転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。 作:田中滅
「んにゃぁ〜……なんかピカピカしてるわね」
「ネコリア様!おはようございますっ!起こしちゃったか?」
「良いのよー、起きようと思ってた頃合いだし」
リムル捕縛騒動の翌日、カイドウの案内で一行は鍛冶屋に向かっていた。武器屋に立ち並ぶ煌びやかな装飾の武器の光加減で、エンカの頭で寝息を立てていたネコリアが目を覚ます
「ネコの姐さん。着いたぜ」
「あらもう?仕事が早いのね、カイドウちゃんは」
「ネコちゃんが寝坊助なだけだろ」
「寝坊助だなんて失礼ね。まだ朝よ」
「昼っすよ!?」
「ネコリア様が朝だって言うんだから、朝だぞっ!ゴブタ!」
「なんなんっすか!?その暴論はっ!」
「賑やかだな……アンタの仲間たち…」
「すまん、後できつく言っとく」
「ははっ…ああ、ここだよ。腕は保証するぜ」
賑やかに騒ぐネコリアたちにリムルがお灸を据えることを約束していると、カイドウは一軒の店の前で止まり、中に招き入れる
「兄貴。いるかい?」
「カイドウか、悪いが今は手が離せないんだ。用件があるなら……おーい!カイリン!聞こえてんだろ!カイリン!さっさと来やがれ!」
カイドウが剣を打っていたドワーフに呼び掛けると、彼は手が離せないらしく、代わりに奥の部屋に居るであろう人物に呼び掛ける
「うるせぇな!聞こえてるわっ!何回も呼ぶんじゃねぇよっ!こんのバカオヤジっ!!!」
「バカオヤジとはなんだっ!バカ娘っ!今は親方と呼べっ!」
「何方でもいいだろっ!誰がバカ娘だ!!!」
奥の部屋から慌ただしく現れたのは、茶色の肌にポニーテールの髪型が似合う煤だらけの少女。彼女は親方基カイジンの娘のようだ、名をカイリンと言う
「ん………おっ!らっしゃい!オジキ!」
「カイリン…お前なぁ、少しは落ち着けよ」
「いやははは……面目ない……」
「カイドウちゃんの知り合い?」
落ち着きのない姪を叱るカイドウ。その様子を見ていたネコリアが問いを投げ掛けると、途端にカイリンの目が輝きを見せる
「あっ!昨日の可愛いネコちゃん……!?」
「あら?あたしを知ってるのね」
昨日、其れは彼女がカイドウに昼御飯を届けに行った時間帯の事だ。見たこともない光景に、その目を奪われた。可愛いさを体現した黒い毛並みの一匹のネコ、その実物が目の前に居る、これが興奮せずにいられるだろうか?いや、無理である
「もちろんだよっ!昨日はありがとう!三人を助けてくれたんだろ?」
「そうよ、あたしの可愛さがあったから三人が助かったのよ」
「人の手柄を横取りしようとすなっ!!娘さん、三人を助けたのは俺だ」
「………………喋る雨粒?」
「そうそう、俺は喋るあま………って!スライムだよっ!?どう見たらそう見えんのっ!?」
「そうよ、エッチなスライムよ」
「エッチじゃないやいっ!!」
「ウチはカイリンだ。よろしくなっ!エッチなスライムさん!」
「エッチなスライムちゃうわっ!」
「あたしはネコリア=テンペストよ」
「アタイはネコリア様の護衛のエンカだぞっ!」
「オイラはゴブタっす」
「あら、居たの?ゴブタ」
「今更っ!?」
普通に名乗るゴブタの存在に、ネコリアは今更ながらに気付いた。彼女の中で彼の存在はかなりの格差があるようだ
「すまんな、ひと段落ついたよ。改めて、俺がカイジンだ。昨日は本当にありがとう、コイツらを助けてくれたんだってな」
「いやいいよ」
「当然のことをしたまでよ」
謙遜するリムル、しかしネコリアは違う。謙遜さえもしない、というか当事者とは呼べない彼女に相棒からのジト目が向く
「ネコちゃんは何もしてないでしょ」
「敢えて言うなら、何もしてないをしてたわ」
「すごいなっ!ネコリア様はっ!」
「ホントに可愛い……!」
「ネコリア様って……女の子にモテるんっすね」
「にゃーはっはっはっ!とーぜんよっ!だって、あたしは可愛いものっ!」
自分の可愛さを自慢するネコリア、その姿はネコが笑い声を挙げているだけに見えるが忘れてはいけない。彼女は魔物である
「自信家な猫だな」
「気にしないでくれ。それで?今は何をしてるんだ?」
「ん、ああ。今週末までに
「魔鋼は貴重なんだ。ウチの店には、ソイツに使っちまったのが最後……簡単に取り行けるモノでもなくてな……すげぇ困ってるんだ。なのにオヤジ……親方が、売り言葉に買い言葉で大臣の口車に乗せられやがったんだ」
「うるせぇな、バカ娘は黙ってろ、ガキのくせに一丁前な口を聞くんじゃねぇ」
「んだとっ!?バカオヤジっ!その煤だらけの髭むしんぞっ!!!」
「兄貴もカイリンもやめろよ、みっともない。客の前だぞ」
親子喧嘩を始めるカイジンとカイリンをカイドウがやんわりと咎めるのを見ながら、ネコリアは思考を巡らせていた
「ねぇ?リムちゃん。あたしとヴェルちゃんと初めて会った洞窟に転がってた鉱石を覚えてる?」
「ああ、アレか。覚えてるけど………はっ!」
唐突な問いに、リムルは記憶を思い返し、何かに気付いたように大賢者に問う。その様子にネコリアは企み笑顔を浮かべている
「にゃふふ〜……大賢者ちゃんからの解答は来た?」
「来たっ!さすがはネコちゃん!頼れる参謀っ!伊達に長生きしてないなっ!」
「そうでしょ〜………って!長生きは余計よっ!」
答えが見つかり、その立役者であるネコリアを褒めるが最後の一言が気に食わなかったらしく、突っ込みが放たれる
「じゃあ、取り敢えず食べるかな」
「エンちゃん。リムちゃんの口にありったけの剣を押し込むのよっ!」
「分かったぞっ!」
「むごごごっ!?ちょっ!エンカっ!優しくしてェェェ!」
「ゴブタの口にはこの焼けた石を押し込むわね」
「鬼っすかっ!?アンタはっ!」
エンカが大量の剣をリムルの口に押し込む隣で、竈門の中で燃える焼石をゴブタの口に押し込むと宣言するネコリアに本人からの突っ込みが飛ぶ
「何してんだァァァァ!イヌ耳娘っ!オヤジの力作だぞっ!?それェェェ!」
エンカの行動に、カイリンが叫び声を挙げる。彼女なりに父の力作を認めていたらしく、その行動は驚愕しかなかった
「ネコリア様がやれって言ったんだ!アタイは悪くないっ!それにネコリア様が考えもなしに、こんな事やらせるわけないだろ!」
「さすがはエンちゃんね。あたしのことを理解してくれてて、嬉しいわ」
「わふぅ〜…」
「こほん、これでどうだ?」
ネコリアがエンカを撫でていると、リムルを中心に魔素の渦が形成され、気付いた時は彼の前に二十本の剣が並んでいた
「無理強いはしないさ、でも検討してみてくれ」
「ご注文の
納品を済ませた打ち上げでリムルはとある場所に、それを見ていたネコリアの指摘とは?
ネコリアの真骨頂その6 実は人の手柄を横取りしたりする
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