転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。 作:田中滅
「失礼するわよ」
「何者だっ!」
リザードマンの支配する湿地帯、その居住区である洞窟前に辿り着いたネコリアがコートを靡かせ、凛ッ、とした佇まいで見張りに声を掛ける
「我が名はネコリア=テンペスト!リザードマンの首領に御目通り願いたいっ!」
「無礼なっ!貴様等のような輩を通す訳がなかろうっ!」
名乗りを挙げるネコリアに、槍を向ける見張り。ライメイが刀に手を掛け、エンカも唸り声を挙げ、ソウエイも戦闘体制を取った瞬間だった
「通しても構わない」
「通してあげて」
「「ひ、姫様たちっ!?ははっ!」」
背後から聞こえた二つの幼い声に、見張りが驚きを示した後にその言葉に従い、道を開ける
「父上。客人」
「父上に用事がある」
「なに……暫し待たれよ、御客人。今、取り込んでおりましてな」
娘たちに呼ばれ首領は、ネコリア達に声を掛ける。手が離せない様子で、込み入った事情があるようだ
「いえ、お気になさらないでください。
「風の噂で聞いた事がある………。その町は、本当にあるのか?」
普段からは想像もつかない丁寧な物腰と温和な物言いのネコリアにエンカとライメイは勿論、ソウエイは誰だ?こいつはと言わんばかりの視線を向けている。だが、当の本人は気にも留めずに話を続ける
「存在致します。
「森の管理者が……っ!直接………!?」
「我等が盟主は貴公の一族との同盟を御望みです。良き返事をいただければと」
驚く首領を他所に、更に話を続けるネコリアは本題を切り出し、逃げ道の存在しない一つの答えに会話を誘う
「ふ………ふん!リムルだと?聞いた事もない!どうせ、オークロードを恐れて、我々に泣きついて来たんだろう?素直に助けてくれと言えば、助けてやっても構わないが?それにだ、猫風情を誇り高きリザードマンの使者に送り出すなど」
「やめろ!」
「えっ?」
「口を塞ぐのだ」
「しゅ………首領!その様な態度では、舐められ………!」
反論を示す部下が更なる反論をしようとした時、眼前を刃先が通り過ぎる
「リムル様への暴言だけでは飽きたらず、我が主人であるネコリア様にまで、その様な口を聞くとはっ!無礼な輩めっ!!!」
「わふっ!かじっていいか?ライメイ!」
「無論だ!エンカ!」
「おやめなさい…ライメイ、それにエンカ。我々は同盟を申し出ている立場、無礼を働く事があってはなりませんよ」
「「…………はっ!」」
敵意を剥き出しにするライメイとエンカに、ぴしゃりと、言い放つネコリア。その毅然とした振る舞いは参謀と呼ぶに相応しい姿だ
「失礼致しました、彼女等は
「いや、今のは、此方に非があった。お気遣い済まない」
「寛大な御言葉……感謝致します」
「先程の話だが……此方からもお願いしたい」
「ホントにっ!?………いえ、誠ですか?」
首領からの申し出に、ぴこっ、と両耳が伸び、素の口調に戻るも即座に使者としての口調に切り替え、真意を問う
「貴殿の背後に控えるのは、ジュラの大森林南西に暮らすオーガであろう?隣のは牙狼族と見た」
「正しくは鬼人だ。私はネコリア様にライメイの名を、こっちはリムル様にソウエイの名を其々が賜り、進化したのだ」
「わふっ!アタイもネコリア様にエンカの名前をもらったから、
「なんと……益々、其方等との同盟を御願いしたい。然し、此方からの条件も聞いてもらいたい」
「可能な範囲であれば」
「盟主であるリムル=テンペスト殿に会わせて貰うことは可能か?」
「
「うむ。その時を待つとしよう」
条件を呑み、身を翻したネコリアは配下たちとソウエイを連れ、洞窟から出て行こうとする。刹那、足を止めたネコリアが首領に迫り、耳元で口を開く
「背後には気を付けてね?ちょっと良くない光景が見えたから……。信じるか信じないかはアナタ次第だけど、可愛いあたしからの忠告は素直に聞いておいた方が良いわよ〜」
「御忠告を感謝する」
洞窟から出ていく背に、得体の知れない何かを感じながらリザードマンたちはネコリアを見送る
「父上……使者の方はなんと?」
「分からぬ……だが、あの御方には何かが見えていたようだ」
「…………あのネコさん、強そうだった」
「遊んでくれるかな?」
「わかんない。でも、また会いたいね」
「うん」
かくして、同盟は樹立された。そして、新たにネコリアの持つ力に魅了された者が二匹、この二匹が後にジュラの大森林に名を馳せる魔物となるのは少しだけ未来の話だ
いよいよ迎えるオークロード討伐作戦!しかし、その裏で糸を引く奇しい存在も………
ネコリアの真骨頂その18 実は敬語も使える
ネコちゃんの可愛いさにときめいたら、お気に入り登録お願いしまーす