転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。   作:田中滅

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はい、二話目です。ネコちゃんの可愛さに惚れてくれる人が居たら、嬉しいです


第二話 なんだかんだで、三百年も生きてます。だけど、名前はありません

「テンセイ?なによ、それ?新しい妖精の種類?」

 

『転生というのは、命を落とした者が新たな生命に生まれ変わる現象のことだ』

 

「ふぅ〜ん、不思議な現象があるのね」

 

彼女は現在、ヴェルドラに自らの現状についての説明を受けていた。信じ難いが今の自分の身形を見る限りは人間でない事は明白、転生したと言うのは事実なようだ

 

『この世界に来る者は転生者の他に召喚された者などが存在する。こういう者供を我は転移者と呼んでおる』

 

「テンイ……寒さを感じた時に使う単語よね」

 

『其れはサムイだ』

 

「軽量の物を示す単語」

 

『カルイだ』

 

「なにもやりたくな〜〜い」

 

『ダルイ………って!貴様!我をおちょっくっておるのか!』

 

「だって、暇なんだもん。話し相手がヴェルちゃんだけだと」

 

『ヴェルちゃん……?其れは我のことか…?』

 

当たり前のように放たれた愛称に、ヴェルドラは目を点にする。何百年と生きる彼であるが自分を愛称呼びしてきたのは、彼女が初めてだった

 

「ヴェルドラだから、ヴェルちゃん!いやぁ我ながら良いネーミングだ」

 

『グハハハハハハハハ!中々に面白いヤツよ!』

 

「おっ、初めて笑ったわね」

 

自分のネーミングセンスを褒め称える彼女に、ヴェルドラは轟かんばかりの笑い声を挙げる

 

『然し、実に珍しいな。獣でありながらも言葉を理解する知能と膨大な魔素を持つとは………なるほど、理解したぞ。御主の種族は猫又という種族に違いない』

 

「猫又……?なにそれ」

 

会話する中で、彼女が何者であるかを思考していたヴェルドラが答えに行き着くと、聞き慣れない名前に彼女は首を傾げた

 

『猫又、又の名を仙猫(せんびょう)とも呼ばれている。その別名が示すように仙術を扱う猫の魔物だ、異世界風に呼ぶとするならば……ヨウカイだったか?そう呼ばれる種族だ』

 

「妖怪………なんかヨウカイ?なんちゃって♪」

 

『……………』

 

「ちょっ!反応してくれないっ!?流石に無視はキツい!」

 

渾身のギャグに反応しないヴェルドラに異議を申し立てると、暫くの沈黙の後に口を開いた

 

『今、お前の葬り方を考えておるのだが、生で食べられるのと焼いてから食べられるのでは何方が好みだ?』

 

「そうねぇ〜、やっぱり焼いてからの方がオススメかなぁ。あっ、焼き方はウェルダンでお願い。よく焼かないとお腹壊しちゃ----って食うなァァァ!危うく焼き加減の説明しそうになっちゃたじゃない!」

 

突然の食べ方に対する問い、一度は納得したように焼き加減の説明をしていた彼女であったが即座に我に返り、ヴェルドラに突っ込みを放つ

 

「ヴェルちゃんのハゲ!」

 

『ハゲとはなんだ!猫風情が調子に乗るでないわっ!』

 

「なにおうっ!?猫舐めんじゃないわよっ!猫はな、自由気ままなんだぞっ!猫舐めんなコラァ!!!」

 

彼女は軽口を叩き合いながらも、ヴェルドラと過ごす時間を楽しく思っていた。思えば、転生前は友人と呼べる者など存在せず、本来の性格を表に出せないでいたが今は違う。言い合いを出来る友人?が居る、其れが彼女は嬉しくて堪らなかった

其れから何年、何十年、何百年と月日が流れた。他愛もない話を、変わらぬ日常を繰り返す中で、ヴェルドラと過ごす時間は彼女の中で欠かせぬ風景と化していた

 

『ネコよ。お前がこの世界に来て、どのくらいの月日が経つ』

 

「そうねぇ……十年過ぎた辺りから、馬鹿らしくなって数えるのやめたけど、三百年くらいは経ったんじゃない?多分だけど」

 

『まだそのぐらいか。我は四千年は経過したと思っていたが』

 

「いや其れはないわよ、ヴェルちゃん。というか四千年って、あたしが前にした中国四千年の話を引きずってじゃん」

 

『グハハハハハ!バレたか!相変わらず、察しがいいな!ネコは!』

 

ネコ、其れは共に過ごす中でヴェルドラが彼女に付けた愛称だ。この世界に於いて、名を持つ魔物は特別な進化を遂げ、特別なスキルを得ることが出来る。然し、彼女には未だ名は無い、故にヴェルドラは「ネコ」と呼び始めたのだ

 

『お前に聞かされるマンガという聖典の話も中々に興味深いが、新しい話は無いのか?』

 

「無理言わないでくれる?あたしだって、最後まで読めてないのが何百万冊もあんのよ?そう簡単に新しい話があるかっての」

 

『それもそうだ………ん?ほう?これは……ネコよ。楽しめそうなモノが迷い込んだようだ』

 

「うわぁ〜、ヴェルちゃん。すっごい悪いこと考えてない?」

 

漫画についての問答をしていた二匹。ヴェルドラが何かを感じ取り、企むような表情を浮かべると彼女も呆れたようにため息を吐く

 

『うむぅ………やっぱりスライムだよな?これ?いやいや生まれ変わるにしてもスライムって……』

 

近付いてきた何かは水色のぷるぷるした生物?謂わゆるゼラチンの塊にも見える固形物質だ

 

『聞こえるか?小さき者よ』

 

「小さき者っていうかゼラチンのバケモノよ、アレは。ヴェルちゃん」

 

『バカモノ、アレはスライムだ。相変わらず物を知らんヤツだな。ネコは』

 

「もしも〜〜し?聞こえる?お〜〜い、ゼラチンく〜ん?コンコン、お留守ですか〜?」

 

『ゼラチンちゃうわ!というか最後の明らかに有名映画のセリフだよなっ!?』

 

「あっ?知ってる?いやぁ、あたしね。あれ好きなのよ〜」

 

ゼラチン基スライムの発言に、彼女はけらけらと笑う。元ネタを知る者に出会えたことが嬉しくて堪らないようだ

 

『ネコよ。此奴、視界が無いようだ』

 

「あら、そうにゃの?仕方ないわねェ。スライムちゃん」

 

『は、はい?』

 

「今から、あたしの言うようにやってみてくれる?」

 

彼女の言葉にスライムは同意を示し、言われるがままに、“魔力感知”と呼ばれる、周りの魔素を感知するスキルを獲得し、ぱちりと開いた視界を巡らせる

 

『どうだ?』

 

『はいっ、ありがとうございます!今なら何でも視えそうな気がします!』

 

「何でも?うわぁ〜、ちょっとヴェルちゃん。このスライムヤバイわよ。エロに忠実よ、スケベだわ」

 

『エロくないやいっ!』

 

『揶揄うな。ネコよ』

 

「ふふっ、ごめんごめん。それじゃあ、改めて名乗るわね?」

 

スライムを弄り倒していた彼女は、くすくすと笑った後、ヴェルドラと共にスライムを真っ直ぐと見据える

 

『我が名は暴風竜“ヴェルドラ”。この世界に4体のみ存在する竜種が一体である』

 

「あたしは猫又、名前は未だ無いけど気軽にネコちゃん♪って呼んでね〜♪」

 

『ど、ドラゴンンンンンッ!!?其れに………ネコちゃん?可愛いな、おい』

 

「とーぜんよ♪よろしくね、エッチなスライムくん」

 

『エッチじゃないやいっ!』

 

これが後に世界を騒がせるスライムと猫又の出会い。この世界に二つの混沌が生まれた瞬間である、と後に暴風竜は語ったという




スライムとの出会い、其れはヴェルドラとの別れを意味していた。彼が最後にネコへと送るモノとは……?

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