転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。   作:田中滅

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今回の見所!ネコちゃんには服装のこだわりがあって可愛い!以上!


第三十七話 使節団を送り出したら、娯楽が欲しくなっちゃった

「んにゃぁ〜…………珍しいわね、此処に一人で来るのは初めてじゃない?」

 

仙術修行を身を投じていたネコリアは、近付く気配に薄目を開け、その妖気(オーラ)の持ち主に疑問を投げかける

 

「今から仕事に行ってくるのだ。リムルには挨拶しておいたが、ネコは町にいなかったからな。あの畑にいる一本角に聞いたら、此処にいると教えてくれたのだ」

 

その主、ミリムは私服ではない魔王としての衣装を着込み、仕事に行くと宣言する彼女は普段の子どもらしく振る舞う姿とは正反対、最古の魔王と呼ぶに相応しく、威風堂々と佇んでいた

 

「一本角……ライメイね。それで?仕事って、にゃに?」

 

「といっても、他の魔王に会いに行くだけだかな。心配するな!終わったら帰ってくるのだ」

 

「そう……騙されないようにね」

 

強引に約束を取り付け、ネコリアの言葉に「リムルとおんなじ事を言うのだな」と笑いかけた後、彼女は飛び去った。騒がしい空気から一変、久方ぶりに訪れた静かな時間。今までが賑やか過ぎたが故に忘れていたが、独りとは孤独で寂しい時間だ

前世の頃は一人で過ごすことが当たり前で、日常だった。誰もいない家、一人きりの食卓、それが当たり前だった

 

「此方にいらっしゃったのですわね、ネコリア様。獣王国(ユーザラニア)に旅立つ使節団を見送る式典に御召しいただく衣装の採寸をしたいと、シュナ殿が申しております」

 

「分かった、今から行くわ」

 

重い腰を上げるようにスイヒョウの胸に抱かれながら、シュナの待つ織物工房に向かう。着せ替え人形にされる事は目に見えているのだが、娯楽の充実していない世界で、衣服の普及は唯一の楽しみと呼べなくもはい。故にネコリアもこの時間が嫌いではなかった

 

「まぁ、ネコリア様!先程までリムル様もいらっしゃたのですよ。どのような御召し物にいたしましょう?」

 

「今後は魔王の国との付き合いが始まるから、今までみたいに露出度に極振りした格好は控えようと思うのよ」

 

「何故ですのっ!?」

 

「そうです!ネコリア様にお肌を隠すような衣服は似合いませんよ!」

 

「スイちゃんはともかく、シュナちゃんも其方側なのね………」

 

普段着に露出度の高さを取り入れているネコリアは既に町の顔、いわゆるファッションリーダー的な存在となっており、彼女の服装を真似る女性たちが増え始めている。かくいうスイヒョウも最近は水色のコートの下に薄紫色のチューブブラを着用した露出度の高い服装を身に纏っている

 

「そうですわ、此方の袖無しの服はいかがでしょう」

 

「まあまあ、それでは下は此方のフリフリのスカートがよろしいかと」

 

「どうあっても、あたしに露出度の高い格好をさせたいみたいね………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日。準備期間はあっという間に過ぎ、遂に使節団出立の日を迎える

 

「諸君、是非とも頑張ってくれたまえ!」

 

壇上に上がり、挨拶をするリムル。しかし、湧き立っていた筈の民衆は一瞬で沈黙する。見覚えのある光景にため息を吐くネコリアは、ジト目を向けた後、口を開く

 

「相変わらずの滑り芸ね。だからサムいスライムなのよ、リムちゃんは」

 

「サムくないやいっ!」

 

「そうね、エッチなスライムだったわね」

 

「其れも違わいっ!!………こほん。えーでは、気を取り直してと」

 

ネコリアからの助け船で、鎮まっていた場が直ぐに笑い声に包まれた事を確認すると軽く咳払いしたリムルは使節団であるベニマル達に視線を向けた

 

「今回の目的は、相手と今後とも付き合っていけるかを見極めることだ。我慢しながらじゃないと付き合えそうもない関係なら必要ない。お前達の後ろには俺、ネコリア、それに仲間達がいる。恐れずに自分たちの意思はきっちりと伝え、その眼で友誼を結べるか否かを判断してくれ。頼んだぞ!」

 

「「うぉぉぉぉ!!!」」

 

一斉に湧き立つ国民達、その様子を見るだけで如何にリムルが信頼されているかが理解出来る。その様子を見守っていたネコリアの側に近付く影が一つ、気配に気付き、振り返るとベニマルが立っていた

 

「カリオンが信頼できる人物かを見極めてきます」

 

「任せたわよ」

 

優しく笑い掛けるネコリアに、使節団は返事を返し、星狼族(スターウルフ)の引く馬車?に乗り込み、見聞を広める為に獣王国(ユーザラニア)に旅立っていた

 

「ネコちゃん。今更だけど、今日はやけに露出度高くない?」

 

壇上から降りてきたリムルは、目の前に佇む相棒の服装に愚痴をこぼす。当の本人はノースリーブを引っ張り、リムルに向き直る

 

「…………あら、嫌い?こういうのは」

 

「……………嫌いじゃないです」

 

「やっぱりエッチなスライムね」

 

「エッチじゃないやいっ!」

 

決まり文句が木霊し、魔国連邦(テンペスト)の平和な日常が、今日も始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に日は流れ、町中は獣王国からの使節団を迎える準備を始めていた。主に滞在するのは、首都リムルであるが歓楽街ネコリアにも足を運ばないとは言い切れない

 

「娯楽が欲しいわね」

 

「娯楽……ですか?」

 

呟く様に放った言葉を拾ったスイヒョウが復唱する様に聞き返す。ソファーに寝転ぶ彼女の主人は何時もと変わらず、愛らしい鍵尻尾をふりふりと揺らしている

 

「今回の取り引きが上手くいけば、海産物が充実してくるわ。お魚は好きよ?でもね、それだけじゃダメなのよ。あたしの欲は満たされないの」

 

「なるほど。ネコリア様のお考えになっている娯楽とは具体的にどの様なモノなのでしょう?もしかしたら、実現することも出来るかもしれませんわ」

 

「そうね………歌かしら?やっぱり。魔国連邦(テンペスト)の魅力を知ってもらう為に歌を作るとか」

 

「歌ですか……それはネコリア様が歌われるのですわよね?勿論」

 

「んにゃ……あたしが?」

 

適当に考えついた意見を話していただけだったがスイヒョウからの突然の問い、予想もしていなかった出来事にネコリアは瞳を丸くする

 

「ネコリア様の歌だと………!素晴らしい!魔国連邦(テンペスト)の宣伝にもなるだけではなく、ネコリア様の偉大さを世間に知らしめす絶好の機会ではないか、うんうん」

 

「わふっ!ネコリア様の歌か〜、綺麗な歌声なんだろうなぁ〜」

 

「ネコリア様、くれぐれも兄上達に勘付かれないようになさってください。後ろで踊りかねないので………」

 

「ネコ様が歌う?聞きたい」

 

「聞きたい」

 

「アネキは色々と思いつくんだな。よっしゃ!ウチも全力でサポートするぜっ!」

 

盛り上がりを見せる配下達を前に後に引けないネコリア。苦笑しながらも彼女達を見守りながら、ある想いを抱いていた

 

(あたし………歌苦手なんだけど……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、獣王国ユーザラニア。魔王カリオンの治める地、その王宮に一人の獣人族(ライカンスロープ)が呼び出されていた

 

「フォス!お前に任務を与える。いち獣人族(ライカンスロープ)として魔国連邦(テンペスト)を探って来い」

 

玉座に座るカリオンが呼びかける先に跪くのは、獣人族(ライカンスロープ)の少女。彼女の名はフォス、獣王戦士団の候補生である

 

「任せるです!カリオン様!フォスはその使命を必ず果たしてみせるです!」

 

「あとネコリア=テンペストには気をつけろ。奴はリムル=テンペスト以上に底知れない欲の持ち主だ」

 

「了解したです!」




遂に来る使節団を迎えるリムルとネコリアたち、しかし一触即発な雰囲気に……

スイヒョウの真骨頂その1 実はネコリア第一主義

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