新ZOIDS伝説ー獅子皇の章ー   作:ドラギオン

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ユース団

 山岳地帯の高低差に激しい岩山を進むセオリとオウドライガー。

 

 初めて訪れた山岳地帯を観光気分で見渡すセオリ。無言で歩み続けるオウドライガーも古に訪れた景色に似ているものを感じたのか、楽しげである。

 

「休憩は、いる?」唐突に彼女がライガーに質問する。いまいち言葉を理解できなかったのか首を傾げるライガー。

 

「ライガーゼロ……私の元相棒。お爺ちゃんでね、一回運動するとすぐにオーバーヒートしてたんだ。だから、オウドライガーはもっと年寄りだから、大丈夫かなってうわっ」

『ガォオオオ』

 

 セオリの年寄りという言葉を本能で察したライガー。急に速度をあげ岩山を四肢で蹴りながら、素早く進んでいく。

「ごめんごめん。動けるのはわかったから止めてくれー」

 

 急な登山やロッククライミングの動きにセオリが先に音を上げた。ゾイドながら、自由気ままに動き回ったオウドライガーは、若干スッキリしているようである。

 

「オウドライガー、お前。プライド高いんだな……」

ようやく通常のペースで歩き出し、4本の足でなるべく平坦な道を進む。

 

 彼女とオウドライガーは、気が付いていないが彼女らから数㎞離れた位置に3機のゾイドが待ち構えていた。

「アンナ、なんかパイロットの声拾ったら女の子ぽいんですけど」

「関係ないよ。女なら高く売れるじゃないか」

疲れた声の男と威圧的な女の声。

 

「違反。ゾイドは奪い、搭乗者には手を出さない。先日の約束を忘れたかアンナ」

「忘れてないよ。冗談じゃないかアイン」

 

 怒られ、少し機嫌が斜めな姉御と呼ばれ女性。黒髪に褐色肌の真っ赤な露出の多い服を着た20代の女性アンナ。そして、アンナを叱った忍者装束に身を包み、顔は顔布で覆っている10代半ばの少女アイン。

 

「御二人とも、いい加減にしないと逃げられますぜ」

疲れた声、ダボダボのシャツとヨレヨレのズボンの30代のボサボサヘアの男性ハットン。

 

 ハットンは、茶色いペイントのカノントータスBCに乗り、黒いディバイソンに乗るアンナと白いセイバータイガーに乗るアインの二人に声をかける。

 

ハットンは、カノントータスの尻尾を地面に突き刺し 、ソナーの機能で音を拾っていた。それにより正確な位置を割り出し、二機にデータを送る。

 

「後、20秒で女の子の乗ったライガーが砲撃ポイントに到達するぜ」

「何故。女の子を強調する?」

「んな、こと気にしてる場合かい。アイン、ハットン。一斉攻撃だよ」

 

 ハットンに食って掛かるアインをたしなめ、一斉射撃の合図を出す。目標ポイントは、3機のゾイドが佇む絶壁の真下で、下にいるセオリには、目視できない。

 

 比較的有利な状況から、カノントータスの荷電粒子キャノンと105mm17門突撃砲のホーミング一斉射撃『メガロマックス』が上空から、呑気に歩いているオウドライガーを襲った。

 

『ガォオオオ』

「え、なに? 襲撃!? きゃああ」

 

 狙い通りに放たれた砲撃は、ほぼ全ての弾丸がオウドライガーに命中し、周囲の岩山も削った。

 

「アイン、動けない所を仕留めな」

「承知」

 

 短い言葉で了承したアイン。山岳地帯を自由に動くため足元を改良されたセイバータイガー(アウトドア)が素早く岩山を蹴りながら、オウドライガーに突進する。

 

そして、爆煙の中に消る。

「やったかい?」

「どうなんですか? アインさん」

 

 数秒後、仕留められたのか確認する二人。だがその時「何故。なんだこいつは! くそ、この」とアインが手こずる声とセイバータイガーの苦し気な声が聞こえる。

 

「なんか不味いぽいんですけど……援護するんで行ってください」

「言われなくても!」

 

 アインを救出するために、ディバイソンで崖を駆け降り薄れていく土煙のなかで立っている影に突進を仕掛ける。

「これでどうっすか」

『モォオ』

 カノントータスの地面を撃った射撃で完全に煙が、晴れる。煙の中から、巨大なライガーがセイバータイガーの首を噛みながら、こっちを見ていた。

 

「喰らいな! ディバイスタンプ」

 猛突進するディバイソンの角は、リーオ製で並大抵の装甲では、防げない。

 そして、オウドライガーとディバイソンがぶつかり合った。

 

「誰だか知らないけど、怒ったからな!」

『ガォオオオ』

 ディバイソンの突進は、直撃の寸前にセイバータイガーを放り投げたオウドライガーの頭突きで完封された。

 もちろん威力を完全に殺すことはできなかったが、踏ん張りが聞いたのか3m程後ろに押されただけだった。しかも、動きを止められ徐々にディバイソンが押され始める。

 

「なんてパワーだい。アイン無事か?」

「不覚。助太刀する」

 

 投げられたセイバータイガーは、壁に激突するも復帰し、背部のビームガトリングをオウドライガー目掛けて連射する。

「くっ、三対一なんて卑怯だろうが!」

 

 ビームガトリングを側面に受けながら、ディバイソンとパワー勝負を繰り広げるには、無理がある。

「一旦引くよ」

『ガォオウ』

 

 ディバイソンとの力比べをやめ、ディバイソンの力を利用し横に反らす。すると力を入れすぎたディバイソンが前に飛び出しビームガトリングの餌食になる。

『モォ、モォオ』

「どこ見て撃ってるんだい!?」

「すまぬ。だが、距離は空いたディバイソンの領域だ」

『グオウ』

「んなことわかってるよ。オラオラ!」

 

 距離をとったオウドライガー。しかし、中距離では、ディバイソンの砲撃をモロに受けてしまう。当然、ディバイソンの火力を前面に押し出すアンナ。

17もの強力な砲撃の連射を受け、オウドライガーが激しく揺れコックピットのセオリを衝撃が襲う。

 

「オウドライガー、さっきのシールドもう一回やれ」

 歯を噛み締めながら砲撃に耐えるセオリがオウドライガーに命令し、操縦桿をフルスロットルまで動かす。

『グォオオン』

 オウドライガーが咆哮を上げると同時に、ゾイドコアが活性化、ライガーの四肢の噴出口から白銀のタキオン粒子を放出。その粒子が加速しながらライガーの周囲を回転し、一種の竜巻を作り出す。

 

 グングン加速し回転する粒子は、ディバイソンの放った105mm17門突撃砲の連射とビームガトリングの掃射すら巻き込み規模を増しながら、強化されていく。

 

「ディバイソンの主砲が効かない」

「不明。しかも、Eシールドでもない。未確認」

 

 驚きながらも攻撃の手を緩めないアインとアンナ。しかし二人が攻撃すれば攻撃するほど、オウドライガーを包むシールドが激しさと規模を増していく。

 

「行くよ。覚悟しな」

『ガォオオオ』

 セオリの意気込みと同時に、オウドライガーの猛回転するT(タキオン)シールドが回転をやめ拡散した。

 無数の砲撃を飲み込み、膨大なエネルギーの奔流となったTシールドが拡散すると同時に、エネルギーの嵐となったタキオン粒子がアンナとアインに向かう。

 

「な、うそ」「くっ」エネルギーの嵐は、地面にしがみ付こうとするセイバータイガーと重量級のディバイソンを空に押し上げ、岩山に叩きつけた。そのダメージから二機のコンバットシステムがフリーズした。

 

「もう一人いたな。いくぞオウドライガー」

 

 頭に血が登っているセオリは、ライガーを素早く走らせ崖を登っていく。傾斜が急な崖を平坦な道のように駆けるライガー。そして、崖を登りきり、頂上に向かって飛び上がった。

 

「飛んでから着地までは、無防備ですよね」

「待ち伏せか」

 

 山頂で、カノントータスは主砲をチャージし続けていた。エネルギーを溜め続け多大な熱と光を放っている主砲が空中で身動きの取れないオウドライガーに向かって発射される。

 

『ガァォオオ』

 だが、フルチャージされた緑の閃光は、再び展開されたTシールドの超回転に巻き込まれ、シールドの一部となる。

 

「近距離でも、カノントータスの火力じゃ突破できないか」

 

 既に砲撃後の放熱中であり、元々機動力に欠けるカノントータスでは、迫り来るオウドライガーを回避できない。

 

「なんだって」

 オウドライガーのTシールドに接触したカノントータスの砲塔が、ミンチのように削られ消滅する。

 そして、シールドの回転に巻き込まれたカノントータスは、先程の二機同様崖下へと落下し動きを止める。

 

『ガォオオオ、グォオオン』

 崖の頂上で、崖下のユース団を見下ろしながら、オウドライガーが空に勝利の雄叫びをあげる。

 

「か、勝った。Tシールドって凄い便利だね」

 

ク ルーぜの時と違い、自分の力で敵を退けた勝利の余韻を味わう。Eシールドとは違う攻防一体の兵器の威力を今日初めて知ったセオリだった。

 

「あいつら、どうしよう」

崖の下で延びている3機のゾイドと3名のパイロットの扱いに困った彼女だった。

 

 




以上です。

今回登場したキャラ3名のゾイド紹介。今度から登場からの紹介も載せようかな。


セイバータイガー(アウトドア)

番号 EZ-016
所属 ユース団
分類 タイガー型
全長 15.6m
全高 9.1m
全幅 5.7m
重量 78.0t
最高速度 240km/h
乗員人数 1名
主な搭乗者 アイン
武装
ビームガトリングガン
対ゾイド3連衝撃砲
AEZ20mmビームガン×2
複合センサーユニット
リーオサーベル×2
ストライククロー×4
赤外線レーザーサーチャー


 通常のセイバータイガーのカラーを白に、更に主武装にビームガトリングガンを採用したゾイド。前歯がリーオ製になっておりバイオゾイドとも接近戦で戦える。脚の部分が山岳地帯様に改良されており、通常のゾイドより山岳地帯での動きが軽快になった。更に、頭部の装甲が強化されており、搭乗者の安全性もアップされた要人用ゾイド。


ディバイソン
DIBISON

番号 RBOZ-006
所属 ユース団
分類 バッファロー型
重装型機械獣
全長 20.6m
全高 10.8m
全幅 7.5m
重量 250.0t
最高速度 120.0km/h
乗員人数 2名
武装
超硬角(リーオ)×2
17門突撃砲
後部機銃×2
パルスビーム砲

 全身が黒一色で、目の部分が真っ赤なディバイソン。装甲が通常より強化されており、頑強な作りとなっている。さらに射撃性能が大幅に強化され主砲の飛距離は従来の130%も上昇。精密射撃も可能で事前に送られた敵位置情報をコンソールで打ち込む事でメガロマックスという一斉掃射が可能。巨大な角は、バイオゾイドですらも一突きで沈黙させる。


カノントータス(サバイブ)

番号 RMZ-27
所属 ユース団
分類 カメ型
全長 9.9m
全高 5.8m
全幅 6.3m
重量 33.6t
最高速度 100km/h
乗員人数 1名
武装
荷電粒子突撃砲
連装対空砲×2
対空レーダー
対振レーダー
音響ソナー
対電レーダー
後部コンテナ

 茶色ペイントのカノントータス。主砲に巨大な荷電粒子突撃砲を装備しており、一撃で大型ゾイドも破壊が可能。更にレーダーやソナーが多く搭載されており、これ一機で前線基地並の情報収集能力がある。更に杭を地面に打ち込みそこで拾った音から敵の位置や足音で敵の正体を事前に察知可能で捜索範囲は大幅に拡大された。事前に敵を発見し相手から視認できない位置での攻撃や、味方との連携に欠かせない機能が多く搭載されている。



オウドライガー 
追記 Tシールド。
従来のシールドと違い、エネルギー兵器に位置する装置。タキオン粒子コンデンサーから莫大な量の粒子を放出し、それを粒子制御装置で強制加速させながら周囲を回転させる事でシールド状のある種の荷電粒子砲を精製する。敵の実弾、エネルギー兵器とわずに高速回転する粒子の波に呑み込まれシールドに吸収される。吸収されたエネルギーや実弾は、そのまま回転の中に残り続け、シールドを拡大していく。計算上では、無限に増幅するので、射撃でこのTシールドの突破は不可能である。
 更に、粒子の高速回転のエネルギーは、そのまま相手にぶつければ、粒子の加速で相手を削り原子レベルまで分解する。このため、格闘や実体剣のような武装も無力化できるとされる。



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