避難所の襲撃事件。セオリとオウドライガーの活躍で襲撃者クルーゼのライガーゼロ・エンキを撃破した。しかし結局のところ、エンキとクルーゼは、前足を破壊されたと同時に爆発を囮に逃げていた。
気を失っていたセオリは、ロンの声で目覚めオウドライガーを操縦し避難場所に帰る。
攻撃を受けた避難所だが、初めからクルーゼは、オウドライガーを炙り出す目的があったので直接は狙わず、あえて外していたために犠牲者は居なかった。
だが、セオリとオウドライガーがいる限り、村への襲撃は無くならないと考えたセオリは、日の出と同時に出発することを決めた。
いつでも、動けるようにオウドライガーの傍に寝袋で眠るセオリ。だが、眠気は一向に来なかった。気を失っていた時、セオリではない別のセオリがオウドライガーを動かしクルーゼを撃破した事実。
全く記憶にない、だが彼女は昔からこういう症状があった。昔、ロンと喧嘩していた時、気が付けばロンが血塗れになるまで殴っていた事があった。だが、それ以降症状が出なかったので安心していたが、襲撃で彼女の中の何かが目覚めたと言える。
悩みは一切解決しなかった。だが、そのうちに眠気がセオリに訪れ少しの間夢の国に旅立たせた。
――ー――ー――ー――ー――
翌朝、湖の水に朝日が反射し、キラキラと輝いていた。その光景を見据えながら、セオリはライガーに乗り込み出発する。
「改めてよろしくね。オウドライガー」
『ガァオ』
新たな相棒に挨拶しながら、格納庫から出る。すると目の前に黒いブレードライガー、ロン命名によりコクトーが待っていた。
コクトーがオウドライガーに並んで歩き出す。
「見送り?」
「おう、親友の旅立ちだからな。今までの旅行と違って長い旅になりそうだからな」
「コクトーは、乗りやすい?」
「あぁ、昨日クルーゼに負けたのは俺が未熟だったからだ。コクトーなら勝ててた」
「私だって……オウドライガーの性能を引き出してあげれれば、あんなにやられなかった」
「そうだな。でも、俺と一緒で長くゾイドと過ごせば強くなれる。セオリ、村は、任せろ。俺とコクトーで絶対守り抜く、だから古里の心配しないで全力で旅してこい、いつでも帰る所はここにある」
ロンが励ましの言葉を延べながら、胸を叩いていた。すると胸を叩いた時に何かを思い出したのかハッチを開けた。
「そういえばコレ。お前にわたさなきゃいけなかった」
そう言って、ロンは光る何かをセオリに投げた。慌ててハッチを開いた彼女が受け取ったものは、光る鉱石だった。
「コレなに?」
「地下遺跡をコクトーで調べに行ったら、ライガーゼロの石像から出てきた。恐らくゼロのメモリーの欠片だ」
そう説明された時、セオリはそれを胸に抱き締めた。ゼロの形見を渡してくれたことに彼女は、ロンに感謝し、村から少し離れた場所で彼と別れた。
「ありがとーロン。村長にも言っておいてくれよ」「無理すんなよ。じゃあな」
コクトーが、村に帰るために頭を翻した。それを見送りセオリとオウドライガーもとりあえず東に向かう。東には、大きな山岳地帯と町が多くあり情報収集しやすいのだ。一番近い町まで、直線で行けるが距離は、700㎞程離れていた。
オウドライガーを走らせながら、彼女はライガーの性能を試すことにした。
「最大加速やってみるよ」
『ガァオオオ』
セオリの言葉に応えるように、ライガーの足を動かす速度が速まり、グングン速度が上がっていく。
「これで250㎞、まだぜん全然踏み込んでないのに……」(昨日は、こんなに加速出来なかったけど……)
既にライガーゼロの最高速度を越えており、慣れない速度に困る。だが、いける所までやろうと決めていた 。
そして、足元のペダルを最大に踏む。すると、オウドライガーの四肢から光の粒子が零れ出す。それにともないコックピットのセオリを過大な重圧が襲う速度に達する。
(500㎞……こんなに速いライガーなのか。でも、まだいける)
彼女の自信に伴い、オウドライガーのゾイドコアが内部で活性化した。セオリはしらないが体内でゾイドコアが活性化したと同時に強大なエネルギー粒子が四肢から放出された。
そして、700㎞を越えた段階でオウドライガーは、昨日と同じく光の粒子に包まれ閃光と化して地上を駆けていた。
「な、なんて、うわーー」
まだまだ加速するオウドライガー。既に音速の壁を大地を駆けながら突破し凄まじい衝撃波と大地を蹴った事で出来たクレーターが大惨事の後として残る。
そして、加速を止めないオウドライガーは、遂にセオリの想像を越えた。
それは一瞬だった。特殊なフィールドがコックピット内に瞬時に展開されたと同時に、周囲の光景が一変した。
「あれ?」
セオリが気が付いたときには、広大な砂漠ではなく激しい交差のある山岳地帯だった。しかも周囲は、何かの高温で溶けており、しかも全ての物がオウドライガーを中心に吹っ飛んでいた。更に至るところが高温を放ってマグマの中に要るようだった。
恐る恐るオウドライガーで背後を見ると、広大な砂漠に灼熱で発火している一本の道が出来ていた。
「オウドライガー……どんな速度出したんだ?」
帝王のゾイド、その恐ろしき性能の片鱗を見たのだ。もしオウドライガーの進行方向に町があれば、先程の光にも匹敵する速度で移動すれば全て吹っ飛び灰に変わるだろう。通り過ぎるだけで町、いや国すら地獄に変わる。
そんな破格のゾイドが4機全力で争ったのだ。惑星が耐えられず、文明がリセットされるのも納得がいった。
「ライガー、さっきの速度使っちゃダメだ。できる限り……最高速度400㎞でいい」
『ガオ?』
セオリの言葉に理解が追い付かないオウドライガー。だが、彼女の声で自動的にリミッターが設けられたのだ。
彼女としては、移動だけで周囲を地獄にしたくない上に戦闘中も気を使わねばならないため必然であった。ちょっとアクセルを踏み込んだだけで、周囲を焦土へと変わるなど考えてとても戦えないのだ。
「もうちょっと加減が欲しいな。オウドライガー、次はもう少しゆっくりでお願い」
『ガォ……グルル』
不満げなオウドライガーの反応に、また難儀な性格のゾイドとパートナーになったと肩を竦めながら、大分距離を進む事が出来たので、ゆっくり歩む事にした。
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「アンナ、なんか見た事の無いゾイドが、山岳地帯に入ったすよ」
疲れたような男の声が、セオリ達からは到底見えない場所でする。
「どんなタイプだい? 恐竜型はやめときな、数日前にスラッガーの連中が帝国と一緒に全滅させられたらしいからね」
男の通信に、偉そうな口調の女が答える。
「ライガーに見えるっすね」「方角的に獅子王の村からか、アインを呼びな。久々に大物だよ」
女性の声に、気だるそうな男は、「へいへい」と答えた。