転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。 作:田中滅
「は…………初めまして。この町の盟主をやってるリムルです。ちなみに悪いスライムじゃないよ!」
「あたしはネコリア。このエッチなゼラチンの下で参謀をしてるわ」
「そう、俺はエッチなゼラ…………って!エッチでも!ゼラチンでもないやいっ!!!スライムだっ!」
「知ってるぞ!夫婦漫才と言うヤツだな!フレイとカリオンがよくやってるヤツなのだ!」
「誰だよっ!そいつらっ!」
茶番、三文芝居等と日の目当たらない扱いを受けてきた挨拶が遂に周知された事にリムルの突っ込みは何時にも増して冴え渡っていた
「でもどっから来たかは知らにゃいけど、よくもまぁこの町を見つけられたわね。割と辺境よ?此処って」
「ふふん。その程度、私にとっては、簡単な事なのだ!この目、《
「何ですって?あたしの《千里眼》の方がすごいわよ。知ってる魔素を辿れば、あの子の私生活も丸裸なのよ。例えば、其処に居るソウカちゃん」
「………えっ?わたしですか?」
マウントを取られた様で気に食わなかったのか、ネコリアが自慢気に自分の瞳を指差した後、ソウカを指差す
「実は普段はそうでもないくせにお兄ちゃんのガビルに褒められると嬉しそうにしたりすんのよ」
「………なっ!?何を言ってるんですかっ!?誰があんなのに褒められて嬉しくするものですかっ!!!」
「おお、ソウカではないかっ!何かあったで----ごふっ!?」
突然の暴露に反論を返していると騒ぎを聞き付けたガビルが姿を見せ、即座に口封じの為にソウカが遥か彼方に吹っ飛ばす
「私の前では、弱者のふりなど出来ぬと思うが良い。ところで、お前達のその姿が本性なのか?ゲルミュッドの奴を圧倒した、あの銀髪の人型や黒髪の人型はなんなのだ?もしや変化の類か?」
「なるほどな……手の内は知ってるって訳か」
「だったら、見せた方が手っ取り早いわね」
問いに応える代わりに《擬態》と《変幻》を使用し、人型に変化し、ミリムの前に降り立つ
「おお!やはり、お前たちだったのだな!特にそっちの黒髪の方は大きなネコにもなっていたな!」
「まあ、あの姿になるには色々と条件があるから暫くは無理よ。ゲルミュッドの腕と魔王ゲルドの力を食べて進化してはいるけど」
「…………えっ!?ネコちゃん、進化してたのっ!?」
『告。個体名ネコリア=テンペストは猫又の上位種
「にゃーっはっはっはっ!可愛さに益々の磨きが加わったわねっ!」
さらりと、放たれた衝撃発言に驚くリムルを他所に当の本人は配下たちに囲まれ、何時もの様に満足そうに高笑いをしている
「ネコリア様こそ、可愛さの原初!正に可愛いとはネコリア様の為に存在する言葉ですわっ!」
「わふっ!ネコリア様は何時も可愛いぞー」
「進化しても自分自身を見失わない……正に武人の鏡です!ネコリア様!」
「ネコリア様の可愛さに一点の曇りもありませんっ!」
「にゃーはっはっはっ!」
スイヒョウ、エンカ、ライメイに加えソウカまでもが自分を褒め称える為に何時も以上に上機嫌のネコリア、その様子を見ていたリムルが彼女を指差す
「良いかね?この子はすぐに調子に乗るから、褒めすぎてはいけないよ」
「引っ掻かれたいの?リムちゃん」
しゃきん、と音が鳴りそうな勢いで爪を立てるネコリアは笑顔であるが瞳の奥が笑っていなかった
「それで?魔王殿が俺たちに何の用だ?まさかゲルミュッドの復讐にでも来たか」
「復讐………どうして、私がそんなことをしなければならないのだ?言っただろう、私はお前たちを見定めに来たのだ!」
「そう………だったら、あたしと踊らない?あのヴェルドラの血縁者であるアナタに興味が湧いたわ」
「ヴェルドラ………おお!叔父上の知り合いか!」
「えっ……ヴェルドラの血縁者!?」
魔性の笑みを浮かべ、本日二度目の衝撃発言を繰り出すネコリアとヴェルドラの名を聞き沸き立つミリムにリムルが両眼を見開く
「仙法・
「おおっ!さっきの鬼人の炎よりも高火力だな!」
「及ばずながら、手助けさせていただきますっ!仙法・
「雷の斬撃!魔法の類か?」
「足元が御留守ですわよ?魔王様。仙法・
「おおっ!氷か!」
「止めよ……仙法・
エンカの炎を纏った牙による先制攻撃、ライメイの瞬間的な雷を纏った斬撃、スイヒョウの足止め様の氷を纏った地面、最後にネコリアの花と風を混合させた闇の幻惑がミリムに命中する
「アハハハハ………!わぁ!凄いのだ!これほどの攻撃、私以外の魔王なら、無傷では受けられなかったかもしれぬぞ!………だが、私には通用しないのだーー!!」
「仙法・
無傷のミリムが動きを見せた瞬間、ネコリアは付近の岩に魔素を送り込み、彼女の力に耐え得る巨大な岩の盾を生成する。付近は既にクレーターを形成する程に原型を留めておらず、ミリムの力が魔王ゲルドの遥かに上をいく事が伺える。故にネコリアはこの世界で生まれて初めて、冷や汗を掻いた
「ネコちゃん。まだ時間は稼げるか?」
「えっ……まあ、稼げないこともないけど…何するつもり?リムちゃん」
「ふっふっふっ、見てからのお楽しみだ」
(あっ……悪いこと考えてる)
作戦内容を語らないリムルの表情から何かを読み取ったネコリアは両手を広げ、ぱんっ、と音が鳴り響く様に叩き合わせる
「仙法・
「おっ、今度は拘束か?しかし私には効かないのだ!」
「今だっ!くらえェェェ!!!」
ミリムが拘束から逃れようとした瞬間、リムルの右手に集まった金色の液体が口の中に突っ込まれる。そう、その液体の名は蜂蜜。糖分の中でも非常に濃厚な味わいを誇る魔性の液体である
「な、なんなのだっ!この美味しい食べ物は!?こんな美味しいものは、今までに食べたことないのだ!!」
「そうかそうか、なら取り引きしよう」
「取り引き……?」
「今後、お前はこの町に手を出さないと誓うならこの蜂蜜をお前にやろう。悪い話ではないだろう?」
「欲しい………!うう………だがしかし、負けを認めるなど………!」
蜂蜜に揺れるミリムの姿に、ネコリアの頭脳が瞬間的に判断を下し、彼女も何かを思い付いた様にリムルと同じ表情を浮かべる
「美味しいお魚が取れる場所とか教えてあげても良いんだけどにゃ〜」
「魚………ごくん。其処の魚もウマーなのか?」
「そうねぇ…………すっごく美味しいわ。生で食べるのは当たり前だけど、焼くと旨味成分が格段に上がって、更に美味しくなるわ」
「なんだと………!!」
その発言にミリムの中で衝撃が走る。まるで雷に打たれた様に、今までに味わったことのない未知の食事に息を呑む。蜂蜜を手にしたミリムは先程の姿が嘘の様に大人しくなり、舌鼓を打ち始める
「う〜ん!美味しい!美味しいのだ〜!こっちの焼き魚もウマーなのだ!」
「にゃっふっふっふ。気に入ってもらえて、良かったわ」
「そう言えば、二人は魔王にならないのか?」
「「何故?」」
突然、蜂蜜と魚を頬張っていたミリムが当たり前の様に本日三度目の爆弾発言を投下し、リムルも、ネコリアも首を傾げる
「えっ!?だって、魔王だぞ!?かっこいいだろ?憧れたりとかするだろ?」
「いや全然」
「あたしも魔王はちょっと……響きが可愛くない…。それに魔王にならなくても楽しい事はたくさんあるわよ。昔偉い人が言ってたわ、暮らしの中に修行ありって」
「ネコちゃん。それ多分だけど特撮ヒーローの登場人物だから偉い人にはカウントされないぞ」
「にゃんですって!?」
「ぐぬぬ……さては、お前達、魔王になるより面白いことしているなっ!?」
「面白いこと…………ゴブタ弄り!」
「お散歩っ!」
「ネコリア様への愛のポエム集作り!」
「畑の開墾!」
「兄上殴り………?」
「アネキたちは何時もと変わらねぇにしても、ソウカまで其方側に行くんじゃねぇよ。ウチだけじゃ突っ込み切れねぇよ」
ミリムの言う楽しいことから的外れな事を連発するネコリア達に偶々、通り掛かったカイリンの突っ込みが飛ぶ
「教えろ!そして、私を仲間に入れるのだ!村に連れて行け〜!」
「分かった、分かった。改めて俺はリムル=テンペストだ。よろしくな、ミリム」
「お、おう……いきなり呼び捨てか。本当は仲間の魔王達にしか許してないが叔父上の友達だからな………よしっ!特別に許してやるぞっ!リムル!勿論、ネコにもな!」
「ありがと♪じゃあ、町に案内するわね。ミリムちゃん」
「わぁ〜い!なのだー!」
かくして、災厄の根源である魔王と友好関係になったリムルとネコリアの周りは更に騒がしさを増すのであった
ミリムと友達になったリムルとネコリア、しかし彼女の加入で町は更に騒がしさを増し……
ネコリアの真骨頂その24 実はお魚大好き
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