転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。 作:田中滅
ネコリア「迷うわね………やっぱりビキニかしら……いや、こっちのスク水も捨てがたいわね……いっそのこと、貝殻?作者ちゃんはどれが良い?」
………………(どくどく)←鼻血で戦闘不能
「青い空!白い砂浜!今日は遊ぶぞーーっ!!」
ある日のジュラの森。猛暑を忘れる為に、湖へと足を運んだリムルたちは水着に着替え、力一杯遊ぶ事を宣言する。然し、この場に乗り気ではない者が約一名だけ存在した
「んにゃぁ〜………にゃんで泳ぎに来なきゃいけないのよ……水風呂にでも浸かれば、其れで良いじゃにゃい……」
その者とは意外にも、何よりも楽しみを優先する自由に生きる事を信条としているネコリア。文句を口にする彼女の表情には代名詞とも呼べる魔性の笑みは無く、何時もはふりふりと揺れている筈の鍵尻尾も彼女の気持ちを代弁する様に下に下がっている
「どうしたんだ?ネコちゃん。何時もなら、可愛いあたしの水着姿を見れる事を光栄に思いなさい!にゃーっはっはっはっ!とか言ってるのに、今日はテンションが低いな」
「忘れたの?あたしは泳げないのよ……転生前に死んだのも、溺死ってくらいに致命的なまでなカナヅチなのよ……だから昔からプールの授業とか、海水浴の誘いは頑なに拒否してきたのに………にゃんで来ちゃったのかしら……」
重いため息を吐く彼女は相棒からの問いに対し、遠い目をしながら答えを返す。自分が泳げない事を一瞬でも忘れ、避暑地探しに同行した事を後悔している様子であるが、正に後悔先に立たずを体言しているのは火を見るよりも明らかである
「ネコリア様とお出かけ!私……感動の余りに色々と止まりませんわ……」
「わふっ!アタイの水着はどうだ?アニサマ!」
「うむ、似合っているぞ。我が妹よ」
「姉上!どうです!この水着は!」
「防御力が低そうだな、特に腹部がガラ空きではないか。武人ならば何時如何なる時もそれ相応の格好をするのが基本だ。弛んでいるな、妹よ」
「頭の中身が常に弛んでいる姉上にだけは言われたくありません。それに私は武人ではなくリムル様の秘書!故に姉上みたいな力だけが取り柄の畑馬鹿と同じにしないでいただきたい!あとシオンです」
「アネキの水着姿……!そうか………今日でウチは死ぬんだな………」
「大丈夫ですか!?カイリンさん!」
「ネコ様。可愛い」
「フウ。ネコちゃん様が可愛いのは当たり前」
「知ってる」
乗り気ではないネコリアを他所に盛り上がるスイヒョウたち。一方でシオンとシュナはリムルの水着姿に不満があるらしく、女物の水着を手に意義を申し立てている
「皆の水着はガルム氏とドルド氏が丹精を込めて作ってくれたんですよっ!?それはもう、ねちっこく説明してくれました」
「職人の鏡っすね」
「……あのオッサン共は……」
「すまねぇ、ダンナ。あとでシバいとく」
シオンから、水着を仕立てたガルムとドルドの事を聞き、ゴブタは褒め称えるが、リムルは呆れた様に溜め息を吐き、カイリンは身内が招いた案件を正す為に彼等に制裁を与える事を誓う
「では!間を取って、シオンさんが着るってのはどうっスか!?」
「え?」
「いやシオンだと色々とはみ出すからダメだろ」
「おっぱいのない人は黙ってて下さいっす!!!」
じりじりと詰め寄りながらも目を血走せたゴブタが放った一言はリムルとシオンの怒りを買い、彼に蹴りと拳が叩き込まれ、地平線の彼方に沈んだ
「とてもお似合いですわ。やはり、ネコリア様は何を御召しになっても愛らしいです!」
「ん〜……普段の服が水着とあんまり変わらないから、新鮮味がにゃいわねぇ……」
「だったら、他の水着も試してみるか?こっちのパレオ付きのとかがお勧めだぜ?」
「あら、良いわね。でもこっちの競泳水着みたいなのヤツも捨てがたいわね」
「であれば、こちらのワンピースタイプはいかがですか?可愛いらしくてネコリア様にお似合いになると思いますわ」
「ババアが水着姿ではしゃぐとかホラーっすね」
水着選びで盛り上がるネコリア、スイヒョウ、カイリン。その間に姿を見せたゴブタが余計な一言を放ち、木の蔓で拘束され、氷の蹴りと岩の拳が叩き込まれ、地平線よりも遥か彼方に沈んだ
「姉者は何してる?」
「かくれんぼ?」
「い…いや…別にかくれんぼとかじゃなく…二人はネコリア様と遊んで来ると良い…。私は護衛だから……それにこの格好は恥ずかしい…」
「まあ!初々しい!心配することはありませんよ、とてもお似合いです。アナタはしなやかで素敵ですよ」
「とーぜん。だってフウの姉者」
「そこ…クウ
「そうっすよ、お尻とか綺麗じゃないっスか。フウさんやクウさんと並ぶと魅惑的な桃尻って感じがするっすね、で?三人とも、尻尾はどうしたんす?」
着慣れない水着姿に恥じらうソウカを褒めていたフウとクウ、シュナ。そして三度目の正直と言わんばかりにゴブタがソウカの臀部付近で邪な発言を放ち、
「コレ、尻尾が窮屈だぞ。脱いでいいか?」
「良いわけないだろう。犬であるお前は知らんかもしれんが服を着るのは知性がある証だ」
「わふ?そうなのか?なら、どーしてゴブタは服着てるんだ?バカなのに」
「確かに………何故だ?」
「むぅ〜!やっぱり脱ぐ〜!」
「ダメだと言っているだろうが!相変わらず、人の話を聞かん犬だなっ!?」
「なんだとーーっ!やるかっー!」
「エンカさん!是非とも手伝わせてくださいっす!」
水着が窮屈であると愚痴をこぼすエンカ、彼女が脱ぎたがるのを止めるライメイ。そして、四度目の邪発言を放つゴブタに、炎の頭突きと雷の体当たりが決まり、遂に彼は空の星となった
「準備運動終了!さあ!遊ぶっスよー!」
「お前……タフだな……」
「流石はリムちゃんが名付け親なだけあるわね………エッチなスライムとエッチなゴブリン、正に類は友を呼ぶを体現してるわ」
「エッチじゃないやいっ!」
「エロくて何が悪いんすか?男なら……エロに生きるのは当たり前っす!ババアには分かんないっすよ!げふぅ!?」
準備運動という名のセクハラを終えたゴブタであったが自らの欲望が仇となり、ネコリアに禁句を放った結果、
「そーいえば、ハクロウちゃんは水着じゃないのね」
「ほっほっほっ。年寄りに冷や水は酷でしてな…今日はのんびりと水面に釣り糸でも垂らそうと思いましてな。ネコリア様も納得の大物を期待しててくだされ」
「そう?なら、お願いしちゃおうかしら」
刹那、ネコリアとハクロウの背後を一匹の巨大魚が跳ねた。その瞬間、二人の瞳が一気に鋭さを増す
「夕食は期待しててくだされ」
「抜かるんじゃないわよ」
「ネコちゃんは魚の事になると真剣だな」
「リムル様。貝殻見つけた、あげる」
「クウもあげる……」
「お?ありがとな」
相棒の真剣さを垣間見るリムルはフウとクウが砂浜で見つけた貝殻を差し出され、小さい二人からの贈り物を受け止る
「わふ?スイカ割りってなんだ?」
「スイカ割りとはこの棒でスイカを叩き割る遊技だ」
「わふ?なんで叩き割るんだ?」
スイカ割りを知らず、首を傾げるエンカ。その隣で棒を片手にライメイが解説するが、その楽しさを理解出来ないエンカの疑問は深まる
「あのなぁ、ライメイ。語弊のある言い方すんなよ。スイカ割りは集中力が必要な遊びなんだぜ?武人のお前に適任じゃねぇか」
「適任………そうか!ならば、私が………ってゴラァ!妹!何をスイカ割りしてるんだぁ!!」
「ふふん!スイカ割りは私の役目!何故ならば、スイカは丸く、リムル様の様な形!つまりは私が行なうに相応しい遊技なのです!あとシオンです。そういえば……スイカは何処に?」
カイリンからの指摘もあり、やる気を燃やすライメイであったが彼女よりも先にスイカを割り出したシオン。その姿に異議を唱える姉に対し、彼女は意味不明な理由を提示し、割った筈のスイカの行方を探す
「……スイカは爆発四散しましたよ」
「…………俺ってスイカに似てる?」
「そのスイカがエッチなら、似てるんじゃない?」
「エッチなスイカってなにっ!?」
スイカの行方はまさかの爆発四散、体中が汁まみれになりながらも自分がスイカに似ているという発言を気にしているリムルに脈絡もないネコリアの発言に突っ込みが入る
「ネコリア様、ネコリア様」
「どうしたの?エンちゃん」
パラソルの下で寛いでいたネコリアは自分を呼ぶ声を聞き、側に居たエンカに視線を向ける
「海ってしおからいのか?」
「そうねぇ〜……感じ方はそれぞれだけど、塩辛いわね。濡れた髪がべとべとしたりもするわ」
「へぇ〜、いつかみんなで行きたいんだぞ。リムル様は溶けちゃうかもだけど」
「そうね、何時かは行きたいわね。リムちゃんは溶けるかもしれにゃいけど」
「……………なぁ、シュナ。スライムって海水だと溶けるのか?」
「あっ、はい。スイカにはお塩ですよね」
「いやそうじゃなくて!!」
スライムが溶けるという意味深な発言にリムルはシュナに問うが、彼女には伝わらなかったらしく、塩を差し出してきた
「上手ね。フウちゃんもクウちゃんも」
「フウとクウのお家を再現した」
「中に父上もいる」
「にゃるほど………ガビルに見習わせたいくらいの芸術性ね」
「兄上はあれでも割と芸術には定評があるんですよ。名前を得る前はシス湖でも名の知れた芸術家だったくらいですから」
「それは初耳ね」
「ネコリア様。勝手な行動は困りますね、リムル様を止める立場にある筈の貴女様まで……」
「…………にゃんでいるの?トレイニーちゃん」
妹であるソウカの語る芸術家時代のガビルに興味を持つネコリア。然し、その背後に現れた第三者ことトレイニーの出現で興味の対象が彼女に切り替わる
「忠告に来たのです。例え、どんなに友好的であろうと貴女方は強大なA級越えの魔物………其れが団体でこの様な場所に自覚がないようですね?これは森の管理者としては見過ごせません」
彼女の言い分は最もだ、リムルやネコリアを筆頭に湖に訪れたのはランクの中でも容易にA級を超える多種多様の種族。其れは他種族への威圧である。然し、其れとこれとは別、何故ならば、彼女に説得力が感じられないからである
「「…………………本音は?」」
「私を除け者にしようとしてもダメですよ!」
水着姿で遊ぶ気満々なトレイニーからは森の管理者としての威厳は感じられず、ネコリアは先行きを案じ、ため息を吐いた
「ハクロウちゃん!上出来よ!バッチグー!」
「ほっほっほっ、ご期待に添えて何よりですじゃ」
「バッチグーって今日日聞かないぞ……にしても食べ応えありそうな魚だな」
陽も落ち、空を満天の星が彩り始めた頃。釣りに出ていたハクロウが巨大魚を手に戻り、大好物を前に上機嫌のネコリアは鍵尻尾をふりふりと揺らす
「それでは!私がお料理を!」
剛力丸を片手に調理を申し出たシオン。その姿に全員の心が一つになる
「シオンさん!綺麗な貝殻を見つけたっす!」
「戦いの話とか聞きたいです!」
「フウと遊んで」
「クウの見つけた綺麗な石あげる」
「タッグ技を研究しようではないか!」
「わふっ!毛繕いしてほしいんだぞっ!」
「シオンさんはサンドアートをご存知で?」
「レモンの蜂蜜漬けを食べないかっ!?」
「揚げ芋ありますよ」
「ほら、シオンちゃん!星が綺麗よ!」
「シオン……俺、お前と湖畔を散歩したいな…」
(や、やだ……私ってば大人気!?)
真意を知らずは本人だけで、何かが始まる前に必死に引き止める姿は正にチームワークとコンビネーション。そして、シュナが手早く用意した夕飯を前に一息をつき、夜も更け始める
「よっ、ネコちゃん」
一人で夜空を眺めていたネコリアは自分を呼ぶ相棒の声に振り向き、差し出されたグラスを手に取る
「終わったの?トレイニーちゃんたちとの酒盛りは」
「ん……まぁな。なぁ、ネコちゃんはこの先も笑える明日が来なかったら、どうする?」
唐突な問い、その眼に映るのは自分の姿。この問いが何を意味するかは不明だが彼女は代名詞とも呼べる魔性の笑みを見せる
「その時は明後日に倍笑うわよ」
「ははっ、やっぱりネコちゃんは分かってるな。流石は相棒!」
「当たり前よ♪」
これはある日の日常。まだ二人が魔王になる前の平和でありふれた日常を綴った日記の一頁である
次回は普通に本編を………暑さで体調崩さない限りの話ですけど………
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