転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。   作:田中滅

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今回の見所!ネコちゃんの可愛いさとお惚けが大爆発!!以上!


第五十四話 難しい議題の会議でも掴みは大事だから、定番のネタをやっちゃった

「心配かけた、これより会議を行う。ネコリア、議題を」

 

「はぁ〜い………えっと、議題は益々の磨きを見せるあたしの可愛さを如何に人間たちに思い知らせるかだけど」

 

「そう、ネコちゃんのかわ…………って!ちがーーーうっ!何を当たり前のように何時も通りのボケを放り込んでくれてんのっ!?」

 

「どんな集まりにも掴みは大切なのを知らにゃいの?全くこれだからエッチなスライムは…」

 

「エッチなスライムちゃうわっ!!というか今それは関係ないだろっ!はぁ……ホントにこの馬鹿猫は……」

 

真面目に論議するつもりがあるのかも理解し難い何時もと変わらない平常運転の相棒に突っ込みながらも、呆れた表情のリムルは改めて集まった幹部たちに視線を向ける

 

「既にリグルドから通達されていると思うが、議題は今後の人間に対する振る舞いと殺された者たちの蘇生についてだ。この二つの議題の前提として、お前たちに伝えておくことが一点ある」

 

誰もが息を呑む、その視線が注がれるには、一匹のスライムが鎮座する。盟主である彼の言葉を待ち、周辺一帯は静寂が支配し、その決意という名の答えを待つ

 

「俺は魔王(・・)になる」

 

その発言は、一気に空気を変えた。ある者は息を呑み、ある者は呼吸する事を忘れ、ある者は響めき、ある者は眼を見開いた。だが彼女だけは違った。その金色に染まった双眸で彼を見詰め、口を開く

 

「そこ、あたしたち(・・)の間違いでしょ。まぁ………色々と思うことはあるかもしれないけど、あたしとリムルは人間の全てを憎んでる訳じゃない。アンタたちもでしょ?」

 

彼女の発言は最もだ。確かに人間は略奪者として、凡ゆるモノを魔国蓮舫(テンペスト)から奪い去った。それでも彼等には人間を嫌えない理由があるのも事実、現にこの場に居る面子の中にヨウム一行を始めとした気を許した人間たちも彼等と同じ種族である

 

「………ネコリア様の言う通りっす。確かにゴブゾウ達を殺したファルムス王国の騎士達はキライっすけど、ヨウムさんや部下の人達は、同じ師匠の下で同じ釜の飯を食った仲間っす。あいつらとは違うって断言できるっす」

 

「ゴブタ…………にゃにを真面目に語ってんのよ、ムカつくわね」

 

「なんで罵倒されたんっすか!?オイラ!」

 

自分で聞いておきながらも、遊び道具的な存在と認識しているゴブタが真面目に語る姿に顰め面を見せるネコリア。突っ込まれた本人は驚き、両眼を見開く

 

「ですが…ゴブタの言う事には一理あります。現にカバル殿たちは我々の身を案じ、駆け付けてくれた……信頼できる友だと俺は思います」

 

「確かに……リグルの言う通りだぜ、アネキ。現にミョルマイルのおやっさんは迎撃の時に助力を申し出てくれたんだ、《人間》って枠組みで一括りにしちまうのは、結論を急ぎ過ぎてんじゃねぇかとウチは思う。勿論、スイヒョウたちを殺したのは人間だ、それでもヨウムたちやミョルマイルのおやっさん、エレンたちみてぇにウチ等を対等に扱ってくれる人間が居るのも事実だからな」

 

「カイリン……オメェも言うようになったじゃねぇか。姐御、俺は娘の意見に賛成だ……人間との共存をアンタらが望むなら、俺たちはその意志に従うぜ」

 

《魔物》と《人間》、本来ならば相容れない種族間の共存に各々の意見を出し合う部下たちの姿にリムルは感銘を受ける。彼は前世では人を深く愛したことのない人生を送ってきた、それでも目の前に居る彼等は彼にとって《仲間》であり《家族》と呼べる大切な存在で、今の彼の生きる理由。故に自らの抱える秘密を明らかにする、決心が付いた。相棒に目配せをすれば、彼女は「好きにしなさい」と言わんばかりに優しく微笑んでいた

 

「皆。実は……言わなきゃならない事がある、俺とネコリアは転生者だ。いわゆる異世界人、そう呼ばれる者たちと同じ世界に生きた人間だった」

 

「死んだ時期、転生した時期は違うあたしたちはこの世界で出会い、互いを補い合いながら生きてきた。そして………皆に、家族に出会い、アナタたちが頼ってくれる日々に目標を見出した。そうすれば、自分の中の前世の自分が笑った気がしたから……進化した姿が人間に近くなったのは、その願望が影響したんだと思うわ」

 

「「人間を襲わない」というルールもそういう理由で作った。人間を好きだと言ったのも元は俺たちが人間だったからだ。今更、後悔しても、何を言ってるんだと思うだろう……でもな、そのルールでお前たちが傷付く事は俺の……俺たちの本意じゃなかった」

 

「………だから人間の街に居る事を優先しちゃった……あたしたちのエゴで皆を振り回してしまった……」

 

唐突な告白、誰もが耳を疑いながらも、二匹の話に耳を傾けていた。反論する者は居らず、その話に只管に聞き入っていた

 

「すまなかった」

 

「ごめんなさい」

 

最初に作り出した不可侵のルール、其れは自分たちが人間であったが故に生み出した欲望という名の決まり事。だからこそ彼等は素直に詫びた。勿論、其れで罪が正当化され訳ではない、其れでも誠意は見せなければと彼等は頭を下げたのだ

 

「いいえ……其れは違います。どうか、頭を御上げになってくださいませ、リムル様にネコリア様」

 

「シュナ様の仰る通りです、御二人に詫びていただく必要等はありません。此度の件は私たちの御二人の庇護下にあるという甘えがあった故に招いた結果が此度の惨劇……この問題は私たち(・・)全員が抱えるべきことだと私は思っております」

 

「シュナ……ライメイ……」

 

強者を盟主と仰ぐが故に起きた惨劇、其れは常に自分たちは誰かに守られているという甘えがあった故に起きた惨劇。その甘えから生じた問題を詫びる必要がないとシュナは諭し、ライメイも冷静に原因を言及する

 

「妹だけならまだしも、暴れるだけが生き甲斐とも言えるライメイにも先に言われるとは情けない限りだ。結界で外からの干渉を、リムル様とネコリア様との繋がりが絶たれた時、常にあった万能感が消え去り、胸中に広がったのは寄り処を失った動揺……留守を預かっていたにも関わらず、我々は心の何処かで御二人を頼ってしまっていた…」

 

「町を守れ、そう言われた時は剣としての御役目を遂行すると息巻いていたにも関わらず…此度の失態…私には貴女様の剣を名乗る資格が御座いませぬ…」

 

ベニマル、ライメイが自らの失態を嘆き出すと会議に参加していた幹部たちが次々と自らの失態を告白し、議題は脱線を始める。その様子に何も言及出来ないリムルとネコリアであったが、ある声が響いた

 

「リムル様、ネコリア様」

 

その声の主、ハクロウは徐に立ち上がると真っ直ぐとした威厳ある瞳で会議に参加している全員を見据える

 

「御二人が御自分の思いを優先したからといって、何も問題はございませんぞ。今回の件は全員の油断と弱さが原因……あの様な不埒者どもに好き放題されてしまったのは、ワシ等の怠慢に他ならぬ………

 

 

 

 

 

違うか、皆の者!

 

 

その声、正に鬼の一喝で全員の身が引き締まる。裏切り者と罵られ、町から追い出される事も覚悟していた二人にとって、その反応は予想外だった

 

「リムル様、ネコリア様。御二人の身勝手を咎める者等居りますまい……御二方は何があろうと我々が従うべき絶対的な主、その立場は不動なのです」

 

「わふっ!そうだぞ!人間が好きでも、魔王様になってもネコリア様はネコリア様で、リムル様はリムル様だぞ!」

 

「元が人間だとしても、私と妹たちが、そして兄上が御慕い申し上げているのは何時もの御可愛いネコリア様です。その覇道に我等は何処までも付き従います」

 

「ホントに………欲張りな子たちね……でもありがとう、大好きよ♪」

 

「「「可愛いですっ!ネコリア様っ!」」」」

 

「はうっ!?アネキのウインクっ!!!」

 

「ネコ姐さんのウインク……これだけで、御飯三杯はいけちゃう!」

 

ぱちりとアーモンド型の猫目をウインクさせるネコリア、その愛くるしさに彼女の虜であるエンカ、ライメイ、カイリン、ソウカ、エレンは目をハートにしながら悶える

 

「あれ?リムル様。溶けてないっすか?」

 

「いやァァァ!!!誰か医者ァァァ!あの人!急に溶け出したわっ!!!謎の融解病よ!救急車ァァァァァァ!!!」

 

「引っ叩くよ?ネコちゃん」




絶望からの希望、その先に待ち受ける新たな対応策とは……

ネコリアの真骨頂その36 実は如何なる時も掴みを忘れない

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