転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。   作:田中滅

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今回の見所!ライメイが大活躍!そして、何気に奴らも名コンビ振りを発揮する!そしてネコちゃんは最強!!以上!


第五十六話 神の怒りを知る時、樹海に陽は沈む

「……………お前も馬鹿にされたままでは終われないだろう……なぁ?剛力丸()よ」

 

「…私たちの可愛い妹たちを殺した報いを受けてもらおう…」

 

「若造に剣鬼の本気を見せてやろうかのぅ」

 

「手筈通りに頼むっすよ。ホントはオイラもやりたいっすけど、今日は皆さんに譲るっす……エンカさん!!」

 

「わふっ!」

 

西側陣営に姿を見せた五人の魔物。一人は身の丈以上はある大刀を肩に担ぎ、一人は二対のクナイを握り締め、一人は静かに佇み、一人は紅蓮の毛並みの狼に跨っている

側から見れば、戦力差は火を見るよりも明らかであるが、この場合は逆である

 

「お前だな?我が妹を手に掛けた異世界人は……」

 

「ああ?なんだ、お前。ガタガタ言ってねぇで、さっさと来いよ!」

 

「弱い犬は良く吠えると言うが……貴様はその足元にも及ばないな。私の友人にもきゃんきゃんと吠える駄犬が居るが、貴様よりも遥かに強いぞ」

 

『わふっ!?誰が駄犬だっ!畑馬鹿には言われたくないやいっ!!』

 

異世界人の一人である田口省吾を前に、自らの同胞を引き合いに出す金色の鬼人。彼女の頭に《心理意識》で会話を聞いていた件の本人が反論を返すと、鬼人は「すまん」と謝罪を返し、肩に担いだ大刀を地面に突き刺す

 

「なんのつもりだ!てめぇ!」

 

「見ての通りだ…私は生憎と大刀の扱いには慣れていなくてな。如何にも扱うには体力を消耗する。故に賭けをしよう、貴様が一度でも私に触れる事が出来たならば、私は貴様を見逃す」

 

「舐めやがって………上等だっ!!吠え面かきやがれっ!!!」

 

彼女の持ち掛けた賭けに乗った省吾は地を蹴り、顔面目掛け、拳を振り抜く。然し、直ぐに彼は自分の目を疑った。それは何故?簡単である、其処には突き刺さった大刀だけを残し、確実に捉えたと思っていた彼女の姿はなかったからだ

 

「どうした?私はこっちだぞ」

 

「なっ……!いつの間に!?これならどうだっ!!!」

 

背後から聞こえた声に振り返り、一瞬は驚きを見せるが即座に切り替え、彼女に殴打の嵐を叩き込む。だが、彼女はその全てを軽やかな動きで躱し、踊る様に動き回る

 

「卑怯なマネしやがって!!ちょろちょろと動き回るんじゃねぇ!!」

 

「卑怯?面白いことを言うんだな、貴様は。自分がした行いを棚に上げて、物を言うとは……思いあがるんじゃねぇよ(・・・・・・)!!!」

 

刹那、彼女の雰囲気が一変。厳しいながらも穏やかな口調は形を潜め、荒々しい口調に高圧的で鋭さを増した目付きは、省吾の体に恐怖を呼ぶ。初めての感覚に彼は拳を止め、今迄に感じた事の無い畏怖の感情を抱かせる

 

「お前と私の技を一つに……行くぞっ!!シオン(・・・)!!!」

 

「あっ………な、なんだ………なんだ……なんなんだよっ!!お前ェェェェ!!!」

 

知らない感情に、気が狂った様に突進してくる省吾。その姿に彼女は呆れた様にため息を吐き、突き刺さった大刀を引き抜き、空高く飛び上がる

 

鬼刃落雷(きじんなるかみ)!!!!」

 

雷鳴が轟くかの様な轟音と共に振り下ろされた大刀は地面を抉り、地形を変えるか如く巨大な大穴(クレーター)を生み出す

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!いてぇ……いてぇよぉ……やめてくれよ……頼むから!!」

 

「なんだ、頑丈な肉体だな。普通の人間ならば、今ので塵一つ残らないくらいに消し飛んでいると言うのに」

 

「力の込め方に(むら)があるからじゃよ。本来は速切りに特化した御主が大刀を扱うのは畑違いじゃからの」

 

「御師匠。小言を言いに来たのか?」

 

背後から姿を見せたハクロウに、呆れた眼差しを向ける彼女基ライメイ。担いだ大刀を肩に担ぎ直し、彼からの小言に悪態にも似た問いを投げかける

 

「なっ……ジジイ!?テメェ!ここで何してやがるっ!キョウヤは何処だっ!!!」

 

「御主の友達なら……ここじゃよ」

 

省吾の問いに応える代わりにハクロウが投げたのは、人間の生首。その首には見覚えがあった

 

「なっ…………!?あっ、ああ…………!」

 

自分の友人である橘恭弥の変わり果てた姿に、彼は怯える様に走り出す。拠点であるテントがある方向に逃げ、その息は次第に荒くなっていく

 

「ちきしょう!クソが!なんで……なんで…!俺が、こんな目に!はぁ…………!このままじゃ殺られる!」

 

何か思惑があるのか、テントの中に居るであろう三人目の仲間である水谷希星を目指し、彼女の居るテントを開けるが、彼の視界に衝撃的な光景が飛び込んできた

 

「あがっ………なんで………」

 

「妹たちを殺したというから、如何なる手練れかと思いましたが………期待外れでしたね」

 

体中に無数のクナイが刺さり、夥しいまでの血に塗れた変わり果てた希星の姿。その側には涼しい顔のソウカが佇んでいる

 

「ソウカも御師匠も仕事が早いな」

 

「御主が遅いだけじゃ」

 

「な、なんなんだよっ!!お前らっ!!!くそっ!!おい!俺の為に死んでくれよ!」

 

云い知れない恐怖を振り払い、彼は近くに居た兵士の首を締め上げ、その力を我が身に取り込む。仲間を仲間と思わない所業にライメイたちの表情が凍りつく

 

「…御師匠、剛力丸を預かってくれ……ソウカ。私の刀は持ってきたか?」

 

「此方に」

 

「感謝する…………雷鳴とともに散れ、武人の面汚しめ」

 

肩に担いだ大刀をハクロウに預け、ソウカに愛刀・雷切を渡されたライメイの表情が一瞬で変化する。剛力丸を力任せに振り回していた先程までの姿とは裏腹に、隙だらけの無防備な構え、明らかに殺してくださいと言わんばかりの姿は格好の的である

 

「面汚し?ハハハハハッ!攻撃に特化した乱暴者(アバレモノ)と防御に特化した生存者(イキルモノ)の二つを手に入れた俺は無敵だ!骨を砕かれても、頭を斬り落とされても、直ぐに修復される!どうだっ!怖気付いたかっ!」

 

「………話は終わったか?」

 

「………………あ?」

 

叫ぶ様に自らの持つスキルを説明した省吾の耳に飛び込んできたのは的外れな解答。まさかの返答に彼は自分の耳を疑った

 

「聞こえなかったのか?話は終わったかと聞いたんだ。聞いてもいないのに、長々と喋っていたのは貴様だ。そろそろ……体の痛みにも気付くと思ったが、鈍いヤツだ」

 

「へ…………ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!いてぇ!いでぇよ!なんだよ、これェェェェ!!」

 

呆れた眼差しとため息、其れと同時に刀が鞘に戻る音が響く。その時だった、省吾の体に身に覚えのない痛み(・・)が駆け巡った

 

「仙法・朧雷獣(おぼろらいじゅう)………私の朧流剣術に仙術を合わせた複合技だ。付け焼き刃だったが、上手くいったな」

 

「…………やべで、やべでください……………冗談だったんですぅ……本気じゃなくて……」

 

体中を駆け巡る雷を彷彿とさせる激痛、その痛みに震え、戦意を失った省吾がそう言うも、ライメイの瞳から怒りの焔は消えない。妹を失った悲しみは、友を失った悲しみは、仲間たちを失った悲しみは癒えない、言葉だけの反省は彼女の中で意味を成さない

 

「わふっ!ライメイ!こっちは終わりだぞっ!」

 

「ふふん、流石はオイラのお散歩術っすね」

 

「苦痛からの解放、貴様に与えるのは………地獄への片道切符だ!!仙法・氷雷爆刃(ひょうらいばくじん)!!!」

 

「ひ……ひぃぃぃぃぃっ!!!」

 

氷、雷、炎、三位一体の力を纏った刃が迫り、恐怖に耐えきれない省吾は逃げ出すも、容赦無く振り下ろされた刃に妙な手応えを感じる

 

「ふむ……生き残ったのはショウゴのみか。儂とした事が、魔物共の力を見誤っておった様じゃな」

 

「ら……ラーゼンさん!俺を助けに!」

 

その妙な手応え、ラーゼンと呼ばれた男性は値踏みする様に周囲を見渡す

 

「ふむ…………なるほどのう。鬼人族に龍人族…………なるほど……ショウゴ達では勝てぬ訳じゃ。一度、退くとするかのぅ」

 

その言葉と共に省吾と共に退散しようとするラーゼンを追随する様に二つの影がハクロウの両脇から飛び出す

 

「させると思うか?仙法・雷球(らいきゅう)!!」

 

「及ばずながら………仙法・水槍撃(すいそうげき)!!」

 

「止まれ!ライメイ!ソウカ!」

 

「エンカさん!二人を助けるっすよ!」

 

「わふっ!!」

 

仙術を放とうとしたライメイ、ソウカに待ったを掛けたハクロウの判断にゴブタが即座に対応し、二人をエンカが体当たりで吹き飛ばす。刹那、怒号にも似た爆音が響き渡り、爆風が巻き起こる

 

「助かった……ゴブタ、エンカ」

 

「感謝します」

 

「師匠の事は誰よりも理解してるっすからね」

 

「わふっ!すごいぞっ!ゴブタ!」

 

「タダの狸かと思うたが、化かすのは下手じゃわい。ワシの知っておる方であれば、もっと高度な化かし方をしよる」

 

「カカカッ!言うではないか、鬼人よ。強さで見れば、そちらの者たちよりも御主の方がかなりの武人と見た……じゃが、残念だ。ワシはコレ(・・)を助けに来ただけに過ぎん……生きておれば、戦場でまた会えるやも……………」

 

「それはない」

 

その場を去ろうとしたラーゼンの耳に、ハクロウの怒気の籠った声が突き刺さる。聞き間違いと思い、振り返ると彼は静かに佇んでいた

 

「貴様が向かう戦場には……我々の主人たち(・・)が向かわれた。あの方々は自らの欲に横槍を入れる輩には一切の慈悲も持たん。後悔しても遅いとは正にこの事じゃ………激怒させてしもうた、決して怒らせてはならぬ方々をな。ゆめゆめ、楽に死ねんじゃろうて……」

 

「カカカッ!つまらんハッタリよ。一応は、忠告としてこの耳に留めておこうぞ。では、さらばじゃ!」

 

そう言い残すと、ラーゼンは転移魔法で姿を消す。残されたライメイたちは遥か彼方に居るであろう二人の主人を思い浮かべる

 

「エンカ。報告はすんだのか?ネコリア様とリムル様に」

 

「わふっ!とっくの昔に終わったんだぞ!」

 

「後は待つだけっすね。エンカさんはネコリア様の所に行くんすか?」

 

「そうだぞ、街に帰る時に連れて帰らないとだからなっ!行ってくるんだぞっ!」

 

エンカはライメイたちと話し終えると主人が待つファルムス王国本陣に駆け出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネコリア。準備はできたか?」

 

「誰に言ってんのよ……とっくに準備完了してるわよ」

 

ファルムス王国本陣上空には、悪魔の如き翼を携えた仮面の魔人、猫耳をぴこぴこと動かし、愛らしい鍵尻尾をふりふりと揺らす魔性の美少女が佇んでいた

 

「死ね。神の怒りに焼き貫かれて……」

 

「一瞬よ。我が欲の糧となれ…」

 

空中に浮かぶ無数の水玉、更に地面から前触れも無しに姿を見せた無数の苗に兵士達は首を左右に捻る。其れが自分たちの命を狩り取る死神の鎌であると知らずに、安易に近寄っていく

 

神之怒(メギド)!!!」

 

「呪法・樹壊燐(じゅかいりん)!!!」

 




降り注ぐ雨、生い茂る木々。その二つは人々を恐怖に陥れる………

ネコリアの真骨頂その38 実は準備は直ぐに終わらせる

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