転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。 作:田中滅
「………あれから、三ヶ月。町も随分と賑やかになったわね」
オークロード討伐作戦から実に三ヶ月。ゲルドの名を得た
その甲斐もあり、町は整備され、これまでは急拵えに過ぎなかった衣食住の全てが充実し、以前よりも町と呼ぶに相応しい光景へと変化を遂げた
「……………大きな気配が近付いてるわね。この気配はドワーフ……?」
仙術の修行に身を投じるネコリアは、近付く巨大な気配に薄目を開け、その正体がドワーフである事に気付き、疑問符を浮かべる
『アネキ。今ちょっと良いか?』
「あら、リンちゃん。どうかした?」
《心理意識》で呼び掛けてきたのは、カイリン。彼女の声色から何かを察したネコリアは問い返す
『今な、ドワルゴンの国王様がいらっしゃててよ。ダンナだけじゃなくアネキにも会わせろって言うんだ』
「ドワルゴン………ああ、リンちゃんたちの故郷ね。分かったわ、直ぐに行くと伝えて」
『すまねぇ』
念話を終え、即座に《変幻》を使用し、人型に変化したネコリアは気配が集まる場所に向かう。暫くして、辿り着くとペガサスに跨った大男が視界に飛び込んで来た
「貴様がカイリンの主人か?」
その大男、ガゼル・ドワルゴの姿に何時もの冗談が通じる相手でない事を悟り、ネコリアはゆっくりと傅いた
「ええ、御初に御目に掛かります。ジュラの森大同盟盟主の参謀を務めております……名をネコリア=テンペスト、お気軽にネコとお呼びください」
「であるか。してネコよ、貴様はリムルの選ぶ未来についてはどう考えておる」
「全ての種族が分け隔てなく笑い合う未来………その様な夢物語の方が大好きよ。そして恐らくだけど、アナタがこの町を尋ねた理由はあたしとリムルを見定める以外にもう一つある。違う?」
ガゼル王の問いに素を見せたかと思えば、即座に確信を突く一言を放つネコリア。その全てを見透かした彼女の姿に、ガゼル王は息を呑む
「………リムルよ。お前の相棒は他者の心を詠めるのか?」
「いやこれはネコリア特有の観察眼だよ。人の態度から一から十を読み取るんだ」
「にゃっふっふっふっ、もっと褒めてもいいのよ」
「良いかね?この子はすぐに調子に乗るから、褒めすぎてはいけないよ」
「引っ掻かれたいの?リムちゃん」
しゃきん、と音が鳴りそうな勢いで爪を立てるネコリアは笑顔であるが瞳の奥が笑っていなかった
「単刀直入に言おう、俺と盟約を結ぶつもりはあるか?お前達がもしも、この広大な森を全てを掌中に出来たならば、我が国すらも上回る富と力を手に入れる事が出来よう。その時に、後ろ盾となる国があれば、便利だとは思わんか?」
その言葉に、リムルも、ネコリアも戯れ合いを中断させ、顔を見合わせる
「良いのか?俺たち的には有り難い申し出だが……」
「それだと、あたしたちみたいな魔物の集団を一国として認可するってことよ?」
「無論だ、それとこの話は我等にとっても、都合が良い。お互いに利益がある」
「「確かに」」と声を揃え頷くリムルとネコリア、国となれば更なる発展と今後の方針等にも拍車が掛かる。故に異論はなかった
「それで?この国に名前はあるのか?」
「…………な、名前?」
「名前だ」
「う〜む…………………ジュラ・テンペスト連邦国かな?」
「ジュラ・テンペスト連邦国だと……!?」
「おおっ!」
「さすがはリムル様です!」
「では、国の名はジュラ・テンペスト連邦国!町の名前はリムルと致しましょう!」
「あたしの考えてたネコリア大帝国の方が可愛いと思うけど」
「では歓楽街の名前をネコリア様から戴き、ネコリアと致しましょう。今ちょうどカイリンが主体で開墾を進めておりますわ」
「歓楽街ネコリアっ!?なんとも素晴らしい響きだ」
「かんらくがい……?」
「遊びがいっぱいって意味だ。エンカ」
「わふっ!楽しいがいっぱい!いいな!」
かくして、此処に首都《リムル》、歓楽街《ネコリア》の二つを有するジュラ・テンペスト連邦国が誕生した
「………………今度はなに、次から次へと」
ガゼル王との会合から二日後。修行に身を投じていたネコリアはまたしても近付く気配に、不機嫌そうに眉を顰める
「お久しぶりですなぁ〜!ネコリア殿!」
その気配の主はガビル、背後には彼を慕うリザードマンが控えている
「………………何してんのよ」
「貴様ァァ!ネコリア様の修行の御邪魔をなさるとは………斬られたいようだな?」
「ふふっ………ライメイ?アナタの出る幕はありませんわ。この者の始末は私が」
「わふっ!ガビルのオッチャンだ!」
「ガビル………ああ!あの時のアホそうなリザードマンか!」
「……………アホそうでも、オッチャンでもないわっ!」
ガビルの存在にジト目を向けるネコリア、戦闘態勢を取るライメイとスイヒョウ。三人とは裏腹に遊び相手の登場に喜ぶエンカ、失礼な発言をするカイリン、其々の反応を示す
「我輩は此度の戦で自分が如何に無力であるかを知りました。ですからっ!何卒、我輩達を貴女様の配下に加えていただきくお願い申し上げます」
「兄は反省しているのです。今度こそ、妹たちに誇れる兄となるべく貴女様の下で働きたいと」
「兄者、見つけた」
「あそぼ」
配下に加えて欲しいと懇願するガビルの背後から姿を見せたのは、親衛隊長である長女と姫君である双子。まさかの妹たちの登場に、驚いたガビルが振り返る
「い、妹たちっ!?何故ここにっ!まさか貴殿等も勘当されたのかっ!!!」
「「ちがう」」
「兄上と同じにしないでください。父上に姫たちの護衛を申し渡され、見聞を広める為にこの国に送り出されたのです」
「な………なん………だと……!?とか言って、我輩を慕ってついて来たのだろう?我が妹よ」
「違います」
即答され、ショックを受けたガビルは放心状態となり、その場で燃え尽きた様に真っ白に染まっていく
「ネコリア様………お手数かと思いますが………我々と兄に名前を付けてはいただけませんか……」
燃え尽きた兄に代わり、呆れた様に願い出たのは長女。彼女の体からは苦労人雰囲気が溢れ、ネコリアの欲を唆ったが其れは今は関係ない話だ
「名前…………じゃあ、親衛隊長ちゃんは〝
「ソウカ…………頂戴いたします」
「フウ?気に入った」
「クウも」
「わ、我輩は!」
「ガビル」
「そ、そのままっ!!!」
リザードマンという新たな配下を得た事で、更に騒がしさを増す周囲にネコリアは軽くため息を吐くのであった
発展を遂げる町、だが平穏は一緒で崩れ去る!ゆっくりと修行したいネコリアの前に現れたのは!まさかの………!!!
ネコリアの真骨頂その22 実は修行熱心
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