転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。 作:田中滅
ネコちゃん「あら、お嫌い?」
な、ナイスハレンチ………
「子どもたちは大丈夫だ。万が一を考えて、ひと月以上は様子を見たが魔素はかなり安定している」
「そのようですね。其れにしてもリムルさんはスゴいです。一体どうやったんです?他の教師たちも驚いてましたよ」
「ふっふっ……企業秘密だ」
現在、リムルが相対するのは
情報を必要以上に与えないのは、目の前に居る彼を信用していないというのも有るが大事な教え子たちが他人の利己に振り回されない為にするリムル也の配慮である
「流石はリムルさん。シズ先生も浮かばれますね」
「まっ、俺は俺のやりたいようにやるだけさ。其れにだ……ウチの
「ああ、ネコリアさんと言えば………これが」
「ん?なんだこれ………リムル=テンペスト宛…………んむ?」
ユウキが手渡したのは大量の紙束、其処に記載されたのは確かに自分の名前であるが見覚えのない数字の羅列が大量にあり、書かれた内容にも見覚えがない
「ネコリアさんが豪遊した請求書です。リムルさんの給料から天引きしておきますね」
「………………何してくれてんのっ!?あの馬鹿猫はっ!!!」
リムルの悲痛な叫びが木霊する。長い付き合いの中で紡いだ筈の絆は何処に、と言いたくなる彼女の遣り口に物申す為に彼女が泊まる部屋に向かう
「よぉ………ネコちゃ----って服はっ!?」
勢いよく扉を開け、中に居る相棒に呼び掛けながら彼は前方を睨み付けた。然し、直ぐに彼女の一糸纏わぬ姿に、両眼を見開く
「あら、リムちゃん。女の子の部屋にノックも無しに入るのはマナー違反よ」
猫耳をぴこぴこさせ、鍵尻尾をふりふりと揺らす彼女基ネコリア。その姿は長い黒髪から滴る水滴が鎖骨のラインをなぞる様に流れ落ち、健康的で慎ましい彼女の美しくも可憐な姿を魅惑的に彩っていた。正にその愛らしさは傾国、国一つを傾かせるかの如く、魔性の一言が似合う
「服を着なさい!」
「なによ、今更。じっくりと見ておいて……ホントにエッチなスライムね」
「エッチじゃないやいっ!というか!お前!俺の給料で豪遊しすぎだろ!目玉飛び出るかと思ったわ!」
相変わらずの決まり文句に突っ込みで返しながら、持参した請求書の束を眼前に突き付けると彼女が視線を横に逸らす
「リムちゃん………あたし、強欲なのよ。欲しい物は絶対に手に入れる。つまりね?リムちゃんの物はあたしの物、あたしの物はあたしの物なのよ。分かる?この意味」
「微塵も理解出来んわっ!なんだその有名アニメに出てきそうな暴君的な発想はっ!?」
「…………悪かったわよ、埋め合わせはするわ」
服に袖を通し、ソファに座った彼女は申し訳無さそうに眉を下げ、埋め合わせの約束をする。リムルは対面にあるソファに腰掛け、優しく笑う
「約束だからな。で?どうだ、何か分かったか?ユウキ・カグラザカについて」
「これと言った情報は無いわね。だけど……収穫がなかった訳じゃないわ、この国を知ってる?ファルムス王国」
そう告げ、胸元から取り出したのは一枚の地図。いわゆるこの世界の世界地図だ、その指先を追うと示されたのはジュラ・テンペスト連邦国から少し離れた先にあるファルムス王国。この世界の地理に疎いリムルは首を傾げた
「聞いたことない国だな。この国がどうしたんだ?」
「この国は
「…………狙われてるのか。
「そこ、あたし
「分かってる……。明後日にはこの国を出る、準備は怠るなよ」
「かしこまりました」
傅き、
「アナタの欲はあたしの欲、全ては我が盟主の御心のままに」
「先生……ネコリアさん……行っちゃうの?」
出立の日、イングラシア王国の門前には子どもたちが見送りの為に付き添っていた。中でもリムルに懐いていたクロエは寂しそうに問い掛ける
「クロっち…………二人を引き止めるのはダメだよ…………!」
「そうよ!さっさと行きなさいよ!」
優しくクロエをリョウタが咎める隣で、素直になれないアリスはぷいっ、と外方を向く。だが別れに寂しい気持ちは付き物、その姿に不思議とリムルは愛用の仮面に手を掛けた
「ほら、これをやるから元気出せ」
「あーっ!ずるい!あたしも欲しかったのにぃ!」
「だめー、私がもらったのー」
頭に置かれた仮面はリムルの匂いに混じって懐かしい匂いがする不思議と安心感のあるモノ。余韻に浸っているクロエに駆け寄ったアリスが叫び、抗議するも当の本人は嬉しそうに仮面を抱き締め、拒否する
「仮面くらい良いだろ、別に」
「ネコリアさんが俺たちに新しい服をくれたじゃないか」
「似合ってるよ。アリスちゃん」
「当然よ。その服はうちの国の
「え……じゃあいいわ。ネコリアさん!ありがとう!」
自分だけが特別に御洒落要素が含まれていると知り、満足したアリスは抗議を諦め、ふふんっ、と満足そうに腕を組む
「じゃあ俺たちは行くよ」
「ネコツー。あとはお願いするわね、この子たちをしっかりと導くのよ」
「お任せにゃ♪」
クロエに抱かれたネコツーが得意気に笑うのを確認すると、リムルはランガに、ネコリアはエンカに跨り、その身を翻す
「またな!」
「またね♪」
出会いがあれば別れもある。だが其れは二度と会えない訳ではない、誰かが言った一度きりの人生に出会いは一度しかないと、ならばその出会い一つ一つに意味があるのだと。故にリムルは走る、相棒とともに。この世界を生き抜く為に彼は走り続ける
「ネコちゃん………なんか可笑しいと思わないか?妙な気配がする」
「気付いた?さっきから、妙な結界に閉じ込められてるわ。魔素が安定してない」
「大賢者!」
『告。広範囲結界に囚われました。結界外への空間干渉系のスキルは封じられました』
「結界!?なんだって、そんなことにっ!」
「リ……リムル様!ネコリア様…!」
驚くリムルの前に傷だらけのソウエイが姿を見せる。分身体である彼が傷付くほどの出来事、何か不安が過ぎるリムルは相棒に声を掛けようと背後を振り返る。すると彼女は金色の双眸を真っ直ぐと前方に向けていた
「リムル」
名を呼ばれ、彼女が何をしようとしているか理解した。大抵の場合は渾名で呼ぶ彼女が普通に呼ぶ時は何かを決めた時、故にリムルは何も聞かずにランガに跨る
「大賢者!結界を
「そうはさせないわよ」
大賢者に呼び掛け、結界を無効化しようとするリムルの耳に女性の声が聞こえた。其処には白い
「初めましてかな、もうすぐサヨナラだけど」
「リムル……突っ走って。此処はあたしが引き受ける。ファルムス王国の差金よ、恐らくは」
「すまん!任せた!ネコリア!!!行くぞっ!ランガっ!」
「はっ!我が主人!」
影から飛び出したランガに跨り、リムルは
「盟主を逃したのは懸命な判断ね……でも直ぐに追い付くわ。貴女は確かスライムの部下の中でも最上位の筆頭幹部である参謀長のネコリア=テンペストね」
剣を手にネコリアを睨み付ける女性の瞳は冷酷で強烈な殺気を纏い、完全に自分が魔物に染まりきっていた事を改めて自覚する
「あら、知ってもらえて光栄だわ。神聖法皇国ルベリオスで神の右手とも称される法皇直属近衛師団筆頭騎士の聖騎士団長……ヒナタ・サカグチ。唯ね、一つ間違いを訂正させてくれる?」
「何?聞くだけ聞いてあげる、其れが遺言になるだけだと思うけど」
ヒナタ、そう呼ばれた女性はネコリアの言う間違いを聞く為に軽くため息を吐きながらも、そう吐き捨てるのは彼女也の自信の現れである事は明白。其れでも訂正せずにはいられない、此れが遺言になるとしても訂正するべき事が彼女にはあった
「あたしはリムルの配下じゃないわ。対等の位置にある唯一無二の相棒であり親友にして筆頭幹部兼参謀長………我が前に平伏せ、人間の小娘よ」
「本性を暴いてやるわ、魔物の猫女」
かくして、相対する事になった最凶と最強。この戦いは後に災禍の幕開けとして歴史的な一戦であったと伝えられる
リムルとネコリアの帰国に沸き立つ魔国連邦、然しその騒がしい街に迫る災禍を前に彼等は何も知らず………
ネコリアの真骨頂その32 実は脱いだらスゴい
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