転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。   作:田中滅

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今回の見所!ネコちゃんは強くて可愛い!以上!


第三十五話 緊急指令!迎え撃て!テンペストの精鋭!

黒炎獄(ヘルフレア)!!!」

 

開戦の狼煙を上げたのは、ベニマル。黒い炎が暴風大妖禍(カリュブディス)を起点に円形状に広がり、空泳巨大鮫(メガロドン)を呑み込む。然し、『魔力妨害』の影響下にある暴風大妖禍(カリュブディス)への被害は皆無、本来は塵一つも残さずに焼き尽くす威力の黒炎獄(ヘルフレア)。その力を持っても、焼き焦げたのは、空泳巨大鮫(メガロドン)一匹程度で未だに状況は変わらない

 

「お供が焦げただけか。聞きしに勝る厄介さだな」

 

「ええ、それに範囲内に捉えた筈の本命は痛痒を感じていないようです」

 

「リムちゃん。暴風大妖禍(カリュブディス)は任せてくれる?」

 

「勝算はあるのか?ネコちゃん」

 

暴風大妖禍(カリュブディス)を見上げ、自分に任せてて欲しいと告げる相棒の姿は相変わらずだった。猫耳をぴこぴこと動かし、ふりふりと揺れる鍵尻尾、愛らしくも頼もしい彼女は其処に佇んでいた

 

「魔法が効かないなら、あたしの仙術の方が有利に立ち回れるわ」

 

「確かに。なら、俺はネコちゃんをサポートする」

 

「オークの時とは逆ね」

 

「信頼してるよ、参謀長」

 

「任せなさい……盟主様っ!」

 

ネコリアの意志を汲み取ったリムルが笑う。その姿に配下たちも触発され、空泳巨大鮫(メガロドン)に狙いを定め、侍大将であるベニマルが動く

 

「俺たちは空泳巨大鮫(メガロドン)を殲滅する!各隊で一体ずつ、相手にしろっ!」

 

「各隊………言わずもがなですけど、見知った顔しかいませんわね」

 

「わふっ!それはアタイの台詞だぞっ!」

 

「この国に立ち入る事は許さんっ!我が刃の前に沈めっ!」

 

「てかよ、ウチも非戦闘員だろ。ここに連れてきた理由はなんだよ」

 

「カイリンさんも仙術が使えるんですよね?ネコリア様から聞いてますよ」

 

「はあ………ソウカ、てめぇの差金か。仕方ねぇな………暴れるぜっ!!!」

 

各隊、ベニマルのその言葉に反応したスイヒョウたちは息の合っていない様に見えながらも空泳巨大鮫(メガロドン)を見据え、カイリンの号令を皮切りに真っ直ぐと駆け出した

 

「仙法・岩土掌(がんどしょう)!!!」

 

「まだまだですわね?カイリン。仙法・縛氷結(ばくひょうけつ)!!!」

 

「わふっ!寒くしてどうするんだぞっ!やっぱり熱くしないとだぞっ!仙法・炎牙狼(えんがろう)!!!」

 

「私を忘れてもらっては困るなっ!万物悉く斬り刻め!仙法・轟雷斬波(ごうらいざんぱ)!!!」

 

「仙術…………教えてもらおうかな」

 

カイリンが両手を打ち鳴らすと巨大な掌を形作った岩が空泳巨大鮫(メガロドン)を締め上げ、反対側から飛来した空泳巨大鮫(メガロドン)をスイヒョウが氷漬けにし、其れに火焔を纏ったエンカが体当たりする。カイリンが締め上げている一体を、ライメイが雷を纏った斬撃で斬り伏せる。先輩たちの圧倒的なまでの力を見せ付けられたソウカは、仙術を学ぼうかと思っていた

 

「ネコちゃん。今、ハクロウが仕留めた空泳巨大鮫(メガロドン)で最後だ」

 

「ええ…………待って!音が変わった!」

 

「なんだ、この不快な音は……!」

 

暴風大妖禍(カリュブディス)を見据えていたネコリアの耳が逸早く捉えた音、それに気付いたリムルも不快感極まりない音に表情が一変する

 

「リムル。あたし、振り返らないわよ」

 

「振り返る必要があるのかよ?ネコリア」

 

「にゃっふっふっふっ………そういう所、大好きよっ!!!」

 

不快な音と共に降り注ぐ鱗の雨、一瞬の油断が隙を生じる中を真っ直ぐにネコリアは駆け出した。仙術を利用した空中歩行、《空歩(くうほ)》を使用する事で氷上を滑るかの様に駆ける姿は、普段の彼女からは想像も付かない程に勇ましく美しい、正に戦うヒロインという言葉が似合う

 

「《暴食者(グラトニー)》」

 

一瞬だった。絶え間なく降り注いでいた暴風大妖禍(カリュブディス)の鱗はリムルが新たに会得したスキル《暴食者(グラトニー)》の効果で、《捕食》と《腐食》の二つが重なり合った力は圧倒的にして規格外。無数に降り注いでいた鱗は一瞬で消え去る

 

「そろそろ………終わりにするわね。親友が残した厄介事を片付けるのは親友であるあたしの役目………仙法・大燐華(だいりんか)!!!」

 

「そこ、俺たち(・・)の間違いだろ。俺だって、ヴェルドラの友達なんだからなっ!!!喰らい尽くせっ!!!」

 

魔素を極限までに高めたネコリアが放った巨大な火球は暴風大妖禍(カリュブディス)の表面を焦がし、リムルの《暴食者(グラトニー)》は喰らい尽くす事はなかったが一部を《腐食》させる

 

「ありゃ、焼き加減はレアってとこか。ウェルダンまではいかなかったか……もうちょっと火力調整が必要ね」

 

「俺も流石に本体は喰えなかった」

 

「《腐食》が効いただけでも上出来よ」

 

「次の作戦はあるか?」

 

「作戦………総攻撃♪」

 

「匙投げたよなっ!?」

 

流石に大技でも傷付けることしか出来ないと理解した瞬間、先程までの頼もしさは何処にと言いたくなる主体性に欠ける作戦を提案する相棒にリムルは突っ込みを放つ。其処からは、樹妖精(ドライアド)三姉妹が合流し、ドワーフの天翔騎士団(ペガサスナイツ)による援軍で、十分以上に戦力を増強した総攻撃で無事に撃退する事に成功した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にゃ〜んて………思ってた十時間前の自分を殴りたいわね……仕切り直した方がいいかしら……これは…」

 

優勢と思われた戦況は明らかに劣勢を極めていた。暴風大妖禍(カリュブディス)にも消耗は見えるが、テンペスト側の被害も深刻で、回復薬(ポーション)が尽きかけている為に怪我人の治療も満足に出来ない状況に、仕切り直す事も視野に入れ始めるネコリア。その時だった、彼女の猫耳が、ぴこっと動いた

 

「どうした?ネコちゃん」

 

「…………にゃるほど。ミリムちゃん、()えてる?」

 

リムルの問い掛けに応える代わりに、ネコリアは妖しく笑い、側に居たミリムに声を掛けた

 

「うむ、覚えがあるのだ。確か前に来たフォビオだったか?そやつの気配を感じるぞ」

 

「やっぱり、最初に感じた気配はフォビオが原因だったのね。《千里眼》で近付くのが察知出来た訳ね」

 

竜眼(ミリムアイ)》で確認すると、暴風大妖禍(カリュブディス)の体内にフォビオの反応があり、最初に感じた気配に見覚えがあった理由にネコリアは納得したらしく、ちらりとミリムの方に視線を向ける

 

「ネコ!あいつ、私の名前を言ってないか?という事は私の客と考えてもいいか?いいよな?」

 

「そうみたいね」

 

「頼めるか?ミリム」

 

「任せるのだっ!」

 

「あと一つだけ言っておくけど、手加減はしてね?フォビオに話を聞きたいから」

 

「分かったのだ!ネコ!最近は手加減を覚えたし、丁度いいのだ」

 

((覚えた………?))

 

自分絡みと理解した瞬間に、暴風大妖禍(カリュブディス)に向かっていくミリム。ネコリアからの手加減要請を快諾し、手加減を覚えたと口にする彼女に、リムルも、ネコリアも違和感を覚える

 

「これが………手加減というものだ。竜星拡散爆(ドラゴ・バスター)!!!」

 

その言葉と共に放たれた青白い光を纏った無数の気弾は暴風大妖禍(カリュブディス)を撃墜し、十時間も苦戦した怪物が僅か一瞬で塵芥と化す。解放された事で落下してくるフォビオを回収し、上空で勝利のサインを送るミリムを見上げ、リムルとネコリアは大きく息を吸う

 

「「何処が手加減っ!?」」

 

これが後に手加減とは手を抜く事に在らずと言わしめた伝説の始まりである




厄災を撃退し、フォビオを救い出したリムルとネコリアたち。彼に町を襲わせた黒幕とは………

ネコリアの真骨頂その28 実は相棒遣いが荒い

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