転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。   作:田中滅

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今回の見所!ネコちゃんが……!以上!


第五十話 ウソでしょ!?またまた死んじゃった!

「君を葬った後はあの忌々しいスライムにも死んでもらわないとね」

 

「させると思う?そんなこと。此処から先は通行止めよ」

 

「…………其れは大人しく死んでくれるという意味で捉えていいのかな?」

 

冷酷な瞳、溢れ出る魔素、その愛くるしい見た目と共存する魔性の笑み。彼女の言葉に、ヒナタは刺々しい疑問を投げ掛ける

 

まさか……アンタを此処で叩き潰すって意味に決まってんじゃない、小娘!!!

 

彼女から返ってきたのは予想もしていなかった反応。魔物とは思えない感情を見せ、冷酷な瞳は鋭く殺気を帯びていく

 

「君の本性は魔物………其れもあのスライムよりも遥かに凶悪みたいね。やはり……死んでもらうわ」

 

ヒナタもまた殺気を放ち、構えた剣を真っ直ぐと前方に突き出す。正確な突きは確実に心臓部を狙った、然し、身軽な体格を活かしたネコリアの動きに油断は感じられない。次々と打ち込まれる斬撃を紙一重で躱し、的確な判断で攻撃を予想する

 

「へぇ……やるじゃない。この結界(・・・・)の中で其れだけの動きが出来るのは君くらいじゃないかな」

 

この結界(・・・・)ねぇ……やっぱり、対魔結界を仕掛けたのもアンタのようね。その口振りから察するに」

 

「そう、西方聖教会が誇る究極の対魔結界……この聖浄化結界(ホーリーフィールド)からは何人たりとも逃れる事は不可能。この範囲内では魔素が浄化され、存在維持に力の大半を割り振ることしか出来ない魔物は簡単に消滅するわ。なのに……どうして、君は動けるの?」

 

「良い質問ね、結界の事を教えてくれた御礼に教えてあげるわ。確かにあたしは魔物で魔素を主な活動源にしているわ。でもね、あたしみたいに仙術を扱う魔物はその代わりになる活動源(エネルギー)を外部から取り込む事で生命維持に当てる魔素を極僅かに収縮出来るのよ。だからって、その手段を断とうしても無駄よ?《自然エネルギー》は世界に芽吹く数多の生命から力を分け与えてもらって成立するスキル。あたしを完全に葬らない限りは断つ事は不可能よ」

 

ふふっ、と不敵に微笑んだ彼女(ネコリア)。結界の影響を受けず、軽やかな足取りで怒涛の剣撃を躱し、拳撃を、蹴りを、叩き込む。まるで踊る様に動き回る彼女は、誰よりも可憐で美しく、妖艶である

 

「あのスライムが人の姿を模倣していたけど………あれは明らかに、シズ先生(・・・・)だった。どうやら、君たちがシズ先生と関わりがある事は事実みたいね。そして………その命を奪ったって話も信憑性が出てきたわね」

 

「………っ!」

 

ヒナタの口から放たれた「シズ先生」という名に、ネコリアの表情が僅かに変化を見せた。余裕綽々に見えた動きにも油断が生まれ、ヒナタの斬撃が精神体(スピリチュアルボディー)に直接的な痛覚(ダメージ)を与える

 

「三撃……あと四回で確実な死をもたらす」

 

「三撃と四回………七回の刺突で精神体(スピリチュアルボディー)に終焉を与える技ね」

 

「そう、此れが七彩終焉刺突撃(デッドエンドレインボー)。君の推測通り、七回の刺突がその命を奪う。流石はシズ先生を殺しただけはあるのかもね」

 

またしても表情が歪む。シズの死はネコリアにとっても受け入れ難い過去、其れを指摘される度に魂を(えぐ)る様に、体内を痛みにも似た何かが駆け巡る。その間もヒナタの手は止まらず、反応の鈍ったネコリアに二撃を叩き込む

 

「あと二回。本来は私が出向く必要のない仕事なの、でも私にはどうしても出向かなければならない理由があった。其れは………

 

 

 

 

 

自分の手で君たちを殺したかったから

 

 

そう告げるヒナタの斬撃がネコリアの命を削り取る様に二回叩き込まれる。悪足掻きする暇すらも与えずに彼女は蓄積された精神体(スピリチュアルボディー)への痛覚(ダメージ)が臨界点を迎え、跡形も残らずにネコリアは姿を消した

 

「さよなら……先生」

 

短い関係であったが唯一の師と崇めた彼女に別れを告げ、ヒナタは風の様に去っていく

 

「はぁ………し、死ぬかと思った。まぁ、一回は確実に前世で死んでる訳だけど」

 

ヒナタが去った数秒後、完全に気配が消えた事を確認すると叢から一匹の黒猫が姿を見せる。先程、ヒナタが仕留めたのはネコリアが仙術で生み出した分身、言わば名付けや霊魂を分け与える前の簡易的な分身体である。中の魔素量は半減するが強敵を油断させる為の策として、彼女は会話の隙を狙い、入れ替わっていたのだ

 

「わふっ!ネコリア様!無事かっ!」

 

主人(ネコリア)の安否を確認する様に木陰から姿を見せたエンカは尻尾を、ぱたぱたと振りながら彼女に駆け寄る

 

「にゃんとかね。エンちゃん、リムちゃんの匂いは分かる?」

 

「任せろだぞっ!」

 

はぁ……と軽く息を吐き、エンカにリムルの匂いを追う様に指示すると誇らし気に顔を上げた彼女は自分の鼻を指差す

 

「じゃ、行くわよ」

 

「わふっ………あれ?でも、リムル様の空間魔法?ってヤツで迎えにきてもらえばいいんじゃないか?」

 

返事を返そうとしたのも束の間、違和感に気付いたエンカが的確な疑問を投げ掛けた

 

「そうしようとしてるんだけど……にゃんか可笑しいのよ。さっきから全然、応答が無いのよ」

 

「うーん、取り敢えずガビルの居る洞窟に行ってみるってのはどうだ?あそこなら魔国連邦(テンペスト)に向かうよりも時間は掛からない筈だぞ」

 

「…………にゃんか、嫌な予感はあるけど……仕方ないわね。お願い出来る?エンカ」

 

「わふっ!任せるんだぞっ!」

 

かくして、ネコリアは帰還を急ぐ。彼女の中に過ぎる予感が現実という名の災禍が訪れているとは知らずに……




ネコリアがヒナタと相対している頃、スイヒョウたちの身にも異変が起きていて……

ネコリアの真骨頂その33 実は動揺しやすい

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