転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。 作:田中滅
「そう言えば、村長。名前は?」
牙狼族が配下に加わり、大所帯となった村。守護者であるリムルは呼び名が無いと不便だと考え、村長に問う
「いえ、魔物は名前を持たない事が普通です。名前が無くとも意思の疎通は可能ですからな」
「う〜ん、でも無いと不便よね。あたしも最初は名無しだったけど、ヴェルちゃんがネコって呼び出してからは其れが名前みたいになっていって、最後は〝ネコリア〟の名前をくれた………リムちゃん、皆に名前を送ってあげない?」
「ネコちゃん、俺もそう言おうと思ってたんだ」
「あら、奇遇ね。はーい!それじゃあ並んでちょーだ〜い!授けの儀式を始めるわよー」
「儀式って……また大袈裟な……」
ネコリアの呼び掛けに、ゴブリンたちと牙狼族がリムルの前に一例の列を作るも、当の本人は苦笑気味である。一方で提案しておきながらも我関せずを貫くネコリア、すると彼女に、二つの影が近付く
「あら……アナタたちはさっきのゴブリンちゃん?其れに……小さめの牙狼族。意外な組み合わせね」
その影の主は、ネコリアが魚の栄養について熱弁していた女性ゴブリンと他の牙狼族よりも一回りも小さい小柄な牙狼族。二人の視線はネコリアに釘付けである
「はい!ネコリア様のお話はすごく勉強になったので、ワタシはネコリア様に名付けていただきたいんです!」
「わ、我も……ネコリア様のような愛らしい主人にお仕えさせていただきたいのです……ダメでしょうか?」
「ふふっ、見る目があるわね。良いわ、二人にはあたしが名前をあげる」
リムルでは無く自分に名付けて欲しいと懇願する二人に、ネコリアは得意気に笑う
「そうねぇ………うん、決めたわ♪ゴブリンちゃんには、〝
「「光栄です!ネコリア様!」」
名付けた瞬間、魔素が消費されるのを感じながらもネコリアは満足そうな表情を浮かべ、リムルの方に視線を向ける
「ゴブチ………ゴブツ………ゴブテ………お前はゴブゾウな」
「すっごい雑に付け始めたわね……」
「ですが名前をいただけるのは最高の喜びです。かく言う私ことスイヒョウも、ネコリア様に名付けていただいた幸せで胸がいっぱいです」
「エンカもです!」
「気に入ってくれて何よりだわ」
「お前は牙狼族の長の息子だな……嵐……牙、うん!嵐の牙で、〝
牙狼族に名を授けた瞬間、リムルの体に異変が生じる。突然の出来事に誰もが慌てふためき、騒ぎ出すがネコリアは冷静だった
「落ち着きなさい。リムルは眠っているだけよ」
「ネコリア様!眠っていると言うのは……?」
「名付けで魔素を消費したのよ。あたしはスイちゃんとエンちゃんにしか名付けをしてないけど、リムルはリグルドを含めたゴブリン族、更にランガにも名付けをした。その魔素の消費量が、あたしよりも激しかったみたいね」
「なるほど。皆の者、リムル様を丁重に扱って差し上げるのだ!お目覚めになられるまでは、このリグルドが指揮を取る!」
「任せたわよ、リグちゃん」
「はっ!」
名を得た事により、少しばかり統率力が増した気もしない村長基リグルドに指揮を任せ、ネコリアも眠りに落ちる。思えば、こんな風に安心感を感じる睡眠は何時以来だったか、猫又に転生してからの三百年、ヴェルドラと居た時間は有意義で満ち足りた時間だった、それでも眠れない日もあった。だが今は違う、自分を信頼する配下たち、親友との約束、そして何よりも外に連れ出してくれた相棒が居る。故にネコリアは久方振りに深い眠りに落ちた
「にゃぁ〜……よく寝た……」
「ネコリア様、おはようございます」
「んにゃぁ……おはよ……んんっ……えっと……誰?」
目覚めたネコリアを待っていたのは、グラマラス体型の緑色の皮膚の女性。見覚えがあるようで無い彼女に、寝ぼけながらも問う
「何をおっしゃってるんですか?スイヒョウですよ」
「スイヒョウ……えっ?スイちゃん!?」
「はい♪スイヒョウです」
その女性はスイヒョウだった。名付けられた影響で進化を遂げた彼女はゴブリンからゴブリナに進化を果たしたようだ
「あっ!スイヒョウ!アタイがお世話する番だろっ!」
次に姿を見せたのは、小柄な体型に犬耳と尻尾を持った少女。やはり彼女にも見覚えがあるようで無いが、スイヒョウと共にいるとなると必然的に誰かは絞られる
「あら、エンカ。寝坊したのはアナタでしょう?」
「んなっ!寝坊じゃない!アタイはリムル様にご挨拶してたんだっ!」
「スイちゃん。まさか……この子って…」
「はい、エンカです。騒がしくて申し訳ありません」
スイヒョウの返答により、彼女がエンカであると理解する。やはり、名付けの影響で進化を遂げた彼女も牙狼族から
「エンちゃん?スイちゃんと仲良くしなきゃダメよ」
「うぅ……ごめんなさい……ネコリア様…」
「うんうん、素直なエンちゃんは大好きよ〜」
「わふぅ……」
「むぅ〜……」
咎められ、素直に謝罪を述べるエンカの頭をネコリアが撫でると彼女は嬉しそうに目を細め、尻尾をぱたぱたと振る。その様子にスイヒョウは指を咥え、羨まし気な視線を送る
「スイちゃんも、あたしのお世話ありがとね」
「は、はい!こちらこそありがとうございます!」
その視線に気付いたネコリアはスイヒョウの頭を撫でると、何故か彼女の方が礼を述べる。すると、また誰かが入ってきた
「スイヒョウ、エンカ。ネコリア様は?」
その誰か基、リグルドの姿は名付け前よりも格段に変化を遂げていた。肌のケアがなっていないと言われていた以前とは異なり、筋骨隆々な姿は正にゴブリンと呼ぶに相応しいホブゴブリンに進化を果たしていた
「あ、リグルド様。お目覚めになられましたわ」
「寝起きでも愛らしいんだ。さすがはネコリア様だ!」
「当然ねっ!」
「ネコちゃん……本当にブレないな」
リグルドの腕の中から、聞き覚えのある声が聞こえ、視界を動かすと、ぷるっとした水色の物体が映る
「おはよ♪リムちゃん」
「おはよう。朝から美女に囲まれて、御満悦だな」
「あら、嫉妬?エッチなスライムね、ホントに」
「エッチじゃないやいっ!!」
数日振りのやり取りにネコリアもリムルも笑い合う。その後、宴を開くに当たり、広場に移動し、コップを片手に全員が待機する
「え〜、それでは皆の進化と戦の終わりを祝しまして……」
「生ぬるいわ……杯を乾かすと書いて、乾杯と読むっ!グラスを掲げなさいっ!かんぱーい!!!」
「「かんぱーい!!!」」
(今度から乾杯はネコちゃんに任せよう)
人知れず、自分が宴会の乾杯係を任命されたのをネコリアが知るのはまだ少しだけ先の話である
大所帯となった村にルールが取り決められ、更なる結束を高めるリムルとネコリアたち。次に狙うはドワーフ!
ネコリアの真骨頂その4 実はお寝坊さん
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