転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。 作:田中滅
では、新年の挨拶をこの人にしてもらいましょう!
ネコリア「新年明けましておめでとう♪今年もよろしくね〜。昨年はあたしの可愛さ溢れる異世界生活を見てもらったけど、今年もより一層にがんばっちゃうから、応援よろしく♪」
「んにゃぁ〜…………またなのぉ?」
何時もと変わらぬ時刻、目を覚ましたネコリアの耳に届くのは聞き慣れた声と聞き慣れない幾つかの声。気配から察するに魔物とは異なった種族、つまりは人間である
「ネコリア様。ブルムンド王国並びにファルムス王国からの御客様方が御到着なさいました、ネコリア様並びにリムル様に御目通り願いたいとの事ですわ」
「ブルムンド………分かったわ、直ぐに準備を済ませると伝えて」
「かしこまりました」
扉越しにスイヒョウとの会話を終え、猫の姿の状態で部屋の一角に設けたある場所に移動し、《変幻》で人型になると一糸纏わぬ姿で軽く両手を打ち鳴らす
「仙法・
簡易的なシャワーを浴び、身だしなみを整えながらもこの世界には存在しない石鹸の製造に着手しようと考えつつ、衣服に袖を通した後、会議場所へと向かう
「待たせたわね」
「ネコちゃん待ちだよ。スイヒョウに呼びに行かせてから、一時間は経ってるぞ……何してたんだ」
「女の子の身支度には時間が掛かるのよ」
「女の子…………?」
ネコリアの言葉に違和感を抱いたリムルが疑問符を浮かべ、体の一部でクエスチョンマークを作る
「引っ掻かれたいの?リムちゃん」
しゃきん、と音が鳴りそうな勢いで爪を立てるネコリアは笑顔であるが瞳の奥が笑っていなかった
「……失礼。発言よろしいか?」
「ああ、すまん。許可する」
「私はフューズ。ブルムンド王国の
「俺とネコちゃんに会いに?」
「可愛いって罪ね………異国にまで、名前が知られてる。正にあたしが可愛いって事ね!」
会いに来た事を他国に自分の可愛さが知れ渡ったと解釈するネコリアの言葉に、空間が静寂と化す
「…………この馬鹿猫は無視してくれ」
「馬鹿猫っ!?」
「はぁ………話を戻しますが、今から十月ほど前に森の調査を依頼した此奴等からの報告を受けました。先ずは、ギルドの英雄を丁重に弔ってくれた事に感謝を……御礼が遅くなり申し訳ない」
ギルドの英雄、その言葉が差す人物をリムルは知っていた。彼とネコリアが看取り、国を創る事を宣言した同郷の女性、シズエ・イザワの事を示しているのだと、この話題はネコリアが話題に出さない禁句の一つでリムルもあの日以降、触れていなかった。それでもフューズは彼女の上司として、礼を伝えなければと思い、この場で正式に感謝の意を示した
「御丁寧にどうも。この話題はなるべく、ネコちゃん………ネコリアにはしたくなくてね。俺も報告を怠っていた。本来は、生きながらえたかもしれない命を、俺は奪った。それでもネコリアはその命を少しでも長く繋げる為に自分のスキルで延命させようとしたんだが…………」
「駄目だったわ」
「聞いてたのか……ネコちゃん」
用意された茶菓子に舌鼓を打つエレン達と談笑していたネコリアが会話に参加した事に気付き、彼女の方に視線を向けると、寂し気な瞳をしていた
「でもね、シズちゃんは幸せだったと思う。それだけは覚えておいて」
「ええ、記憶しておきます」
「それで?本当の用件を教えてもらえるか?わざわざ、其れを伝える為だけに
リムルの問い掛けに、フューズの目付きが鋭くなり、一気に空気が変化する。和気藹々としていた場は真剣な会議の場となり、ネコリアも静かに耳を傾ける
「数ヶ月前の事です。ブルムンド王国の
「にゃるほど、ドワルゴンのガゼル王が来た時と同じ目的なのね」
「ドワーフ王…………が来たのですか?」
「ええ、あたし達を見極めるとか言ってね。その後は仲良くなって、盟約を結んだのよ」
「はい………?盟約………!?」
聞き間違いだろうか?と言わんばかりの表情で、フューズはネコリアの言葉に疑問を抱く。刹那、扉を叩く音が響き、一人の男性が入ってくる
「失礼します。ネコリア様、例の回復薬の売り方についての御相談を…………あっ、来客中でしたか、失敬」
「ごめんね、ベスターちゃん。後で聞かせてもらえる?」
「いえいえ、後ほど」
「ベスター…………………ん?ベスター?ドワルゴンの大臣のベスターか!?」
「そうだよ、元大臣だけどな。今はカイジンとカイリンに匹敵するウチの優秀な研究者兼技術者だ」
(あの伝説鍛治師親子まで!?)
次々と飛び出す名前にフューズの脳内処理が追い付かず、遂に彼は固まった。回復までに暫くの時間が必要と判断し、次にもう一組の来客に視線を映す
「で?其方の子たちは誰よ。エレンちゃん達の知り合い?」
「………………ううん、知らない人だよ。ネコ姐さん」
「君らもブルムンドの
「あ、いえ私達は………」
「………その前に聞かせてくれ。なんでスライムが喋ってんだよ」
誰もが気にも留めず、触れようとしなかった核心をリーダー格であろう男が突く。その発言に空間が凍り付いた
「だっておかしいだろ!?スライムだぞっ!後ろの強そうな奴等を差し置いて、こんなぷるぷるした奴が偉そうにしてんだよ」
「確かに………なんで、こんなエッチなスライムが偉そうにしてんの?今更だけど」
「ネコちゃんが拒否ったからだろ!」
「しくしく……酷いわ……あたしのせいにするなんて……ちらっ……しくしく…」
「嘘泣きやめいっ!!!」
嘘泣きを始めるネコリアに突っ込みを放ち、会話の軌道修正を図っていると男の言い分が気に入らなかったシオンとライメイが立ち上がる
「だいたい失礼ですよ、リムル様に向かって」
「全くだな。礼儀を知らんのか」
「うるせぇ!オッパイどもは黙ってろ!おぐっ!?」
瞬間的に放った言葉にシオンは愛刀の剛力丸を、ライメイも雷切を振り下ろす。無論、騒ぎは起こさない配慮として鞘に納刀した状態で振り下ろしている
「ごめんね、この二人は忍耐力に欠陥があるのよ」
「欠陥などありません!ネコリア様!妹と同じにしないでください!」
「全くです!姉上と同じにされるなんて心外です!あとシオンです」
悪癖を咎められた事を反論する鬼人姉妹を諭し、比較的に話が通じそうな眼鏡の青年に視線を向ける
「私たちはファルムス王国から来た調査団で、私はお目付役のロンメル、此方は団長のヨウム。此方に御邪魔したのは成り行きですが、調査対象の
ロンメルと名乗った青年の話では、自分たちは強欲な領主に金で雇われた寄せ集め集団で正規に組まれた調査団ではない。更に言えば目付け役を命じられたロンメルは対象を強制的に従わせる魔法で彼等の裏切りを防止していた、事もあっさりと漏らす
「にゃるほど………じゃあ取り引きをしない?」
「取り引き……どういう意味だ?ネコ耳のネーチャン」
話を聞いていたネコリアの企み笑顔に、ヨウムは問い掛けなおす。すると彼女は指を、ぱちんと鳴らし、不敵に笑う
「ヨウムちゃん。アンタ、
「……………………はい?」
英雄にならないか?と提案されたヨウム、彼が出す答えは……?
ネコリアの真骨頂その25 実は嘘泣きが得意
ネコちゃんの可愛いさにときめいたら、お気に入り登録お願いしまーす