転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。 作:田中滅
「皆、広場に集まれ!リムル様より大切なお話がある」
「んにゃぁ〜………大切な話ぃ〜?それって、あたしも参加しなきゃダメな感じ?」
広場に集まるように呼び掛けるリグルドの声で、目を覚ましたネコリア。縛られるのを嫌う彼女はリムルからの話というのに乗り気ではない様子だ
「勿論ですよ、ネコリア様もリムル様と同じく守護者様なのですから」
「そうだぞ、ネコリア様が居ない会議なんかお肉のない宴とおんなじだっ!」
「むぅ……仕方ないわね」
しかし、可愛い配下の説得には抗えないらしく、体を起こすとリムルの隣に移動する。そして、視線を横目に動かすと何処で見つけたのか、付け髭を装着したリムルが居た
「……はい、皆が静かになるまで五分も掛かりました」
その言葉に誰もが静まり返る。転生前は鉄板であった持ちネタが通じない現状にリムルは驚きを示す
「見事にすべったわね。サムいスライムね、リムちゃんは」
「サムくないやいっ!」
「そうね、エッチなスライムだったわね」
「其れも違わいっ!!………こほん。えーでは、気を取り直してと」
ネコリアからの鋭い指摘に突っ込みを入れつつ、軽く咳払いをしたリムルはリグルドたちとランガたちの方を見据える
「見ての通りだが、俺たちは大所帯になった。そこでだ、トラブルが起きない為にルールを決めようと思う」
「一つ、可愛いあたしを毎日崇めること。二つ、あたしの可愛さを近隣の魔物に広めること。三つ、あたしの眠りを妨げない。以上がルールよ♪」
「そう、以上が…………って!ちがーーーうっ!何そのネコちゃん限定のルールっ!?」
「知らないの?ルールとおばあちゃんの家の障子は破る為にあるのよっ!」
「意味分からんわっ!!!すまん、ネコちゃんの言ったルールは無視してくれっ!」
「はい!リムル様!」
「何かな?スイヒョウ」
自分限定のルールを作り上げようとするネコリアに突っ込み、軌道修正を図るリムルにスイヒョウが呼び掛ける
「私は今のがルールで問題ありません!」
「アタイもっ!ネコリア様が一番だからなっ!」
「やかましいわっ!ネコちゃん大好きコンビは黙らっしゃい!では気を取り直して、一つ!仲間内で争わない、二つ!進化して強くなったからと言って他種族を見下さない。そして最後、三つ!人間を襲わない」
「四つ!あたしの銅像に雑巾掛けをする」
「勝手に増やすなっ!兎に角だ、俺が言った三つは守ってもらいたい」
リムルの述べたルール、その中の一つに響めきが生じる。すると代表して、リグルドの息子であるリグルが手を挙げる
「宜しいでしょうか?リムル様」
「なにかね?リグル君」
「何故、人間を襲ってはならないのでしょうか?」
「そうですね……リムル様のご意見を聞かせてもらっても?」
リグルの問いに、スイヒョウも思う所があるのかリムルに問い掛ける
「簡単な理由だ。俺もネコちゃんも人間が大好きだからだ」
「なるほど!理解しました!」
「ネコリア様のご意志とあらば!」
「素直なスイちゃんは大好きよ〜」
(軽っ!!!)
疑問は何処に消えた?と言わんばかりの理解の速さにネコリアはスイヒョウの頭を撫で、リムルは軽さに心中で突っ込みを放つ。だが、その聞き分けの良さは自分を信頼してくれている証という事を理解している為に、嬉しくもあるのが事実だ
「まぁ、理由はそれだけじゃない。人間は集団で生活してるだろ?彼等だって襲われたら抵抗する、しかもだ数で襲われたら敵わない……だからさ、此方からの手出しは禁止だ。仲良くする方が得だからな」
「ふぅ〜ん……意外と考えてるのね」
「ネコちゃんが考えないからな」
「あたしはそういうキャラじゃないのよ、考えてるのって、苦手なのよねェ」
「…………じゃあ今後はネコちゃんに参謀役をやってもらおうかな。はーい!ちゅうも〜く!今後はネコちゃんが参謀役を務めるから、作戦立案に関しては彼女に意見を求めるようにっ!」
「ネコリア様が参謀役……!素晴らしいですっ!さすがはリムル様!」
「おめでとうございます!ネコリア様!」
「…………えっ?なに?この空気は…」
唐突なリムルからの無茶振り、更にスイヒョウとエンカからの声援。周囲からも〝ネコリアコール〟が挙がり、断れない空気が流れる
「はぁ………分かったわよ、やればいいんでしょ…」
「物分かり良いネコちゃんは大好きだぞ」
「あたしは意地悪なリムちゃんは嫌いよ」
「あはは……さて次はリグルド、お前にはゴブリン・ロードの役目を与えようと思う。村を上手く治めてくれ」
「はっ!このリグルド、身命を賭してその任を引き受けさせて頂きます!」
参謀役、ゴブリン・ロード。新たな役職が決まり、次から次へと村の者たちに役職が振り分けられていく
「あの〜、私とエンカはどのように?」
「教えてくださいっ!」
「二人はネコちゃんの補佐役だ。スイヒョウは書記官、エンカは護衛を担当してくれ」
「「はいっ!」」
スイヒョウ、エンカは自分の名付け親であり敬愛する主人と共に仕事が出来る喜びから、元気の良い返事を返す
「…………う〜ん…ねぇ?リグちゃん」
「如何されましたかな?ネコリア様」
「これが家……?」
「………返す言葉もございません。我々には専門の知識がありません故……」
「どうした〜?」
役職を振り分け終えたリムルは、一足先に村を見回っていたネコリアと申し訳なさそうに頭を下げるリグルドの姿を見つけ、声を掛ける
「ああ、リムちゃん。良いとこに来たわね、これを見てくれる?」
「これ……うーむ、確かにこれは酷い深爪だ」
「誰があたしの爪を見ろって言ったのよ。家を見なさい、家を」
「なんだ、そっちか。確かに家とは呼びにくいな……」
何時もの仕返しに軽く冗談を交えるとネコリアから突っ込みが入り、改めてリムルはゴブリンの住まいに視線を向ける
「技術者に繋がりはないの?」
「ありますよ。何度か取り引きをした技術者が居ます」
「あら、ホントに?スイちゃん」
「はい♪ドワーフ族です」
「ドワーフ………ってなに?」
「うん、理解してたよ」
異世界知識皆無なネコリアがドワーフを知らないのを察していたリムルは呆れたようにため息を吐き、説明を始める
「ネコちゃんはゲームとかしたことあるか?」
「そりゃあ、勿論あるわ」
「ドワーフって言うのは、いわゆる鍛冶スキルを極めた種族のことだ。建築は勿論ながら、武器の鍛錬なんかも得意としてる」
「なるほど……あの有名なヒゲが家を作る的な話ね」
「うん、違う」
説得を聞いたにも関わらず、勝手な解釈を捩じ込むネコリアにリムルの突っ込みが飛ぶ
「ネコリア様!アタイたちなら、ドワーフの王国まで歩くよりも早く着けるぞっ!だよなっ!アニサマ!」
「無論だ、妹よ。我が主人、このランガが責任を持って、お連れ致します!」
「おう、助かる……ん?アニサマ?ちょっと待て、ランガ。今、エンカにアニサマって呼ばれたか?」
エンカ、ランガの提案に感謝しながら、リムルはある事に気付いた。ランガに対するエンカの呼び名だ
「はい、エンカは我が妹であり長の娘に当たります。いわゆる牙狼族の姫です」
「………な、な、な………」
まさかの発言に、リムルの体がわなわなと震え、口をぱくぱくと動かす
「なんだってェェェ!!!」
「エンちゃん、お姫さまだったのね」
「アタイがお姫さまなら、ネコリア様は女神様だなっ!」
「エンちゃんは可愛いわねー、あたしの次に」
「くっ…やるわね…エンカ」
かくして、リムルとネコリアは技術者を求めてドワーフの王国に旅立つ事になったのであった
旅路の果て、ドワーフの王国にたどり着いたリムルとネコリアたち。そして、リムルは職人を探しに……あれ?そんなとこに職人いるの?
ネコリアの真骨頂その5 実は考えてるのが苦手
ネコちゃんの可愛いさにときめいたら、お気に入り登録お願いしまーす