑丈なんだ、オウドライガー何処にいるの?」

 

 ズンズン正規軍基地の通路を進むセオリだが、正直目的地が分からず、頭を抱えたユース団に案内される。案内されるまま、格納庫に向かうと、多数の最新機器が配備された軍の整備室が目に入る。格納庫内には、ゴジュラスなどの大型ゾイド

 

「へぇ、凄いね」

「あたい達も初めて入れてもらったけど、これには驚いたね」

「今回は、街の防衛に協力したってことで軍から報奨で、損傷個所を直してくれるそうっすよ」

 

 自分達の愛機もジェノリセッターとの戦闘で損傷を負ったため、渡りに船だったと言う。格納庫をアンナ達と歩いていると、整備中のレッドホーンの前でコンソールを弄っていた人物が走ってこちらに来た。

 

「おぉ、目を覚ましたのかい?」

「え?」

 

 突然、金髪の軍服を着た軍人に話しかけられ反応に困るセオリ。そんな彼女の心境を察してかアンナが説明混じりに答えた。

「この人は、ペンウッド・ミラルド曹長だよ。動けなくなってたあたい達を助けて此処まで運んでくれたのさ」

「どうも、初めまして」

「初めまして、セオリです」

 

 相手の差し出してきた握手に応える。握手し終えるとペンウッド軍曹が彼女に問いかけてきた。

「早速で悪いのだが、セオリ君。君の乗るゾイドについて聞いても良いだろうか?」

「オウドライガーについてですか?」 

「あぁ、私は長く軍人をやっているが、あんな特殊なゾイドを見た事がない」

「どう言うことですか?」

 

 セオリが質問すると、見てもらった方が早いとオウドライガーが整備されている倉庫に連れられる。

其処で見たのは……。

 

『ガォオオ。ガォオオオオ』

倉庫内で暴れるオウドライガーとそれを抑えようとするアイアンコング2機だった。

「何でこんな酷いことに」

「君のオウドライガーは、どうにも自我が強いらしく整備すらさせてもらえないんだ。だが、修理しなくては、あの傷で長く持たない」

そう聞くと、セオリが一目散にオウドライガーに駆け寄る。すると、セオリの姿を見たオウドライガーが暴れるのをやめる。

 

「お、急に大人しくなった」

「どうしたんだ?」

アイアンコングに乗っていた二人組が疑問の声を上げる。

「君達、ご苦労様。そいつのパイロットが目覚めたから休憩に入ってくれ」

「了解です軍曹」

下から、大声で指示するペンウッド軍曹。彼の姿を捉えた二人の兵士は敬礼しながら下がっていく。

 

だが、彼らを一切気に掛けずセオリがライガーを受け入れるように両手を広げる。オウドライガーもまるで暫く留守だった飼い主に合う猫のように、伏せながらセオリに鼻先を触れる。

「ごめんな。私が不甲斐ないばっかりに、こんな傷負わせちゃって……」

『グゥルル』

 

ライガーを撫でながら、謝るとライガーが首を降る。まるでお前のせいではないと言わんばかりに。

 

「私……強くなる。もう二度とオウドにこんな怪我させない」

『ガォオオオオ』

 

セオリの宣言に、喜ぶような咆哮を天に上げるオウドライガー。咆哮を上げたと同時に光に包まれる。

 

「離れたまえ」謎の発光現象にセオリが飲まれる前に、ペンウッド軍曹が彼女の腕を掴んで引き寄せる。

そして、光にオウドライガーが完全に包まれる。だが、それだけじゃなかった。

 

「セオリ!」「光ってるっす!」「神秘。摩訶不思議です。というか大丈夫ですかセオリ様!」

 

なんとセオリの身体もオウドライガーと同じように謎の光に包まれた。

「いったい何が起こっているのだ?」

 

さすがのペンウッド軍曹も未知の現象に為す術がなく、光が消えるのを待つしかない。

 

セオリとオウドライガーが、光に包まれ10分が経過した時、ようやく光が弱まる。すると、光の中からオウドライガーが現れる。その姿は、ジェノリセッターとの戦う前の万全の姿に戻っており、バスタークローで貫かれた胸部と右肩が修復されていた。

  

「セオリってアンタ何ともなかったのかい?」

 同じく光から出てきたセオリ。光の中にいたせいで視界がぼやけるようだ。

「光の中で何がったのかね?」

「な、なんともないよ。なんか急に暖かい光に包まれてボーっとしてた」

 

 目をパチパチしながら、自分に何が起こったのか理解してないセオリ。フラフラとおぼつかない足つきで歩く彼女をアンナが支える。

「すまないが、この指は何本に見える?」

「三本」

「そうか、他に変わった所はあるかい?」

 ペンウッド軍曹が、セオリの前で指を立て、それを彼女が答える。無事に数が数えられている事が確認でき、意識がハッキリ覚醒している事に安緒した。

 

「そういえば、さっきまで痛かった体中が痛くない」

「そんな馬鹿な事ありえないっすよ。セオリさん全治2週間っすよ」

「本当だってば、むしろ以前より体が軽い」

 

 怪我が完治した事を証明するため、ピョンピョン跳び羽ながら健康アピールするセオリ。それを見ていた軍曹が、深刻な表情でセオリに問い詰めるペンウッド軍曹。

 

「君のゾイド、オウドライガーは一体何だ?」

「軍曹さん、落ち着いて!」

「気になってるのは分かるけど、セオリが話せる状況じゃなきゃだめだよ」

 

 ゾイドの開発と研究する部署に、勤めていた事もあるインテリ軍人の性から、目の前の興味深い研究対象を見つけ興奮気味だったペンウッドは、咳払いし落ち着く。

 落ち着きを取り戻したペンウッドに、彼の執務室に案内されソファーに腰掛けながら、話を聞く一同。

 

「申し訳ない取り乱した。だが、オウドライガーについて修理する段階で調べさせて貰ったのだがね。オウドライガーの装甲や内部の素材が惑星ziに存在しない金属で構成されている」

 

 ペンウッド軍曹が、手の持つリモコンで執務室のモニターにオウドライガーのデータが投影される。その画面に全員が釘付けになっている。

「今わかっているだけでも、メタルziより強固な装甲で覆われている。他にも、オウドライガーに使われている技術は、未知または、我々の科学力では真似できない物ばかりだ。君は何処でこのようなゾイドを手に入れたんだい?」

 

 ペンウッドのしめした疑問に、アンナとハットンも同じく疑問に思っていたらしくセオリに期待を寄せた目を向ける。果たして、軍人のペンウッドの居る所で帝王のゾイドであると話して良いものか考える。

 

「未知のテクノロジーは、これまでに世界を救いもすれば、破壊もしてきた。貴方は恐らく前者であると信じていますが、今は帝国と共和国の戦争状態。もし、貴方のオウドライガーのような存在が悪用されたら、大勢の死者が出ます。話せるだけでいい、事情を説明してもらえないだろうか?」

 

 ペンウッドの真剣な瞳に、隠すのは適切でないと感じたセオリが静かに首を縦に振る。

 

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