村での激しい戦闘を終え、新たなパートナーを得たセオリ。彼女がオウドライガーで村の避難所に辿り着いた時、彼女の見たのは、新たな惨劇だった。
4足で素早く大地を駆け、村から少し離れた場所にある緑と何より水が豊かなオアシス。それが今は、絶望の表情で立ち尽くす村人達の前で湖の水がほとんど無くなり、
「どうしてこんなことが、皆は無事なのかしら」
ライガーで、村人たちが避難している借りの集落に歩み寄る。すると、集落から出てきた村人達が、それぞれ銃機を持ってこちらに向かって発砲してくる。
「え、ちょ、どうして」
いきなりの攻撃に訳が分からなくなったセオリ。思わずライガーを一歩後退させる。
「おのれ! よくも村を!」
「この裏切り者どもが!」
「旦那を返してよ!」
40人ほどの老若男女が、怒りと憎しみの表情でこちらに憎悪を向けられる。何故村人達に憎悪を向けられているのかわからないセオリは、オロオロとライガーのマイク越しに声を出す。
「わ、私は何もしてないよ!」
彼の声を出すと、村人達が「セオリだ」「セオリの声だ」「あいつも裏切ったのか!」と彼女だと認識されても悪意は向けられっぱなしになる。
今まで見た事も無い村人達の憎悪に泣きだしそうになっているセオリだが、セオリが謎のゾイドに乗っている事に気が付いた中で数人の村人達が他の村人を押さえる。
「おい、セオリは裏切ってなんか無いぞ」
「そうだ、さっきも俺達を逃がすために戦ってくれたんだ」
「それに、襲撃の時セオリのライガーゼロは、いなかったよ」
先程セオリが救出した男達が他の怒れる村人たちを説得する。すると、我を忘れていた村人達も「そうだよな」「それにセオリが虐殺なんか、できる度胸ないよな」「ごめんなさいセオリちゃん」と全員が武器を降ろしてくれたところで、セオリもようやく安心する。
そして、オウドライガーを伏せる状態に固定しハッチを開けて、出ていく。すると先程庇ってくれた村人達に「さっきは助かった」などと礼を言われ、武器を向けた村人達は、常々に謝罪して行った。
そこで、セオリは気になっていた事を村人達に聞いた。
「どうして村にシュセイン帝国が攻めて来たの? それに自警団『金獅子の騎士団』は、どうしたの?」
彼女の質問に村人全員が暗い表情をする。そして、万を期して一人の村人が話した。
「帝国の奴ら、遺跡に眠る伝説のゾイドを寄越せとか言ってきた。それに従わなかったら急に攻撃を……」
それは、さっき戦闘で実感していた。帝国は、目的のためなら手段を選ばない。
「自警団は? ライガータイプが10機も居たんだよ? バイオティラノが強いと言っても、全機でかかれば倒せない相手じゃ」
彼女の言葉に村人は、拳を握りしめる。そして、深呼吸で一息おいて話しだす。
「あいつらは、全員帝国側に寝返ったのさ」
「え?」
「奴らは、帝国軍が出向いてくると同時に、ライガーを駆って出ていった。ロンのシールドライガーだけが、村を護ろうとしてくれた」
「ロン……」
「だが、ゴウサのゼロファルコンが背後から、バスタークローでロンの乗るシールドライガーを破壊したんだ」
村人の言葉に、セオリは言葉を失い口元を手で覆った。村に住んでから慕っていた自警団の皆。それぞれが強く、偉大なゾイド乗り達で彼女の憧れだった。
そんなゾイド乗り達が村人を裏切って帝国に着くなんて、受け入れがたい事実だった。
「じゃ、ロンは! ロンは無事なのか」
彼女は、幼馴染みの少年の身を案じた。すると集落から、手足に包帯を巻いた茶髪に黒眼の幼馴染みが出てくる。彼は、セオリの傍まで行くと少しふら付いたが彼女が支えた。
「お、わりぃ。シールドライガーは、機能停止したが俺は怪我だけで済んだ」
「よかった」
「あぁ、一番下っ端のくせにコイツこそが真の英雄だったよ」
「痛いって」
村人の一人が彼の背中をバシバシと叩く。
幼馴染みの無事と活躍を聞いて安心する。そして、裏切った自警団の事を考えるセオリ。
(あれだけ良い人達だったのに、どうして)
「そういえば、セオリこのゾイドななんだ? それにライガーゼロはどうしたんだ?」
幼馴染みの質問に、彼女も顔を顰める。
「ゼロは、バイオティラノとの戦闘で……この子は、ゼロが死の間際に目覚めさせてくれたゾイドなんだ」
「そうか、あいつ最後までお前を守って意思をコイツについでもらったんだな」
「うん、オウドライガーっていうんだ。とっても強い子だよ。この子がいなかったら私も死んでた」
動かないで伏せているオウドライガーの顔を撫でながら、そう言うと。一番大きいテントから長老がお供二人を連れて出てくる。その様子が目を大きく開き慌ててセオリの方向に走って来る。
「こ、これは遺跡の最深部、獅子王の石像だったものか!」
「う、うん」
凄い形相で、セオリに質問する村長。彼女は若干引きながらも肯定する。すると村長は険しい表情のままセオリに告げる。
「数千年前の大異変『神々の怒り』を知っておるな?」
「うん、歴史の教科書にも載ってた。昔は月が二つだったんだよね」
「このゾイドは、ある日宇宙から降ってきた月、その中から現れたと言うのが、獅子王を含む4体のゾイドだと言う。そして、復活した4機。月が落ちた事で大異変を起こしていた大地で4機は引かれるように争い、その神々とも言える戦闘の影響で惑星の文明は完全に滅んだのじゃ。」
「その四体の一機がオウド? それが神々の怒りって言う意味?」
「そうじゃ。我らが村の先祖は、戦闘を終え機能を停止した獅子王を遺跡の最深部に封印したのじゃ」
「そういえば、一番奥にいた」
「獅子王を封印した遺跡の上にジェネレーターを築いた。ジェネレータの力で獅子王の存在を隠し封印するためにの。この村には、獅子王に引かれてかライガータイプのゾイドが集まるようになった。先祖たちは、ライガー達と絆を結びこの遺跡を護ることを決めた」
「金獅子の騎士団」
「そう。ライガーも自らの王の墓を守ることに協力的で村は、数百年前のバイオゾイド戦争の最中も安全に護られてきた。しかしじゃ、今こうして獅子王が目覚めていると言う事は、再び神々の怒りが起こるやもしれん」
「そんな……」
「だが、文献にはもう一つの可能性も示されている。獅子王を含む4機を帝王のゾイドと呼ぶ。帝王のゾイドは、世界に混乱と破壊が迫ると蘇り、惑星ziを救うともな」
村長の話を聞いて、セオリは自分を救ってくれたライガーを撫でながら(お前は破壊の権化なんかじゃないよね)と願う。そして、村長のもう一つの可能性を聞き目が輝く。村長は(分かりやすい娘じゃ)と表情が和らぐ。
「恐らく、獅子王以外にも帝王は続々と蘇るじゃろう。セオリ、そなたは獅子王に選ばれた。帝王のゾイドは、主を一人しか認めん。故に獅子王の力は全てお主の物。ならばセオリよ、お主はその力で持って何をする?」
「……。私は、世界を知りたい」
「ほう、それは何故じゃ」
「ゼロが救ってくれた命と生き返らせたオウドには、意味があると思う。ゼロは、私とオウドに何かを託したの。それに古の歴史にあるライガー乗りは、偉大な所業を残してきた、オウドがライガーである事は運命だと思うから」
真っすぐに村長を見返すセオリの澄んだ瞳に、村長は笑いだした。そして、両脇に居る側近も声を出さないが微笑んでセオリをみる。騎士団の裏切りと村が壊滅した状況でなお、希望を捨てぬ若者がいることが嬉しくてたまらなかったのだ。
「ならばセオリよ。そなたは村を出て世界を巡るがいい。世界の何処かに帝王のゾイドがいるのならきっと見つけられる筈じゃ、恐らく世界に迫る脅威とは、シュセイン帝国の事。ならば帝国を中心として繋がる筈じゃ。だが、他の帝王乗りがお主のように平和的とも限らん、争うことになるかもしれん、だがワシは、お主を信じておる」
「で、でも村がこんな状態じゃ」
セオリも他の帝王のゾイドと会ってみたいと思った。だが、壊滅した村や村人を放って旅など出れない。
「お前はそんなこと気にするな。だいたい獅子の村の俺達がそんな柔なわけねぇだろ!」
そう告げると村長ではなく幼馴染みのロンが胸をドンっと叩きながらセオリに言った。
「でも、ゾイドだってカールグスタフ2機だけなんだよ?」
そう、実際に村に残されたゾイドは、輸送用のカールグスタフ2機のみ。戦力にすらならない。これでは、帝国軍所か野生のゾイドが出現するだけで大惨事になる。
「俺のシールドライガーは、今眠ってるだけだ。こいつは俺と一緒で一回死んだくらいじゃ、くたばらねぇよ」
「死んでる段階でくたばっとるがの」
ロンの天然発言に村長が、突っ込みを入れる。それに顔を真っ赤にしたロンと話を聞いて笑顔がこぼれる周囲。
まだ、涙を流し悲しみに暮れる者もいる。だが獅子王の村の一族は、滅びず誇りは不滅なのだ。
「わかった私、旅をする。そして、世界を知る」
「そうか、じゃが出発は明日にせい。準備をさせる」
「だ、大丈夫なの? 」
任せろと村長が言うが、旅の準備に回す食料などが避難場所にあるとは思えなかった。しかし、彼女の不安は直ぐに必要無くなった。
「大丈夫だよ。村長は趣味の家庭菜園と牧畜を地下で密かに営んでいてな。このオアシスの地下は、一種の食料庫だ」
「だから、安心せい。少なくとも一年は村人全員を賄える。その間に村も復興する」
「わかったよ村長」
そして、セオリは旅の準備を進めることにした。旅の装備をオウドライガーの首下に詰め込んでいく。
ある程度荷造りが終わると村での残りの時間を過ごす間に、村の人達に挨拶を交わしていった。
そして、避難場所の地下、ゾイドの整備用の空間に足を運ぶ。オウドライガーの隣、そこでロンが動かなくなった黒いシールドライガーを眺めていた。その表情は、悲しみと悔しさが滲み出ていた。
すると、セオリがいる事に気が付いたロンがセオリに話しかけた。
「お前明日早いんだろ? いいのかよ寝ないで」
「シールドライガー動くといいな」「無視かよ
、そうだな」
「治るの?」
彼女の質問に彼は暫く黙り込む。先程は、強がりからの言葉を発したがライガーに乗っていたロンだからこそ、いつも騎士団でゼロファルコンと闘っていたからこそ絶望的なのを知っていた。
「幸いコアは、死んでない。なぁライガーゼロを死なせた時、どう思った?」
「悔しかった。私の力が足りないからゼロを死なせてしまたって……」
「だよな……悔しいわ。涙が出るくらい悔しい」
拳を握り締めながら、ロンはセオリに心の内を話す。それは、同じく相棒を失ったセオリにしか共感できない。
「帝国と戦う事になれば、必ず騎士団とも戦う事になる。でも私は彼らを殺せないと思う、誰かを殺そうと考えると、けど絶対に負けない」
「あぁ、信じてるよ親友」
二人が其々のライガーを見上げながら、会話の終わりを迎えた。
惑星Ziの神々の怒りを独自解釈してしまいました。
次回は多分戦闘シーンも登場すると思うので、よろしくお願いします。何か出して欲しいゾイドがあれば、感想でお願いします。多少であればオリジナルでも可です。