朝になり、セオリが目を覚ますと。
「起きたかい……これでも飲みな」と寝起きでアンナより水を渡される。
「他の二人は?」欠伸をしながらテントにいないアインとハットンについて質問する。
「あいつらは、相棒の整備に行ってるさ」
整備と聞き、昨日オウドライガーで滅茶苦茶にしたこと思い出し項垂れる。
「ごめん。昨日やり過ぎた」
「いいさ、先にやったのはあたい達だしね」
そっか とセオリが納得し、朝食の干し肉を食べていると、アンナが話し掛けてきた。
「今日の夕方には、街に着くよ。そしたら風呂とかに入りたいね。街の名物は温泉だからね」
「ふーん。温泉か、情報集めが終わったら行くか」
「なら案内してやるよ。美肌や脂肪燃焼とか効能が色々あるよ」
温泉について話が弾んだが、出発の時間が来た。全員が準備をまとめ、ゾイドに乗りながら街に向かう。
初めは、順調だったがハットンが静止をかける。
「止まるっす。この音は……エレファンダーか、しかも3機」
「ハンターだね。全員なるべく音は出さないように、後伏せな」
「沈黙」
「了解……うわー、大型ゾイドがゾロゾロ」
崖の上でやり過ごす事にした四人。セオリが崖の上から、下を覗き大型のゾイドが3機列を築いて歩いていた。象型ゾイドであるエレファンダーは、狭い谷底を問題なく進んでいく。
「あんなデカイ図体じゃ、ここで戦い難くない?」
「逆さ、デカイ図体で相手の逃げ道を無くしてパワーで押しつぶすのさ」
セオリの疑問にアンナが応える。それにハットンが静かにと注意し、二人は黙る。そして、エレファンダーが通り過ぎた事をハットンが聞き取り、先に進む。
それからは、5時間ほどゾイドで移動するが、盗賊に出くわす事も無く、ユース団の有能性が証明されていた。しかし、ハットンは何か違和感のようなものを感じていた。
「なんか、あまりにも安全じゃないっすか?」
「安全でいいことじゃないか。変な奴だね」
「変態」
「あんたの耳が役に立ってるんだろ? ぶっちゃけ戦闘は避けたかったし」
ハットンの言葉に全員が神妙な表情をする。「いえ、だから此処までハンターがいないのは、不自然っすよ。後、アインだけは悪口っす」とハットンが大きな声で怒った時、4人から数キロ離れた位置で、大爆発が起こった。
その規模は、大きく数キロ離れた場所からでも、茸状の黒煙が立ち上る光景が見える。
そして爆発の音と衝撃波が、4人のいる場所まで届き、ビリビリと機体が揺れる。
「多くのゾイドの悲鳴が聞こえるっす」
ソナーに集中していたハットンが、断末魔を聞き、恐怖と怒りに顔を歪める。
「あれは……帝国のシンボル、帝国軍が攻めてきた。見せしめに盗賊ギルドを焼け野原にしてるよ」
誰にも黙視できない距離を、ディバイソンに装着された望遠レンズで見たアンナ。彼女が警戒を込めた声で言うと、アインがセイバータイガーで颯爽と駆け出した。
「アインは、何処に?」
「街さ、街の軍隊に応援要請に向かったのさ。セオリ、悪いけど最優先の案件が出来たね」
「本当に申し訳ないっす。約束にはないですけど、力を貸して欲しいっす。街にいる多くの人々の糸命がかかってるっす」
アンナとハットンのユース団が、恐らく進軍に対して最も近い位置にいる。彼女らは、軍隊が来るまで足止めをしなければ山岳地帯を抜けると平地のため、街が戦火に包まれてしまう。
「帝国……わかった。オウドライガー行くよ」
『ガォオオ』
「先制攻撃は、俺とアンナ。カノントータスとディバイソンの遠距離射撃で牽制、相手がこっちに気が付いたときに接近戦向けのオウドライガーで荒らし回って欲しいっす」
「敵は、小型のステルスバイパー50機に20機のアロザウラー、恐らく隊長機であるバーサーク・フューラーが一機と護衛のジェノザウラー10機だね。フューラーとジェノザウラー気を付けるんだね。あいつらの荷電粒子砲は、今のように大爆発を起こす威力さね」
遠方レンズで敵を黙視したアンナが、最も危険な位置に向かうセオリの身を案じる。
ハットンも、最も戦力になるセオリとオウドライガーを信用しているが、帝国軍はハンター達とは違う。「俺が常にソナーで敵の位置を送るっすから視界が悪くても大丈夫っす」
「了解。行くよ」
セオリが頷き、オウドライガーを走らせる。初めての共闘に不安を感じながらも、飛び出した。
飛び出したセオリの後ろ姿を見ながら、アンナとハットンも砲撃しやすい位置に立つ。
「ハットン、しくじるんじゃないよ!」
「わかってるっす。外したりしないっすよ」
街に向かって進軍してくる帝国軍。それに目掛けて砲撃を開始した。
次回が戦闘になりそうです。